ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第33節 栃木SCvs鹿児島ユナイテッドFC

2019-09-26 07:59:49 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の栃木の記事はこちら(29節・山形戦)
※前回の鹿児島の記事はこちら(25節・徳島戦)

残留争い組の直接対決。
この日のために、なのかは不明ですが、先発メンバーをガラリと入れ替えてきた栃木。

1トップを張っていた大ベテラン・大黒をベンチ外とする方策には驚きましたが、それでもチームの低迷・補強選手の肥大という要素が相成って、普段からメンバーが流動的な栃木だっただけに違和感は少なく。
開幕からのレギュラーはユヒョン・ヘニキ・西谷和希ぐらいのものでしたが、その西谷和までも外しての再編成。
7試合ぶりのスタメンとなった大﨑、10試合ぶりの榊、13試合ぶりの久富という具合に間が空いたメンバーが続出となりました。

一方の鹿児島のスタメンを見ても、この日右サイドバックとなった酒本に象徴されるように、開幕時の編成からは大分変ってきているなという印象。
夏の補強で獲得したルカオがポストプレイヤーとして1トップに収まったのは好材料ですが、主力の助っ人だったニウドが、29節・横浜FC戦(1-5)での退場などで評価を落としているのかこの日はスタメン落ち。
栃木よりはメンバーは固定傾向ですが、攻撃的なサッカーを指標しているのもあって、大量失点での敗戦もしばしばあり戦いぶりは不安定です。

さて試合が始まると、早くも鹿児島にとって逆風が吹きます。
栃木はボールポゼッションに全く拘らない、ロングボールを主体にした守備的なサッカー。
しかもこの日は1トップに本来ボランチであるヘニキが起用されており、相手の出方を伺えず立ち上がりに躓いてしまいます。

前半4分の栃木、GKユヒョンの敵陣左サイドへのロングフィードをFW起用されたヘニキがヘディングで前方へ送り、大﨑→榊と渡りクロス。
これはブロックされますがコーナーキックになると、キッカー瀬川のクロスを、ヘニキの後方で田代が合わせてヘディングシュートを突き刺してゴール。
栃木はこれが実に6試合ぶりの得点でした。

反撃に出ようとする鹿児島ですが、いつものポゼッションを重視しつつ攻めるサッカーがこの日は裏目に出る事に。
中々シュートまで持っていけずにいると、前半14分には栃木DF・乾のかなり手前からのクロスからチャンスを作られ、最後はユウリがミドルシュート。(枠外)
そしてその直後、後方でボールを繋いでいるうちに栃木・ユウリに奪われ、そのボールが直接榊に渡ります。
GKアンジュンスはビルドアップのため前に出ていたのもあり、榊が放ったシュートに反応できずゴール右へと突き刺さり、早くも2点目となりました。
栃木ホームなだけに、栃木県グリーンスタジアムの芝の状態が鹿児島の繋ぐサッカーを困難にさせたのでしょうか。

奇襲ともいえる2得点を挙げた栃木。
その後は守備を固めつつ、いつも以上にロングボール主体にカウンターを狙います。
それを可能にしたのはやはりヘニキの存在。
ボランチとして起用された時も、ロングボールのターゲット役を務めしばしば前線に上がっていたヘニキ。
そのため守備が手薄になったり、ボールを持たされる展開になるとビルドアップ出来ずといった不具合が際立った試合も目立っていたシステム。
皮肉にも最初からFWという前線で起用される事で、霧が晴れたかのようにスムーズに栃木のサッカーが展開されていきました。
空いたボランチに起用されたベテラン・枝村の存在もあり、最前線という位置での執拗なプレスにより守備力も発揮するヘニキ。

一方ボールを繋ぐだけでは勝てない状況となった鹿児島。
2失点目直後の15分こそ、酒本がエリア内からシュートを放つ(ゴール右に外れる)という場面を作ったものの、その後はボールを握るもののシュートまで持っていけないという「ポゼッションサッカーあるある」的な状態に。
酒本・砂森の両SBが高い位置を取り、センターバック2人とGKからビルドアップを始めるという意図は解り易かったですが、栃木の守備を崩せぬまま時間が経過していくだけという展開は崩せず。
結局前半終わり際のコーナーキックの連続での攻め(1本目はクロスのこぼれ球を中原秀人がシュート・2本目はクリアボールを五領がボレーシュート)ぐらいで、2-0のまま後半を迎えます。

後半頭、鹿児島は早くも五領→萱沼に選手交代。
ルカオの加入前は1トップを務めた事もある萱沼、アタッカーを増やすための采配だったでしょうか。

後半も出合い頭で栃木に決定機が。
左サイドからのスローインをヘニキが収め、枝村→大﨑と渡りエリア内左角度の無い所からシュートを打たれ、GKアンジュンスがセーブ。
こぼれ球が浜下の足元に転がりましたが、浜下は詰められずにGKが抑え3点目とはならず。

しかしこの出会い頭の展開が、今度は鹿児島に味方します。
後半6分、右サイドからのフリーキックのチャンス。
キッカー酒本がニアサイドにクロスを上げると、水本が飛び込んでヘディングシュート。
どうしても破れなかったゴールを、セットプレーでこじ開ける事に成功して1点差とします。

これにより(?)1トップのルカオも躍動を始めます。
10分、牛之濱の左サイドへのスペースへのパスに走り込み、栃木・乾と競り合ってボールを拾います。
その後カットインで栃木ゴールに向かうものの、栃木・久富に阻まれシュートは撃てず。
11分には堤の縦パスを受けた牛之濱から攻撃開始、砂森・枝本を交えたパス回しにルカオもポストプレイで絡み、最後は牛之濱のエリア内左からのシュート。
GKユヒョンを抜きますが、ゴール手前で栃木・瀬川のブロックに阻まれ、詰めにいった枝本のヘディングも外れて同点ならず。

