まいにちまいにち

お母さんの毎日は いつも同じようで、
少しの素敵がチラリ。

小さな人のものがたり

2010-04-27 | 本を読んで

『引き出しの中の家』  朽木 祥/著

最近 なかなか読書に時間が取れないでいたのだけれど 読み始めたら止まらなくなってしまった。
手にする本が どれもとても好きになってしまう朽木さんの児童書。
“花明かり” と呼ばれる小さな人が出てくるのです。 小さな人が出てくるだけでも心躍るのに、
ほんとに深く優しくて、読後には心の中に花明かりが滑り込んだみたいに清清しい。

七重ちゃんは おもちゃ箱の引き出しのひとつを ビニール製のウサギのピョンちゃんのおうちにして、
まめまめしく手を掛けていた。小さなピョンちゃんぴったりの、台所・お風呂・寝るところ・居間・・・。
四つにしきられた引き出しの中は さらに小さな小物も置かれているのだから、ウキウキせずにはいられない。
クリップで作ったハンガーにかけられた小さなワンピースは、七重が母親と作ったもの。青い花模様の
小さなコーヒーカップは、母親が子供の頃に作ったもの。七重の母親は 手先がとても器用な人だった。
七重が紙粘土で作った猫足のバスタブを、今にも走り出しそうな楽しいお風呂と褒めてくれたのは母親で
不出来さにちょっとがっかりしていた七重を、それはそれは嬉しい気分にさせてくれた。
その母親が早くに亡くなってしまい、次にやってきたママは、これまで大事にしてきた和風の猫を、この
家に合わないからと七重の母親の実家に返してしまう。七重はいやだったのに。そして 結局・・・
ママは七重のことも要らなくなってしまった。
七重は 母親の祖父母の家で暮らすようになり、明るさを取り戻す・・・。

この実家がフランク・ロイド・ライト様式の家だということも、素敵で仕方ないわたし。そして 文中では
メアリー・ノートンの小人のお話のことにも触れられていて 登場人物と会話したくなる・・・そんな気分。
ただ、表紙の折り返し部分の 「花明かりにふさわしい大きさのものを仕立てれば、花明かりは、きっと、
やってくる」 という素敵な文章が ときどき心に引っかかってしかたなかったです。
というのも、なんだかお話の本筋からずれてしまって 簡単にいうと「健全な体に健全な心が宿る」という
聞きなれた言葉が 私の心をちくりちくりと刺すからなのです。
なんだか 最近の娘は 私に叱られてばかりで 私の叱り方もなんだかひどくって 「こんな叱り方は
いけません」というテキストに載っていそうな言い方で。愛情のかけらも感じられないって 自分で思います。
娘は息子の予定に付き合わされることが多く、食事だって遅くまで待っても文句ひとついいません。
でも、なんだか言われたことをやっていないとかの細かいことが、とてもだらしなく感じて、そのことを
指摘することが多くなってしまったのですよね、最近。 こんな掃除も行き届いていない、バタバタと
忙しそうにしている母親が幅を利かせているような場所で、思春期の娘の健全な心が育まれることなんて
ありえないはずだわ・・・  と ひとり悲しくなってしまいました。 脳だってだまされるんだから、嘘でも
笑おう!なんて調子のいいこと言うことだってあるくせに。
あー。。。途中で光る美しい言葉に目が留まる度に、取り返しがつかなくなるまえに、私が変わるときだなー
って、ほんとにほんとに思ったのです。
なので、このお話に出てくる人たちが もうほんとうに美しくて優しくて 両手でふんわり包みたい気分に
なってしまったのでした。


娘の読書記録(*)に入れてもらえるよう 小さく表紙を印刷して 貸し出し期間の残っているこの本を
娘に渡しました。娘は今「告白」を読んでいるので 「どちらがどうとか優劣の問題じゃなくって、なんだか
心洗われる感じがするかも・・・」と渡しました。

 

 


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6 コメント

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Unknown (ROKO)
2010-04-27 19:10:05
jasuminさん、もう読まれたのですね。
実は、今月のオリジナルことりさんで娘に来た本が
こちらでした。
たまたま私も娘も、他の読みかけがあって、
今のところ、夜寝る前に数ページづつのスローペースで、まだまだ途中です。

七重のお母さんの実家は、素敵なお家だなぁということは
クリスマスの飾りのお話からも想像していて・・・。
すごくモダンですよね。
娘には、「私も引き出しの家が作りたい!お母さん、一緒にやって」と
ねだられました。
これを読み始めてすぐに、そうくると思ってました。
そのうちね~って。ごまかしてます。

