bar andrews

~カウンター越しより~

アイリッシュウィスキーの歴史

2006年04月08日 18時25分33秒 | Irish Whiskey

アイルランドは1172年にヘンリー2世に侵攻され、1801年にイングランドに併合されるまでイングランドの植民地的扱いをされていたような国。

 現在、蒸留所はブッシュミルズミドルトンクーリーの3つだけ。
1608年に「国王ジェームズ1世の代理人である北アイルランド総督から、アントリムの領主サー・トーマス・フィリップスに蒸留免許が与えられた」ということから、
ボトルのラベルに「1608年」の文字。世界最古の蒸留所を謳うブッシュミルズ・・・
しかし、ブッシュミルズ蒸留所の創業は1784年
1750年以降からぞくぞくと蒸留所が創業。ブルスナ、ボウストリート、ジョンズレーン・・・1887年には28ヵ所の蒸留所が存在した。
ちなみに同時期にスコッチ蒸留所は129ヵ所
『The Whisky Distilleries of The United Kingdom by Alfred Barnard』より

アイリッシュの全盛時代はスコッチ同様、フィロキセラ病がきっかけでした。
蒸留技術はスコッチ以上、革新的でした。
※フィロキセラ病...ブドウネアブラムシ。この昆虫がぶどうの根に寄生し、根や葉に刺して樹液を吸う。刺された樹木は徐々に弱り、5年くらいで枯れてしまう病気。

3回蒸留ノンピート、アイルランド産の安い大麦を使い、また大麦麦芽以外の穀物を使う技術、巨大な蒸留所でアメリカを市場に大量販売。
しかし技術が進んでいたため、連続式蒸留機にアイリッシュは見向きもしなかった。 皮肉にも連続式蒸留機を発明したスコットランド人のロバート・スタイン
アイルランドのダブリンの蒸留所で働いていた人。
また、連続式蒸留機を改良したイーニアス・コフィーはフランス生まれの
アイルランド人。
それだけに、機械に頼らず技術でやれると思ったのだろう。
では、なぜアイリッシュが衰退したのか?・・・
スコッチブレンデッドの誕生も天敵だったはず。
1919年にアイルランドはイギリスから独立をかけて戦争。
1922年 アイルランド自由国の設立、北アイルランドの分離。
その報復として大英帝国の商圏からアイリッシュを締め出しし、
イギリス、カナダ、アメリカ、インド、オーストラリア・・・の市場とアメリカ禁酒法で失ってしまったからだと考えられています。