その後14分に枝本→藤澤へと交代し、さらに攻勢を強める鹿児島。
直後のコーナーキックからの二次攻撃、平川縦パス→ルカオポストプレイ→酒本ダイレクトでクロスで上がったボールに再び水本が飛び込みますが今度は僅かに合わず。
ルカオのポストプレイを交えながらのパス構成という、前半ではあまり見られなかった攻撃の形で栃木ゴールを脅かします。
しかし後一歩の所でゴールを奪えずという展開。

前線からのプレスも効果が無くなってきた栃木。
後半20分に榊→平岡、22分にヘニキ→キムヒョンと、その役を担っていた2人を共に交代。
それでも流れは変わらず鹿児島の攻勢は続き、26分にはルカオポストプレイ→中原秀左へ→藤澤カットインでゴールに迫りますが、栃木・ユウリのディフェンスでシュートは撃てず。
この直後、中原秀→韓勇太(ハンヨンテ)に交代し3枚のカードを使い切った鹿児島。

更なる攻勢を仕掛けようとした直後の27分、栃木に追加点が。
GKユヒョンからのロングフィード、キムヒョンがフリックで落としたボールは酒本のクリアミスもありエリア内にこぼれ、平岡がシュート。
GKアンジュンスがセーブしたものの、こぼれ球に大﨑が走り込んでシュートを放つと、ボールは無人のゴールに。
まさにカウンターともいうべき(攻撃の組み立ては全然カウンターでは無かったけど)得点が決まり、沸き立つ栃木サイド。

3枚目の交代で、ボランチに酒本が回り(右SBには藤澤)2トップへとシフトした鹿児島。
しかし交代で入った韓は殆どプレーに絡めず、中盤の枚数も少なくなった事でチャンスを作る場面も減少していきます。

逆に栃木が少ない攻撃機会で際どいシーンを作る事に。
33分はクリアボールを拾った久富がドリブルを仕掛けてパス、受けた平岡がエリア内に進入し、倒されますがこぼれ球を大﨑がシュート。(ゴール右に外れる)
アディショナルタイムには、カウンターで平岡がGKアンジュンスが前に出ていた隙を狙ってシュートしたものの、ボールは僅かに右に外れて惜しくも4点目はならず。
しかしそのまま3-1で勝利を挙げ、降格圏から抜け出すまで後一歩に迫りました(栃木勝ち点28・鹿児島30)。

前回栃木・田坂和昭監督の服装を取り上げましたが、あの日以降スーツ姿を見せる事は殆ど無く、この日は上着としてジャケットを着ての指揮。
スタメン構成も弄るなど、田坂氏の覚悟が現れた結果の勝ち点3という印象の試合でした。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第33節 アビスパ福岡vsファジアーノ岡山

2019-09-24 17:04:51 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の福岡の記事はこちら(26節・横浜FC戦)
※前回の岡山の記事はこちら(24節・甲府戦)

ラグビーW杯開幕に伴い、会場であるレベルファイブスタジアム(博多の森球技場)が再び使用不可となった福岡のホームゲーム。
博多の森陸上競技場での試合となり、対戦相手の岡山は試合前に入念に芝の状態を確かめていたとのレポートもあり、その通りに立ち上がりは慎重な入りの印象でした。
風が強かった事もあり、コイントスで陣地を選び、序盤はロングボールを多く交えての攻めを見せます。

しかしイヨンジェの頭狙いに関しては、篠原・ウォンドゥジェら福岡ディフェンスが封殺。
後は2トップのもう一人・中野に裏を狙わせるボールですが、こちらもあまり有効打とはなり得ず。
よって嫌でも中盤の組み立てが攻撃のカギを握る展開になった岡山。

上田が中盤の底からパスを散らしていくのが基本線。
左サイドハーフの仲間が攻撃の中心を担っているのか、時には中央や逆サイドにも顔を出しパスを受ける場面も見られました。
それでも主な仕事は左サイドですが、彼と左サイドバック・廣木の2人で突破を図らんとするも福岡の守備を崩せず。
むしろ中央からチャンスを作る事が多かった前半の岡山。

前半11分に左の廣木からパスを受けた中野、上田とのワンツーで突破してからイヨンジェにパス。
ストライカーのイヨンジェ、ブロックをものともせずゴール正面やや左から果敢にシュートを放ちますがゴール右へと外れてしまいます。
20分、スローインから上田が受け、喜山とパス交換をした後に中野へ縦パス。
中野はダイレクトでイヨンジェに出し、彼のリターンパスを貰ってエリア内に進入したものの奪われてシュートは撃てず。
21分、右サイドから関戸→増谷→上田と渡り、上田の縦パスを受けた仲間がエリア手前からシュート。
しかしGKセランテスのセーブに阻まれます。

一方の福岡、3-4-2-1のフォーメーションをカッチリと守っている印象で、岡山・仲間のような流動的な動きはあまり見られず。
強いて挙げれば松田の上下動ですが、相変わらず不振に喘ぐチームでの多大なタスクを担っているという印象で、ポストプレイなり前線の守備なりと多くをこなします。

岡山・上田のようなゲームメイク役を、福岡で担えるのが鈴木でしょう。
しかし前線・サイド共に動きが中々見られないので、サイドチェンジを多用してもさっぱりチャンスに持って行けなかったり、ダメ元でロングパスを出すも精度を欠いたりと今一つ。

