2週間前、突然の暖房器具付け替え工事のため、
2年生の「日本国家概況」の授業を自習にせざるを得なくなり、
急遽レポートを書くようにしました。
テーマは「日本の少子高齢化とその影響をまとめ、中国の状況を日本と比較して述べよ」
というものでした。
2年生は、他人のを写して書く学生がほとんどいないという、
この大学的には奇跡のようなクラスで(笑)、
書き方もそれぞれ違い、読んでいて面白いです。
例えば、
「中国も日本と同じで、少子化、高齢化の状況は深刻だ。
『計画出産』政策の前の時代は、人々は普通、3~4人の子どもがあった。
多い場合、9~10人も子どもがいた。
(それは大変だ)と思った政府は『計画出産』を実施した。
これによって人口の増加が制御されたが、少子化問題が現れてきた。」
とかいうかわいらしい表現もあれば、
「中国の高齢化率は国連が高齢化社会の基準とした7%を2000年に超え、
12年後の2012年に高齢社会を意味する14.3%に達した。
その後も、高齢化率は急速に進んでいる。しかし、現段階で中国はまだ、
社会主義の初期、中等収入国家に属する。
この背景に『未富先老(富を持たない者は先に老いる)』の壁がある。
まして、日本には完全な社会保障制度があるが、
中国の両親は、主に子女による養老に頼っている。
2030年頃からは、中国の一人っ子のメリットが、逆に負担になってしまうのである。
つまり、一人っ子が数多くの高齢者を支えて世話をしなければならなくなるのだ。」
と、「GDP世界2位」のランキングとは相いれないシビアな分析をする学生もいました。
また、
「中国人の生活はとても幸せです。人々はみんなおいしい食べ物を食べて、
いい家に住んでいることがあります。高齢者はいい医療衛生制度があります。
だから、子どもと一緒に遊びます。身体は健康です」
と、お花畑に住んでいるような子もいます。
(こういうのには、言う言葉が見つからない( ^ω^)・・・)
下のが一番、長文で少子化に至る経過が詳しく書かれているものです。
途中、「毛沢東主席の思想に従って、人民ができる限り子どもを産んだ」
という表現には、思わず吹き出しましたけどね。
また、一人っ子政策を守らない場合、「女性の生産能力を奪う」という事例は、
全国一律だったかどうか、確認の必要があります。
なぜならば、私が中国に来てからの事件で、
陝西省か山西省かで、一人っ子政策に違反して妊娠した7か月の女性が、
罰金も払わないというので、強制的に病院に連行され、
無理やり堕胎手術をされたというのがありました。
これには衝撃を受けましたが、
一方、私のいた江西省では至ってのんびりしていて、
大学に来ている学生の多くには弟やお姉さんがいたのです。
「農業大省」というニックネームがある通り、
江西省の農村では人手が欲しいために、特に男の子が生まれるまでは
何人女の子を産んでも多めに見るというのが実態だと教えられもしました。
さて、最後の力作?です。
「今現在の中国も、日本と同じような少子化と高齢化の状態です。
しかし、日本との違いは、中国の少子高齢化の元々の原因は中央政府の
『計画生育』という政策が子供を産むことを制限していたからです。
1949年新中国が成立してから、『個人崇拝』の影響で、中国の人々は
毛沢東主席の『人が多ければ多いほど、力も強くなる』という思想に従い、
一つの家庭ができる限り多くの子どもを産みました。
第二次世界大戦を終えてからの、ようやくの平和と新中国の成立に伴い、
ベビーブームとなりました。
結婚年齢が若すぎて、子どももいっぱい産むので、
中国は『四世同堂』という大家族に満ちていました。
それで、現代中国は世界中で人口が最も多い国として知られています。
中国の人口はもう多すぎて、そのまま人々に子どもを何人も産ませるとなると、
中国の人口は間もなく20億人以上に達するに違いありません。
中央政府は人口の増加を防ぐために、1979年に『計画生育』を全国で始めました。
この政策によって結婚年齢が上昇し、結婚した夫妻には子どもを一人しか産ませません。
そうでなければ高額罰金の上に、女性は生産能力を奪われます。
それから中国の家庭は『四世同堂』に代わって『四・二・一』になりました。
つまり、祖父母と外祖父母四人、父母二人、子ども一人の小さい家庭の仕組みです。
『計画生育』のおかげで、すくなくとも4億人の子どもを減らしました。
一方、子どもを産む数を抑えたため、
中国の少子化と高齢化は一斉に巨大な社会問題となりました。
それで、2015年に『計画生育』が廃止され、
その代わりに政府は『二胎』という、子どもが二人産める政策を行っています。」
注)56民族を抱える多民族国家で、それぞれの民族にまで教育制度が整わない中、育てる能力を超えての子だくさん状態が続き、「浮浪」児や犯罪が深刻な問題になったことも、「計画生育」実施の原因の一つだと聞いたことがあります。―ブルーはーと
〈付録〉今日のキャンパス
菏澤学院で初めてのキャンパス内清掃車(あ、いすゞトラックだ!)。
日系企業が中国で健闘している気がして嬉しくなりました。