ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

「植物の神秘生活」

2009年10月14日 | 
 1982年にストーンズのコンサートを見るためにイギリスまで行きました。南回りのキャセイ・パシフィック航空で延々28時間もかけてロンドンに行ったけど、飛行機の中にあった雑誌の1ページを今でも覚えています。


  「ストーンズは聞かせないの。成長にはバッハがいいの」


   何の広告だったかは忘れちゃいましたが、金髪のカーリーヘヤーでゆったりとしたワンピースを着た若い女の人が、体を横向きにして、片脚を曲げて腰をかけているポーズをとっている写真。ストーンズを聞かせないようにしているのは、ベンジャミンだったか何かの観葉植物でした。(ふぅうん…)と、おもしろく思ったので、機内から雑誌を持ち帰って、そのページだけ取っておいたような気がしますが、さすがにもうないか(笑)。

 あの時は、(ふぅうん…)と思っただけでしたが、植物の成長にロックが悪くて、バッハがいいのは本当らしい!

  『インド科学の父ボース』を読み、植物にも感受性があることを知り驚きましたが、ジャグディーシュ・チャンドラ・ボースを検索しているうちに、同じ工作舎の本、『植物の神秘生活』に行き当たりました。この1987年に出版された本で、ボースについてまるまる一章を使って紹介しています。『インド科学の父ボース』のパトリック・ゲデスの文章がまわりくどいので、ボースについては、この『植物の神秘生活』を先に読めばよかったと思うくらい(というか、工作舎の読者にとってはそれが当たり前なのか?)。ボースは植物に感受性があることを19世紀後半には証明していたわけですが、それが真実だと世界の科学者が次々に証明するようになったのは、半世紀ほど後のことだったようです。  

 『植物の神秘生活』では、ボースの実験以外でも、植物が、人間の感情や他の植物の「感情」に反応し、そのエネルギーを放出していることを紹介しています。音楽が成長を左右するという実験で、ロック、ジャズ、クラシックなどのいろいろな音楽を流したところ、生育にかなりの差が出たそうです。どうもロック(レッド・ツェッペリン、ヴァニラファッジ、ジミ・ヘンドリックス)は植物の「喉を」カラカラにしてしまうらしい。クラシックの中ではバッハがよかったらしいけど、一番健やかに成長し、おいしい作物を実らせたのは、インドの古典音楽だったそうです。  なーんていう不思議な話から、後半は、科学肥料が植物や土壌に与える悪影響についてページを割いています。アメリカの作物は、化学肥料を使って、収穫量を上げているけど、化学肥料は長い目で見ると、植物と土壌に有害なんだとか。みかけは大きくて立派な野菜でも、栄養分は少なかったり、化学肥料によって不必要な成分が大量に含まれていたりするそうです。
 
 マイケル・ジャクソンが来日したとき、アメリカから連れてきたインド人の専属コックが、「日本の野菜はパーフェクトなので、洗わないでそのまま使える」と話しているのを聞いて、(そんなばかな…農薬だってついているかもしれないし)と思いましたが、実際アメリカの野菜よりよかったのかもしれません。

  『植物の神秘生活』は600ページもある本で、図書館で借りてきたけど2週間で読み切れず、貸し出しを延長してもらいました。とてもおもしろいし、いろいろな科学者の名前が出てきて覚えきれないので手元に置いておきたいけど…文庫か新書で出ないかな。

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