迷狂私酔の日々(再)

明鏡止水とはあまりに遠いこの日々。

ザッケローニ!

2010年08月30日 | フットボール・クレイジー。
8月30日 月曜日 横浜→山形県某市

そういうわけで、首都圏からさっさとおさらばしました。



さて、ザッケローニですか、そうですか。

実はウディネーゼでザッケローニが展開した3-4-3が、大好きだったんです。

どーせ、資料漁って記事を作るマスコミは
「超攻撃的な3-4-3を得意とし、」
とか
「名門ACミランでスクデットを獲得、インテルやユヴェントゥスなど名門の監督を歴任し、」
とか、書くと思うが、それを鵜呑みにしてはいけない。



実は昔、日記でウディネーゼ時代のザッケローニについて書いたはずなんで、探してみる。

あった、あった。

当時、中田ヒデがペルージャに移籍した最初のシーズンで、WOWOWが毎週放送しており、ワタクシは毎週セリエA観戦日記を連載していたのだ。

1999年1月10日

(略)
ペルージャがホームにウディネーゼを迎える。昨97-98シーズンは大躍進だったウディネーゼは今シーズン、ザッケローニ監督と得点王ビエルホフをACミランにかっさらわれたが、それでも強いチームである。ふつうは3-4-3というと超攻撃的フォーメーションとされるが、ウディネーゼの3-4-3はフォワードの両ウィングを含めたアグレッシヴなプレス守備で私の注目チームなのだが。今年はどうなっているのだろうか?
(略)

結論から言えば、ザッケローニがウディネーゼ(よく言って中堅クラブ、はっきり言えば弱小)で作り上げた3-4-3は、実は守備オリエンテッドだった。

フォワード両翼にはサイドの守備で一定の責任を持たせ、中盤の4人の組織的なプレスと、そのプレスと連動する(つまり、ラインを下げすぎない)ディフェンスでボールをかっさらい、センターフォワードに早めに当てる、ここまで書けばわかるでしょう、今回の南アフリカ大会で日本代表がとった戦略に近いんである。

大きな違いは、2010日本代表はチームとしてこの戦略に取り組む時間があまりに短かったが、ウディネーゼはクラブチームの戦略として熟成させて成功したことだ。そのために、資金のないウディネーゼでもセンターフォワードにビアホフ(昔のワタクシはビエルホフと表記)やアモローゾという一流選手を置き、ここだけはお金を惜しまなかった。



そしてザッケローニはACミランに迎えられる。ここまではいいのだが、ザッケローニはACミランで初年度にセリエA優勝するものの、その次のシーズン(1999-2000)では選手層が薄い上に、選手にフィジカルな負担がかかる3-4-3でチャンピオンズリーグとセリエAを両方戦う羽目になって失速。

こーなると、こうるさいベルルスコーニ(ACミラン会長、現在はイタリア首相、いわゆるお騒がせ男)が4バックに戻せ、とか言い出してケンカ、3シーズン指揮したが、結局解任。

そしてラツィオ、(1年浪人)、インテル、(2年浪人)、トリノ、(約3年浪人)、ユヴェントゥスと放浪。「放浪」と表現するのは、この4チームの就任の経緯がいずれも代役のため。それぞれ、ディノ・ゾフ、クーペル、ディ・ビアージ、フェッラーラの後任としてシーズン途中(トリノは開幕直前)に監督就任するが、いずれも1シーズン未満(なにしろ途中からだし、トリノはシーズン終了前に解任)でクビ。

[ちなみに、この間ワタクシは2002年3月のローマダービー、ラツィオ対ローマを現地で観戦した。なんと5-1でローマが圧勝し、ホームだったラツィオのティフォージは大荒れ、発煙筒が大量に投げ込まれてピッチに消防車がやってきた。あまりにすごい煙で後半は選手は霧の彼方でプレーしていた。このときのラツィオ監督がザッケローニで、この後に解任された]

最後の、つまり最近の仕事場であったユヴェントゥスでは2009-10シーズンの残り4ヶ月だけの指揮で、まあ「困ったときのザッケローニ」という感じか。結局は優勝どころかチャンピオンズリーグの出場権も逃して契約終了。インテル以降の4チームでは結果を出したとは到底言えない。

経歴だけをとれば、なかなか手を出しにくいんだが、それでもワタクシはザッケローニを日本代表の監督にするという選択はなかなかいいと思う。



要するに、言うことを聞かないスター選手にザッケローニの戦略は難しいんだな、きっと。しかも、彼のプレスは連動性がカギで、そのためにチームとして熟成する時間がいる。

いま、日本代表に最も足りないのは緻密なプレスの理論である。攻撃か、守備か、というバランスの話ではない。ポジショニング、タイミング、相互の間隔を精密に磨いたプレスは、無駄なくボールを奪取し、そのまま攻撃に展開できる。

たくさん走った、とか自慢している場合ではない。もっと効率よく守備すれば、そのエネルギーを攻撃に回せるのだ。

日本代表って多いでしょ、ボール奪ったのにすぐ奪い返される場面が。これはポジショニングが悪いためで、ボールを奪ったあとの展開に備えていないということ。

精緻化したプレスでは、次にどう展開するか、いくつかの場合に分けて最良のポジションにいるための理論があるのに、とずーーーーっと思っていたのだ。



希望的な観測では、新しい日本代表はヒディンクの韓国、ビエルサのチリのようなチームになるはず。
なってほしい。
なったらいいなぁ。



いずれにせよ、すぐに結果を求めてはいけない。とくにザッケローニには。



ではまた。