その福岡の前線は、城後の1トップ。
前節・栃木戦(1-0)でこの形が採られ、結果ゴールを叩き出した城後ですが、「結局今年もここに行き着いたか……」というのが傍らからの感想。
前年も終盤攻撃に行き詰まり、ベテラン・城後をFW起用するに至った福岡。
前年がJ1昇格を目指しての戦い、今季がJ2残留を目指しての戦いという違いはあれど、彼の得点感覚に頼る苦しい状況なのは変わらず。

前半はシュート僅か1本に終わった福岡(22分・實藤のミドルシュート)を尻目に、岡山が先制点を挙げたのは前半45分。
右サイドハーフの関戸が中央でボールキープして上田に渡すと、彼の縦パスを仲間がフリックし、そのボールを受けてエリア内左に進入した関戸。
彼のラストパスを中野が巧みなトラップで福岡・實藤のブロックをかわし、すかさずシュート。
サイドハーフ同士のパス(フリック)という流動性抜群の攻撃を見事に仕上げました。

反撃に出たい福岡。
前半終了間際には焦りからか、松田が増谷に対し反則を犯して警告を受け、これで通算8枚目となり次節から2試合出場停止に。
後半開始直後には、DFの實藤とウォンドゥジェが、それぞれ共に岡山・イヨンジェとの競り合いで負傷しピッチ外に出る(すぐに復帰)事態になるなどリズムを掴めません。
そして後半8分、もう一人のDFの篠原まで岡山・中野との接触で負傷(しかも篠原の反則で警告)すると、今度はプレイ不能となり菊地への交代を余儀なくされる事に。

しかしここからにわかに福岡がペースを掴み始めます。
ハーフタイムを挟み陣地を交代したおかげか、鈴木のロングパスが冴え始めたのが篠原の負傷直後の後半10分。(菊地が入る直前のプレイ)
サイドチェンジを多用しつつ、中盤でボールを持った鈴木がロングパスを送ると、輪湖がエリア内左に入りヘディングシュート。(枠外)
一方の岡山もこのシーンの前に決定機を作っており(9分)、フリーキックから上田ファーへクロス→田中折り返し→増谷ヘディングシュートという流れも福岡・松田にブロックされ追加点はならず、結果的にここで2点目を入れたかった。

ロングパスは通せるようになったものの、やはりポジションに流動性が見られない福岡の攻撃。
20分前後は岡山の前線のプレスでビルドアップに難儀していた印象で、中々チャンスを作れず。
3センターバックにボランチの加藤が降りて来るという具合に基本形は解るのですが、左右のCB(實藤・ウォンドゥジェ)に開く動きが足りず、そのせいでウイングバックも高い位置を取れない印象。

その影響を受けに受けていたのが、この日が福岡で初スタメンとなった初瀬でしょう。
神戸から育成型レンタルで加入、神戸では17試合に出場という具合に期待度は高かったはずですが、この日は右サイドに張り付いているだけで殆ど攻撃に絡めず。
時折鈴木や加藤からサイドチェンジのパスを受け取っても、すぐ中に戻すだけという消極的なプレイに終始していました。

そんな状況を打開しようとしたのか、福岡・久藤清一監督は2枚目の交代をWBに使います。
しかし標的は初瀬では無く左の輪湖で、石原と交代(後半28分)。
そしてその4分後、石原と初瀬が左右を入れ替えるという措置を施します。
その直後(33分)、鈴木のロングパスの跳ね返しを石原がヘディングで繋ぎ、中盤でのパス回しから最後は前川がミドルシュートを放つ(ゴール右に外れる)など攻撃が活性化。

そして39分、加藤・ウォンドウジェがサイドチェンジを繰り返しながら攻撃する福岡。
ウォンドゥジェのフィードを初瀬は右サイド奥で巧くトラップして残し、クロスを上げますがクリア。
こぼれ球を中央で拾った加藤が松田を狙いエリア内へロビングを上げると、受けにいった松田が岡山・増谷に倒され、審判の笛が鳴り反則・PK獲得に結び付けます。
このPKを、松田が威力あるシュートでGK一森の手を弾きゴールに叩き込み、ついに同点に追い付いた福岡。

残り時間は少ない状況ながら、福岡は勢いに乗り逆転を狙いにいきます。
そして悩める(?)初瀬に最大の好機が訪れたのが44分。
右サイド手前から石原が低いクロスを上げ、エリア内の松田が収めますがクリアされると、そのボールが初瀬に渡りエリア内左での絶好のシュートチャンスに。
迷わず強烈なシュートを撃った初瀬でしたが、ボールは無情にもゴール上へと外れてしまいました。

その直後、岡山にもイヨンジェにシュートチャンスが訪れますがモノにできず(45分)。
アディショナルタイムに突入するも、勝ち越し点は生まれずに双方痛み分けとなりました。

昇格を目指す位置(7位)にまで付けている岡山、30節(山口戦)から3連勝と波に乗っていただけに、下位の福岡相手に痛い引き分けとなった形でしょう。
惨敗した29節・町田戦(0-3)を受けてディフェンス陣をテコ入れ、それまでレギュラーとして奮戦してきた椋原・チェジョンウォンをサブに回し、琉球から獲得した増谷を入れるなどしてこの日のディフェンスライン(増谷・田中・濱田・廣木)に辿り着いた模様です。
無失点勝利を2試合続け、この日もあと少しでウノゼロの勝利が見えていただけに、悔しい結果となりました。

ベテランの後藤が長期離脱している今季、新加入・加入2年目の選手のみの構成になっている岡山DF陣。
それだけに、CB・SBの両方が出来る増谷の獲得は理に叶った補強だったと思います。
この日の与PKを反省材料とし、レギュラー定着は果たせるでしょうか。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第32節 横浜FCvs大宮アルディージャ

