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DAZN観戦 2023~24AFCチャンピオンズリーグ グループH第6節 ブリーラム・ユナイテッドFCvsヴァンフォーレ甲府

2023-12-14 16:01:43 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • コイントスでコートチェンジ。
  • タイでの試合という事で、飲水タイムが前後半に設けられる。
  • ブリーラムは5節・浙江戦(2-3)での試合後の乱闘の影響で3選手が出場停止処分。シェイダエフ・ジェームズ・チティパットの3人。

甲府ベンチメンバー =GK渋谷 松田 山本 蓮川 小林 荒木 林田 鳥海 佐藤 三平 宮崎 ジェトゥリオ

前回のACLの記事-5節・甲府vsメルボルン(3-3)


日本での試合は全て終わったものの、世界での戦いはまだ続き。
既に1位通過が決定している川崎(グループI)を尻目に、甲府は非常にシビアな状況を強いられているグループリーグ最終節。

1位通過の条件としては、勝利の場合は、同時刻で行われている2位・メルボルン(vs浙江FC)が引き分け以下。
メルボルンが勝った場合は得失点差勝負となりますが、現段階でともに+2なためこの試合でより点差を付けた方が1位と非常に判り易い状況です。(同じならば総得点で勝負)
引き分けの際はメルボルンが6点差以内での敗戦で無条件(それ以上の点差だと浙江が上に出る)、引き分けの場合は得失点(以下略)ですが、ともに+2のまま変わらないので総得点勝負となるとメルボルンは出来るだけ点を取らなければならず僅かに甲府が有利。

甲府・メルボルンの双方が引き分け以下で、かつどちらかが負ければ、勝ち点差2で追うブリーラム・浙江にもチャンスが出て来るという混戦ぶり。
そのため、この日の相手であるブリーラムもモチベーションは全開という感じでしょうが、メンバー編成的には厳しく。
5節での乱闘騒ぎにより主力のシェイダエフが出場停止となり、かつ故障者も大量発生しているとの事。
そのため前節から4人の入れ替え(うち2人が最終ライン)を余儀なくされる厳しい状態で、僅かな望みに賭ける事となりました。

既にリーグ戦も終わり、二兎を追う戦いからは逃れられた甲府。
そのためアウェイの試合でもコンディションは良好という感じで、前線からの守備が冴え渡る立ち上がり。
そのプレス能力が不安視されるウタカも、前半8分にはプレスバックでチャウシッチからボール奪取してショートカウンターに繋げる働きを見せます。(奪ってすぐエリア内へスルーパス、走り込んだクリスティアーノが右ポケット奥からグラウンダーでクロスもクリア)

7分にクリスティアーノの右からのクロスを長谷川がファーで合わせヘディングシュート(ゴール左へ外れる)、9分には中央から長谷川がウタカとのパス交換を経てダイレクトでシュート(ブロック)と、良い感じでフィニッシュを重ねていく甲府。
しかし12分、GK河田のフィードが前方の松本凪に当たり乱れた辺りから風向きが変わり始め。(拾ったササラクがスルーパスも合わず)

試合も落ち着き始めたと見るや、甲府も最後方から地上で繋ぐビルドアップを敢行。
しかし14分にはそれに対するブリーラムのプレッシング、パスを受けに来る中村に対するチャウシッチのプレッシャーを見るや、井上は切り替えて飯島へ対角線の縦パス。
これが読まれてしまいピーラドルにカットされ、ショートカウンターになりかける(スパチャイへのパスが繋がらず)という具合に、速攻が出来ない状態での甲府の攻撃はどうしても今一つに映り。

そんな状況故に、徐々にブリーラムがポゼッションを高め、長短交えた攻めで甲府陣内でサッカーを繰り広げる展開に。
22分にはタナクリットが左奥を突いてカットイン、ポケットから中央への戻しを経てティーラトンがダイレクトでシュートを放つも井上がブロックと、何とか防ぐ甲府。
アウェイ故に、いくら最良の準備が出来たといっても守備で奔走されたくない所。

しかし意外な形で先制点が入り、24分にブリーラムが最終ラインから作り直さんとした所を、スポーンのトラップが大きくなった所を突いて長谷川がボール奪取。
そのまま左ポケットへ切り込んでシュートを放つと、クールズのブロックを掠めた結果ゴール右上に突き刺さります。
組織的なプレッシングというよりは長谷川個人の積極性によるショートカウンターで、先制を果たした甲府。

そのためか、リードを奪っても甲府はゲームを支配する事が出来ず。
ブリーラムの攻撃機会が膨らみ、自陣でボールを回されながらも何とか凌ぐという時間が続きます。

30分に飲水タイムが挟まれ、中盤でのフリーキックで中断したため、キッカー・ティーラトンの放り込みで再開させるブリーラム。(そのままゴールライン割る)
33分には微妙な判定でブリーラムの右スローインになり素早く始めるという、前節の先制を許したシーンを彷彿とさせる攻撃。
ここからブリーラムは繋いで、タナクリットのミドルシュートは井上がブロックするも尚も左サイドで拾って継続。
人数を掛けてのパスワークの末にティーラトンのクロスが上がり、ファーサイドでナルバディンのヘディングシュートがゴールを襲いましたが、これも井上がブロックして防ぎ。
同じシチュエーションでの失点は避けた甲府、その後裏狙いの攻撃で流れを変えに掛かり。

そして迎えた38分、左サイドでの組み立てから三浦はアーリークロスを選択。
これをファーサイドでウタカがボレーで合わせると、ラタナコーンのブロックでウタカのすぐ脇にボールがこぼれ。
すかさず拾ったウタカ、コントロールを経て放ったシュートがゴール左へと突き刺さります。
大きすぎる追加点で、ラウンド16進出に前進する甲府。

これで心が折れ気味となったブリーラム、以降はボールポゼッションも乱れがちとなり好機を生み出せず。
逆に甲府はそれを突くように、アバウトなボールで矢印を反転させます。
42分にGK河田のロングフィード、クリスティアーノを越えてバウンドした所にウタカが走り込み、ここからウタカ・クリスティアーノの2人で浮き球を繋いでいき右奥へ。
そしてポケット奥を取った中村から長谷川→飯島と戻されたのち、飯島がエリア内からシュートを放つも右ポストを直撃。

この冷や汗もののシーンで色を失ったブリーラム、その後甲府のスローインの連続で押し込まれた末に右コーナーキックに。
そしてキッカー長谷川のクロスをニアサイドで中村が脚で合わせ、ナルバディンが眼前でブロックするも、こぼれ球がファーサイドのウタカの下へ。
綺麗なお膳立てとなってしまい、すかさず放たれたウタカのシュートでゴールネットが揺れ3点目。
前半のうちに3点リードと、理想的な展開となった甲府。

一方厳しい状況となったブリーラム。
目安4分と長めのアディショナルタイムで、再びボールポゼッションを高めて攻め上がるも、フィニッシュには辿り着けず。

0-3のまま折り返しとなり、当然ながらハーフタイムで動いてくるブリーラム。
スパチャイ→アーティットへ交代と、1トップを入れ替えて後半に臨みました。

大きくリードした甲府でしたが、一抹の不安は長かった守勢の時間。
それ故に後半はボール保持の割合を増やしたい所でしたが、落ち着きたいという姿勢を強く出した所を突かれます。

後半3分、敵陣でボールを確保した所をチャウシッチの反則気味のアタックで奪われると、最終ラインでのパスワークからチャウシッチの縦パスで前進を図るブリーラム。
受けたピーラドルが中村の同じく反則気味のアタックで倒されるも、こぼれ球をダイレクトで裏へ送ったティーラトン。
これで甲府の前へのベクトルの逆を突く形となり、抜け出して受けたのは交代で入ったアーティットで、そのままドリブルで右ポケットを切り裂いた末にシュート。
前に出て来たGK河田の股を際どく抜き、ボールはゴール内へと転がって1点を返します。

切り替えの部分で上回られてしまった甲府。
やはり前半での浪費具合は激しかったようで、その後もブリーラムに支配される攻撃機会。

ブリーラムはビルドアップの形を修正してきたようで、ピーラドルが降りて最終ラインからのパスを受ける機会が増え。
それに伴いティーラトンが左ワイドの位置へ流れるという、ボールの出所を掴まえ辛くしたうえでの組み立てが冴え渡ります。
そして送られるロングパスには、投入されたアーティットの落としが強力で、セカンドボールを確保出来なくなった甲府は押し込まれ。
6分には左からティーラトンロングパス→アーティット落としというその狙い通りの流れを経て、タナクリットがダイレクトでミドルシュートを放ちましたが惜しくもゴール右へと外れ。

