国会の議員定数を減らそうという話は、出ては消え出ては消え、波間に漂う小さなブイのように見え隠れするだけでどちらにも動かない。
ブイは、必要に応じて見えればよいものだが、常にその位置になければならない。
どこかに動いて行ってしまっては困るものなのだ。
ブイ議案というカテゴリーがあったとすれば、議員定数の問題はそこに入れてもよさそうである。
議員定数というと、すぐに是正とか削減という話になる。
しかし、是正と言うからには、最も望ましい定数はどういう数値なのか、削減を唱えるからにはなぜ多すぎると言えるのか、減らすことの意義について十分な論議がされているのかどうか、そのあたりに問題がありそうな気がする。
税金をもっと取りたいから、議会も金がかからないようにと、定数削減が増税とセットで出てくるのも怪しい。
この削減話しが、身を切る努力などというという見せ掛け言葉と一緒になると、いかにも取引材料めいて聞こえる。
そもそも政府と国民の間での取引というのもおかしな話なのだ。
定数削減と格差是正、これらの基本のことがらが議論されないわけは何だろうと考えていたが、ことによると、まともに論議すれば唱えることと逆の結論に行ってしまうことが怖いのではないか、そんな気がしてきたが、どうだろうか。