2019-09-19 17:07:15 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の横浜FCの記事はこちら(28節・琉球戦)
※前回の大宮の記事はこちら(17節・京都戦)

16戦連続無敗を記録するなどで順調に勝ち点を伸ばしてきた大宮。
当然上位をキープしてきたものの、引き分けの多さで波に乗りきれない部分もあり。
その隙を突いて連勝を重ね、現在2位にまで浮上しているのが対戦相手の横浜FCなのですが。

無敗が止まってから(正確には止まる直前)、高木琢也監督のサッカーに不可欠な1トップであるフアンマ・デルガドが、コンディション不良のためなのかロビン・シモヴィッチとの併用になってきている現状。
フアンマは22節・鹿児島戦でハットトリックを達成して以降は得点無しで、23節以降はシモヴィッチが4得点を挙げる活躍を魅せているものの、ポストプレイヤーとして欠かせないのがフアンマ。
そのフアンマが出場出来ない・不調で機能しないとなれば攻撃では非常に苦労する、というのが今季の大宮の印象。
近況は3試合未勝利(2敗1分)と苦戦気味です。

夏の補強でマリノスからイッペイ・シノヅカを獲得、サイドアタッカー兼プレースキッカーとしてすぐにレギュラー定着。
この日も右ウイングバックでスタメン出場しています。

立ち上がり、大宮の攻撃で目立ったのがディフェンスラインからのロングパス。
その送り先は例によってフアンマかと思いましたが、この日はシノヅカ・酒井の両WBを走らせての、敵陣サイドの奥目掛けてのパスが多かったです。
シノヅカをより生かす意図なのか、あるいは出来るだけ満身創痍のフアンマに頼らない組み立てをしようという配慮か。

この攻撃を軸に、クロスが上がる回数を多くしてきた大宮ですが、シュートには中々繋がらず。
惜しかったシーンは前半14分の左コーナーキックからの攻めで、キッカーシノヅカのニアへのボールを河面がフリック。
そのボールを河本が足で合わせゴール方向にコースを変えたものの、横浜FCDFカルフィン・ヨン・アピンにかき出されてゴールは奪えません。
そうこうしている内に、次第にゲームの流れは横浜FC側に傾いていきます。

13戦連続無敗を継続中の横浜FC、その内訳も7連勝を含む10勝を挙げているなど文句無しの成績。
停滞気味の京都・大宮を抑えて現在2位に居るのは当然といえば当然で、悪い流れは見当たらない、とは言い過ぎでしょうか。
齊藤光毅を筆頭に、主に2列目で起用される松尾・中山・齊藤功佑の若手組の活躍が、良い感じでベテランの多いチームに活力を与えているという図式。

さらなる刺激を与えようという意図なのか、この日は大ベテラン・中村をボランチとして起用する手を打ってきた下平隆宏監督。
今夏J2に満を持して(?)初上陸してきた、言わずと知れた名選手である中村。
2年前はJ1でもまだまだ健在なパフォーマンスを魅せて磐田を上位に導いていただけに、当時に準ずるプレーが出来れば激務であるボランチもこなせるでしょうが、やや博打に近い起用なのも確かです。(試合後のコメントでは、同じベテラン・松井の休養のための起用だったとの事)
今季磐田では僅か2試合のみの出場、チームが低迷した事もありしばしば議論の対象になってきましたが、体調面は万全な事を新天地でアピール出来るかどうか。

流れが傾いたのは前半33分、大宮のフリーキックの攻撃からのカウンターでした。
このフリーキックでボール際に立っていた河面・シノヅカが、チョンと蹴り出す→止める→そこからクロスというトリックプレーを演じたものの、クロスはあっさりとブロックされて横浜FCの攻撃に。
左サイドをドリブルするレアンドロ・ドミンゲス(以下Rドミンゲス)が、茨田に阻まれ倒されて反則。

そのフリーキック、ボール際に立った中村とRドミンゲス、先程の大宮と同じトリックプレーを演じます。
Rドミンゲスのクロスはクリアされますが、その後セカンドボールを何度もクロスに繋げ、最後はシュートで終われた横浜FC。(伊野波のミドルシュート・枠外)
トリックプレーのお株とともに、流れも奪い取った瞬間だったでしょう。
ちなみにその後2度もフリーキックの機会を得、同じくそのトリックプレーを見せた中村とRドミンゲス。

前半終わり際の45分、相手のクリアボールを田代が縦へ送り、イバのポストプレイで右サイドに来たボールを北爪が受けるとドリブルで疾走。
上がったクロスはファーサイドで松尾がトラップで落とすと、飛び出してきたGK笠原をかわしますが惜しくもシュートは撃てず。
アディショナルタイムには武田のパスを受けたRドミンゲス、イバとワンツー→中山とワンツーで前進し、ダイレクトでシュートを放ちます。(枠外)
良い流れを持ったまま前半を終えた横浜FC。

後半が始まり、大宮キックオフ直後のロングボールを、前半目立たなかったフアンマが収めにいきますが届かず。
そのボールは奥抜が拾いクロスに繋げたものの、フアンマの不調を伺わせるシーンを見せてしまい、以降も横浜FCのペースは続きます。

後半5分、中盤で中村がパスを散らしゲームメイクし、彼のパスを受けたRドミンゲスがエリア内へスルーパス。
反応したイバがエリア内右からシュートを放つも、DFに当たって枠を外れます。
12分には右サイドで北爪の縦パスを受けた中山、対面の大宮・酒井をかわして奥からグラウンダーでクロス。
これをRドミンゲスがシュートしますが、大きく外してしまいます。
13分は中村の技からチャンス、右サイドで茨田・フアンマに囲まれながらもドリブルで抜き、そのまま左へサイドチェンジ。
武田→松尾と渡り良いクロスが上がるも、GK笠原が飛び出してパンチングで防ぎます。

