ぶらりドリブルの旅

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TV観戦 第100回天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会3回戦 HondaFCvsFCマルヤス岡崎

2020-10-30 18:40:25 | サッカー視聴記(2020年以前)

前回の天皇杯の記事-2回戦・Honda vs 常葉大

<Hondaスタメン> 4-4-2
GK 楠本
RSB 堀内 RCB 池松 LCB 中村 LSB 八戸
RSH 佐々木 DH 鈴木雄也 DH 松本 LSH 富田
FW 岡崎 FW 児玉

<マルヤススタメン> 3-4-1-2
GK 角井
RCB 飯田 CCB 多々良 LCB 森本
RWB 地主園 DH 阪本 DH 塩見 LWB 青木
CH 船谷 FW 平井 FW 犬飼

「森山泰行(選手兼チームディレクター)のチーム」という試合前の印象が強かったマルヤスでしたが、この日森山はベンチ外。
2013年にJFLへ昇格が決定して以降は定着を果たしているチーム状況ですが、順位的には中下位を6年間続けており、何かの拍子でどうなるかは不透明。
今季は下位に低迷していますが、幸いにも(Jリーグと同様)降格は無しというレギュレーションなため助かっている現状でしょうか。

Hondaと比べてもJリーグ経験者の多さが目を惹く選手構成で、この日もスタメンのうち7人を数えます。
前年松本でディフェンスラインに居た飯田をはじめ、ベテランが多数ながらもまだまだやれる選手が多く。
森山が居なくても、経験不足に困る事は無さそうな編成となっていました。

そんなマルヤスと相対したHondaですが、前回とは一転してフォーメーションを4-4-2へと変更。
2回戦でセンターバックを務めていた松本と、故障から復帰した本来CBの主将・鈴木雄というドイスボランチで、スタメンだった三浦・山藤・石田・大町はベンチ外となっていました。
石田以外前節ではベンチにすら居らず離脱中の疑いがあり、ヴェルスパ大分に首位の座を明け渡している状況も納得の、苦しいやり繰りを強いられているのでしょうか。
そんな中、札幌から育成型レンタルで所属中の中村がスタメン。

ややイレギュラーな状況でのキックオフとなりましたが、いきなり前半1分、富田がスライディングでシュートを放った(枠外)Honda。
5分にも児玉からパスを受けた佐々木がエリア手前からシュート、しかしGK角井のセーブに阻まれます。

強者の名に恥じない立ち上がりとなりましたが、内容的には2回戦とは異なり。
ポゼッション重視のスタイルながらも、普段よりもロングボールを多く交えての攻撃を敢行していました。

この日の相手のマルヤスも2回戦の常葉大同様に、前からプレスを嵌めてのショートカウンターを狙いとしていた感があり。
それをかわすべく、フィードが持ち味の中村を起用しつつのフォーメーション変更に踏み切ったのでしょうか。(中村はフリーキックを直接狙う場面でキッカーにも立っていた)
また単純に、大型選手が多いマルヤスの前線に対抗するべく、跳ね返しに期待しての起用だったのか。
反面、ショートパスでのビルドアップはぎこちなさを感じた中村。
おかげで左サイド(マルヤスから見て右サイド)でマルヤス・地主園に何度かボールを奪われる事態が発生し、冷や汗をかくシーンが見られました。

そのHondaのビルドアップ。
3バックの際には「ミハイロ・ペトロヴィッチ(現札幌監督)式」の最終ラインを採るなど、落とし込みの深さが感じられていましたが、この日は急造(といっても、2回戦でも終盤の布陣変更で4バックになっていましたが)なためか形式的の感があり。
オーソドックスなボックス型で、サイドバックが高めに上がるのは敵陣に入ってから、という具合。
それでもロングパスを絡めての攻撃が形になり、セットプレーからも有効打を放つなどで、2回戦よりもシュート数は増大を果たしていました。

29分のHonda、一旦右サイドでパスを繋ぐ(この際に左SBの八戸が上がっていたと思われ)も戻され、中村の左へのロングパスを上がっていた八戸が受けて攻撃開始。
ボランチまで戻されてから松本が右へスルーパス、受けた堀内がエリア内へと入り、切り返した後シュート。
ブロックされたボールが浮き上がり、富田の落としを受けた児玉がシュート(ブロック)、さらに岡崎が追撃してシュート(ブロック)と攻め立てて右コーナーキックへ。
そのCKでも、キッカー鈴木雄のクロスから佐々木がヘディングシュートを放ち、ゴールライン寸前でマルヤス・阪本が頭でブロックして防ぐという決定機を作りました。

以降も激しく攻め立てたHondaでしたが、先制点は奪えずに前半終了。
2回戦の、早めに2点リードを奪ったのちペースダウンした展開とは逆を行き、相手ゴールを幾度も脅かしたもののスコアレスに終わったこの日の前半。

後半もHondaペースで入り、そのまま推移しますが、前述したビルドアップでのミスでピンチを招きます。
後半9分、GK楠本の左サイドへのパスがややズレた所を地主園が突き、Honda・八戸からボール奪取して敵陣深めで攻撃開始したマルヤス。
そのまま低いクロスを上げると、船谷のポストプレイを受けた犬飼がエリア内右からシュートを放ちますが、GK楠本にセーブされてモノに出来ず。
地主園はその後も躍動し、クロスを上げたりスルーパスを出したりとマルヤスの好機を作り、ロングパスをFWに当てるのが主体のマルヤスの攻撃と違いを出す橋頭堡として活躍。
Hondaに主導権を握られ、その機会は少なかったですが。

危ない場面を作ってしまったHonda、その後は何とか冷静さを取り戻し。
すると19分に決定機を得、左サイドをパスワークで突破し岡﨑が奥でキープしたのち、中央へと戻されて佐々木がエリア内へ縦パス。
これを富田がトラップして裏に抜け出し、シュートを放ったもののGK角井がセーブしてゴール上に逃れ、こちらもモノに出来ず。

