美しい夕焼け

美しい晩年を目指して

大江健三郎さん

2023-03-27 12:23:17 | 本・映画
大江健三郎さんが、3月3日に亡くなりました。大江健三郎さんは、私が30代から40代のころ、ずっと読んできた作家です。40冊くらい本を持っています。



亡くなってから、少し時間がたっていますが、それは、私の記憶力のせいです。読んでいたのは、30代から40代のころですから、30年から40年位前です。

私は、自分の記憶力に対して、あまり自信はありませんが、それでも好きな作家の本くらい覚えているのは当たり前と思います。

ただ、言い訳というのではないですが、7年前に病気をし、股関節を骨折して、リハビリをしているときに、エコノミック症候群にかかり手術をしました。その後の安静期に血液の薬を飲まなかったために、脳こうそくを起こしました。

それは軽いものでしたから、しゃべることは普通にできるのですが、言葉を忘れ、人の名前や人のことを忘れ、自分の中の記憶も忘れてしまいました。

そのせいで、昔読んだ本をあまり覚えていないのです。でも、大江健三郎さんは、私にとって、とても大切な作家で、本でしたから、何か書きたいと思ってきました。

その時、昔本を読むと、読後感を書いていたことを思い出しました。妹に頼んで、2階の机の引き出しを探してもらいました。そうすると出てきたのです。

それを読んで、私は、大江健三郎さんにたくさんの影響を受けていると思いました。

大江健三郎さんの本を読んで、私は、自分が狭い個の世界から、他へ広がっていくことを学んだように思います。

そして、生き方にも影響され、大江健三郎さんのように民主主義を生きたいと思っていました。今もそれは続いていますが。

若いころに大江健三郎さんに出会ったのは、とても素晴らしい体験でした。それを薦めてくれたのは、夫です。この人の本を読んでみたら、と言って、買ってきてくれました。

今、私の中には、細かな記憶は無くなってしまいましたが、もう一度、「同時代ゲーム」や「燃えあがる緑の木」を読んでみたいと思います。

大江健三郎さんの、姿も、しゃべり方も、生き方も、本も、とても好きでした。ご逝去を悼み、感謝の気持ちを表したいとこれを書きました。

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「童話物語」

2023-03-10 16:27:17 | 本・映画


「童話物語」は、ハイ・ファンタジーのジャンルの日本の作品です。向山貴彦 作、宮山香里 絵の、少女ペチカと妖精フィツとの、人間は滅びるものなのかという問いかけをしながらの冒険ファンタジーです。

妖精フィツは人間が滅びるべきかどうかを調べるために、人間界にやってきます。最初に会った人間とだけ口がきけるフィツは、ペチカという少女と出会います。ペチカは、母を亡くしてからのすさまじい残虐ないじめや虐待に心をゆがめられた少女でした。



本来ならば、優しいものの心が理解できる少女でしたが、ゆがんだ心は、フィツにも周りにもひどい態度で打ち解けず、でも妖精と少女は逃げだすようにして、旅に出ます。

次第に旅で出会った人や動物に、心が動かされていくペチカですが、大きな町で炎水晶という不気味なものに出会います。それは次第に大きくなり、人間の世界を滅ぼしていくような力を持っていきます。



いろいろな人々に出会うペチカは、人を愛することを知り、炎水晶と対決して、人間の世界は美しく、残されるべきものであるとフィツと共に戦います。

そして、人間の世界は滅ぼされず、炎水晶は破壊されます。

フィツの言葉に
人間はつまらない生き物なんかじゃないよ。地上に来て分かった。消えていくものだって、永遠に残すことはできるんだ。人間には、地上のすべての生物には、そういうすごい力があるんだ。

最後は感動的で、人間の力や人間の愛を信じたいなあと思ったことでした。



炎水晶は、魔の力を持っていて、人は己を忘れ、その力に染まり、世界を破壊していくのです。これは、今の時代では、インターネットのようなものでしょうか。それとも、もっと恐ろしい人を同じ方向へ向けて、武器を持たせるようなことなのでしょうか。そんなものに人は、動かされたりしないと思いたいです。

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本はずっと読んでいます

2023-02-06 02:53:51 | 本・映画
いつ本のことを書いたかと調べてみたら、去年の3月でした。あれからずっと夫のことで落ち着かない日々が続きましたから、ブログにあげられませんでした。

でも、本は毎日読んでいました。読んだ本は10冊以上になるでしょう。読むのは、寝る前のベッドの中です。時々は、いつの間にか眠ってしまい、どこまで読んだかもわからないということもありました。

昔は、純文学といわれた小説を読みました。古典文学も読みました。でも、今は、ファンタジーや、ヤングアダルトといわれる年代の人たちのための物語や小説を読むことが多いです。

現実の日々がとても辛くて情けないときには、あまり、人間の辛さを読みたくないのです。

若い小説家の小説や映画化された小説など、いろいろなものを読みました。インターネットで面白いといわれる本を探して。

一番最近読んだのは、「かがみの孤城」というファンタジーです。作家は辻村深月。本屋大賞を受賞した本のようです。



いろいろな理由で学校に行かなくなった中学生が7人、自分の家のかがみを通ってお城のようなところに集まり、あまり自分たちのプライバシーを伝えないままに、お互いを認め合い、友達になります。

そこは非現実の場所だから、みんな、やはり現実に戻らなくてはならないのだけれど、そこでの記憶は失われてしまうのだけれど、現実の世界でも生きていく力をそれぞれが見つけ出していくという物語です。