対照的に大宮は、前半のようにロングパス一本では中々チャンスを作れず我慢を強いられます。
9分、ショートパスの連続で右サイドを攻め、三門→茨田→シノヅカと渡り突破。
そしてシノヅカがクロスを上げ、絶好のボールがフアンマのヘディングシュートを生みましたが、シュートは惜しくも枠外に。
好機を逸してしまったフアンマ、17分にシモヴィッチに交代となります。

前半のフリーキックと同様、後半もとあるプレーの応酬が垣間見られます。
後半20分右サイドから横浜FCのスローインになると、北爪はロングスローを選択します。
イバの頭目掛けて投げ入れ、イバは期待に応えて合わせるものの、ボールは力なくGK笠原がキャッチ。
すると27分、大宮もロングスロー攻勢が始まる事に。
こちらも右サイドから、シノヅカがシモヴィッチをターゲットに投げ入れますが、誰にも合う事無くゴールラインを割ります。
その後双方1度ずつロングスローの機会がありましたがいずれもシュートに結び付かず。

21分の横浜FCの攻撃、武田のクロスをイバが収め、そこから反転シュートを放ちますが枠外に。
すると大宮も24分、シノヅカのサイドチェンジのパスを受けた酒井がエリア内に進入し、左からグラウンダーでクロス。
これを奥抜がトラップし、こちらも反転シュートを放ちますがブロックに阻まれるという具合に、双方プレーの応酬ぶりが印象に残るゲームとなりました。
まあこちらはただの偶然なのでしょうが……
このプレーの直後に大宮は奥抜→ダヴィド・バブンスキーに交代、横浜FCも29分にイバ→戸島と交代します。

一方でボランチの中村は交代する事無く最後までプレーを見せます。
ボールロストし相手の攻撃になる場面も何度か見られましたが、その際にプレスバックして自身でボール奪取する姿勢を見せるなど、コンディション面は問題無さそうでした。
40分にはビルドアップに加わりパスを受けにいったものの、ヨンアピンのパスが読まれてプレスを受け大宮・富田(茨田と交代で出場)に奪われ、シモヴィッチのシュートに繋がれたのが最も危なかったシーン。
不安は無くはなかったものの、無失点でゲームを終われたのはとりあえず良かったでしょう。

45分の横浜FC、GK南のスローイングからカウンター気味に攻撃。
Rドミンゲスが右に展開し、北爪のクロスは跳ね返されるものの、こぼれ球を拾ったRドミンゲスがもう一度クロス。
これを戸島がヘディングで合わせましたが、シュートは無情にもゴールバーを叩き得点ならず。
結局最後まで双方ゴールネットを揺らす事無く、スコアレスドローで試合を終えました。

上位対決に相応しい接戦で、どちらも一歩も譲る事無く。
ただ大宮の方が、前半のフリーキックの場面のようにどこか余所行きのような戦いが見られたのに不安を大きく感じました。
セットプレーの場面で大前が居れば……(前節・町田戦で負傷交代)というのは禁句でしょうが、DF陣も河本・櫛引(今夏名古屋から移籍)がこの所新たに定着しているのもあり、前半とは微妙にサッカーが変わってきているのかもしれません。
現状4試合続いている未勝利、早く終わらせて自信を取り戻したい所です。

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DAZN観戦 2019年J1リーグ第26節 北海道コンサドーレ札幌vsベガルタ仙台

2019-09-18 17:07:39 | サッカー視聴記(2020年以前)

勝つ時は大勝だが、接戦で勝てないという悩ましい状況が続いている後半戦の札幌。
これがプロ野球だったら「接戦を悉く落とすのは監督の采配が悪いからだ」という論調に発展するでしょうが、得失点差が影響する事もありその風当たりはさほどでも無く。
清水戦で8得点という衝撃的な勝利を挙げたのは記憶に新しいですが、この得点をもう少し他の試合に振り分けられたら……と感じる戦績。(後半は3勝2敗3分、敗戦はいずれも1点差)
特に来季のACL出場圏に届きそうで届かないという位置に着けているだけに、関係者は一層歯がゆい思いを抱いている事でしょう。

その状況の入口となったのが、前半戦も最後の17節・仙台戦。
ロースコアの攻防による好ゲームとなったものの、GKクソンユンの足元を狙われてのボールロストにより勝ち越し点を許すという悔しい敗戦(1-2)。
前節・神戸戦でようやく1点差勝利(14節の広島戦以来・3-2)を挙げ、ルヴァンカップ準々決勝では際どい2戦を戦った末(3-2・1-1)広島を下すという具合に改善傾向が見られるだけに、遠因となった仙台には是非ともリベンジして弾みを付けたい所。

しかし立ち上がり、いきなりクソンユンを加えたビルドアップを仙台に狙われ、立て続けにセットプレーを与えてしまう札幌。
3分の仙台の直接フリーキック、キッカー永戸の直接シュートが枠内を襲いますが、これはクソンユンが片手でセーブして難を逃れます。

その後もペースを握る仙台。
札幌のビルドアップを徹底的に対策していたのか、ボールを持たせてもチャンスを作らせず、逆に好機を作っていきます。

監督のミハイロ・ペトロヴィッチ氏(以下ミシャ)が指導する、独特かつオートマティックなビルドアップが落とし込まれている札幌。
通称「ミシャ式」と呼ばれるそれは、逆に言えば対策の標的にされ易いものでもあります。
その対策が確実に実行できるかどうかは相手クラブの能力・状況にも拠るのですが、少なくともこの日の仙台は、それをほぼ万全で仕上げて来たようです。