中盤に差し掛かり、マルヤスの運動量も落ちてきたか攻撃機会は激減。
そんな中Hondaは23分、児玉→古橋へと交代を敢行します。
レジェンド・古橋の投入でボール支配力を高めにかかったのでしょうか。

一方のマルヤス、飲水タイム(24分)まで何とか無失点で凌ぐと、明けた際に動きます。
平井・阪本→水野・寺尾と2枚替え、船谷がトップ下→ボランチへとシフト。
トップ下に入ったであろう寺尾ですが、以降は地主園に変わって右サイドでチャンスを作る動きが目立ちました。
交代投入された2選手のコンビネーションを生かし、ペースを握る事に成功します。
29分から35分まで、6度連続で攻撃機会を得て押し込みます。
31分には寺尾のパスを受けた犬飼がエリア内からシュートしますが、オフサイドで無効に。

しかしこの有利な時間帯を逃すと、直後のHondaの最初の攻撃。(35分)
GK楠本のロングフィードから敵陣でパスを繋ぎ、富田が中央でキープ。
マルヤス・塩見にこぼされるも、そのこぼれ球が左サイドの八戸へと転がり、八戸は奥からグラウンダーでクロス。
すると岡崎がニアサイドに走り込んで合わせ、ゴールに突き刺す事に成功。
マルヤスがトランジションの面で迷ったのか、動きが止まった隙を突いた格好の先制点でした。

攻めなければならなくなったマルヤス、40分に犬飼→津田へと交代。
津田は元徳島のストライカーで、ドウグラス(現神戸)とともにJ1昇格に貢献した実績で有名な選手。
窮地に陥ったチームの切り札として起用されましたが、逃げ切り体制を採った相手に対し持ち味は生きず。

支配力をふんだんに生かし、ボールサイドに選手の数を増やしてのショートパスの連続でキープを続けるHonda。
相手を守備に奔走させ、攻撃機会を無くしていくという姿勢なのは明白であり、プロ顔負けの試合運びを展開していく終盤。
クリアされても敵陣でセカンドボールを拾って攻撃を継続、時計の針を進めていきます。

マルヤスは最後の手段とばかりに、DFの飯田を前線に上げてパワープレイで対抗せんとします。
しかし同点どころかシュートを放つ事すらままならず、そのまま試合終了と相成りました。

既にHondaは、井幡博康監督の今季限りでの退任が発表されている状況。
さらには元プロ選手である古橋・山藤・大町も揃って今季限りで退団と、今季を一つの区切りとする姿勢を執っています。
果たして有終の美を飾るのはリーグ戦か、ないしはこの天皇杯か。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第29節 愛媛FCvs栃木SC

2020-10-29 16:30:54 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の愛媛の記事はこちら(25節・徳島戦)
※前回の栃木の記事はこちら(27節・ヴェルディ戦)

23節・福岡戦(0-1)を境に、全く得点出来ない状態に陥ってしまった栃木。
無得点試合が続く事5試合、その間は引き分けを2度刻むのがやっとという状況でしたが、前節・琉球戦でようやく脱する事に成功しました。
しかも今季初の4得点を挙げ、4-1での勝利。(前年の最高は3得点)

方や、そんな4-1というスコアを3試合連続で記録、しかもいずれも敗戦となってしまっているのが最下位の愛媛。
四国ダービーに敗れてから燃え尽きてしまったかのような歩みですが、果たしてこの日も継続されてしまうのか。

26節(ヴェルディ戦)は退場者を出してしまった(長沼)のが直接的な原因でしょうが、それで無くても、シュート数で相手に圧倒されてしまっているのがそもそもの要因。
ヴェルディ戦も7対33と悲惨を通り越して喜劇的な数字を残してしまいましたが、27節・山形戦も6対18、前節・長崎戦は9対20と倍以上の差が付くのが当たり前。
四国ダービーでも7対25でしたので、長沼の退場(と出場停止)とは無関係に、相手に圧倒される下地が出来てしまっていた。

ポゼッション重視のサッカーとは聞こえが良い愛媛ですが、相手も同じくボール支配が出来るチームだと、支配率でも後れを取ってしまう。
連敗中は徳島・ヴェルディ・長崎と、ポゼッション同士での激突では悉くそんな現象を生んでしまっており、良い所が全く無いという状況では最下位に沈むのも道理。
データから見ても「中途半端なポゼッション」という言葉が頭を過ります。
こんな事になったのは前半戦のヴェルディ戦で「相手の良さを消すサッカー」に、一瞬でも傾いてしまったのが原因なのでは、というのが個人的な感想。

J3を見てみると、今季J初参戦となった今治が奮戦、J2ライセンスも(条件付きで)得るという昇り調子を描いています。
その存在が、同県のクラブである愛媛にとって大きなプレッシャーとなっているのでしょうか。

それはともかくとして、この日は連敗中の相手とは一線を成す、ボールポゼッションには全く拘らない栃木が相手。
それでも、自陣でのビルドアップに対する果敢なプレッシング、ロングパス一本から押し上げる攻撃と苦戦する要素が満載です。
そしてその通りに、栃木の圧力に押されまくりの愛媛。

立ち上がりの10分間で、攻撃機会は愛媛3度に対し栃木は7度と差を付けられます。(自分の集計です)
その中でも前半9分の栃木のフリーキックからの攻撃で、中盤からという遠い位置からでも、ゴール前に入れてくる栃木に対して中々クリア出来ず。
セカンドボールを拾われ続けたのち溝渕から3度目のロビング(クロス)がエリア内に入ると、榊が擦らしたボールを明本がトラップ、そして反転した榊がシュート。
GK岡本を抜くもゴール寸前で愛媛・池田がクリア、しかし尚も攻撃は続き、再度の溝渕のクロスがこぼれた所を山本がシュート(GK岡本セーブ)と波状攻撃。

