阿呆は、あきれかえった所業を指しても、親しみのこもった呼び方です。
しかし、バカは人間の心を持たないヒトをひとくくりにした、いわば総称のようなものです。
バカの始末の悪さは、それが類をなすところでしょう。
台風のさなかに、サーフィンで戻り損なった人の救助のために、人や車が海岸に集まっているそのわきで、まだサーフィンを続けるバカがいるのだそうです。
絶好のチャンスを逃さないためなら、条件も状況もかまってはいられないと言いたいのでしょうが。
もしも、冬の火事を遠くから見ながらたき火をしている人がいたら、それをなんと呼ぶでしょうか。
雷に撃たれた人を乗せた担架を横目で見ながら、雷雨がおさまらないうちにクラブを振っている人がいたら、どう呼ばれるでしょうか。
これには、バカより明確最適の呼び名はありません。
みだりに使うことはもちろんよくありませんが、ほかに表現のしようがないこの形容は、遠慮なくズバッと言ってあげたほうが当ニンの身のためでもあります。
放送禁止用語と言ってメディアが自粛しているのは、バカという単独熟語ではなさそうですから。