実験は、人が考えたとおりの結果を実際に得られるかどうか、それを確かめるために行います。
考えたとおりにうまくいけば、「実験に成功」したと言われます。
考えたとおりにうまくいかなければ、「実験に失敗」したと言われます。
実は、これはそれぞれにおかしな言い方なのです。
考えたとおりにうまくいったのは、「実験に成功」ではなく、「その条件では考えが正しかった」ということなのです。
考えたとおりにうまくいかなかったのは、「考えが違っていた」か「条件が合っていなかった」か、それとも他に何か理由があったか、それがわかったので、「実験に成功」なのです。
学校で理科の授業で生徒がする実験は、考えたとおりにうまくいくことを、うまくいく条件で行いますから、もしそこで考えたとおりの結果が出なければ、それは「実験に失敗」したということになります。
多くの場合、実験室で教えられるのは、実験に必要な手順や、条件の整え方で、「実験」そのものではないでしょう。
生徒がそれを「実験」なのだと覚え込んでしまうと、実際の社会生活の場で、結果が思いどおりであることが「実験に成功」と思ってしまいます。
そうなると、実験の授業は失敗であったともいえます。
人口2万人の、原発のある町で、重大事故があったときには、2万人のほぼ全員が退避しなければなりません。
退避が果たしてうまくいくのかどうか、町全体の実験はできませんから、400人の退避実験を行ってみました。
人口のたった2%の人でも、いっせいに移動をはじめると、渋滞停頓が起きたそうです。
この実験は失敗だったのでしょうか。
思ったとおりにうまくはいかなかいことが確められ、実験に成功したのでしょうか。
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