「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

70年前、進駐軍占領下の新憲法公布祝典

2016-11-03 05:34:49 | 2012・1・1
70年前の昭和21年11月3日、新憲法が公布され、その祝典が東京の二重橋前広場で天皇陛下ご臨席の下で行われた。当時61歳だった亡父がこれに参加していて、その手記が先日、屋根裏の書庫から見つかった。亡父は日記の余白に自分史の一章として原稿用紙にして10枚ほど書いているが、当時の庶民が新憲法についてどのように感じていたのか、その一端が判り興味深い。

明治17年生まれの亡父は21年2月11日の明治憲法発布当日、上野の森鴎外の小説「鴈」にも出てくる「鴈鍋」の店の二階から祝典の花車の行列が続々と続き、群衆が喜びに沸いていた情景が脳裏に残っている。亡父は、その賑わいと対比しながら新憲法祝典参加の印象を綴っいる。

亡父は目黒駅から神田橋行きの都電に乗って会場に出かけたが、敗戦から1年3か月、沿線は焼跡が続き、新憲法公布を祝う気持ちにはなれなかった。が、会場は10万人の群衆で埋まり、町会から貰った入場券の指定席にやっとたどり着いたが、その交通整理には、ジ―プに乗った進駐軍兵士が”わがもの顏”で当たり、喜びの祝典なのに”民主的”ではでなく、面白くないと書いている。

祝典の全体的な印象として亡父は”新聞やラジオは自由と平和をもたらす新生日本の出発点と祝っているが、現実のインフレ、物価高、ゼネスト、食料難など見ると、果たして全国津々浦々の国民が、心から新憲法祝しているかどうか”と疑問を投げかけている。興味深いのは、明治憲法発布当時、幼児だった自分たちと同じ世代の今の子供たちがが、成人したときに、この新憲法をどう見るかである。その世代は昭和15年前後に生まれた人たちである。

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