トップ下のような役割を果たすチャナティップに対し、ボランチの富田がマンマークに付き自由を与えず。
そして札幌の左右のセンターバックがワイドに広がり、ボランチ1人が降りて来る基本陣形に対しても対策。
FW2人が最後尾にプレスを掛け、サイドにボールが逃げるとすかさず左右のサイドハーフがチェックする事で出口を与えません。

これをベースに、攻撃で好機を作っていく仙台。
10分には自陣で関口のパスを長沢が倒れながらポストプレイで繋ぎ、松下→道渕→ハモン・ロペス→道渕と渡り、道渕がエリア手前中央からミドルシュート。
DFに当たってコーナーキックになり、キッカー永戸のクロスをファーサイドでハモンがヘディングシュート。(枠外)
13分は永戸のロングパスが左サイドでハモンに渡り、彼のクロスを長沢がヘディングシュート(枠外)と立て続けにシュートを浴びせます。

中々流れが作れない札幌は、結局ボランチが2人とも降りて最終ラインを3人とするビルドアップにシフトしていく事に。
しかし相変わらずチャナティップを自由にさせてくれない仙台の守備なので、サイド攻撃を主にせざるを得なかった札幌。
クロスを上げるだけに留まり、時折ルーカス・フェルナンデスや白井がカットインを図ってもシュートまでは持って行けず、札幌の初シュートは仙台の先制後まで持ち越されます。

その仙台の先制点は前半32分でした。
札幌・白井の左サイドでのドリブルを止めた蜂須賀、そのまま中央へ向かってドリブル。
敵陣に入ってパスを出すと、ハモン→長沢→ハモンと渡るも収まらなかったボールが札幌・キムミンテに当たってもう一度ハモンの足元へ流れ、エリア内左に入ってシュート。
一度はGKクソンユンが止めるも、正面に転がったこぼれ球を松下が詰めてゴール。

札幌の初シュートは35分で、ルーカスのクロス気味のキック(ミスキック?)をシュートに含めれば34分か。
前者は、それまで富田のマークに苦しんでいたチャナティップが、荒野のディフェンスから中央やや左寄りでボールを受けてのミドルシュート。(枠外)
終盤は昇り調子を見せた札幌ですが、シュートは結局これを含め2本(3本?)のみで前半を終えます。

後半頭に早くも札幌は早坂→深井に交代、早坂の居た右CBには宮澤がシフトし、深井はボランチに入りました。
その効果か、立ち上がりは札幌ペースとなり、迎えた後半5分。
チャナティップのパスで左サイドからの攻撃、白井は奥まで進んだ後カットイン。
自分で仕掛けると見せて戻すと、受けたチャナティップはさらに横パス、ここに猛然と走り込んだのは荒野。
果敢にミドルシュートを放つと、仙台のブロックでコースが変わった事もありゴール右隅に豪快に突き刺さる同点ゴール。
これが荒野にとってはJ1初ゴール、シュートが強烈だったのもあるのですが、「あの決定機を外しまくってきた荒野が……」という感じで暫く口あんぐり状態でした。
しかし喜びも束の間だった札幌サイド。

後半7分、札幌陣内での道渕のパスカットから仙台の攻撃。
松下のパスを長沢がポストプレイでハモンに渡し、ハモンのミドルシュートをGKクソンユンがセーブしてコーナーへ。
前半コーナーキックからも何度かシュートに繋げていた仙台、ここでもそれが炸裂します。
永戸の中央へのクロス、札幌・宮澤との競り合いに勝ったシマオ・マテが、難しい体勢ながら強烈なヘディングシュート。
GKクソンユンの手を弾いたボールはゴール内に吸い込まれ、再び仙台がリードを奪います。
こうなると札幌の攻撃を封じて試合を収めにかかりたいですが、その後再び札幌が攻勢に。

残留争いの真っ只中にある仙台。
4連勝を達成し、監督の渡邊晋氏も月間最優秀監督に選ばれたのが6月ですが、7月以降は僅か1勝(4敗3分)と再び残留への雲行きが怪しくなってきました。

特に最近3試合はいずれも後半の失点で勝ちを失う試合を演じており、課題となっているのが試合の閉め方。
キャプテンでセンターバックの大岩は19節・鹿島戦での0-4での大敗後はベンチ入りすら無く、18節・浦和戦で退場となった(警告2度)椎橋がレギュラー落ちという具合に、守備的な選手が悉く信頼を落としている現状。
交代で試合を閉めたくても、駒不足で中々おぼつかないという状況に陥っています。

9分の白井のカットインからのシュートを皮切りに攻勢を続ける札幌。
相変わらずマンマークされているチャナティップですが、代わりに鈴木が中盤に降りてきて縦パスを受ける場面が頻発し、ペースを握る事に成功した結果でしょう。
反面仙台もカウンターで好機を作り、長沢がGKと一対一の場面で決められない(19分)など、オープンな展開になってきたのを境に渡邊監督は交代カードを切り始めます。

22分の関口→石原崇兆への交代は、恒例となっている関口のスタミナ面を考慮しての采配(おまけに関口は故障で2試合欠場の直後でした)故効果はさほどでも無く。
次に27分道渕に代え、前年まで札幌所属だった兵藤を投入します。
すっかりサブに定着しこれが6試合ぶりの出場となった兵藤ですが、この効果は抜群でした。