栃木の「ストーミング」スタイルに簡単に呑み込まれる、そんなシナリオを想像させた立ち上がりの愛媛でしたが、以降はとりあえずロングボールを主体にする攻撃。
何とか栃木のプレスをかわして反撃せんとします。
13分にはロングパスの跳ね返しを田中が拾ったのち繋ぎ、長沼のスルーパスを受けた藤本が、ドリブルからエリア手前やや右でシュート。(GKオビ・パウエル・オビンナキャッチ)
19分には中盤で田中がボール奪取、藤本が右サイドをドリブルで進み奥からクロスを上げると、川村がファーで収めたのちシュート。(GKオビンナセーブ)
ロングボールにボール奪取と、相手の栃木をインスパイアしたようなプレーから好機に繋げましたが、GKオビンナの好守に阻まれました。

その後は栃木のサッカーにも何とか対応し、飲水タイム明けには27分に森谷がミドルシュート(ブロック)、30分には茂木がミドルシュート(ブロック)とミドル攻勢に。
栃木サイドも32分に西谷がミドルシュート(枠外)、35分にも明本がシュート(GK岡本キャッチ)と、双方シュートを放つ展開ながらスコアは中々動かず。

そんな中、栃木の前線からの守備のプレッシャーからか、GK岡本がキックミスでタッチを割ってしまう場面が散見。
この試合でも顕著だった岡本のキックミスですが、この日は相手GKにキックの大切さを思い知らされる事となります。

前半も終了間際の45分に愛媛はFKのチャンス、左サイドからキッカー森谷のクロスが入り、茂木のフリックがこぼれた所を中央で藤本がボレーシュートの体勢に。
しかしこのシュートは空振りで不発となる始末で、奥に居た川村がすかさずボレーシュートを撃ち直した(ブロック)ものの、「好機は作るものの流れが悪い」というようなシーンでした。
逆に栃木はアディショナルタイム、左コーナーキックからニアサイドで田代がヘディングシュート(GK岡本セーブ)と、綺麗なフィニッシュを見せたもののゴールは割れず。
結局0-0のまま前半終了。

ハーフタイムに愛媛が選手交代(三原→前野)を敢行したのを挟み、迎えた後半。
ロングボール主体の栃木ですが、意外とキックオフ直後の攻撃は、アバウトなロングボールで捨てる事無く攻撃に繋げている印象。(この試合ではゴールを奪った)
この日もそれに違わず、黒﨑が低いロングパスと変化を付けると、森のフリックを経て前線でパスを繋いで明本のシュート(ブロック)で終えました。

それでも後半の立ち上がりは、前野が入った事もあり愛媛が押し気味の展開となります。
そんな状況に冷水をぶっ掛けるように生まれた、GKオビンナのスーパーなアシスト。

後半8分に自陣からのFKとなった栃木、キッカーを務めたGKオビンナのロングキック。
これがやや低めの速いボールで愛媛エリア内を突くと、走り込んだ森がトラップで収める事に成功。
慌てる愛媛ディフェンスでしたが時既に遅く、森から放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり。
「ロングボール一発」という表現が生温い程の先制点となりました。

思わぬ形でビハインドとなってしまった愛媛。
その後も攻勢は変わらずでしたが、肝心のシュートは中々放てず。
17分のCKから、池田のヘディングシュート(枠外)までお預けとなります。

そんな流れを感じたのか、直後にベンチも動きます。
既に13分に藤本→有田へと交代していましたが、ここでは池田→横谷に交代するとともに布陣も変更。
この日は4-3-3(4-2-1-3か4-1-2-3かは今一つ解らず)でスタートした愛媛のフォーメーションでしたが、ここで3-4-2-1と従来の基本形へとシフトしました。
ボランチは森谷と横谷が務め、逆に従来ボランチでの出場が多かった田中・川村がシャドーへシフト。
ウイングバックは右に丹羽・左に長沼でしたが、飲水タイム(24分)を挟んだのち左右が入れ替わり。
一方の栃木もこの交代と同時に、榊→大島へと交代。

この変更当初こそ攻め上がりを見せていた愛媛、24分には横谷の縦パスを受けた川村が反転してシュート。(GKオビンナキャッチ)
しかし飲水タイム後は徐々にペースを失っていき、30分頃からは全く攻められなくなってしまいました。
シュートどころか敵陣に進入する事すらままならず、という状況。

そんな相手を尻目に、栃木は高い位置での守備が冴え続け、奪った後は漸進戦術で押し込みます。
奥からのスローインを量産し、奪われても相手に繋げさせず、クリアも満足にさせず。
綺麗にフィニッシュする場面は殆ど無かったものの、自陣に釘漬けにする事に成功しただけでも、リードしている側にとっては十二分な価値。
シュート数の乏しさが顕著な愛媛だけに、焦りの増幅という効果もあったでしょう。

しかし38分、その原動力となっていた明本が足を痛め、担架で運ばれて交代。(エスクデロ競飛王と交代・同時に溝渕・瀬川へと交代)
終盤に来てようやくボールを繋げるようになった愛媛ですが、それでも自陣ではリトリートに徹する栃木に対して有効打を放つ事は出来ず。
逆に45分、栃木のカウンターから大島がシュートを放つ(枠外)という具合に、追加点の危機にも晒されてしまいました。
結局ATでもシュートを放つ事は無かった愛媛、0-1のまま試合終了。
多少マシになったとはいえ、この日も8対12とシュート数で下回り。

栃木勝利の立役者となったGKオビンナ。
8月にマリノスから育成型レンタルで加入という経歴で、ここ最近8試合連続でスタメンと、完全に正GKの座を奪取。
しかしそんな出場記録を残していた矢先、マリノスへのレンタルバックが決定するという事態が発生してしまいました。
強靭なフィード力を発揮し、短期間で強烈な印象を残して颯爽と去る、という格好良い展開を描く事となったオビンナ。
GK事情が荒れ気味であるマリノスでの現状、チャンスを得る事はできるでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第29節 FC琉球vs京都サンガFC

