BHKにようこそ

FC東京好き(サッカー&バレー)の元雑誌編集者で現在はテレビ番組記者。仕事よりも東京優先なライフスタイル謳歌中。

もつれっぱなし

2007-02-09 01:53:58 | 超私的ブックレビュー
かつての岡嶋二人、そして現在はソロとして活躍中の作家、井上夢人。『オルファクトグラム』で臭覚を扱ったミステリーを描いたようにそのアイデアの豊富さにはいつも驚かされる。
この『もつれっぱなし』も6つの短編からなっているのだが、文章がすべて会話文。そういう訳で作品はとても読みやすく、これも1日あれば充分に読める。
二人の会話から文章は成り立っていて、タイトル通り話の前半は、二人の意見がまったくかみ合わないのだが、最後にはきっちりオチがあって、巧くまとめている。
解説にもあるが「嘘の証明」のラストの部分は思わず、本当はこんなシチュエーションだったんだ! と驚嘆しちゃいました。
お祖父ちゃんと孫娘の会話からなる「四十四年後の証明」の最後の部分とかは、ありがちな展開ではあるけれど、ちょっと感動的な話しで個人的に好き。孫娘のコハクちゃんのやさしさが読んでて伝わってくる。

評価:★★★★☆