宮澤がDFに回った事で、ボランチが2人とも落ちる事無く後ろ3枚でのビルドアップを展開していた札幌。
それに対し、FW2人に加えて兵藤がフレッシュな動きでプレスに入り、再び札幌のビルドアップを封じる事に成功します。
31分のシーンを取り上げると、札幌は右サイドでの攻撃からルーカスが戻し、組み立て直しを選択します。
一旦中央やや左でチャナティップに渡るものの、攻められずGKクソンユンまで戻す事となりますが、ここで仙台のプレスを激しく受ける破目に。
結局ボールを逃がす事が出来ず、富田にカットされ仙台ボールとなりました。(その後蜂須賀がクロスもクリア)

兵藤というクローザーを見出した(と思われる)仙台のペースとなり、窮地に立たされた札幌。
既に白井→アンデルソン・ロペスとカードを切っており(22分)、3枚目の交代は35分、荒野→菅でした。
この2つの交代でポジションもめまぐるしく変わり、2番目の交代で福森が左ウイングバック・深井が左CBへと回れば、3番目で元の福森CB・深井ボランチへと戻ります。
その直後の37分に最大のチャンス。
仙台・永戸の反則で得た右サイドからのフリーキック、福森が上げたボールはエリア内中央で混戦となり、ファーにこぼれたボールをルーカスが収める絶好機に。
しかしルーカスのシュートはGKヤクブ・スウォヴィクが防ぎゴールならず。

すると仙台が、再びセットプレーでとどめを刺します。
40分に右からのコーナーキック、永戸の上げたクロスはニアサイドで飛んだ平岡の頭を越え、中央に居たハモンが足で合わせてゴール。
札幌のお株を完全に奪った、コーナーキックからの2得点でリードを広げました。

その後の札幌。
菅がゴールネットを揺らすもオフサイドでノーゴールというシーンが見られたり、鈴木が仙台・平岡と激突し反則・警告を貰い4枚目で次節出場停止になれば、それに異議を唱えたジェイにも警告が出て同じく4枚目で出場停止となるなど後味悪く。
そのまま1-3で仙台が勝利というゲームとなりました。

仙台側のしたたかな対策が光った内容・結果であった試合。
渡邊監督は過去2年間(と今季序盤)、今の札幌と同じ3-4-2-1のポゼッションスタイルを模索しており、「ミシャ式」対策を編み出すのに十分な経験となったのでしょう。
残留争いは未だ予断を許さない状況(9位~15位までが勝ち点32~31というカオスな状態)ですが、この勝利を脱出に繋げたい所です。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第32節 ジェフユナイテッド千葉vs水戸ホーリーホック

2019-09-17 18:20:49 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の千葉の記事はこちら(27節・愛媛戦)
※前回の水戸の記事はこちら(23節・琉球戦)

リアルタイムでyahooの速報を見ていると、千葉は前半でシュート14本というスタッツを残していたようで。(その時DAZNでは甲府vs柏を観ていた)
相手の水戸のシュートは3本であり、前半は完全に千葉ペースの試合かと思い込んで後に映像を観ると、その幻影は見事に崩れ去る事になりました。

6戦勝ち無し(しかも5敗1分)という状況で、開催が危ぶまれたフクダ電子アリーナで行われたこの試合。
あまりの低迷ぶりにJ3降格もチラついているその現状に、前節・新潟戦での敗戦を受けて監督の江尻篤彦氏も、「敗因はメンタルの問題」といったコメントを残したそうで。
そんな反省を踏まえ、この日は前半にゴールへの気迫を込め、とにかくシュートを浴びせるというプランとなったのでしょう。

それでも戦術的には、クレーベの1トップでの4-2-3-1という形が、守備面でまあまあ功を奏したのではないかと。
中盤の人数を多くした事によってか、水戸サイドは主にセンターバック・宮(夏の移籍で神戸からレンタルで獲得)のロングパスでの組み立てで中盤を省略するシーンが目立ちました。
それでもクレーベFWでは前からのプレスが掛からず、簡単にそのロングパスを出させてはピンチを招く事が多々ありましたが……

水戸は前半9分、宮のロングパスで右サイドバックの岸田が裏を取ると、千葉左SB・下平が引っ掛けて反則。
その直接フリーキック、右ハーフレーンから何でもできる良い位置でしたが、水戸が選んだのはトリックプレー。
白井が助走を取った所で、志知が助走無しでエリア内に蹴り込み、清水が受けてシュートするもブロックされ得点ならず。

水戸はその後も攻め込みますが、ゴール前一歩手前のシーンでは上記のシーンに象徴されるように、難しいプレーを選択しがちなのが目立ちました。
スルーあり、ワンツーあり、一方を囮にしてのスルーパスありと多彩にフィニッシュまで持っていこうとしました。
しかしこの絡め手が逆に空回りする結果になり、シュートまで持っていけない事が多々。
恐らくは「気持ちの問題」と監督に諭された千葉、最後の所で打たれなければ良いというシンプルな守備を敷いていたのが噛み合ったのだと思います。

一方千葉の攻撃、こちらもシンプルでした。
サイドで人数を掛けてのパス重視の攻撃と、中央のクレーベを狙ったロングパスからの攻撃。
特にサイドでは、トップ下に位置した工藤が左右両方に顔を出す分枚数をかけて厚い攻撃を繰り広げる事となり、水戸とは対照的に幾度もシュートまで持っていきました。
前半4分、右SB・米倉のクロスが跳ね返されたボールを佐藤勇人が拾って左に展開。
下平・為田・熊谷アンドリューの3人で攻撃を組み立て、最後は下平のスルーパスで抜け出した為田がシュート。(GK松井がセーブ)
20分には為田の左サイドのドリブルから、熊谷→下平→為田→工藤と渡って工藤が手前からクロスを上げ、クレーベがトラップするも左へ流れます。
もう一度左サイドで下平・為田・熊谷がパス交換をしてから熊谷が中央へパスを送り、これをクレーベはポストプレイで落とし、佐藤勇がミドルシュート。(枠外)
27分は熊谷が右に展開した後、米倉→茶島→熊谷と回ったボールを左にサイドチェンジ。
これを受けた下平がクロスを上げ、中でトラップしたクレーベがそのままバイシクルでシュート。(枠外)
着実にシュート数を重ねていく千葉の攻撃。