2020-10-28 17:03:27 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の琉球の記事はこちら(23節・新潟戦)
※前回の京都の記事はこちら(26節・町田戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(19節)

サッカーの硬直化とともに敗戦が込んできて、上位を追走する姿勢が崩れつつある京都。
前節・北九州戦は何とか勝利(1-0)したものの、昇格枠に入るには首の皮一枚という、敗戦は許されない状況で迎えたアウェイ琉球戦。

不敗神話こそ既に過去のものとなりつつある琉球のホームですが、一年中暑いという気候で、秋から冬にかけてのこの時期の方が相手にとってフィットネスの面で問題になりそうです。
そんな中で前節は、ヨルディ・バイスに上夷とディフェンスラインに2人も負傷者が発生してしまった影響もあり、嫌でもターンオーバーせざるを得ない京都。
特にバイス交代後に右センターバックを務めた飯田が、この日も同じ右CBで起用されたのが目を惹きました。
しかしこの5連戦フル稼働中の飯田、そんな激しい環境の変化が最後に仇となったでしょうか。

立ち上がりこそ、早い段階で先制を許す傾向にある最近の琉球の弱点を突いた京都。
前半2分には安藤のロングパスから、仙頭がエリア内右でシュートを放つ好機。(ゴール左へ外れる)
早々にシュートを放つと、その2分後の4分でした。
敵陣で福岡のパスカットから少ないパス数で繋ぎ、再び仙頭がペナルティアークからシュート。
今度はゴール左へと突き刺す事に成功し、琉球戦の必勝パターンともいえる展開に持ち込みました。

その後も琉球のビルドアップを前線で遮断、好機に繋げる京都。
12分には深めの位置で川崎がボール奪取、そのままピーター・ウタカに渡りエリアライン上からシュートが放たれるも枠外に。
この日はウタカの1トップで3-4-2-1という登録上のフォーメーションですが、ボランチの一角の川崎がやや前目に出た、3-1-5-1のような感じの配置。

一方、早くも追い掛ける立場となった琉球。
何時ものようにポゼッションから攻勢を掛けるも、中々シュートにまで辿り着く事が出来ないという展開を強いられます。
それでも工夫が無かった訳では無く。

先制される前から、両サイドハーフが中間ポジション(ハーフレーン)の位置で縦パスを受けるシーンを作っていきます。
その縦パスを出すのが両CBの李栄直(リヨンジ)と知念で、ボランチを経由してのパスワークが主だった頃から、大分変っているという印象を受けました。
この日の京都が、バイスが不在なのもあり普段のようなリトリート主体では無かったのも影響したでしょうか。
ショートパスの連続を強いられているのではなく、長短交えての攻撃のバランスは良好に見えました。

それでも、飲水タイムを挟んでも琉球はシュートを放つ事無く推移。
他方の京都も、バイスや森脇が居ない状況でもディフェンスからのロングパス攻勢が中心なのは変わらず。
それが通る時は好機に持っていけますが、他の攻撃方法であるウイングバックの突破力も、飯田が最終ラインなため効力は半減。
代わりに右WBに入った上月も良い突破を何度か見せました(26分には琉球・河合がバックチャージしてしまい反則・警告)が、硬直具合をほぐすには至りませんでした。

京都の状況から、琉球が追い付くチャンスはそこかしこに転がっている。
そんな雰囲気が感じられた中、30分台に好機を得る琉球。
36分に李のロングパスが跳ね返されるも、風間宏矢が拾って右サイドでパスを繋いだのち、風間宏希のエリア内へのスルーパスに走り込んだ風間宏矢がポストプレイで絶好機。
そこに走り込んだ阿部が放ったループシュートがゴール上部を襲うも、GK清水が辛うじてセーブしてゴールならず。
直後のコーナーキックでも、クロスが跳ね返されたのち河合がミドルシュートを放つ(京都ディフェンスに当たって枠外)など、同点への機運が高まります。

しかし42分、長らくパスを繋いでいた琉球でしたが、李のパスがウタカに引っ掛かってしまいカウンター。
そのままドリブルで一気にエリア手前まで進んだウタカ、切り返してエリア内に進入、シュートを放ちましたが枠を捉えられず。
5連戦では飯田に準ずる稼働時間のウタカ、琉球遠征も重なってこの日の決定力は冴えなかったでしょうか。
そんな要素に救われた琉球でしたが、以降は京都が攻撃権を支配し(アディショナルタイムに5度も攻撃機会があった)前半の残りを終えます。

流れを変えるべきかどうか、という立場の琉球ですが、ハーフタイムでカードを切る事を選択。
小泉→池田へと交代します。

そして後半が始まり、琉球のファーストチャンスでした。
前半は縦パスの受け手がハーフレーンに位置する攻撃を多用してきましたが、ここではパスの出し手である知念が、左ハーフレーンから斜めの縦パス。
これを中央で阿部がスルー、その後方で池田もスルーすると、右ハーフレーンで走り込んでいた風間宏矢が受けてそのまま抜け出し。
GKと一対一の状況に持ち込み、エリア内に入った所でゴール左へシュート。
右に跳んだGK清水の逆を綺麗に突く同点弾となりました。

息を吹き返した琉球ですが、これ以降は双方エリア内に進入するシーンが生まれる乱戦模様に。
後半5分、琉球が阿部のドリブルから左へ展開されて沼田がクロス、クリアされるも阿部が繋いで風間宏矢がヘディングシュート。
GK清水がキャッチしてスローイングすると京都がカウンター、谷内田のスルーパスにウタカが走り込み、エリア内に持ち込みますが琉球のCB2人に挟まれシュートは撃てず。
6分の琉球、阿部が低い位置(ボランチとCBの間)を取ってビルドアップに参加するかと思いきや、知念のロングパスで飛ばして好機。
池田のドリブルから、パスを受けた風間宏矢がシュート。(ブロック)
7分には京都、クリアボールを左サイドで富田が拾って中央へパス、受けたウタカがエリア内からシュート。(ブロック)

