夜、ベカベカに輝く大学のメインビルディング。ある学生が
「中身のない大学ほど表面を飾りたがるという典型例です。」と。
下は「広場ダンス」ですが、主体はおばちゃんではなく学生達です。
宿舎のネット断絶5日目。
おかげで夜のキャンパスの様子がちょっとわかりましたよ。
一年間以上の滞在で、ここ菏澤学院で働く
外国人教師たちの姿勢や性格も少しずつ分かってきました。
国による特徴はあるとしても、やはり一人一人の個性が第一なんですね。
フィリピン人のCJとEVEの2人の先生を見ても、
歌が大好きでマイクを握ったら離さないという共通の特徴はありますが、
今回の暖房交換工事やブロードバンド接続の断絶問題に対して態度は全く異なります。
CJさんは
「なぜ、学期中に工事をするの?冬季・夏季の長期休暇にすればいいものを。
私は工事の人たちに部屋を荒らされるのが堪らない!」
と嫌悪感をあらわにし、私が
「工事中の2日間はキッチンで暮らせばいいよ。キッチンには誰も入ってこないよ。」
と慰め?ると、
「フィリピン人にはあんな寒い台所は耐えられないよ!」
とヽ(`Д´)ノプンプン怒っています。
確かにキッチンは狭いだけでなく、アパートで北向きの一番寒い場所なので、
私はそれ以前に引いていた風邪をすっかりこじらせてしまいました。
片やEVEさんは、
「ここで暮らすにはここのやり方に慣れるのが一番。気にしなければいいのよ。
汚くされるのは嫌だけど、ま、仕方ないんじゃない」
というタイプです。
彼女は、私がソファーのカバーをめくった時のあまりの酷さに腹を立て、
「私たちは外国人とは言え、人間なんだぞお!
家畜としてここに来たんじゃないんだ!
カバーであのような汚れを隠すとは卑怯なり!」
と叫べば、
「ああ、そうね~、ところでブロードバンド接続できないでしょ?
学生に教えてもらったんだけど、図書館でwifi使えるって。知ってた?」
と、どこ吹く風でした。
彼女は決してMr.張にwifiを設置するよう要求しないし、
工事の後片付けが汚いと文句を言ったりもしません。
現状を変えるのではなく、
現状の中で少しでも生き易い場所を探すというスタンスです。
これは、以前知り合った日本人教師の多くにも共通しています。
しかし、EVEさんは故国に帰って、
「いや~、中国は汚くてどうしようもないよ。
マナーも守らないし、契約もあってないようなものだ。」
と陰で悪口を言うことも決してないのです。
「その国にはその国のやり方があり、自分はそれに対してとやかく言う立場にない」
という考えが徹底しているようなのです。
半年で首になったイギリス人のビクターさんは、
「洗濯機が作動しない、洗濯機が、洗濯機が、作動しないんだあ!
早く、早く、直してくれええ!!」
と大騒ぎするタイプでした。
でも、そのせいで首になったのではないようです。
彼はクラスのディベートで【香港は中華人民共和国に属するか否か?】などと、
非常にデリケートな問題を好んで取り上げたり、
印刷が多すぎたりして大学からクレームがあったそうです。
私の部屋には初めからプリンターがありましたが、
全ての教師の部屋にあるわけでもないことが分かり、
ビクターさんにはちょっと気の毒な気がしました。
香港問題のディベートは、わざわざする必要がないと思いますけどね。
さて、私はと言えば、いちいち契約書を取り出して、
「安定的なインターネット接続は、契約に書いてある。
だから大学は是非それを実行してほしい。
私はMr.張の心の温かさを信じ、日頃の気遣いに感謝しているが、
それとこれは別だ。」
とごちゃごちゃ言うタイプです。
なぜそんな波風を立てるのか?
確かに、もうすぐ日本に帰るかも知れないのに、
私だけのためならリスクのある交渉などしないで黙っていた方が楽です。
しかし、もし交渉によって何かを勝ち得た先例を作っておけば、
それが実績として残り、
私の後でここに赴任してきた人もその実績を享受できるし、
また、交渉することで事態は進展するという可能性を明示します。
私は、(なんだよ、前任の人は。こんな理不尽なやり方を放置して、
部屋の床も家具も全て汚しまくり、あとは野となれ山となれとばかりに
自分だけさっさと引き上げたのか。無責任で自己中だな)と
自分が前任者に対して感じたのと同様に思われたくありません。
大風呂敷を広げますが、
外国人教師、ひいては中国人教師全体が利益を受けるように、
少しでも改善できることはして引き上げたいと思い、
そのために、宿舎に来たMr.張に特製ミルクティーをご馳走するなどと
老獪策も弄しつつ( ̄▽ ̄)、
彼から「たぶん、次の学期にソファーの修理をしましょう。」という回答や、
また、ブロードバンド接続がうまく機能していない現実を大学に報告するという言辞も
引き出したのです。
何だ、そんなことかいと思うなかれ。
千里の道も一歩からですだ。
今日、カバーも全て洗濯して表面的にはたいへんきれいになったソファー。
ここまで長い道のりでした。
我が同志たち。モップは半分壊れながらも、身を挺して頑張ってくれました。
箒さん、塵取りさん、そして、歯ブラシさん。
あなた方がいなかったら、私の宿舎は永遠に工事現場そのままでした。
THANK YOU SO MUCH!!