今日は池田町議会の一般質問。町長選挙に立候補する1人を除いた10人のうち、8人が質問に立ちました。
うち、4人が保育園の統合問題について質問。しかし、町長の見解は以前と変わらず一園統合と言い募り拉致があかない。
答弁の中で、1つ聞き捨てならないことがありました。それは、行財政改革推進委員会の答申にある保育園のあり方についての曲解です。
町長は、服部議員の質問に答えて、行革委の答申は「1億円の改修をした後10年先に統合するという、いわば統合の引き延ばしだ」「結局、統合か現地建て替えの2案になる」と答えたのです。
これは二重の意味で誤りです。
第1に、行革委員会はそのような答申はしていません。該当部分の答申は以下の通りです。
1.保育園
【問題点】
① 会染保育園の改修・改築については、(a)大規模な増築が必要な池田保育園との統合案(4億円程度)、(b)現地建替え案(7億円程度)の2択しか示されていない。
② 一方、少子化が急速に進む中、種々の少子化対策は講じられているものの、その効果については不透明感がぬぐえず、顕著な改善が見られないケースでは、7~8年後には保育園児数は現在の6割程度まで落ち込む可能性 も十分にある。その場合、例えば、池田保育園を大規模に増築しなくても、両園を統合することも可能になる。
③ 財政状況の厳しさが増すとともに少子化が進む中、保育園の持つ地域での教育的機能やコミュニティの中心としての役割をどう守るかについて、行政・議会・町民の合意が形成されていない。
【対応策】
① 池田町における保育園児数の動向を見極めつつ、保育園の統合も視野に入れて、10年後を目途に改めて保育園の再編について検討を行う。
② それまでの間、会染保育園の建物については園児の安全な保育環境のために必要となる最低限の改修(1億円程度)に留める。
③ 保育園・小学校は、子育てに関わる中核施設であるだけでなく、地域の連携を図る役割を担っていることを念頭に置きつつ、子育て支援の強化など有効な少子化対策を講じる。
上で見るとおり、問題点として、当面少子化対策に力点を置くべきであること、地域の教育的機能に十分配慮することを挙げ、対応策として「(少子化が進む場合は)保育園の統合も視野に入れる」としているだけで、「引き延ばして統合」という町長の捉え方とは根本的に異なっています。まともに答申を読んでいないのではないかとさえ疑われる答弁だと言わなければなりません。
第2に、これらの提案の背景として、第1次答申で述べた次の基本的考え方がある。町長は依然としてこの考え方がお気に召さないようです。
(5)池田町が力を入れてきた福祉・教育などを初めとする行政サービスの質を劣化させないよう努力すること。また、防災、環境など、時代の要請に応えられる能力を高めること。
なぜ10年後に再検討することを答申したのかといえば、何よりも現在の福祉・教育のレベルを今より落としてはならないし、むしろ高める努力がいること、その努力によって将来保育園を統合しなくても済むかもしれないし、【問題点】で指摘した「行政・議会・町民の合意形成」をつくりあげることができるかもしれないと捉えたからに他ならない。統合するなら同じことだから今統合しても同じだいうことには絶対にならないのです。
「保育園の持つ地域での教育的機能やコミュニティの中心としての役割をどう守るか」という中には、小規模でも地域に根ざした保育施設をつくるという考え方も含まれることは当然です。
つまり、少子化対策を含めて池田町の保育・教育のあり方を理念から再構築することが求められるということであって、統合しても「第二次教育大綱」に矛盾しないとか、地域コミュニティが守られるなどといういい加減な見方とは縁がありません。
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教育長は、今日もオウム返しに「合議制の教育委員会と事務担当の委員会とは区別してほしい」という言い方をしていました。要するに、保育園に関しては教育委員会には事務が委任されただけで、その統合や改廃などは含まれないと言いたいのでしょう。
しかし、一方で町長も教育長も、これまで教育委員会では「十分協議してきた」と答弁していました。権限のないことをなぜ協議したのか。もし事務職のみで協議したというなら、それは協議には入らない。合議制教育委員会は、改廃に権限を持たない以上、答申することは権限外のことになってしまいます。町長から委任されて保育園統合問題について協議したというのであれば、権限外の事項をどのような法的根拠で委任されたのか。それは事務局の仕事として受けたのか、それとも合議制の教委として受けたのか。その結果いつ何をどのように協議したのかを明らかにしてもらわないといけません。さもなければ、今後同様のことが起こりうる。
そもそも、やっていることと言っていることがが矛盾しているのです。
確かに、法的には保育所型認定こども園の設置権限は町長にある。しかし、池田町においては、事務だけではなく「教育大綱」に基づく保育・教育全般を教育委員会に委任しているわけですし、この部署を除いては担当部署がないのですから、池田町における行政の仕組みから言って、保育園のあり方について誠実に議論を尽くし、何らかの方針を打ち出すことは当たり前のことです。
町長は今日の議会で、総合教育会議は町長と教委が話し合う場であって何かを決定する場ではないと答えました。何度もここで書いたように、これは誤りです。法律をしっかり読んでいないのか、誰かの解説を鵜呑みにしているのか分かりませんが、総合教育会議は「協議と調整」の役割を持った場であり、「調整」とは明らかに合意形成を意味します。また、総合教育会議は教委からも開催を申し出ることができるのです。もう一度しっかり法律を読み返してみてほしいものです。
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ある議員から、甕町政8年間の総括を質問されて、財政問題にほんの少しだけふれ「大型事業が重なり財政に負担をかけて苦慮した」という趣旨の答弁をしていました。そんなものは総括でも何でもない。財政逼迫をもたらした自覚もなく、基金を平成28年レベルに戻すことができたことを実績とする(三選出馬の抱負)ようでは、今後の池田町の未来はやはり・・・です。