白熱の展開になって来ましたが、ロングパスも絡めての攻撃を見せるなど、ポゼッション一辺倒では無くなった琉球の方に好印象。
逆に京都は、次第にフィットネスの面が露わになりつつあったと思います。
9分には知念がパスを散らしたのち、風間宏希の左へのロングパスに沼田が走り込んで受け、エリア内左へ進入。
これを飯田がスライディングで何とか防ぎ(沼田が倒れるも反則無し)ましたが、後の伏線となるシーンに映りました。
それでも15分には、京都が長いポゼッションから決定機。
スルーパスやカットインを絡めつつ左右にサイドを振り、最後は左から冨田がクロスを上げると、中央でウタカがヘディングシュート。
しかし跳び出したGKダニー・カルバハルが辛うじてセーブ。

危ないシーンを作ってしまった琉球でしたが、以降は段々と攻撃権を支配していきます。
そして迎えた22分、池田を中心に左サイドでパスを繋ぐも、一旦最終ラインまで戻し作り直し。
李がドリブルで一人剥がしたのち裏へロングパス、これに池田が走り込んでエリア内に持ち込む絶好機に。
池田のシュートこそ戻った京都・上月が防ぐも、こぼれ球を阿部が走り込んでシュート、ゴール右へと突き刺さりついに逆転。
ショートパス攻勢から、一転したロングパス一本で裏を取るという、両者がミックスされた攻撃が結果に結び付きました。

逆に追う展開となってしまった京都。
飲水タイムを挟み(直前に谷内田→曽根田へと交代)、以降は守備を固める琉球に対し、ボールを支配して(持たされて?)の攻撃に活路を見出す(強いられる?)事に。
以前は琉球がこういう展開に陥る事が多かっただけに、自分達がされてきた事を相手に強いるその心情はどうだったか気になる所ですが。
ともかく、ボールは握るもシュートに辿り着けずに時間を浪費していく京都。
28分には川崎・上月→庄司・野田へと2枚替え、フォーメーションも4バックへとシフト(放送席では3トップと言われていたが詳細は良く判らず)して勝負を賭けにいきます。

しかし、右サイドバックへと移った飯田がついに破綻。
31分にこぼれ球を自陣で拾った阿部に対し削ってしまうと反則・警告。
その1分後にはカウンターで裏を取られ、阿部のドリブルに必死に追走するも、バックチャージを犯してしまい反則。
すると審判の恩情なども無く、容赦無く2枚目の警告が付き出される事となり、あえなく退場となってしまいました。

止む無く福岡を右SBへと移し、4-3-2のような配置を採る京都。
しかしこれ以降はほぼノーチャンスの展開を強いられ、数的優位の琉球はボール支配を重視。(交代で入った茂木(風間宏矢と交代で出場)は攻めっ気満々といった感じでしたが)
その狙い通りに攻撃機会も減らされていきます。
唯一可能性があったのが43分、クリアボールを拾ってのカウンター。
中央をパスワークで突破してウタカに繋げると、ウタカは右サイドへスルーパスを送り、野田が走り込んで受けたシーン。
しかし対峙した琉球・知念をかわせず(股抜きするも素早くカバーされる)、万事休す。

ATでは福岡が足を痛めてピッチ外に運ばれ、9人での戦いを強いられてしまった京都。
パワープレイを仕掛けたくてもバイスは不在で、相手を押し込む事すらままならず。
最終盤には琉球にコーナー付近でキープされる事2度、そしてそのまま試合終了となりました。

久々に先制を許した試合で逆転勝利を果たした琉球。(9節・岡山戦以来か)
攻撃力を売りにするチームに相応しい結果が出ましたが、以降は守備重視のチームと相対した時が課題となるでしょうか。
そういった相手には、この日のように早期に先制を許すと厳しくなるのは明白であり、先制点を奪う戦いも出来る事がベストだと思います。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第29節 大宮アルディージャvsV・ファーレン長崎

2020-10-27 19:49:31 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の大宮の記事はこちら(27節・岡山戦)
※前回の長崎の記事はこちら(25節・山口戦)

この日もベンチメンバーが5人のみと、苦境は相変わらずの大宮。
前節・松本戦(1-1)では渡部までもが負傷で前半途中で交代と、11連戦も経験するなどイレギュラーな日程に苛まれ、いよいよカツカツになって来たようで。
空いたウイングバックには、補強期間にレンタル先の変更(金沢→大宮)という形で加入した山田を起用する苦肉の策を選択。
前年もレンタルで町田→福岡と同じ経歴を歩んだ山田、既にFC東京が保有権を持っているという事を忘れてしまいそうなクラブ経歴ですが、大宮からのオファーに即飛びついたとの事(この日の放送席の談より)でモチベーションも高そうです。

その大宮、いきなり直接フリーキックの好機を得る(前半1分・左ハーフレーンでエリアからやや手前)と、翁長が直接シュートしますがGK高木和が正面でパンチング。
左サイドで拾い直した翁長からクロスが上がり、これがゴールバーに当たって出るという、一瞬ヒヤリとさせる場面となりました。

入りこそ大宮が上々でしたが、その後長崎はじっくりボールキープしてペースを掴みます。
この日は大宮が1トップ故、秋野が最終ラインに降りる場面はあまり作らずにビルドアップ。
登録上は2トップの一角である玉田が降りて来るのを利用しつつ、ボールを前進させていきます。

10分に決定機を迎え、中盤で玉田が拾うとカイオ・セザール→秋野と渡り、秋野のエリア内左へのスルーパスに澤田が走り込みマイナスのクロスが入ります。
これに玉田が走り込んでシュートするも、大宮DFヴィターリス・マクシメンコにブロックされ、こぼれ球を亀川が追撃でシュートしますがこれも三門がブロック。
直後のコーナーキックからも亀川がヘディングシュート(枠外)と攻め立てましたがゴールはなりません。

