≪お手並み拝見≫
お花見 と お手並み
ハとテの入れ替わりで
大違いのようでもあり
似たところもって
異母兄弟のよう
見るという行為が
お花見では あからさまでも
違う目的のほうが優勢
お手並みは それが言外の含有でも
見るだけのことでしかない
どちらも 見る人びとの性格によって
美しくもなり 醜くもなる
≪騒動≫
騒ぎのあとに得られるものは
騒いでみたという 実感だけです
森の動物や 魚群の騒ぎは
情報伝達の 結果を得ています
騒いでみても 何も変わらないのは
人間はもともと
騒ぎ方が 下手にできているからでしょうか
≪境界≫
造ったときは そのつもりではなかった
使うときも そういう使い方はしない
それでも まったく無関係の他人には
これは境界だと 言わせることもできる
大きく見たり 小さく見たりすれば
ひとつのものが また別のいろいろなものに
見えるときがある
たとえば 窓枠
本当は何だったのか
使われる時期の来るまで
見えないものは わからない
≪犠牲≫
犠牲とは いけにえ もともとは祭のときの供え物
はじめは 生きた動物だったのに
生きたままでは 逃げられてしまうので
動けなくして 供える習慣がついてしまった
自分が動けなくなっても
なにかのために だれかのために
なればよいというのも 犠牲
人間の立場は 逆転しやすいから
自分のために だれかを犠牲に仕立てる
たちの悪いのも現れる
ことばは 同じ音でも 意味がずれてくる
犠牲が 擬制になると
実は違うことを 同じにしてしまう
わかりにくい インチキ
どこかの国では 得意技に擬製というのもあって
違うものを作って ほんものに見せる
気をつければわかる インチキ
擬勢という 強がって見せるのもある
弱い者の 見せかけの勢い
これまた すぐわかる インチキ
ほかにもうないかと思ったら 偽政というのもありそう
政治にたずさわるふりをして
政治とは無関係な言い合いを仕掛け 擬勢を振り回す
こんなインチキが 国のだいじな行事として
その実況が TV放送される
それを有料で視聴させられる 犠牲者は数えきれない
私は見ないと言っても おカネは取られる
これは 気づきにくい インチキ
≪境界≫
この壁の向こうに 何が隠されているのか
秋の暖かい日
散歩でめぐり会った 不思議な壁
ことばは えてして
状況の実態を わからなくする
人呼んでこれを 虚言という
エンタメには しばしば使われても
報道には あってはならないこと
虚言を発すれば その者は そのとき
報道の世界から越境していて
報道人の資格を放棄したことになる
じゃあ なりす と ？
何に なりーす？
≪自答≫
自問自答は わが身への問いかけをしてみることですが
肝心の自問を取り払って 自答だけ振り回す人がいます
私はこう思うが あなたの考えも その通りかどうかと
違って当たり前のことでも それは認めません
自党にならえ 地頭にひざまづけと
目を三角にして 歯をむき出せば
そんなことが まだ通る時代と 自答しているのでしょうか
≪迎合≫
これはことによると
人間と接触する動物にも
あるいは 人間以外の動物どうしにも
あるかもしれない
芸業 と書き換えもできそう
芸はおおむね 人に気に入られることで
成り立つ お仕事だから
でも 気に入られるだけでは
ゲーモネー のかも
大賞の受賞と その人の優れ度合いとは 相関性が薄いのに
揶揄のつもりか 皮肉のつもりか おめでとうと 人々は呼びかける
いえいえ ぐらいで 済ませておけばよいのに
得意になる 能天気
それにしても こんどの 流行語大賞は
あらためて書くのを はばかられるほど ひどかった
お歳のせいとはいえ 審査員の格は これで格段に下落
ご愁傷様