一転した流れのまま迎えた9分、左サイドでの運びからサイドチェンジを決めるブリーラム、ナルバディンのダイレクトパスを受けたピーラドルが中央から切り込み。
そしてエリア内へ進入してシュートを放つと、ブロックに入った井上の腕に当たった事で笛が吹かれます。
ハンドの反則で、井上が腕を上げていたためVARチェックの必要性も無くPKの判定に。(カードの類が出なかったのがこれ幸いか)
チャウシッチがキッカーを務め、右上に蹴られたシュートはGK河田の反応も届かない位置に決まり、これで2-3と一転して接戦に。

僅か10分で一気に1点差に迫られた甲府。
何とか突き放して楽になりたいという状況で、14分に再度ラフなロングパスから好機。
高いボールを足下で収めたウタカ、中央を前進していきペナルティアークから強烈なシュートを放つも、ゴール上へ外れてしまい追加点はなりません。
直後にそのウタカが退き、三平を投入。
同時に飯島→蓮川へと交代し、センターバックを増やして3-4-2-1の布陣を採る修正を図った篠田善之監督。

それでも中々それが嵌らず、左に張り出すティーラトンを掴まえられないのが最大の懸念に。
16分にそのティーラトンが溜めを作ったのち縦に速く運び、左奥からタナクリットのクロスが上がると、ノーマークのピーラドルがファーサイドで合わせ。
このヘディングシュートを、GK河田が右手一本で防ぐファインセーブと、寸での所で凌ぎます。

この流れは攻撃で切る、と言わんばかりに19分、ゴールキックから再びGK河田のロングフィードによるアバウトな攻め。
三平の頭を越えると一気に左奥まで到達したボールに、クリスティアーノが追い付いた事でCKに持ち込むという具合に、メンバー落ちの相手に対して脅威となり得ていたラフなロングボール。
この左CKから、クロスのクリアボールが真上に上がった所を井上が叩き付けるヘディングシュート、バウンドしてゴール上部を襲うもナルバディンがヘッドでクリアして決まらず。

多少強引にでも押し込んだ事で恐怖を覚えさせたか、24分にブリーラムベンチが動いてスポーン→ピヤワットへと交代。
するとシステム変更も敢行し、4-2-3-1へとシフトします。
(↓こんな感じ)

攻めの面では良好を保っていただけに不可解なものでしたが、甲府の布陣変更によるミラーゲームを避ける思惑だったでしょうか。

その不可解さ故か甲府ペースは続き、27分に中央から縦パス攻勢。
最初の中村→クリスティアーノへの縦パスはカットされるも、拾った松本凪のスルーパスを受けた三平が右ポケットを突く決定機。
しかし放たれたシュートはGKシワラクのセーブに阻まれます。
その後甲府ベンチも動くと、神谷→鳥海へと交代。
CBを1枚削った事で、再度4-2-3-1へと戻す策を採り、あくまで相手に合わせたミラーゲームを徹底しに掛かり。

この決定機により得た甲府のCKを挟み、ブリーラムベンチも慌ただしく動き。
29分に2枚替え、ピーラドル・タナクリット→タワチャイ・セクサンへと交代。
これによりトップ下のセクサンがボランチの位置に降り、それに伴いティーラトンが最前線に走り込むという具合に流動性は加速。
30分に挟まれた飲水タイムののち、再度攻撃権を支配するブリーラム。

ベンチワークも勢いに乗ったか、35分に早くも最後の交代を敢行しチャウシッチ→ジラポン。
これによりジラポンが右サイドハーフに入り、セクサンがボランチ・タワチャイがトップ下に回ります。

投入されたジラポンが良い位置でパスを受けては、突破力を発揮し右奥を突くという具合に攻めはさらに加速するブリーラム。
甲府も37分に最後の交代、中村・クリスティアーノ→林田・ジェトゥリオへ2枚替えを敢行するも、その流れは堰き止められず。
左サイド(ブリーラムから見て右サイド)を押し込まれ、クロスを上げら続ける厳しい展開を強いられます。
40分にはスローインの際に、こぼれ球を抱えた甲府コーチ(外国人っぽい風貌だったのでフィジカルコーチのウェイリントン氏か?)に対し、ナルバディンが強引にそのボールを取り返し。
それによりコーチが紛糾する事態となるなど、守勢故の苛立ちも垣間見えます。

何とかフィニッシュには持ち込ませず、時間を経過させる甲府。
それでも43分、自陣で何度もパスカットを見せて防ぎ続けるも、右からのナルバディンの縦パスがポケットを突く危機。
受けたタワチャイのクロスをクリアした所を、ササラクのミドルシュートが放たれましたがGK河田がこれをキャッチ。
こうした展開では、復帰を果たした守護神・河田の存在はやはり頼もしくありました。

攻勢止まらずといったブリーラムですが、3点目を奪えないまま時間は押し迫り。
アディショナルタイムに入った事で、クールズを前線に上げてパワープレイへと意識を切り替えます。
しかしパスを繋げていた状況故に、この転換は凶と出てしまい。
放り込みに終始した結果跳ね返され続け、やっとクールズが落としに成功したボールも繋がらずと良い流れは完全に止まってしまう事となり。

道中、判定への異議で篠田監督が警告を貰う一幕もありましたが、一転して危なげなく逃げ切りの道を構築する甲府。
そして目安の5分に差し掛かった所で、試合終了の笛が鳴り響きます。

価値あるアウェイでの勝利を挙げた甲府、これで勝ち点は11に。
そして他方メルボルンは、終盤まで1-0でリード。
しかし甲府の試合終了後もATは続いた結果、+9分に浙江の同点ゴールが生まれる事となり。
そしてそのまま引き分けとなり、これで甲府の1位が確定する結末となりました。
よってラウンド16進出が決定と、J2勢初の快挙に沸き上がり。
前年の天皇杯での快進撃そのままに「J2の誇り」を見事に体現した甲府、翌年へとその戦いは続きます。

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TV観戦 天皇杯 第103回全日本サッカー選手権大会決勝戦 川崎フロンターレvs柏レイソル

2023-12-11 16:00:27 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 柏は最終節(名古屋戦、1-1)で退場になったジエゴが出場停止。
  • 柏は途中移籍の犬飼・山田雄士が規定により出場禁止。(犬飼は浦和・山田雄は栃木で出場経験ありなため)

準決勝の記事-熊本vs柏(0-4)川崎vs福岡(4-2)


今年一年を締めくくるべくの天皇杯決勝。
元旦開催だった過去も、時代の変遷ともに移り変わりこの時期に。
よってACL組の川崎は6節を残して挑む事になりましたが、例外故に気にしない。

タイトル争いで、今年を象徴するであろうテーマは「初」。
J1では、神戸が首位の座を守り通して初のリーグ制覇を成し遂げ。
ルヴァン杯では、福岡が上昇機運を見事結果に繋げて初の戴冠。
しかしこの天皇杯においては、一転して既存タイトルホルダー同士のぶつかり合いに。

そしてこの新国立競技場は、一週間前には血で血を洗うようなJ1昇格プレーオフ決勝の舞台となった場所であり。
劇的展開によりヴェルディが涙の昇格に辿り着くという、物語を締めるに相応しいダンスとなり得ました。
そんな状況故に、いかに試合前セレモニーで盛り上げようとしても、果たして今季のこの戦いの流れを上回れるかどうかという懸念を失礼ながら感じてしまい。
サッカーの神もそれを強靭に感じ取ったのか、勝ち上がった2チームに対して用意した展開は凄まじいものがありました。

最終節で残留決定という、傍らから見れば汚泥に塗れた一年という柏の戦い。
それでも途中就任した井原正巳監督の下、落とし込まれた組織的守備は健在というのはこの試合(26節・マリノス戦、2-0)でも証明済み。
並行して戦ってきた天皇杯では何と3試合連続無失点で、準決勝はJ2勢の熊本に対しほぼ何もさせずという、その象徴のような戦いで完勝。
そしてこの日も、そのストロングポイントを如何なく発揮します。