長崎に比べ、攻撃陣は火力不足という印象の大宮。
それでも今季はそれなりに、パスを繋ぐサッカーに取り組んでいるようで、ショートパスでのビルドアップを主として前進する攻撃を見せます。
右サイドが急造なため、翁長を中心とした左サイドでの攻撃に偏ると思われましたが、右からの作りも意外と多かった。
22分、最終ラインから受けた山田がスルーパスを送り、富山が走り込んでクロスを上げるもクリア。
こぼれ球を拾った山田が長崎・澤田に倒されてFKを得、右サイドで作った好機。
キッカー黒川のクロスはGK高木和にパンチングされるも、こぼれ球を左サイドで翁長が拾い再度クロス。
グラウンダーで中央に入ったボールを、ネルミン・ハスキッチがシュート体勢に入る絶好機となりますが、ハスキッチは空振り。
その奥で富山がシュートするもサイドネットに突き刺さりノーゴール。
お互い好機を作りつつ飲水タイムへ入ります。

明けた後も概ね、長崎が押し気味ながら双方攻撃機会を得るという変わらない絵図。
シュートシーンはめっきり減り、34分の長崎、氣田のエリア内右からのシュート(ブロック)ぐらい。
ポゼッションが攻撃の下地のチーム同士の展開になりつつありましたが、36分にアクシデントが。
長崎の攻撃の流れで、玉田縦パス→澤田フリック→亀川と渡り、エリア内に進入しようとした亀川が大宮・山田に倒されてしまいます。(反則は無し)
すると亀川は足を抑えて蹲り、立ち上がるもベンチはすぐさま交代の措置を採ります。(毎熊と交代、米田が左サイドバックにシフト)
自分の足でピッチから出て、幸い重くは無さそうでしたが、これ以降長崎はペースを失ってしまった前半。

40分以降は大宮の一方的な展開となり、上記による長めのアディショナルタイム(3分)も利用して押し込んでいきますが、シュートは撃てず仕舞い。
結局スコアレスのまま前半を終えます。

故障者続出の大宮を尻目に、前半戦の勢いは失ったものの、昇格争いの真っ只中に位置する長崎。
この日の放送の中で語られた、「故障者を出さないのも戦術」という手倉森誠監督の談が、大宮サイドに突き刺さるような状況となっています。

そんな中で亀川のアクシデントが発生したのは皮肉と言えますが、軽症のうちに対処したという感じでもあり。
24節(栃木戦)で途中出場しながら、故障で2分でインアウトとなってしまった玉田も、大した事は無かったようで次節(山口戦)に出場。
「重度となる前に代える」起用法で、離脱者を抑えている節が見受けられます。
過密日程を強いられる中、そんな舵取りを最優先とするのが安定した成績を残す秘訣、という思想が現れている。
その辺りは手倉森監督の戦歴である、震災による過密日程となった2011年シーズンで仙台を率い、躍進させた経験が生きているのでしょうか。

後半が始まり、長崎はサイドハーフをポジションチェンジ。
左SHの澤田が右に移り、右SHの氣田が左へ。
亀川の交代以降、米田が右SB→左SBへと位置していたため、氣田と米田のコンビネーションをこの試合で通すという算段だったでしょうか。

立ち上がり、そのSH同士で好機を作り、氣田が左から中央へ向かうドリブルで前進したのち右の澤田にパス。
そしてエリア内に進入した澤田がシュートを放つも、枠を捉えられず。

長崎ペースの入りでしたが次第に停滞し、前半と同じく得点の匂いがしなくなっていきます。
すると後半7分の大宮、小島が敵陣でパスカットしてそのままミドルシュートを放った(ブロック)のを皮切りに、双方ミドルシュート攻勢へ。
直後(7分)に大宮は、山田のカットから三門→黒川と渡り、黒川がミドルシュート。(GK高木和キャッチ)
9分には長崎、二見が前に出てのパスカットから、玉田がペナルティアーク付近からシュート。(ブロック)
10分にも長崎、氣田が左からカットインしてカイオにバックパス、受けたカイオは遠目から果敢にシュート。(枠外)
共に相手守備の堅さを打開しようと、ミドルシュートという手段を選択したようでした。

それでも以降は再び音無しとなり、長崎が依然押し気味ながら得点の気配が生まれない展開。
そんな中で、15分の長崎の攻撃の最中、玉田が大宮・黒川に後ろからチャージされて倒れてしまい反則。
玉田は起き上がるのに時間が掛かるも、プレーを続けます。

しかしベンチはそれを踏まえたのか、その後19分に交代カードを切り玉田→名倉へと交代、名倉に玉田と同じポジションを担当させます。
すると20分、左サイドで氣田がドリブルからグラウンダーでクロスを入れると、名倉が左足でシュート。
GK笠原のセーブも届かず、決まったかと思われたボールはゴールバーを直撃、惜しくもファーストチャンスを逃してしまった名倉。

大宮は前半と変わらずボールを繋ごうとするも、アタッキングサードへと持ち込む機会はめっきり減っていきます。
ボールが繋がった時は良い攻めを展開するも、その頻度自体が少なく。
それでも均衡したスコアで、かつベンチ入りメンバーの件もあり中々動けない状況な中、飲水タイム明けに山田→菊地へと交代。(右WBには富山がシフト)

しかし尚も長崎のペースは続き、27分からはCK攻勢。
その2本目でキッカー秋野の中央へのクロスを二見がヘディングシュート、バウンドする難しいボールとなったものの、GK笠原の横に居た三門が頭でブロック。
またも寸前で逃れた大宮。

その大宮、32分に再び選手交代。
ハスキッチ・畑尾→近藤・山越へと2枚替え。(菊地がFWへシフト)
直後に長崎も動き(34分)、こちらも2枚替え。
富樫・氣田→ビクトル・イバルボ、加藤へと交代しました。(名倉が右SH、澤田が左SHへシフト)

