[自民党憲法改正草案の「緊急事態条項」「公益及び公の秩序」に切り込んだ、社民党・福島みずほ副党首の質疑 全文]
福島みずほ議員(以下、福島議員)
「社民党の福島みずほです。憲法改正についてお聞きします。
総理は憲法改正の発議ができるように参議院選挙で改憲勢力の3分の2以上の獲得を目指すとおっしゃっています。自民党は既に日本国改正草案を発表しています。どれも極めて問題ですが、この中のひとつ、『緊急事態宣言条項』についてお聞きをします。
まず緊急事態宣言からやるのではないかと私は思っておりますが、この新しく自民党が設けている第9章『緊急事態』。これはまさに効果のところが、とりわけ問題です。
これは内閣で99条1項、『内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる』『内閣総理大臣は財政上必要な支出、その他の処分を行ない、地方自治体の長に対して、必要な指示をすることができる』となっています。
総理。国会は唯一の立法機関です。しかし、内閣が法律と同じ効力を持つことができる政令を出すのであれば、立法権を国会から奪うことになる。国会の『死』ではないでしょうか?」
安倍総理
「この草案につきましては、我々野党時代、谷垣総裁の下で作られた草案でございます。えー、大規模な災害が発生したようなこれ緊急時の事を言っているのでございまして、平時にですね、えー、行政府がこれは、えー、権限を持ってやるということではないわけであります。
えー、まあ大規模な災害が発生したような緊急時において、えー、国民の安全をまも、守るため、国家、そして国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを、まあ憲法にどのように位置づけるかについてはですね、まあ極めて重く大切な課題と考えております。
(咳払い)えー、そして、また他方ですね、えー、自民党の、えー、憲法改正草案の個々の内容について、政府としてはお答えをすることは差し控えたいと思います。まあ、いずれにせよ、まぁ憲法改正には国民の理解が必要不可欠であり、まあ具体的な改正の内容についても、国会や国民的議論を、と、理解の、理解の深まりの中で、自ずと定まってくるのではないかと、こう思っておりまして、引き続き、新しい時代にふさわしい、いー、憲法のあり方について、えー、国民的な議論と理解が深まるよう、努めてまいりたいと考えております」
※上記にように、草案の内容を説明することもせずに、「憲法改正は国民の理解が必要である」などとまったく矛盾したことを、ひとつのセンテンスの中で並べて話している。「国会や国民的議論の深まりにつとめていく」とも述べている。なのに、自らが「3分の2の議席を獲得する」「改正の発議をする」「対象とするのは、自民党改憲草案の98条、99条の『緊急事態条項』である」などと言いながら、その改正案の条項の中身については答えない。これでは、国会での議論も国民的議論の深まりも期待できない。(青木浩文)
福島議員
「総理が改憲勢力の3分の2以上の獲得を目指すと、すでに言っていて、しかも日本国憲法改正草案が出ていますので、聞いております。
この中の自民党の草案の中でですね、事後に国会が不承認をする、国会の承認を求めるとなっておりますが、国会が承認しなかった場合、その政令の処分によって、行われたことはどうなるんでしょうか。政令の効力はどうなるんでしょうか」
安倍総理
「まっ、今申し上げましたようにですね、えー、私が今ここに座っているのは、内閣総理大臣として座っているわけで、えー、ございまして、えー、憲法の、おー、改正案の中身についてはですね、まさにこれから、あー、まあ憲法審査会においてですね、えー、ご議論をいただきたいと、えっ、このように思うわけでございまして、こうした議論が深まっていく中において、この、おのずとどの項目からですね、え、改正をしていこうかということが定まっていくわけで、えー、ありまして、それ以上、ここの条文について、私がここで述べることは差し控えさせていただきたいと思います」
福島議員
「きわめて問題ですよ。なぜならば、総理は今度の参議院選挙で、憲法の改正の発議ができるように、3分の2以上の獲得を目指すと言い、既に自民党は発表しているわけで、自民党総裁として、どういうふうになるのか、議論をすべきではないですか。
参議院選挙のひとつの争点は、戦争法廃止法案、これに賛成か反対か。そして、憲法改正について、どう考えるか、もちろん新自由主義か、社会民主主義か、1%のための政治か、99%のための政治家か、ありますが、憲法改正は極めて重要なテーマです。