前半3分、自陣右サイドで椎橋のボール奪取からサイドを移しながらの運び、片山スルーパス→山田康スルーパスで左奥を取りにいく攻め。(その後サヴィオが反則気味のアタックでボールロスト)
超コンパクトという守備布陣で、ボールを繋ぎに掛かる川崎から自由を奪った末に、ボールを奪って素早く運ぶというスタイル。
あの時のマリノス戦然り、主体的な攻撃を貫くチーム相手には一層効果的という感じで、立ち上がりから優位に立つ事に成功します。

川崎は今季の基本である、2-3-5という攻撃時の布陣でビルドアップを図るも、アンカー橘田へ中々ボールを託せず機能不全に。
柏の2トップ(細谷・山田康)はしっかりとパスコースを切ったうえでプレッシャーを掛けられるので、それを上回る術を見出せずに押し込まれます。
12分の好機は左スローインから、受けた瀬古が素早くサイドチェンジという奇策で柏の包囲網を破ったもの。
これをエリア内右角で細かく繋ぎ、脇坂の縦パスがこぼれた所をダミアンポストプレイ→家長ダイレクトでシュート。(立田ブロック)
一つ川崎らしいアタッキングサードでの崩しを見せたものの、それ以降は音沙汰無しで試合が進んでいきます。

優勢に進める柏も、川崎がプレスを嵌められずに結果的にリトリートの意識を高めた事でその地上からの攻めは冴えず、「ボールを握らされる展開」がチラつく状況に。
サイドからのアーリークロス中心で、ディフェンスが跳ね返したボールを拾ってミドルシュートというのが主なフィニッシュに。
14分から21分まで4度もエリア手前からのシュートを放ち、時にはワイドから果敢に狙っていくもゴールを奪えません。

それ故に狙いたいのはやはりショートカウンターで、26分にその機会が訪れプレッシングを嵌めた末に椎橋が前に出て右サイドでカット。
そしてその勢いのまま奥を取り、小屋松マイナスのクロス→椎橋フリックで中央で好機となり、細谷がボールキープの末にシュート。
囲みを突破できずブロックされ、拾った高嶺のミドルシュートで追撃もこれも脇坂のブロックに阻まれ、尚も繋いでサヴィオが手前から浮き球を右ポケットへ送り。
土屋の折り返しを経て小屋松がボレーシュートと攻め立てましたが、これも登里がブロックと、防ぎきった川崎。

連撃も決められなかった柏は、その後もペースを握りますが遠目からのフィニッシュへの傾倒傾向は変わらず。
山田康が山形時代さながらに、様々な場所に降りて相手のチェックを外したうえでボールを引き出す役どころに。
これにより川崎の重心を下げる事には成功するも、アタッキングサードでの崩しで川崎ディフェンスを上回れずといった流れでしょうか。

前半の終わり際には片山のロングスローを多用する等、強引にでも先制点を狙いにいく柏。
それでもスコアを動かす事は出来ずに前半が終了。
川崎は記録上はシュート1本のみ(40分の瀬古のミドルシュート・枠外、家長のシュートは眼前でブロックされたためか記録されず)という戦いに終わり、何とか巻き直しを図りたいハーフタイムとなり。

ともに交代は無く始められた後半戦。
川崎はその最初の攻撃(柏がキックオフも、ボールを捨てるかのようなロングボールで終了)で、パスを繋いでプレッシングをいなす事に成功した末に脇坂が高嶺の反則を受けた事で直接フリーキックに。
中央やや左という位置で、脇坂が直接シュートを放ったもののゴール上へと外れてしまい。

これでペースを確保したかに見えた川崎ですが、後半4分にはラフなロングパスにダミアンが走り込むという毛色の違う攻撃。
左奥で繋いだダミアンが、宮代のエリア内への浮き球を受け直し好機到来と思われましたがオフサイドに引っ掛かり。
やはり柏のプレッシングは脅威で、ロングボールでの攻めを増やしてきたようでした。
それでも流れを変えるには有効な変化となり、8分にカウンターに持ち込むと、橘田のドリブルを反則で止めた高嶺が警告を受け。

こうした流れを経て優勢に持ち込みたかった川崎でしたが、10分には左サイドでスルーパスを受けた片山の前進を反則で止めた脇坂に警告。
元来反則も辞さずの姿勢が強い柏に対し、応戦してしまった事で乱れがちとなり。
13分には柏のクリアボールを顔面で直接受けてしまった家長が倒れ込み。
22分には立田が顔から出血しピッチ外で治療という具合に、試合が止まる事で流れが掴み辛い展開へと突入した感がありました。

前半とは違いフィニッシュも膨らまずに推移する、難しいゲームとなり。
それを変えるべく川崎ベンチが先に動き、19分に瀬古・宮代→遠野・瀬川へと2枚替え。

24分左サイドから攻める川崎、パスワークの末に登里がエリア内へ送ったボールを脇坂がフリック、変化を付けて中央へ通そうとしたものの遮断され。
するとすかさず柏のカウンターとなり、こぼれ球をサヴィオが直接前線へ送ると、クリアに入った山村が触れずに細谷に渡る絶好機に。
抜け出して大南の後ろからのアタックでも倒れず切り込んだ細谷でしたが、ドリブルタッチが大きくなった所をGKチョンソンリョンに抑えられてモノに出来ません。
冷や汗を掻いた川崎サイド、このシーンで大南が足を攣らせてしまうなど苦境に塗れる最後方。
以降柏へと針が振れ始めるも、その柏サイドも32分のサヴィオのミドルシュート(ブロック→GKチョンソンリョンキャッチ)など、再び遠目からのフィニッシュへの傾向が見られ。

再び流れを変えたい川崎、32分にダミアン→小林へと交代。
一方の柏も同時に、小屋松・山田康→戸嶋・山本へと2枚替えを敢行します。

劣勢を受け、再びロングボールの比率を高めに掛かる川崎。
33分には空中戦の末に、瀬川のラフな浮き球に走り込んだ遠野がエリア内からシュート(GK松本キャッチ)と、どんな形でも得点を狙いにいく姿勢を強め。

それでもアバウトな展開は柏も望む所という感じで、サイド奥を取っての好機を作り出し。
再び乱戦模様となって来た終盤。
42分に3度目の交代を敢行する川崎ベンチ、大南と脇坂に代えてジェジエウとジョアン・シミッチを投入。
これでシミッチが居る時の基本形である、4-2-3-1へと形を移します。(遠野が右SHに入り家長がトップ下に回る)

お互いワンミスは許されないという空気が蔓延する中、突入したアディショナルタイムは目安8分と長丁場に。
その最中に柏は土屋・高嶺→川口・仙頭へ2枚替えと、延長戦も見据えたカードを切り。

川崎は右サイドからの前進で、偽サイドバック的にワイドの遠野からのパスを受けた山根がポケットを突く攻撃。
彼のヒールパスを受けた家長、ワイドに流れてキープする所を反則を受け、FKの好機。
キッカー遠野のクロスが跳ね返され、自ら拾った遠野の再度のクロスに、瀬川が合わせヘディングシュート。
しかしGK松本にキャッチされると反転して押し込む柏、右サイドからスローインの連続で漸進。
そして奥からのスローインがクリアされてコーナーキックになると、キッカー・サヴィオのクロスがクリアされるも仙頭が繋ぎ、左ポケット奥を取った片山がシュート。
しかし角度が足りずにポストを直撃し、最後は枠に防がれたという絵図で試合終了、もとい後半終了の笛が鳴り響き。
お互い譲らずに、延長戦へと持ち込まれました。

頭での交代は無く、追加された30分間の戦いが幕を開け。
仕切り直すかのように、再びボールポゼッションの意識を高めに掛かる川崎。
シミッチが加わった事で、最終ラインにボランチが降りて3枚での繋ぎという手法もやり易くなり。

こうした姿勢で攻撃権を確保したかった川崎ですが、やはり柏の強度の高さを上回れず。
延長前半6分、今度は柏が地上でのビルドアップを展開すると、右サイドで縦パスを受けた山本がカットインから中央へ展開。
これをシミッチが山本を倒してしまい、アドバンテージで継続と立ち遅れの絵図を見せてしまう川崎ディフェンス。
エリア内への浮き球パスはクリアするも、その後の繋ぎをミスして柏の攻めが継続した結果、シミッチが今度はサヴィオを倒してしまい反則。
良い位置での直接FKを与えてしまう結果となり(横位置は中央~左ハーフレーンのちょうど中間あたり)、サヴィオの直接シュートは壁を直撃と防いだものの劣勢感は変えられず。

