「ヘルニア闘病記 退院の日」 2023.8月
腰部椎間板ヘルニアの手術からリハビリを経て12日目、傷口の状態も良好、日常生活に支障がないということで、ようやく退院することになりました。腰部を切開し、脊椎に穴を開け、顕微鏡を見ながら飛び出している髄核や繊維輪を取り除く手術をしました。これにより、右脚の痛みは95%良くなりました。ここまで良くなったのは、主治医の先生を始め、医療スタッフのみなさんのおかげです。自分も医療の末端で働く者として、この入院生活はとても勉強になりました。ありがとうございました。
退院当日は寒い雨の日でした。入院の日は這いずって来たのに、こうして腰を伸ばして歩いて帰ることができました。家に帰り、シャッターの閉まった治療院に座ると、予約表の全ての名前に取り消しの×印が付いていました。これからどうやって健康を回復させ、信用を取り戻すのか考えなければなりませんでした。
そんな時、玄関のチャイムが鳴りました。いつも治療に来ていただいている患者さんでした。「先生、大丈夫ですか。電話で聞いてびっくりしました。先生でもこういうことがあるんですね。ご無理はなさらないでくださいね。先生にはいつまでも元気でいてもらわないと困るんですから。」とおっしゃっていただきました。その後も患者さんや友人が訪ねてくれ、とても励まされました。
マイナスからのスタートになる。自分が復活していく姿を見てもらい信頼を取り戻す。この経験を糧にするしかありません。1か月後から仕事を開始すると決めました。知り合いの理学療法士にトレーニングメニューを作ってもらい体作り。プールでは歩行訓練を行いました。これは後に自分の体験談として患者さんに話すことができます。また、新しい治療法を調べたり、英会話も勉強しました。こうして何とか仕事ができるまで回復し、心配をお掛けした患者さんも徐々に戻って来てくれました。
3か月が経った頃、トレーナーが「そろそろサーフィンできるんじゃないですか?」と言ってきましたが、私は「まだ早い。」と思いました。「全身の関節を動かすことがリハビリになる。」との一言に心が揺れました。最初は腰を折り曲げる動作のないSUPで海に入ってみました。まだ3月の海は冷たかったですが、気分がとても良かった。その後サーフィンもチャレンジし、無事ボードの上に立つことができた時はとても嬉しかったです。