毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「横光利一『蠅』を3年生と読む」2013年11月21日(木)No.801

2013-11-21 20:47:50 | 日本語
3年生の「日本語作文」と「日本文学」は、私の最も好きな2クラスだ。
どちらも学生の思考が授業に反映できるのが楽しい。

今日の「日本文学」は、
1.与謝野晶子「君死にたまふことなかれ」の全員発表から選ばれた、
7人のパフォーマンスを鑑賞。
  
  朗読の6人もいい気合が入っていた。あとの一人は、「弟」を演じた。
  授業後、その彼に話を聞くと、詩の内容を何回も読んで自分なりに理解し、
  それをどう表現するか、一生懸命考えたという。
  (そうだろう。だから、あんな表情ができたんだ)と思えるものだった。
  せっかくだから、来月初旬に日本語学科のアニメ吹き替えコンクールがあるので、
  その時に、皆に見てもらうことにした。


2.「荒城の月」現代語訳並びに「平家物語巻第一・祇園精舎」朗読。
  (日本人のおもう無常観体験)

3.「蠅」(横光利一)を読み、登場人物の性格・事情分析。
 三:農婦が町に住む息子の危篤を聞いて、3里の山道を走り続け、
    宿場の場庭に駆け込んでくる場面だ。

 農婦をAグループ、ナレーションをBグループ、馭者を私が担当して読んだ。
 農婦が3度も「馬車はまだかのう?」と繰り返すことが、非常に耳に残る仕掛け。
 その後、農婦と馭者がどのような人か、
 そのイメージをグループ・ディスカッションし、発表した。

 これはおもしろかった。
 それぞれのグループが、どんどん発表していくと、
 農婦は、
  ・焦っている人 ・性急な人 ・気が弱い ・意地を張っている
  ・愛情深い母  ・毒々しい  ・優しい ・我慢強い

 とまあ、バラバラだ。
 「馬車はまだかのう?」と3度も聞く態度を「優しい」「我慢強い」と判断したグループもあったが、
 文の流れからすると、他の効果的な言い方ができない人=ちょっと愚かな人、気が弱い人というのが当たっているだろう。「意地を張っている」という意見は、無視されているのに3度も同じ問いかけをするのは、きっと意地っ張りだからだろうと、おもしろい推理だったが、却下。
 「焦っている人」と「性急な人」は違うことも確認した。
 「毒々しい」は「くどくどしい」の間違いだと後で訂正あり(*^。^*)。

 馭者は、農婦の訴えを無視して将棋をさしていたので、
  ・冷淡(冷酷) ・無責任(いい加減) ・自己中心(利己主義)とズバリそのもの。
  さらに「将棋がへた」という鋭い指摘もあった(笑)。

このようにして、新しい語彙を増やしていくのはどんなに楽しいことか。
しかし、のんびりしてもいられない。
いよいよ日本語能力試験が12月1日にせまっている。
明後日23日は新一年生歓迎会、12月4日はアニメ吹き替え大会、そして期末試験と、
何もかもが一度に押し寄せてきているのだ。
アニメ吹き替え大会をここにぶつける先生方の神経もすごい……(ー_ー)!!
 
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