毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「武田一義の『ペリリュー 楽園のゲルニカ』無料版で読んだ」No.2936

2019-08-16 02:18:40 | 

 

昨日、NHKラジオに武田一義さんという漫画家が出演して、

話題の漫画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を描いた人だと

紹介されました。

(へえ、戦争漫画を描いた人か)と何気なく聞いていたら、

同郷の北海道出身、44歳で、私から見ればとても若いのです。

当然、戦争経験はありません(私だって経験してないのに(笑))。

「戦争の記憶を風化させてはいけない」

「戦争を知らないものに限って戦争の必要性を得々と語る」

「とにかく戦争はアカン、平和がだいじ」

と、私たちは口を酸っぱくして言いますが、

武田一義さんは子どもの頃、そうした戦争の体験話を

(いつも同じ。もう分かったわ)と辟易していたそうです。

平和の大切さを子どもたちに伝えたいという必死の気持ちが、

逆に(押し付けがましい)と受け取られていたのですね。


では武田さんはどうして『ペリリュー 楽園のゲルニカ』という

過酷な戦争を題材にした漫画を描くことになったのでしょうか。

彼に影響を与えたのは、

アニメや漫画の登場人物の中に「戦争帰り」がいたり、

物語の中で誰かのお父さんが「戦争で死んでいた」り、と

自分が読み、影響を受けた多くの作品の中で見え隠れする戦争が

ジワジワと心に蓄積されていたことと、

直接的なきっかけは

2015年に先の天皇ご夫妻がパラオ諸島のペリリュー島にも

慰霊の旅をしたことで、

自分の全く知らなかった南の島にも日本軍が出兵し、

アメリカ軍との激戦で兵士のほとんどが「玉砕」したことを知り、

「戦争は人間の極限状況だと思うので、

自分がそれを調べて、知り得たことを描くということは

多くの人に、自分が知っていった過程をパスできると思い・・・・・・」

と、動機を語っています。

彼がいつも気をつけていることは、

「普通の人の気持ちや生活と戦争が乖離しないこと」。

自分とかけ離れた特殊な人が戦争に行って、

戦って死んだわけではないということを

確かめて、描き、確かめて、描き、していることです。

現代の「普通の人」が、戦争を自分や自分の国の歴史と乖離させないために。

「僕が思うのは、昔の戦争にいた若い人も、今の自分たちも、

本質的にはあまり変わらない人間だと思っていて。

自分が登場させた人物が本当にその場にいたら

(どういう行動をするだろうか)

(どういう判断をするだろうか)

ということを、ずっと考え続ける、

想像し続けるということが必要なことだと思う。」(武田一義)

武田一義さん自身が過去において、

(いつも同じ話。もうウンザリ)という感想を持ったのは、

自分とは関係ない、と思ったからだという自覚があるのでしょう。

登場人物は可愛い三頭身キャラで描かれています。

深刻な戦争漫画であっても受け入れて読んでもらい易いのでは、と

漫画家の視点で考えたそうです。

下は、無料版で読んだペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1巻』

(作者:武田一義 / 平塚柾緒(太平洋戦争研究会)白泉社:2016年発行)

からの切り抜きです。

若い漫画家が、調べて、追体験して、考え続けて描いた力作だと思います。

 

 

 

 

 


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