サーファー院長の骨休め

“ビッグマッサータハラ”のライフスタイル

サーファー院長の骨休め 「ヘルニア闘病記 その4 号泣編」

2023-09-25 | サーファー院長の骨休め by 毎湘通信
「ヘルニア闘病記 その4 号泣編」              2023.6月

 暗がりにぼんやり白い天井が見えた。カーテンの向こうから患者の寝息が聞こえてくる。いったい今何時なのだろう。もう朝が近いと思っていた。ちょうど看護師さんが来たので時間を尋ねると23時だと言う。まだそんな時間だったのか。それにしても深いいい眠りだった。脚がぽかぽかと温かい。この感覚をずっと味わっていたかった。

 椎間板ヘルニアで緊急入院したのが5日前。自分の右脚はまるでドライアイスの中に浸けたようにキーンと麻痺し、どんな姿勢を取ろうが痛みから逃れられず、結局5日間四つん這いの状態で一睡もできず、ベッドの白いシーツと24時間にらめっこだった。それが今、仰向けで天井を見ている。脚には神経が通い、血が巡った。体には色々なチューブが繋がれていたが経過は順調のようだ。

 そんな心地よさを味わえる時間は、そう長くは続かなかった。寝返りが打ちたい。腰を縦に切開している。自分の力で腰を持ち上げて向きを変える勇気がなかった。ナースコールを押すと二人来てくれた。寝返りを手伝って欲しいと頼むと私の腰に腕を回すやいなや勢いよく持ち上げた。その瞬間激痛が走った。傷口が捻じれて裂けるかと思った。やっとの思いで左に寝返りが打てた。15分も経つと今度は反対側に寝返りを打ちたくなってくる。またナースコールを押した。その都度灯りがつく。同部屋の人に迷惑と思い、体に纏わりつく腕や股間から延びるチューブをほどきながら、自分で寝返る方法を探した。

 朝が来た。一日振りの水、茶碗一杯の白米が美味しかった。朝食後、初日に色々な説明をしてくれた理学療法士さんが来た。穏やかな口調で「いかがですか?」と話しかけてくれた。「お陰様でこうして仰向けになることもできましたし、脚の痛みも90%良くなりました。」「そうですよね。四つん這いでずっと過ごされているのを見ていて、こちらもどうなることかと思っていました。よく頑張りましたね。」それを聞いた瞬間、涙が溢れた。人目をはばからず泣いた。「何て優しい言葉を掛けてくれるんだ。」自分は5日間苦しんだ。でも絶対に治る確信があった。その一方でこの年末に病床に伏し、動けず仕事を休む自分にプレッシャーが何度も襲ってきた。この山を越えれば必ず良くなる。そう言い聞かせて耐えてきた。そんな私の気持ちを救ってくれた言葉は身に染みた。





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