先ほど申し上げましたが、これ(自民党の改憲草案には)、国会が不承認にした場合、承認が得られなかった場合の効力について規定がありません。これはきわめて問題です。憲法審査会でも学者はこのことを規定しています。
で、この緊急事態宣言条項ですが、総理、5年前の東日本震災、原発・震災は、憲法に緊急事態がなかったために、問題があった、というふうにお考えですか?」
安倍総理
「まあ、今、まあ、例えば、あー、この、まあ緊急事態についてですね、自民党の中で議論があったのはですね、えー、まあ、あの時も、えー、地方選挙においては、これは延期をするという措置がなされたのでございますが、まあ国会議員についてはですね、えー、そういう対応ができない中において、まあ、どうしていくかと、いうことも議論になったと、こういうふうに承知をしております。
まあ、いずれにせよですね、えー、この憲法につきましては、えー、3分の2以上の、えー、賛成が衆参それぞれあり、そして発議ができるわけでありますが、その上において、えー、国民投票を行ないですね、まさに国民が決めるわけでございます。
その意味におきましては、まぁ国民的な議論の広がりがなければ、えー、この憲法改正は成しえない。まぁ自民党は、まあ立党以来ですね、えー、まぁ党是として憲法改正も取り組んでいく、ということでございまして、当然、私も自民党総裁でございますから、その観点からですね、われわれが、今ご紹介いただいたように、自民党の憲法改正草案を、お示しをしながら、憲法改正に取り組んでいきたいと、こう考えておりますが、しかし、まぁこれは逐条的に投票をしていくわけでありますから、えー、どっからということについては、そして、どういうふうに改正するかということにつきましてはですね、いわば3分の2を、の、達成、達成を形成するにおいても、国会、憲法審査会において、え、議論を進めていくなかにおいてですね、だんだん修練されていくだろうと、このように考えているところでございます」
福島議員
「逐条的に、ですから議論をして、これはどうなのかを聞いているんです。総理は『今日の天気は曇りでしょうか』と聞くと、『一昨日晴だったような気がする』みたいな答弁じゃないですか。卑怯ですよ。
憲法改正について、3分の2取るんだと言いながら、どうなのかって言ったら、答えない。卑怯じゃないですか。ひとつひとつの、ひとつひとつ、憲法重要ですよ。
で、これは憲法審査会において、この緊急事態宣言状況、必要だ、必要ないという、両方の学者を呼んで、憲法審査会で参議院やりました。
入れることが必要だという、西先生もですね、今の憲法がなかったからといって対応できなかったということには直接ならない、と言っています。その通りだと思います。
まさに内閣限りで、法律と同じ効力を持つことができるのであればですね、これはナチスドイツの『国家授権法』と全く一緒です。これは、許すわけにはいきません。
で、もう一つ自民党は基本的人権についても問題であり、常に公益及び、公の秩序に国民は反してはならない、としています。公益ってなんでしょうか? 公の秩序ってなんでしょうか? 総理、お聞きします。今、宜野市長選が行われていますが、辺野古の新基地建設は公益ですか?」
安倍総理
「まっ先ほどですね、ナチスの授権法のですね、えー、いささか、これは限度を超えた批判がございました。我々が出しているですね、緊急事態に関する、えー、憲法改正の、おー、これ草案につきましては、諸外国のですね、多くの例があるわけでございまして、まさに、国際的に、えー、えー、多数の国がですね、えー、採用している憲法の、おー、えー、これ条文であろうと、こう考えているところでありますから、ぜひ、そうした批判は、慎んでいただきたいと、このように思うわけでございます。
えー、そして、もう時間がまいりましたから、簡潔に申し上げますが、えー、憲法改正の草案について、個々に、えー、お答えすることは差し控えたいと思います。
えー、その上でですね、えー、誤解を与えないように申し上げますが、えー、個人が人権を主張する場合には、他人に迷惑をかけてはいけてはいけないという、当然の、えー、ことを、明確にしたものでございます」
福島議員
「はい、時間ですので、終わります。『国家授権法』と一緒じゃないですか。終わります」
――――――引用ここまで http://iwj.co.jp/wj/open/archives/283468