すると9分空中戦で、片山の跳ね返しが直接川崎最終ラインの背後を取り、受けた細谷がGKと一対一を迎えます。
今度はエリア内でシュートに持ち込んだ細谷でしたが、GKチョンソンリョンがこれも前に出てセーブすると、左奥で拾い直した細谷のクロスも身体を張ってブロックするチョンソンリョン。
緊迫の展開で延長を迎えた影響か、ハイテンションぶりを見せ付ける守護神。
最終的にはこれが勝敗を左右する事となったでしょうか。

押し込まれた川崎も、13分に自陣深めからのビルドアップ、右サイドでボールを持った家長を軸に柏のプレッシングを剥がした事で落ち着きを取り戻し。
登里がドリブルに持ち込み、戻して作り直しとなったものの、再度柏にやらせない体勢を築きます。
(柏は14分に椎橋→武藤に交代、戸嶋がボランチ・山本が右SHへとシフト)

そうして延長前半を終え、後半開始という所で川崎は最後の交代。
小林が足を痛めてしまったようでインアウトを強いられ、CFにバフェティンビ・ゴミスを投入します。

このベンチワークを経て幕を開けた延長後半、川崎はフォーメーションを戻し再び4-1-2-3の布陣に。
シミッチをアンカーとして、遠野がインサイドハーフ・家長が右ウイングと元通りの立ち位置となりました。

その延長後半3分、GKチョンソンリョンからのビルドアップで、ロングフィードをしっかりと家長に通したチョンソンリョン。
右サイドで細かく繋いだ末に山根のクロスが上がると、ファーサイドで投入されたゴミスがジャンピングボレーで合わせにいきます。
アクロバティックなプレーを見せたものの、ミート出来ずに終わり。

一方の柏は6分、川崎のクリアボールを拾った細谷がそのまま右奥を取ってからの攻撃。
戻りながらのキープからの山本のパスを右ハーフレーンで受けた戸嶋、そのままポケットへ切り込んだ所にシミッチのアタックで倒れ込み。
しかしシミッチの脚は出されておらず、戸嶋が貰いにいったような形に移った(と思われる)事で反則無しに終わりと、一週間前のPOでの清水・高橋へ見せ付けるようなディフェンスで防ぎきります。

試合も最終盤を迎える中、8分に裏へのボールに片山の反応が遅れる(これをゴミスがポストプレイして好機も、その後オフサイド)など、流石に柏サイドも疲労感が露わになり。
最後は組織力云々よりも純粋な走り合い・気力勝負という展開に。

そして12分に川崎が決定機、敵陣でのポゼッションから、シミッチが戻して作り直すという体勢からの前方へのパスで裏を掻き。
そして右から山根がクロスを上げると、中央でゴミスが完璧に合わせたヘディングシュート。
GK松本がセーブするも跳ね返りがポストに当たり、更に自身に当たってこぼれるボールに家長が詰めにいき。
しかしそのシュートも至近距離でセーブし防いだ松本。
ここに来て両守護神の働きが光る展開は、PK戦へのシフトを暗示するものだったでしょうか。

ここからのCKの連続も防ぎきった柏。
最後は片山のロングスローに持ち込むも、こちらもモノに出来ず。
そしてスコアレスのまま延長後半も終了し、とうとうPK戦へと持ち込まれます。

我慢の展開の果ての最終決着の舞台と、最後を締めくくるには十分過ぎるものとなったこの試合。
コイントスにより川崎先行・川崎サポーター側のゴールを使用と決まり。

お互い攻めの中心選手が出て来るのが定例の1番手。
川崎は家長が蹴り、左足で右へのシュートを放ち、GK松本に触れられる薄氷のゴールとなり。
柏はサヴィオが蹴り、右足で右へのシュートと、利き足方向へのシュートで無事にGKの逆を突き。

そして2本目を迎え、川崎のキッカーは瀬川。
この瀬川、FC東京のディエゴ・オリヴェイラと瓜二つのようなモノマネしたくなる独特の助走・ステップを経てのキック。
右足で左へシュートしたものの、GK松本のセーブに遭ってしまいます。
失敗かと思ったのも束の間、松本がラインを離れるのが速いとのジャッジで蹴り直しと、独特の助走でタイミングを外したのが命綱となりました。
結局2度目のキックも同じ助走から、今度は逆の右へと蹴って決めた瀬川。
柏の2人目・細谷も成功させ。

以降山村・戸嶋・橘田と成功させ、お互い利き足と逆方向へのシュートで全て成功し、迎えた柏の4人目。
キッカーは仙頭で、ここも右足で左へシュートと定例通りに蹴ってGKの逆を突き。
しかし左ポストを直撃と、ここで失敗してしまった柏。

リーチが掛かった状態で迎えた5人目、川崎はゴミス。
途中出場後は技が光ったゴミス、ここであえて流れと反する利き足方向へのシュートを選択して右へ蹴り込み。
しかしそれが拙かったか、GK松本が読んでセーブします。
一方柏は武藤が右足で左へシュートと定例通りに決め、サドンデスへ突入。

これで流れが変わったか続く6人目、川崎は登里。
左足で放った右へのシュートはGK松本がセーブし、柏がリーチで後攻を迎えます。
決めれば勝利という所で、キッカーに選ばれたのは片山。
しかしゴール上部へのキックを選択した結果、ゴールバーを叩いてしまい決められず。
延長後半は疲労度を隠せていなかっただけに、精彩を欠いてしまう結果となりました。

これで継続し、以降遠野・山本・山根・川口・シミッチ・立田が成功。
特に9人目は、お互い利き足方向のシュートを決めるという具合に、読めない流れとなって来た所で迎えた10人目。

川崎はここで、ジェジエウを残しGKチョンソンリョンがキックに向かい。
勇んで右足で蹴られたそのキックは、試合中のフィードさながらの軌道でゴール右上を見事に射抜きます。
一方の柏は、古賀が試合中に足を痛める仕草をしていた影響か、こちらもGK松本が蹴りにいき。
この止むを得ずという姿勢が運命の分かれ道となったか。(まあ川崎サイドもジェジエウが復帰して間もないという要素がありましたが)
キッカー松本は素直に利き足と逆方向(左)へのキックを選択。
しかしそれは読まれ易く、完璧にGKチョンソンリョンにセーブされてしまい。
これにより決着となり、8-7で川崎が勝利に辿り着く事となりました。

最後は延長戦から続く、両GKの争いという絵図で分かれた勝敗。
松本は防ぎ続けていただけに、その敗戦は一層くるものとなってしまい。
それでも無失点記録を保って終えたのを誇りとし、来季に臨んで貰いたいものです。

一方、苦しい展開ながらも最後の最後に上回った川崎。
これで7度目のタイトルと、辛いシーズンながらもしっかりと栄冠を手にする、タイトルホルダーの貫禄も醸し出すクラブとなってきたでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第38節 ガイナーレ鳥取vs鹿児島ユナイテッドFC

2023-12-06 16:39:56 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 鳥取は、牛之濱が鹿児島からのレンタル選手なため出場不可。
  • 鹿児島の昇格条件は、勝利で無条件で確定。引き分けの場合は3位・富山が勝利で勝ち点で並ぶが、得失点差により富山が7点差以上付けなければ上に立つ。敗戦の場合は富山が引き分け以下。

前年同様に、昇格の可能性を持って最終節を迎えた鹿児島。
しかし追い掛ける立場で、かつ15点差以上での勝利という絶望的な最低条件だった前年とは違い、今季は2位を維持して臨む事が出来ました。
よって、仮に引き分けないしは敗戦で終わっても可能性が高いという状況であり。
それでも何が起こるか判らないのがスポーツの常であり、昇格を願うサポーターが大挙して鳥取のホーム・Axisバードスタジアムへ訪れ。
その中には鹿児島市長・下鶴隆央氏の姿も見られたとの事であり、まさにホームタウン一丸での総力戦。

周知の通り、鹿児島は2019年の1年のみJ2在籍の経験があるクラブ。
その時も最終節を残留争いの渦中で迎え、アウェイの地・福岡に大挙して訪れたサポーター。(当時の記事
21位・栃木とは勝ち点3差で有利な条件ながらも、敗戦を喫した事で願い叶わず。
逆転で奇跡的な残留を果たした栃木を尻目に、1年で降格する事となりました。

