ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

「キャデラック・レコード」

2009年09月12日 | 映画
 チェス・レコードのことを映画にした「キャデラック・レコード」を見てきました。先日、BS-TBSの「SONG TO SOUL~永遠の1曲~」という番組を見ていたら、チェス・レコードでのレコーディングの話と、この「キャデラック・レコード」のシーンが出てきて、何だかとても見たくなっちゃたので。


 チェス・レコードというのは、ストーンズ・ファンにとっては、アトランティック・レコードと同じくらい有名なレコード会社。ポーランド移民のレナード・チェスが弟と始めたリズム&ブルース中心のレコード会社で、ストーンズのアイドル、チャック・ベリー、ハウリン・ウルフ、ボー・ディドリー、ジミー・ロジャース、リトル・ウォルター、エタ・ジェイムズそしてマディ・ウォーターズなど、そうそうたるミュージシャンが在籍していました。レナード・チェスの息子、マーシャル・チェスは、「SONG TO SOUL~永遠の1曲~」にも登場していましたが、ローリング・ストーンズ・レコードの初代社長。

 「キャデラック・レコード」では、レナード・チェスがシカゴで黒人ミュージシャンの出演するクラブを作り、クラブに出演したマディー・ウォーターズの演奏に惚れ込み、レコード会社を設立。数多くのミュージシャンを売り出した最盛期から、会社を売り出した直後にレナードが亡くなるところまで描いています。

 
 実話に基づいて作られた映画ではあるけれど、かなりロマンチックに脚色している…という気もします。たぶんレナード・チェスは映画で描かれているような善人ではないし、マディー・ウォーターズもレナードの片腕という感じではなかったと思います。エタ・ジェイムズとレナード・チェスにロマンスめいた話なんてあったのかなぁ?映画ではスリムで美人のビヨンセが演じていますが、エタ・ジェイムズは、2003年頃胃のバイパス手術を受けて100kg近く減量したとはいえ、2000年には、もう歩いて移動できないくらい太っていたし、チャック・ベリーの「HAIL! HAIL! ROCK'N ROLL」の頃だって、かなりの巨体。レナード・チェスだって、エイドリアン・ブロディーのように哀愁を感じさせる優男ではなく、額の後退したケチそうなおやじだし…。
 
 当時の黒人ミュージシャンは、レコーディングの時こそお金を貰っていたけど、作詞作曲のクレジットは入れて貰えなくて、その分の売り上げ印税はもらえなかったようで、レコード売り上げが落ちると、たちまち生活に困っていたようです。「アトランティック・レコード物語」では、マディー・ウォーターズがチェス・レコード社の壁のペンキ塗りを、1食のディナーの対価としてやっているというような話が載っています。

 ボブ・グリーンの「街角の詩」にも、ハウリン・ウルフの窮乏生活のことが書かれています。1975年にストーンズがアメリカ公演をした時には、コンサート・チケットが買えないくらいハウリン・ウルフの経済状態は悪くなっていて、それをボブ・グリーンが記事にしたことから、ストーンズがハウリン・ウルフの家を訪問することになったのですが、ストーンズはすっぽかした。ビル・ワイマンだけが、約束の時間をずいぶん過ぎてから訪問した…というような内容でした。1964年にストーンズがアメリカのテレビ番組、「ジャック・グッド・ショー」に出たときには、ゲストにハウリン・ウルフを呼んで貰って、うっとりと聞いていたのに。



 かなり美化しているとはいえ、映画としてはおもしろかったです。なんといっても、音楽がいい!シカゴ・ブルースのヒットパレード。エタ・ジェイムズのルックスとは似ても似つかないけど、ビヨンセはすばらしい。ハウリン・ウルフ役のイーモン・ウォーカーやリトル・ウォーター役のコロンバス・ショートの迫力には圧倒されます。プロのミュージシャンになる前のマディー・ウォーターズが、農作業をしながら歌っている光景だとか、スタジオの中に家族やガールフレンドを入れて、聞かせながらレコーディングする場面だとかも、すてきでした。

 1964年にレコーディングのためにチェス・レコードを訪れたローリング・ストーンズもちょっとだけ登場します。情けないほど似ていないけど…。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
キャデラックレコード (おにい)
2009-09-25 00:44:00
そうですか、、実際と映画とはかなり脚色されてるのですね。
でも、当時の様子や雰囲気はあるのでしょう・・。
エタジェームスとのロマンは、あり得なかったかもですね。

映画としては、盛り上げたかったのですね。
勉強になりました。

でも、この映画、好きです・・というか
良かったですね。
返信する
映画おもしろかったですね (とーこ)
2009-09-25 09:18:38
おにいさん

いや、どうなんでしょう?ホントのところは本人達じゃないとわからないですよね。でも、マディー・ウォーターズの壁のペンキ塗りは有名な話みたいです。黒人ミュージシャンがホールの表玄関から入れるようになったのも、ほんの3~40年前のことだそうです。

映画にボ-・ディドリーが全くでてこなかったのが不思議でした。ジミー・ロジャースもチョイ役でしたね。
返信する

コメントを投稿