主人公のこころという少女が思う友達は、
私に特別なことが何にもなくても、私が運動神経が特別よくなくても、頭がよくなくても、私に、みんなが羨ましがるような長所が、本当に、何にもなくても、
仲良くなるというものです。

私もいつもそう思って生きてきましたから、それをことさらに言わなくてはならない現実を生きにくいと思います。

人をその周りの付属品を見るのではなく、その人の存在そのものを見る付き合いができれば、どんなに生きやすくなるだろうと、いつも思います。

今もまたファンタジーを読んでいます。心に響く物語なら、またブログにあげたいと思います。

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「チョコレートドーナツ」

2022-03-18 13:48:51 | 本・映画


二人のゲイの男と、ダウン症の少年の愛の物語です。

人が出会った時、恋に落ちるのは、こんな風だと納得させる二人の男の恋が始まりました。そして、母親に見捨てられたダウン症の少年とも、出会ったのです。

3人は、家族として、暮らし始めます。そこには恋があり、愛があり、楽しさと喜びにあふれていました。

でも、世間は、ゲイを偏見を持って見、少年を引き離そうとし始めます。それは、本当に徹底的に悪意と差別のなせる業です。どんなことも認めようとせず、少年を引き離します。

少年は母親に戻されるのですが、母親は面倒を見ることもせず、少年マルコは、自分のうちを探しに、町に出ていきます。そして、3日間さまよった挙句、橋の下で死んでいたのが見つかりました。

ゲイの男の一人ポールは弁護士で、そのことを少年を引き離した人たちにつきつけます。もう一人のルディはショーダンサーから歌手になり、そのことを歌います。それは、心を打つ歌声で、今もその歌を思い出して、涙がにじみます。

人は、存在したときに、もうそのままで愛されるのだと思います。愛するのは、そこにいるからなのだと思います。そういう風に、人と出会うことは、とても幸せなことなのですね。

この映画は、1970年代に、アメリカで同性愛者への差別が普通だったころのお話です。映画は2012年に作られたそうです。私は、映画館で観たのではなく、先日、NHKで放送されたものを観ました。

ルディになったアラン・カミングのとても素敵な存在感に魅せられました。彼の歌声は、心に響く歌声で、私の心は今も震えているようです。


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「グインサーガ」16巻

2022-03-11 19:24:14 | 本・映画


去年の9月頃から栗本薫作「グインサーガ」を読んでいました。

「グインサーガ」は、全巻130巻あり、それもまだ未完ということです。栗本薫さんが、50代で亡くなったためです。

そのうち、16巻が再版され、それを読んでいました。

中原のパロという王国が中心に、様々な国の攻防があり、そこでいろいろな人達が活躍する物語です。

物語の始まりは、パロの「二粒の真珠」といわれた王子と王女の双子が、ルードの森で、頭が豹の戦士と出会うところから始まります。レムス(王子)とリンダ(王女)、そして、豹頭の戦士がグインです。

その後、ノスフェラスでのモンゴールとの闘いで、グインが素晴らしい戦士であることが分かります。そして、人とは言えないかもしれないけれども、人柄も大きく豊かでリーダーとしての力があります。その時に若い戦士イシュトヴァ―ンと、モンゴールの公女アムネリスが登場します。

アムネリスは、ノスフェラスの敗北の後、モンゴールに敗北したパロのクリスタル公アルド・ナリスと政治的結婚を父親の大公に指示されますが、アルド・ナリスに恋してしまいます。このあたりで、アルド・ナリスの弟マリウスが登場します。

レムスとリンダをパロに連れて帰るという約束をしたグインは、それを守るため、アルゴスという国に二人を連れて行きます。そして、自分が何者なのかを知る旅に出ます。そこで、アルゴスの王太子スカールが登場します。

これで主な登場人物は出てきました。そして、みんなそれぞれに美しく個性的で、大活躍するのです。

3千年の歴史を持つパロは、中原の豊かな国ですが、そこを北のモンゴールという新しく貧しい国が襲い、パロを倒してしまいます。王も王妃も殺され、アルド・ナリスは重傷を負い、モンゴールに征服されてしまいます。

その時、レムスとリンダは、パロの隠された機械で、アルゴスに送られるところをルードの森に行ってしまったのです。そして、パロは再興を目指し、アルド・ナリスを中心として、モンゴールを倒します。

それでも、レムスとアルド・ナリスとの行き違いや、アムネリスのモンゴール再興や、イシュトヴァ―ンの王になろうという野望や、マリウス(ディーン)とアルド・ナリスとの気持ちのすれ違い、ノスフェラスの謎などたくさんの解決しない物語があるのです。

一番知りたいのは、グインは何者、ということでしょうね。

栗本薫の物語は、心の大きな動きのままにほとばしるように伝えてきます。私は、ああこれは、物語る人が語ってくれているのだと思いました。

物語というものには、いろいろな欠点はあると思いますが、それでも、私はこの物語をとても豊穣な気持ちで読みました。

16巻までで、あとは販売していないのですが、121巻から130巻までは、販売していましたので、買いました。大体の登場人物の個性も分かっているので、そして、何を成し遂げたいかも分かっているので、その出会いや会話を楽しもうと思います。

私が好きな人物は、アルド・ナリスです。男性ですが、美しい女性のような美貌と知性、人には見せない暗く黒く輝く瞳のナリスに魅了されます。

栗本薫さんは、こんな世界を持っていて、すごいなと思います。知識と想像力が並外れているのでしょう。

私も、子供のころ、自分にこもって自分の世界を作っていました。今、年を取って、また物語の世界に遊ぶことが、楽しみになっています。


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