その当時に在籍しており、現在も残っている中原・五領・米澤・野嶽の4人全てがこの日のスタメンとは運命の悪戯か。
そして相手の鳥取も、春先は当時の監督である金鍾成(キンジョンソン)氏(現琉球監督)が指揮を執っていたクラブ。
さらに当時レギュラーの牛之濱が在籍(ただしレンタルなため出場出来ず)と、様々な因縁が交わる事となって迎えた運命の一戦。

有利ながら、それ故に受けに回ってはいけないという思いが先に立つ状況。
それに従い立ち上がりから積極的に仕掛ける鹿児島、前半2分にGK泉森のロングフィードから攻め上がり、パスワークの途中で遮断されてもすかさず奪い返す分厚い攻め。
鳥取のクリアもブロックで防いだ末に、五領が右からカットインシュート、ブロックされた跳ね返りをさらに野嶽がミドルシュートと連撃。
これもブロックされるも、引き続き右スローインから細かく繋いで渡邉が右ポケットからグラウンダーでのクロス。
中央で藤本が合わせたシュートがゴールネットを揺らし、早々の先制点かと思われたものの、シュートコースを変えにいった米澤がGKを遮ったとしてオフサイドに。
いきなりのぬか喜びで幕を開けました。

その後5分にラフなロングボールを増谷がクリアミス、藤本が抜け出したもののGK糸原が前に出てクリア。
そして勢い余った藤本と交錯して倒れ込んでしまい。
しかしこれが受難の始まりと言わんばかりに、9分にも裏へのミドルパスに走り込んだ藤本の前で、同じように飛び出してクリアした糸原。
そしてまたもや藤本と交錯してしまうと、今度はこぼれ球を鹿児島が確保して野嶽のロングシュートが襲ったため素早く戻った糸原。
ゴール上へ際どく外れと、肝を冷やしましたが幸い糸原に怪我は無く。

そんなGK糸原が大忙しという鳥取、そのビルドアップは一言で言えば右肩上がり。
鈴木順が上がる分、サイドハーフの田村が引き気味の位置に留まり。
それでも状況によっては、ノーマルな体勢から左の文が上がるという具合に柔軟性はあり。
16分にGK糸原からの組み立て、左での前進の姿勢から普光院がサイドチェンジ。
受けた鈴木順が前進して奥を突く姿勢ののち、中央への戻しを経て普光院がダイレクトでミドルシュート(戸根がブロック)と、長いパスで左右を揺さぶる攻撃で主導権を握らんとします。

それでも前述のクリアミス然り、後方の乱れが目立つ事で安定せず。
19分の鹿児島の攻撃、右サイドでの細かい繋ぎから中央へ展開、藤本がダイレクトで高いボールを右ポケットへ送り。
走り込んだ端戸がこれもダイレクトでラフに蹴ってのクロスを送ると、またも鈴木順のクリアが乱れた所を米澤が拾い、左ポケットからシュートを放つもゴール右へと外れ。
直後のゴールキックも、GK糸原のフィードが直接五領にカットされ、山口のスルーパスで素早く裏を突かれた事で再度前に出てクリアする糸原。

昇格を目指すクラブとの戦い故に、中々厳しい展開の鳥取。
救いとなったのがトップ下の常安で、特別指定として秋から加わった選手。
それ故に鹿児島にとっては未知の存在で、広範囲に動き回ってパスを引き出しつつ自ら突破を仕掛け、サイド攻撃を重厚なものに仕上げ。
そんな彼のエリア内を抉るカットイン(23分)や、中央からのミドルシュート(29分・岡本がブロック)というフレッシュなプレーにより、ペースを掴まんとします。

それでも、昇格に向けての先制点を欲する鹿児島は流れを渡さず。
30分台から、対角線を突くロングパスを巧みに使い深さを取る事で、守勢に追い込まれる鳥取。

そんな展開の中で36分、右サイドから攻める鹿児島、裏へのミドルパスに走り込んだ五領が奥からマイナスのクロス。
これをニアサイドで山口が合わせシュートし、GK糸原がキャッチ。
すると起き上がってスローを送らんとする糸原が、またも藤本と交錯した事でボールをこぼしてしまい、それを糸原が拾った事で鹿児島がハンドをアピールする事態となります。
流石に藤本に落ち度がある絵図故に、反則という形で再開する事となり。(つまりすぐに笛を鳴らさなかった主審が悪いという事で)

1試合で3度も同じ選手と交錯したGK糸原、その所為でやや珍妙な流れを迎える事となったでしょうか。
終盤の43分、鳥取が自陣で反則を受けると素早くリスタートを行い、世瀬が裏へロングパスを送ったものの走り込んだ田村はオフサイド。
直後の44分、今度は鹿児島が反則を受けたののち素早くリスタートし、野嶽の裏へのロングパスは左奥で米澤に繋がりオフサイドも無く。
そして戻しを経ての端戸のクロス、精度を欠いてファーへ流れるも、GK糸原も目測を誤り跳ぶも届かずという可笑しな絵図に。
その後クリアボールを収めにいった重松が反則を受けると、鳥取はまたも素早いリスタートを選択と、慌ただしい流れが珍妙さに拍車を掛けていた感がありました。

結局前半はスコアレスで終了となり。
鹿児島にとって気になる富山の状況(vsYS横浜)は、1-1という事で恐れていた大量得点は無さそうな雰囲気。

迎えた後半の入りも、前半同様鹿児島のハイテンションぶりが目を惹く流れに。
後半1分に左スローインから細かい繋ぎを経て、中原ポケットへ縦パス→山口受けて短いスルーパス→米澤受けて角度の無い所からシュート。
GK糸原にセーブされるもこぼれ球が中央バイタルという絶好の位置に転がり、すかさず渡邉がダイレクトでシュートしましたがゴール上に外してしまい。
前半と同じく、連撃で幕を開ける事となり。

その後の3分、再び戸根ロングパス→鳥取のクリアミスで拾った藤本が右ポケットからシュート(GK糸原キャッチ)と、前半のトレースのように好機を作る鹿児島。
直後にはパスミスを米澤が拾ってショートカウンター、端戸とのワンツーで左ポケットへ切り込んでシュート(ゴール右へ外れる)と、腰が定まっていない鳥取の後方を突かんとするも決めきれず。
しかし入りの攻勢が終わると、その後はこちらも前半同様、常安を掴まえきれない鳥取の攻撃に手を焼く流れとなります。

そして10分の鳥取の攻撃、敵陣右サイドでボール奪取した常安がスルーパス、受けた田村がポケットへさらに常安を走らせる浮き球パス。
ディフェンスに遭うも右CKとなり、キッカー普光院ファーにクロス→飯泉中央へ落としを経て、乱戦のなかボールを持った常安。
奥へ切り込んだ末に、スイッチ気味に増谷がシュートしましたがこれは常安に当たってしまい決められず。
しかし左へこぼれたボールを常安が拾い、カットインで再びエリア内を突いてシュートと継続、端戸のブロックで右へ流れたボールを普光院が拾う波状攻撃。
押し込まれ続ける事でさしもの鹿児島も焦ってしまったか、この普光院の切り込みに対し中原がスライディングを敢行した結果、普光院が倒れて反則の笛が鳴り響き。
よってPK献上という事態を招いてしまいます。
キッカーはゲットした普光院がそのまま務め、GKが絶対に届かないであろうゴール上部に見事に突きさしました。

鳥取が先制点を挙げ、追い掛ける立場となった鹿児島。
流石に負けてしまっては、4年前と同じく逆転されてしまう可能性が高くなり。
反撃に出たいものの、以降も鳥取の攻勢は続き、動き回る常安に対し四苦八苦。
16分には浮き球をコントロールしながらキープする常安に対し、バックパスした所を戸根がアフターチャージを犯してしまい反則・警告と、それによる被害も広がりを見せ。

その直後、GK糸原のロングフィードを中原が直接カットして攻め上がり。
左からのクロスと見せかけて中央へ戻し、渡邉が左ポケットを突くロビングを送ると、米澤がハーフボレーでダイレクトのクロス。
そしてファーサイド奥で藤本が中央へ落としと、右往左往するボールを最後に詰めたのは中原でしたが、GK糸原のブロックに遭い撃てず。
これにより前半同様に糸原が痛む事態となったものの、その後も無事にプレーを続けます。
一方千載一遇という好機を逃した鹿児島、その後は裏へのロングパスを多用する結果オフサイドを量産したり、無理に打ち込んだ縦パスをカットされたりと焦りが顔を出し。

