迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

死ぬ運命。

2012年06月23日 | 旅する。

6月23日 土曜日 山形県某市

沖縄慰霊の日。沖縄では梅雨が明けたそうだ。

黙祷とともに、いくつかの本を再読する。

仲宗根政善『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』角川文庫
池宮城秀意『戦争と沖縄』岩波ジュニア新書
大田昌秀『沖縄のこころ』岩波新書

 

…………(略)…………
 外間安子さんはいつもしずみがちで、中央の米俵のおいてあるそばにうなだれていた。突然、「あなたは生きる運命よ。私は死ぬ運命! 私の母は今帰仁の大井川にいる。私がここで死んだことを知らせてね」とまっさおになり、眼を槍のようにとがらせてさけび、半狂乱になって、私にしがみついた。ぞっとして、つき離そうとしても、どうしても離せない。

 私はおびえて助けを求めた。衛生兵がなかにはいって、やっとなだめて手を離させた。やがてその眼からぽろぽろ涙がこぼれた。「安ちゃんどうしたのよ」と、その手をとってあげると、やさしく美しかった安子さんは、背を波うたせてむせび泣いた。
…………(略)…………

(『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』「座波千代子の手記」から一部抜粋)

 

6月23日は節目の日ではあるが、この日で沖縄戦が完全に終わったわけではなく、むしろ凄惨な悲劇はこのころに多い。 

いろいろ書くよりも、象徴的な引用でもしようかと本を読みはじめたが、生々しい証言にうちのめされる。ここに抜粋した部分だけではわかりにくいだろうが、かといって状況を説明しようとすると、筆がとまる。願わくは、それぞれの本を読んでいただきたく。

合掌。