先に好機を迎えたのは大宮で、富山に向けたロングパスが送られるも、クリアに入られると共に富山はセカンドボールを拾う動きにチェンジ。
これが奏功しクリアボールを拾う富山、エリア内の三門に縦パスを送ると、ポストプレイを経てエリア内左の黒川へ。
そして黒川はループシュートでゴールを狙いますが、惜しくもゴール上へ外れてしまいました。

終盤に入り、疲労からか長崎のペースが悪くなり。
5試合ぶりの出場となったイバルボでしたが、試合勘の鈍りもあったでしょうか、ジョーカーの役目を十分に果たす事は出来ず終わりました。
それでも試合自体は依然として支配していましたが、パスの精度も乱れつつあり、AT直前には澤田の左サイドの突破に掛けるシーンが連発。
しかしそれも大宮の反則気味のディフェンスに止められると、ATに突入後は一転して大宮にゴールを脅かされる事となります。

黒川のドリブルから左へ展開したのちパスワークで前進、翁長のグラウンダーのクロスから波状攻撃が開始。
黒川が収めて近藤に渡るもクリアされ、小島が拾って再び左へ、翁長が再度クロス。
そして中央で菊地がボレーシュートの体勢に入るも撃ち切れずに流れてしまい、奥で富山が拾いにいくも撃てず。
その直後も小島が敵陣でボール奪取し、菊地のエリア内右へのスルーパスから黒川がグラウンダーでクロス、そこに菊地が足から跳び込むも合わず。
しかし翁長がシュートに持っていき、三門に当たって跳ね返ったボールを拾い直して左から再度グラウンダーでクロス。
そして三門が合わせシュート、ゴールかと思われたボールはギリギリで角田がブロックし、惜しい所で攻めきれず。

その後CKが2本続くも、最後は西村のヘディングシュートが枠外となった所で主審の笛が鳴り、試合終了。
スコアレスから動く事無く、引き分けとなりました。

誰が見ても苦しい状況の大宮。
今回の5連戦は1敗のみと凌ぎを見せましたが、残りは引き分け4つと、最良の癒しに成り得る勝利という結果は得られず終わりました。
開幕前は昇格の有力候補と見られていただけに、この凋落ぶりはイレギュラーなシーズンの象徴ともいえそうですが、現状はとにかく耐えるしか無さそうです。

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第28節(前倒) FC東京vs横浜F・マリノス

2020-10-26 19:32:08 | サッカー視聴記(2020年以前)

ACLのために前倒しされて行われた、ACL出場チーム同士の対戦。
色々な事があり、グループリーグが行われていたのが遠い昔のような気がしますが、11月24日から再開されるとの事。
2チームに分ける、と言った事も危惧されましたが、日程的には何とか回避出来たようです。
しかしどちらにしろ過密日程は避けて通れない道。

その準備といっては変でしょうが、起用できるメンバーを増やしてタフなチームを作り上げる作業に勤しむ両クラブ。
既に橋本・室屋が海外移籍でクラブを離れる事となったFC東京ですが、さしたる補強策は行わず(岡崎のレンタル復帰ぐらい)、若手抜擢を主軸に置いた舵取りを見せています。
幅広く登録選手に出番を与えており、出場ゼロは前述の岡崎とGKの児玉、それと2種登録されて間もない大森のみ。
久保・高萩・東・橋本という「黄金の中盤」が出来上がっていた前年前半からすっかり隔世の感がありますが、指揮官(長谷川健太監督)は前向きな姿勢を崩していないようです。
それでも東の長期離脱で軸不足という印象は拭えず。
出場試合数ではボランチのアルトゥール・シルバがトップ(この日26試合目)ですが、この日は珍妙な見せ場を作り足を引っ張ってしまいました。

一方のマリノス、第3の移籍期間も佳境に差し掛かった所で鳥栖の正GK・高丘を完全移籍で獲得し、この日早速ベンチメンバーに加わりました。
GKは朴一圭(パクイルギュ)に梶川・中林と揃って居たはず、と思われましたが、この試合の後その意図が明らかに。
この日もスタメンだった朴が、レンタルで鳥栖に移籍するというニュースが流れ、結果的に交換トレードのような形になりました。

財政難に陥っている鳥栖が移籍金を得るという思惑からかと思われた移籍ですが、マリノス側もアジア枠からはみ出る事が濃厚な朴に、ACL期間に出場機会を与えるという意図があってのもの。
果たして両名にとってwin‐winの移籍劇となるでしょうか。

移籍を控える形となったGK朴がスタメンとなったマリノス、この日も序盤からポジションを可変させつつの攻撃を敢行。
ストロングポイントを最大限に発揮するその姿勢は不変でありました。

しかし中2日で挑んだこの試合、中5日も空いていたFC東京とのコンディションの差もあってか前半は苦戦。
前半9分、左サイドで安部のクロスをファーサイドで収めたディエゴ・オリヴェイラ、そのまま右に流れた後戻りつつボールキープしている所をティーラトンに倒され反則。
このエリア右角のすぐ近くでのフリーキックから、キッカー三田のクロスを森重がヘディングシュートしますが枠外に。
これで主導権を握ったFC東京、17分にも(FC東京から見て)右サイドで両チーム奪い合いの末に攻め込み、中村拓海のクロスから田川がヘディングシュート。(GK朴セーブ)
直後のコーナーキックからも、三田のライナーのクロスがファーサイドに流れ、収めた田川がシュート(GK朴セーブ)と再三マリノスゴールを脅かしていきます。

コンディションの差は、マリノスが前から中々プレスに行けないという内容に如実に表れ。
FC東京の裏へのロングパス・スルーパスを早めに阻止する事が出来ず、その後もピンチを量産してしまいます。
守備が苦しい一方、攻撃ではボールを支配してそこそこ好機も作りますが、シュート数は少なく。
ピンチを凌ぎ一息付くためのボールキープ、という感じで前半を過ごします。