優位といえる状況の鳥取ですが、この日は牛之濱が出場不可、富樫が離脱中という具合に前線の駒が不足気味。
スタメン1トップは既に今季限りでの退団が決まっている重松で、21分にお役御免となり。
すると代わって投入されたのも退団が決定している大久保と、最終戦らしい送別的起用となりました。
同時に鹿児島も、五領・藤本→武・鈴木翔大へと2枚替え。

何とか1点取りたい鹿児島ですが、25分には文が中盤でボール奪取して鳥取のカウンター。(その際武に倒されるもアドバンテージ、のちに武に警告)
大久保の右への展開を経て田村がクロス(合わず)と、その焦りを突かれる危惧は相変わらずであり。

その後セットプレーから、28分に(遠目のFKから)鈴木翔がヘディングシュート(GK糸原セーブ)、29分に(CKから)低いクロスをニアで中原が合わせシュート(枠外)と攻め立てるも決められない鹿児島。
直後の30分に2度目の交代を敢行し、中原・端戸→木村・山本へと2枚替え。

すると、投入された山本が直後に大仕事。
31分左サイドからの前進は山本がディフェンスに遭い阻まれるも、こぼれ球を山口→米澤と繋ぎ、受け直した米澤が中央へ向かいドリブル。
そして鈴木翔とのワンツーで前に出て来た増谷を剥がし、そのままエリアライン際からシュートを放つ山本。
これがゴール左へと突き刺さり、まさかのファーストプレイでの同点弾を齎しました。
息を吹き返すゴールに、沸き上がるアウェイゴール裏席と市長

キックオフの再開前に鳥取は2枚替え、田村・常安→吉井・小澤。
散々鹿児島ディフェンスを苦しめた常安がここで退き、以降東條がトップ下を務めます。
思えば鳥取ディフェンスもいきなりの山本の動きに対応できずと、どちらもトップ下の神出鬼没さがカギとなったかのような試合展開。

それでも攻撃権は鳥取が握り、鹿児島は以降失速気味。
武を裏へ走らせる事ぐらいしか出来なくなり、一言で言えば雑になってしまったでしょうか。

左サイドハーフに入った小澤の突破力を活かすという、シンプルな意識がこの押し迫った時間帯で逆に最大の武器となり。
35分にロングボールの跳ね返りを拾った小澤、ボールキープする所に武のチャージを受けるも、倒れながらもキープを続けて攻撃継続させ。
その後文のクロス→クリアを経て、受け直した小澤が左ポケットへ切り込む(ディフェンスに遭いCKに)という具合に、その存在が昇格目前のチームに脅威を与えます。
鳥取のチーム戦術も、サイドチェンジを駆使しながら如何に小澤に良い形でボールを持たせるかというものへと変貌。
39分にはその鈴木のサイドチェンジを受けた小澤、左ポケットでのキープを経てマイナスのカットイン。
そして戻しで東條のミドルシュートに繋げる(岡本がブロック)など、ゴール前で多彩な選択肢も齎し。
(41分に東條→知久へと交代、普光院がトップ下に)

敗戦を避けるべく、防戦を強いられる鹿児島。
42分に米澤が自陣からロングシュートを狙う(GK糸原キャッチ)など、その攻撃は最早組み立ての余裕が無く。
それでも鳥取の攻めを凌ぎ続け、この段階で富山も1-1のままと、仮に勝利でも大量点は不可能な状況なので昇格まで後一歩。

45分に再びサイドチェンジを受けた小澤に対し、武が対応して奪いきり。(その後小澤が武に反則)
ディフェンスがついに小澤の威力を上回った絵図を描いた事で、以降鳥取も失速してアディショナルタイムを迎え。

我慢を重ねた末に、GK泉森の鈴木翔を狙ったロングフィード、対する鳥取のクリアがフリックとなってしまい奥へとこぼれ。
拾った武がカットインでGKの眼前に迫る絶好機を迎えた鹿児島、糸原を左へとかわしにいくも、後ろ向きとなった武はバックパスを選択。
そして鈴木翔がダイレクトでシュートしましたが知久のブロックに阻まれ、昇格を彩る勝ち越し点は残念ながら挙げられず。
(その後米澤→広瀬へと交代、5バックシステムへシフト)

そして約5分間のATを凌ぎきり、ついに試合終了を告げる笛が。
引き分けで勝ち点1を得た鹿児島。
他方の富山は試合終了直前に勝ち越したものの、1点差勝利に終わったため得失点差では6差。
これが最後に響き、勝ち点62で同数ながらも2位に立った鹿児島の昇格が決定しました。

その道中は決して楽なものでは無く、勝てない時期もあり監督交代も敢行。
それでも28節以降2位をキープし続け、突き放せないながらも逃げきっての悲願達成となり。
かくして5年ぶりのJ2に挑む鹿児島、その「ボールを握る」スタイルも当時と同じ。
時を経ての洗練により、今度こそ通用する所を見せたい所でしょう。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第38節 カターレ富山vsY.S.C.C.横浜

2023-12-05 16:00:57 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 富山の昇格条件は勝利したうえで、2位の鹿児島が敗戦。鹿児島の引き分けでも勝ち点は並ぶが、得失点差で7の差があるので逆転は困難。

縺れに縺れたJ3昇格争い。
2位をキープする鹿児島が決定打を出せず、かといって3位以下のクラブもそのもたつきを突く事が出来ず。
その過程でライセンス交付により新たにJ2昇格の権利を得た奈良・沼津も、及ばずに脱落。
最終節にまで持ち込まれるも、鹿児島・富山の一騎打ちという状況には絞られました。

その富山、不利な状況なのは確かですが、前節・宮崎戦は6-0の大勝。
「ひょっとしたら得失点差も追い付くのでは……」という期待を抱かせたうえで臨めたのは好材料でしょうか。

試合が始まると、YS横浜の可変フォーメーションによるビルドアップが幕を開け。
3センターバックがスライドする事により2CBの状態となり、片側のCBが上がった反対側のウイングバックが降りるというシステム。
主に3CBは右へとズレ、左WBの中里が出口役となるのが基本となりました。
それでも、中里がボールを受けた状態から前に運べずに時間は過ぎていき。

お互い好機が生まれずに3分が経過すると、続く前半4分に痺れを切らしたか、吉平が遠目からシュートを狙った(枠外)事でファーストシュートに辿り着いた富山。
その後もフリーキックで好機を作る(6分)など、昇格への意気込みを感じさせる入りとなり。

しかし8分、YS横浜がGK児玉のロングフィードからの攻め。
これを佐藤がフリックした事で、一気に最終ラインの裏に流れたボールを、カバーにいった今瀬の後ろから走り込んだ松村が足を伸ばしてシュート。
GK田川も前に出ていたため、それはあっさりとゴールに吸い込まれる事に。
最初の好機を得点に結び付けたYS横浜とは対照的に、与えたくない先制点を対応ミス的な絵図で与えてしまった富山。

この得点ののち富山は一層硬くなってしまったのか、YS横浜に攻撃権を支配され。
最終ラインで繋ぎ、富山のプレスをいなしたうえでロングパスを送る「疑似カウンター」が冴え渡ります。
13分に再びGK児玉のロングフィード、一気に左サイド奥で道本が受けると、中里とパス交換→マイナスのカットインを経て低いクロスを送る道本。
これを中央で古賀がポストプレイ、大きく戻された所に走り込んだ大嶋がミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、可変した右CB(大嶋)がフィニッシュに絡む攻撃。
しかし大嶋はこれでテンションが上がってしまったのか、続く14分に富山のスローインとなった所ボールを蹴り出してしまい、遅延行為で警告を貰う破目に。

18分にもGK児玉のロングフィードから好機を迎えるYS横浜。
今度は佐藤が右ワイドで受けてマイナスのカットイン、ハーフレーンからミドルシュート。
そしてファーサイドで萱沼が跳び込むという二段構えを見せましたが、触れず枠外に終わります。