しかし先制したのは水戸で、前半31分自陣での黒川のロングパスから。
これを福満が裏へ走り込んで受け、エリア内左に進入すると尚もカットインを仕掛け、戻ってきた千葉ディフェンス全体(4人)をエリア内に追い込んだ後悠々とバックパス。
走り込んだ前がシュートを放つと、鮮やかにネットに突き刺さりました。

反撃に出たい千葉は33分、左サイドからの攻撃で熊谷の為田を狙ったパスが阻まれた後、中央でクレーベが拾って落としたボールを工藤がミドルシュート。(枠外)
先程述べたような、とにかく撃っていこうという気概が見受けられたのもこのシーンで、そんな気持ちがゴールに結び付いたのが39分でした。

水戸のクリアを跳ね返したボールを茶島がポストプレイでクレーベに繋ぐと、クレーベは遠目から思い切ってのシュート。
ドライブ回転がかかったボールは、GK松井のジャンプを越えてゴールに吸い込まれる同点弾。
積極的な姿勢が結果に結び付きました。

千葉とは逆に、昇格争いの激戦の渦中におり負けられない水戸。
前半アディショナルタイム、前の縦パスを受けた黒川はエリア内へスルーパスを出し、増嶋・米倉を紙一重で抜いた所にエース小川が受ける絶好機。
しかし小川のシュートはGK佐藤優也がセーブし勝ち越しはならず、前半を1-1で折り返します。

後半開始早々、水戸のチャンス。
ここも小川が倒されながらもポストプレイで繋ぐ紙一重のプレーで、受けた黒川が福満とのワンツーでシュートレンジまで持っていきました。(シュートはゴール左へ外れる)
しかし後半6分には、スローインで岸田がファウルスローを犯してしまう場面も。

水戸が若干押し気味という展開の中、迎えた後半13分。
ルーズボールを工藤が拾い千葉の攻撃、パスを受けた茶島は右サイドをドリブルで持ち上がってから米倉にパス、受けた米倉がクロス。
ファーサイドに走り込むクレーベに対し、水戸CBンドカ・ボニフェイスが止めにいきますが後ろからクレーベを倒してしまう形になり、審判の笛が鳴り反則・PKに。(ンドカにも警告)
スタメン出場が増えてからというもの、退場処分になる事2度と反則癖が抜けないンドカ、この日もやってしまいました。
このPKをクレーベが、GK松井の逆を確実に突くシュートであっさりとゴールし千葉が勝ち越します。

勝ち越された水戸は、17分に黒川→木村へと交代。
この日左サイドハーフとして出ていた黒川ですが、役割はFWの時と同じような、あらゆる場所に動き出してパスを受けるのは変わっていませんでした。
多彩な攻め手を作る役割を果たした反面、それがこの日の水戸の「ゴール前で難しい事をやろうとする」のに一役買ってしまった印象で、千葉には相性が良くなかったと推測します。
そして投入された木村ですが、彼も直後は黒川と同じような役割のプレーをしており、流れはさして変わらず時間が経過します。

水戸の攻勢は後半33分、清水→茂木への交代から。
34分右からのスローインを受けた福満、ゴールライン際で何とか折り返すと木村→前と繋がり、そのまま前がミドルシュートを放つもゴール右に外れます。
35分にはGK松井のフィードを小川が収め、右サイドに展開された後茂木が持ち込んでカットイン。
エリア手前右の位置からシュートを放ちますが、GK佐藤優がキャッチ。
その後(38分)、白井→レレウへと交代し左SHに入り、中央から逆サイドに張り出しがちだった木村がボランチにシフト。
これでポジション的には納まりが良くなり、さらに攻撃に圧を加える水戸。

一方の千葉は防戦一方ですが、そんな水戸の選手交代をベンチは静観し、3枚使い切った後にようやく初めての選手交代。(41分)
それは茶島→ゲリアとの交代で、3バックへとシフトするものであり、実質5バックにして守り切る策でした。(米倉が右CBにシフト)
折しも同時に水戸・ンドカが、クレーベとの接触で肩を激しく痛めてピッチ外に出されるアクシデントが起こっており、以降暫くは10人で戦う事を余儀なくされた水戸。
結果的にクローザーとして効果は抜群となりました。個人的にはクレーベをもう少し早く下げてプレスが出来るFWを出した方が良かった気がしますが

その後ンドカはピッチに戻りますが、肩を庇いながらの痛々しいプレー。
上位争いしているチームの執念を感じさせましたが、それが結果に結び付く事はありませんでした。
45分、右からの岸田のクロスが逆サイドに流れ、レレウが拾った後中央へパス。
これを受けた前がミドルシュートを放ち、GK佐藤優に防がれたのが水戸最後のシュートとなり、そのまま試合終了と相成りました。

長らく勝てなかった千葉が、台風一過で被害激しい地元に勇気を与える勝利、と結果的に良い具合に収まった試合。
それでも中身は水戸の方が上というような内容で、結果以外は順位相応なゲームだったと思います。
それでもまずはJ2残留を決める事が第一である千葉、それに向けての大きな勝利でした。

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