終盤を迎え、激しく試合は展開。
42分のFC東京は左奥のスローインから、入れ替わりで受けたディエゴがエリア内左へ入ってシュート。(GK朴キャッチ)
アディショナルタイムに入り、エリア内でのエリキのキープで右CKを得たマリノスですが、ショートコーナーが簡単に奪われてしまいFC東京のカウンターを献上。
マルコス・ジュニオールから奪った安部がドリブルで疾走したのち、永井のポストプレイを挟んで右へ展開、中村拓のスルーパスを受けたディエゴがエリア内右からグラウンダーでクロス。
中央で安部が左足でシュートを放ちましたが、ゴール左に外れて先制ならず。
その直後にマリノスも反撃し、扇原のロングパスをエリキが収め、彼のパスを受けたマルコスがミドルシュート。(GK林キャッチ)
双方好機を作り、前半を終えました。

後半立ち上がりも、前半のままFC東京の流れで幕を開けます。
後半3分には永井のパスがエリア内左へとこぼれ、小川が走り込んでシュートするもブロック、そのこぼれ球をシルバが拾いキープする所を喜田に倒され反則。
この中央やや左・エリアからやや手前という位置でのFK、三田が直接狙い壁を抜けるも、ゴール右へと外れ。
6分にも永井がエリア内左からカットインして中央からシュート(枠外)、8分には三田のスルーパスに安部が走り込んでシュート(枠外)と、攻め立てるも得点が奪えないFC東京。
そしてその高い代償を以降支払う事となります。

9分のマリノスの攻撃、マルコスの右へのスルーパスからエリキがドリブルで突破、奥に進入してグラウンダーで中へ入れます。
ジュニオール・サントスがこれを受けると、エリア内で強靭なフィジカルを活かし渡辺剛を振り切りシュート、GK林の右を抜いてゴールイン。
守勢続きの後半にカウンターパンチを炸裂させると、その直後の11分。
敵陣で伊藤のカットから、マルコスがエリア内へとスルーパス。
走り込む前田に繋がらなかったものの、クリアボールがFC東京・森重に当たってサントスの足元にこぼれると、拾ったサントスはブロックをフェイントでかわしてからシュート。
あっという間に2点を奪い、味の素スタジアムを落胆の渦に巻き込みます。

以降はすっかりマリノスも持ち味を取り戻し、両サイドバックの松原・ティーラトンが縦横無尽に動く「偽SB」ぶりを発揮して攻撃。
窮地に立たされたFC東京サイドは、14分に3枚替えを敢行し流れを取り戻さんとします。
永井・三田・田川→アダイウトン・原・内田へと交代。

しかしその効果が現れる前に、さらに悪い流れを引きずってしまう事に。
18分、マリノスがボールキープしている最中、シルバが近くにいた松原の顔に腕を入れる蛮行を犯してしまいます。
これでプレーが止まり、両チームの選手が入り乱れる一触即発となった末にシルバにレッドカードが突き出されます。(同時に異議?で小川に警告)
これで数的不利となり、反撃ムードも萎んでしまったFC東京。

その後は4-4-1へとシフトし、ディエゴ1トップでアダイウトンが左サイドハーフとなり、右SHに原・ボランチに安部と内田という前線の構成に。
それでもこの窮地、アダイウトンの突破力に賭けるぐらいしか策は取れません。

逆にマリノスは悠々と試合運び。
20分に松原ミドルシュート(枠外)、23分に天野(マルコスと交代で出場・19分)がミドルシュート(ブロック)とゴールを狙う姿勢を見せつつも、後方でのボールキープを主に置いての攻撃。
相手の反撃機会を減らしていきます。

何とか1点返して突破口としたいFC東京、34分にアダイウトンの左サイドのドリブルから、パスを受けたディエゴがトラップでエリア内左へ進入。
そこからマイナスでクロスを入れ、流れたボールに安部が走り込んでシュートしましたが、GK朴のセーブに阻まれます。
その後35分、マリノスはサントス・前田→オナイウ阿道・水沼へと交代します。(水沼は右ウイングに入り、エリキが左ウイングへシフト)
同時にFC東京も中村拓→中村帆高へと交代。

余談ですが、この日はFC東京は永井・マリノスはオナイウという、日本代表定着を狙うFWが所属している同士の対戦でもありました。
すっかり海外組がメインとなったような昨今の代表ですが、FWに関しては永井を中心として国内組がチャンスを貰う機会がまだ目立ちます。
北川航也・鈴木武蔵も現在は海外とはいえ、Jリーグ所属のうちから代表を経験した後の移籍でした。
10年ぐらい前は中盤から後ろのポジションに国内組、という編成だった気がしますが、時代の変化(?)を実感させられます。

終盤に突入し、10人のFC東京が攻め上がるも、それによって前掛かりとなった事でオープンな展開に。
1分間にお互い1度ずつ好機を得る、という絵図を描く激しい攻守の移り変わり。
それによりFC東京の自慢である(と思われる)組織的な守備を発揮する事は無く、数多危機を招いてしまいます。

その流れのままATへと入ってしまうと、とうとう決壊。
右サイドでオナイウのスルーパスを、遮断できずに水沼が抜け出し一気にエリア内へ。
そして横パスを出すと、追走してきた渡辺剛に当たってそのままゴールに吸い込まれるオウンゴールとなってしまいます。
決定的な3点目を与えてしまうと、さらに時計が進み4点目を献上。
エリキがドリブルで左サイドから一気にエリア内へ進入し、カットインからシュートをゴール左へと突き刺し。
そしてそのキックオフ直後にタイムアップを告げる笛が鳴り響きました。

終わって見れば、マリノスの攻撃力が炸裂したという結果となったこの試合。
スコアが動く事で局面も動くという当たり前の事を実感する内容で、FC東京が先に何度もあった好機を決めていれば、全く違った結果を叩き出したと思われます。

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