何とか追加点は避けた富山は、20分過ぎから反撃体制を整え。
YS横浜と同様にGK田川が前に出てビルドアップに参加、攻撃を組み立て始めます。
そして最終ラインは、神山が前に上がる右肩上がりの布陣となりつつ、安光がハーフレーンに絞るお馴染みの形。

23分にタッチを割って富山の左スローインになると、YS横浜の佐藤が副審に異議を唱えている間にさっさと始める富山。(吉平がクロスも合わず)
その姿は潮目が変わったと感じるものでしたが、その通りに以降怒涛の攻撃を仕掛けます。
前線にはレイリア・松岡・吉平と突破力のある選手が揃い、彼らを押し出しつつ繋ぎの色を高め。

その姿勢にYS横浜はすっかり守勢となり、何とか防ぎ続けるもセカンドボールも繋がれて押し込まれ続け。
33分にはこぼれ球をシルバがラフにロビングを送ると、二階堂のクリアミスもあり吉平が拾って左サイドから前進。
安光がワイドからカットイン、そしてハーフレーンからシュート気味のクロスを送ると、中央でシルバが合わせにいくもGK児玉が何とか抑え。
その後もYS横浜のクリア・ミドルパスを悉くカットする富山、分厚い攻撃を仕掛けて同点を狙いにいき。

肝心のフィニッシュは、33分の高橋駿・40分のシルバなど遠目からのシュートが目立った富山。
YS横浜の粘りを崩せないままアディショナルタイムに突入すると、今津の縦パスがレイリアに収まるという形での攻撃を連発。
残り時間(AT目安は3分)を無駄無く使うような縦に速い攻めを見せると、最後の攻撃は神山が上がる右サイドからの前進を経てのクロス攻勢。
そして安光の左手前からのクロス、ファーサイドへ上がったボールをGK児玉が目測を誤り、その奥で高橋駿が合わせヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし、既に今季限りでの引退を表明している男が、息を吹き返す同点弾を齎しました。
それと同時に前半が終了。

この時点で鹿児島(vs鳥取)はスコアレスで、気になる状況ながらも自身はとにかく勝つのみという富山。
その意気込みの通り、入りから積極的に仕掛けます。

後半2分、レイリアが左サイドのドリブルで奥を取ると、そこから横パスの連続を経て中央から松岡がシュート。(GK児玉セーブ)
いきなり脅かされる格好となったYS横浜、以降振り回される守備陣が反則を連発。
特に4分の、松岡のボールキープを萱沼が倒してしまった場面は(その後一目散に逃げるように下がったという態度からも)警告相当に見えましたが、何とかカードは貰わずに済み。

5分、右から大畑の対角線を描くロングパスが高橋駿に渡って左奥を突く、これも前半のYS横浜を彷彿とさせる攻撃。
ここから戻しを経て安光のクロス、GK児玉がパンチングで弾くもシルバが拾い、シュートを放つも道本のブロックに阻まれ。
7分に再び中里が(吉平に)反則を犯したYS横浜により、左ワイドからのFK。
キッカー末木のニアへのクロスをシルバがフリック気味にヘディングシュート、さらにGK児玉の手前に大畑が跳び込むという二段構えを見せましたが、惑わされず児玉がキャッチ。

ひたすら攻撃を浴び続けるYS横浜、9分に佐藤が右奥からマイナスのカットインを経てミドルシュート(GK田川キャッチ)と、やや強引なフィニッシュに見えましたが「やらなければやられる」というようなその心理状況は理解でき。
結局後半立ち上がりの好機はこれぐらいとなり、以降も富山の猛攻を受け続けた末に、流れを変えるべくの采配は19分。
一挙3枚替えという策を採り、松村・古賀・道本→柳・冨士田・ピーダーセン世穏へと交代します。

後半の富山の攻撃、押し込む流れは得ておりYS横浜のプレスの姿勢も収まりがち故に、安光もワイドに開いて両サイドバックが高目となる状況が目立ち。
サイドからの突破は容易となった感じですが、それでもYS横浜の粘りを崩すには今一歩足りず。

その隙を突かれるのは避けたい所で、22分にYS横浜の右CK。
キッカー中里が中央にクロスを入れ、佐藤と花房が跳び込むもGK田川がキャッチ、花房と激突して一旦こぼすもすかさず抑えて防ぎます。
しかしこのプレーで腰を痛める仕草を見せる田川。(その後も無事にプレー)

守護神の気迫にも応えたい富山は、23分にプレスバックを掛けて奪ったレイリアを冨士田が反則で止めて再びFK。
ここでクロスでは無くパスを選択したキッカー末木、そこからの攻めで右CKと、セットプレーが続き。
そして末木のクロスから神山がヘディングシュート、ゴール右を襲ったものの中里が寸前でブロック。
その後も右ポケットで拾ったシルバがカットインを仕掛け、萱沼に倒されるも反則の笛は鳴らずと、ゴールに近い所まで迫ります。
しかしYS横浜も26分に遠目からのFK、クロスの跳ね返りを拾った小島がミドルシュート。
大畑がブロックしてこぼれた所を大嶋がエリア内からシュート(枠外)と、こちらもセットプレーで脅かし。
得点が生まれるのはセットプレーから、という雰囲気にもなって来た試合展開。(このFKの前に、富山は吉平→高橋馨希へと交代)

その流れの通りに、28分にも柳の(安光への)反則・警告でFKを得た富山。
位置は左ワイドからで、例によって末木はニアのシルバにクロスを送ると今度は低いボールで、シルバは足でフリック気味にヒールで合わせ。
技ありのシュートを見せたシルバですが、GK児玉がキャッチと今度もしっかり防ぎ。

投入された特別指定の高橋馨も、小気味良い突破でチャンスメイク。
31分には高橋駿の裏へのパスを受け、そのまま奥を突いて入れたクロス、これがゴールに向かう軌道に。
そしてゴールバー上部を掠めて逆サイドへ流れる際どいボールとなります。

何とか劣勢を挽回したいYS横浜。
矢印を前に向けようとはするも、35分・36分と立て続けに中盤でボール奪取に遭うなど状況を代えられず。
センターバックの大畑も右ワイドに開いて持ち上がるなど、まさに怒涛の攻勢という富山。
37分にはその大畑のドリブルから、パスを受けた神山がワンテンポ置いてクロス(この間に大畑はエリア内にまで上がる)を送ると、中央で高橋駿がボレーシュート。
しかしこれもGK児玉がセーブと、こんな大事な試合で相手GKが当たっているのは苦難という他無く。

38分に2度目の交代に踏みきる外山、レイリア・高橋駿→柴田・碓井聖生へと2枚替え。
これにより碓井聖・シルバの2トップ(ないしはシルバトップ下の4-2-3-1か)となり、松岡が左SH・高橋馨が右SHと配置換え。
また碓井聖も特別指定であり、(ジョーカーの大野がベンチ外という事もあり)大事な局面でホープに託す事となりました。

終盤を迎え、尚も攻め込む富山ですが決定機を生み出せず。
その間にYS横浜は41分に萱沼→橋本へと交代。
富山は45分に末木・松岡→椎名・佐々木へと2枚替えし、とうとうATに突入。

どうしても後1点が必要な富山、自陣からのFKでも(GK田川が)放り込みを選択するなど、強引さを押し出す他無く。
左スローインから、投げ込まれたボールをシルバフリック→碓井聖ポストプレイと繋いでいき、高橋馨が中央からエリア内を突いてシュート。
しかし大嶋のブロックに阻まれると、抑えたGK児玉のフィードからカウンターを仕掛けるYS横浜。
受けた佐藤がドリブルで切り込み、左ポケットで溜めを作って浮き球のパスを逆サイドへ送るも繋がらず。
防いだ富山が逆カウンターに持ち込み、スルーパスを右サイドで受けた碓井聖から中央へパスが送られ、細かい攻防を経てこぼれた所をシルバがミドルシュート(ブロック)と慌ただしくなる戦況。
その後も大畑のアーリークロスを碓井聖が完璧に合わせてヘディングシュートを放ち、惜しくもゴール左へ外れという決定機逸に、悲壮感も高まる富山サイド。

YS横浜も最後の交代を使い佐藤→山本、「5-4-1で守れ」というベンチの指示とともにピッチに入った山本。
富山の猛攻に対し引き分け狙いも辞さずという姿勢であり、富山にとってやって欲しくないものだったでしょうが、最後の最後にドラマが待ち受けており。