私は、自分中心のいい加減な人間です。それでいて、娘たちのことも
ズケズケ言いますから、彼女から見ると説得力がないかも知れません。
でも、私が学校の役員だったり、ガラスのことを一生懸命にしている
事は、認めてくれているみたいなのです。
jasuminさんがおっしゃりたかった事と、違ったらすみません。
賢明な娘さんは、きっと理解してくれるって言いたかったのです。
健全に育ってますって!
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*ROKOさんへ (jasumin)
2010-04-28 09:01:59
ROKOさん、おはようございます。
素敵ですね~、お嬢さんに届いた本だったのですね!
次はなにかなぁって、気になっていました。
小さいお部屋、作りたくなりますよね!私も私も。
きっと娘もそんなことを思うことでしょう。
ただ、中学生は忙しくってね~・・・。
夏休みのノーポイか何かのために、今から一緒に作ろうって
誘ってみようかな???ノッてくれるでしょうか?
ROKOさん、きっとお嬢さんとお部屋作ってくださいよー。
ご紹介くださるの、楽しみにしています。

娘とのことも、ROKOさんどうもありがとうございます。
息子より娘に対してのほうが遠慮(というのもおかしいけれど)が
ないって言うか・・・そんなふうに思うことがあります。
一番近いから「大丈夫」っていう自信みたいなものを持ってしまうようです。
でも、これってなーんにも根拠ばなくって、ただ大丈夫そうなのは
娘がまだ子供で、生活力がないからかもしれないって・・・
きっと、私が娘に甘えているのですよね。
さっきお友達のブログで荒井良二さんの言葉を見てきて
「悲しみのわかる、機嫌のいい人」にならなくちゃと思ったところです。
親も健全であらねばね!(笑)はい、がんばります。
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ご無沙汰いたしております。 (バイアリー・ターク)
2010-04-28 09:45:21
しばしのご無沙汰でございました。
新しい役目のお陰で、コレまでとはまったく違う4月を過ごしております。(「公務」ってほんと大変です(笑))

お花ちゃん様も葉っぱ君様も成長するにしたがって、それぞれのために使う時間がどんどん大きな割合いを占めるように日々の生活が変化してきているのだと思います。
その事が、ときにjasumin様の心のバランスを保てない事もおありなのでしょう。
叱ることは、いけないことだとは思いません。でも、そのバランスを保つためにもたくさん褒めてあげてくださいませ。

はい、「鷹揚に・鷹揚に」でございますよ。jasuminお母さん(微笑)


追伸:温かいお祝いのメッセージを賜り本当にありがとうございました。
   こうしてよきご縁に恵まれ、お祝いをいただけることを心より幸せに思っております。
   これからもどうぞよろしくお願いいたします。
   そうそう、5月に所属する学会の年次大会に出席するのですが、その会場が「梅が丘」なのです。
   久々にひっそり佇む本屋さんにお邪魔できます(嬉)
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反省 (こもも)
2010-04-30 00:12:44
反省というのは、こういうことだったのですね。
気付いていましたが、つくづく、自分に対して、厳しく、真っ直ぐな人なのですね。jasuminさん。

私ときたら、「こんなお母さん、いいなー」って、思うばかりでしたもの。
私は、自分を振り返る辛い作業はスルーして、常に、憧れだけを追い求める人なのだと、こちらも、つくづく思いました(笑)

jasuminさんにとっては、ちょっと辛い読書だったでしょうか。
でも、「今が、変われるとき」と思える本に出会えるなんて・・・、
こんな素晴らしいことってありませんよね。
花明かりのおかげかな。

この連休、お花ちゃん、読んでくれるかな。
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*バイアリーさんへ (jasumin)
2010-05-02 09:35:07
バイアリーさん、こんにちは。GWいかがお過ごしですか?
お返事が遅くなり、大変失礼しました。
会長職、大変ですね。お昼間の会合は、いろいろ支障がでますよね。
うちの学校は3年連続、お仕事お持ちのお母さんが就かれていました。
一年間、頑張ってくださいね!

お花の生意気加減は、どう差し引いても他とは比にならず、
可愛いものだとわかっているのですよ。しこまた話しますし。
褒めることも忘れていたかもしれませんね~。
ほんと、バランスですね。忘れないようにします。ありがとうございます。
母がちょっと甘えすぎていて、これくらい言っても大丈夫って
自分勝手をやり過ぎてます。
気をつけて連休を過ごしてみますね。

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*こももさんへ (jasumin)
2010-05-02 14:20:14
こももさん、こんにちは。晴天のGWのキャンプ、楽しいでしょうね~
お帰りになってからの更新を、またまた楽しみにしていますよ!

この本を読んで…そうなんです、こんな反省でした。
他人に厳しく、自分に甘い人なのでしょうね、いかんなぁ。
七重のお母さん、ほんとに素敵でした。そのまたお母さんも。
優しく育てられると優しく育つって、そう思いますもん。
今はね、息子が遊びに行ってて、女子二人なのですが
同じ部屋でそれぞれに大きなクッションにもたれて、
それぞれの本を読んでいます。私は「こわい」が終わって
「すき」の方を。娘は赤い本を脇に置いて「ヒットラーのむすめ」を。
これもなかなかいい時間ですね。

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