その後得た右CK、GK田川も前線に加わる、まさに最後の攻撃。
キッカー高橋馨のファーへのクロスを大畑が折り返し、マイナス方向へ流れてしまうも、相手のクリアもミスとなり再び大畑の下へ。
これを頭から跳び込んで合わせにいった大畑に対し、クリアにいった二階堂の足が顔面に入ってしまう事となり。
すかさず反則の笛が鳴り、倒れ込み出血も発生した大畑の姿からも、どう見ても言い訳出来ないPKのジャッジ。(二階堂に警告)
絶好の勝ち越し機ながら、時間的にも逃したらその時点で昇格ならずという厳しいキックとなり、キッカーを務めるのはシルバ。
そして左へと強く蹴り込み、GK児玉のセービングも届かずゴールネットを揺らします。
ついに挙げた勝ち越し点に、沸き上がるベンチサイドとスタンド。

しかしそれは一瞬のひとときで、キックオフ直後に鳴った試合終了の笛。
すると全試合同時刻開催故に、無情にも鹿児島が引き分けた(1-1)という報が知らされる事となり。
よって勝ち点62で並びながらも、得失点差により2位鹿児島・3位富山が確定。
本当に後一歩で昇格を逃す形となった富山、その試合後はとても勝利の雰囲気にはなれず。

イメージ的には、2003年のJ2が被るでしょうか。
勝ち点1の差で昇格を逃してしまった川崎、ホーム最終戦の勝利も(悔し)涙の方が圧倒的に多くなり。
そこから川崎は翌年昇格、以降J1で強豪の地位を築くに至ったのは周知の通り。
3年連続で昇格争いに絡んだ富山も、この無念さを一つの切欠として上昇機運に乗って貰いたい所です。

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DAZN観戦 2023~24AFCチャンピオンズリーグ グループH第5節 ヴァンフォーレ甲府vsメルボルンシティFC

2023-12-01 18:16:23 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • リーグ戦終了から大分経っているので、ターンオーバーの必要性も無し。甲府は42節(山形戦、1-2)でのスタメンを8人起用、例外は関口・松本凪・ウタカの3人。
  • メルボルンは監督交代があり、11/1付でラド・ヴィドシッチ氏と契約解除し、アウレリオ・ヴィドマー氏が就任。

甲府ベンチメンバー= GK河田 山本 神谷 マンシャ 小林 荒木 松本凪生 松本孝平 飯島 宮崎 クリスティアーノ ジェトゥリオ

前回のACLの記事 -4節・甲府vs浙江(4-1)


メルボルンは、リーグ戦の不振で監督交代を敢行。
つまり甲府は、1節での対戦時とは別の人物が指揮を執るチームと相対する事となりました。

その新監督のヴィドマー氏は、Jリーグでもプレー経験があり、1998~1999年に広島に在籍していた人物。
晩年という事もあり際立った活躍は出来ずでしたが、2007年から監督業のキャリアを積み始め(スタートはアデレード・ユナイテッドFC)、ACLで古巣の広島と対戦するなど実績は十分であり。
メルボルンは過去にも元マリノス監督のエリク・モンバエルツ氏が指揮を執っていた時期があるなど、Jリーグとの縁も深めつつある……とは言い過ぎか。

リーグ戦では振るわないものの、甲府と勝ち点で並ぶ首位タイという現状のグループリーグ。
つまりは直接対決であるこのカードで、甲府にとっては相手の出方が判らない状態での戦いを強いられた可能性があり。

しかし入りから積極性を押し出す甲府、いきなりの前半1分に中村のパスカットでショートカウンターの機会。(しかし戻して一旦作り直し)
続く2分にも、GKヤングのフィードを長谷川がカットして敵陣から攻撃開始、中央→右への展開を経て関口がクロス。
これをファーサイドで長谷川が脚で合わせましたが、ミートしきれず枠外に。

速攻を決められなかった甲府、逆に5分意表を突かれた末に失点する事となり。
その要因はスローインを巡る判定で、ハイボールのこぼれが右タッチランを割ると、甲府ボールだと思い込んでいた所にメルボルンボールの判定。
素早く投げ入れて攻めるメルボルン、慌てて守備隊形を整えるものの、後方からの右サイドバック・タルボットの上がりに対応できず。
ロパーネに中村が引っ張られたスペースで、ヤコリシュからのパスを受けた勢いそのままに、右ポケットへ切り込んでカットインからシュートを放ったタルボット。
ゴール右へ豪快に突き刺さり、「監督交代ブースト」の効果を示すように、早くも試合を動かす事となりました。

出鼻を挫かれた甲府でしたが、気を取り直して反撃体制に。
7分に右サイドからの前進で、鳥海のドリブルがベヒッチに倒されて反則、右サイドからのフリーキックに。
キッカー長谷川のクロスはクリアされるも小さくなり、エリア内左で拾った三浦がそのまま奥へ切り込んで再度クロス。
これを井上が合わせヘディングシュート、ゴールネットを揺らして同点に。
失点を即帳消しにする事に成功します。

この日のメルボルン、監督が代わったのが影響しているのかは不明ですが、前回対戦時からはビルドアップを微調整。
最初から左肩上がりの隊形を採り、右SBを残した3枚の最終ラインを根底とした組み立てを図ります。(前回は後半からこの布陣)

それによりポゼッションはかなり安定化していたようで、甲府は立ち上がりの好循環を終えると、1トップがウタカという事もありプレッシングは控えめに。
何度か、ボランチを切りながらウタカ・三平が交互に最終ラインにプレッシャーにいく事がありましたが、その際もセンターバック同士のパス交換で冷静にいなすメルボルン。
こうした「2人でのパスの繰り返しによるいなし」はJリーグではあまり見られず、プレッシャーを掛けられると直ぐにサイドに逃げるのが当たり前となっている感があり。
何気無い(と言っては失礼ですが)オーストラリアのクラブのこうした様相からも学ぶ事はまだまだあり得る、なんて事を考えさせられました。まあ1節のメルボルンもサイドに逃げては詰まらされる事を繰り返していましたが

試合の方は、そんなメルボルンがボールを握る時間が長くなる展開ながらも、フィニッシュの方は膨らまずに推移。
その隙を突きたい甲府は、地上からの攻めでは左SB・三浦の推進力を多用する立ち回り。
彼と長谷川の二段構えで、ドリブルで左ポケットを突く攻めで相手を脅かしに掛かります。

それでも決定打が出ないなか、メルボルンは前回対戦時でもお馴染みの、ウイング同士のポジションチェンジを敢行。
27分の甲府コーナーキックの流れ以降、ヤコリシュが右・ナテルが左へと移ってのプレーに。

32分のメルボルン、敵陣でボールポゼッションを高めての攻撃で、サイドを振りながらのパスワークで揺さぶり。
そして最終ラインに戻したのち右から攻め、先制点のシーンと同じくタルボットを走らせる事を選択し、ナテルのスルーパスに走り込んだタルボットのクロス。
これをニアサイドでマクラーレンが合わせヘディングシュート、右ポスト外側を叩いてピッチ外に出るという紙一重のフィニッシュとなります。

肝を冷やした甲府ですが、ここから攻撃権を支配し押し込み始め。
34分の左CKではサインプレーを選択、キッカー長谷川がポケットへグラウンダーのボールを送り、鳥海はフリック。
ディフェンスに当たりこぼれた所を三浦が拾ったものの、ヤコリシュに倒されてボールロスト。
これにPKでは無いかと紛糾する甲府サイド、実際その後プレーが途切れた所でVARチェックが挟まれる事となりましたが、結局反則無しに終わります。
この日のジャッジはボディコンタクトという面ではかなり甘い趣がありましたが、このシーンでもその例に漏れず。

37分の三浦のドリブルシュート(GKヤングキャッチ)などリズム良く攻める甲府でしたが、40分に後方から関口のロングパスがロパーネにブロックされると、メルボルンのカウンターに。
ナテルのドリブルからの裏へのミドルパス、左ワイドで受けたヤコリシュがカットインを経てエリア内からシュート。
しかし逆起点となった関口が戻ってきてブロックと、何とか防ぎました。

同点以降、一進一退という大まかな流れだったものの、迎えた43分。
井上のロングパスが一気に最終ライン裏に送られると、鳥海とグッドとの競争に。
その姿にGKヤングも前に出るかどうか迷いを見せ、お見合いのようになった隙を突き、ジャンピングボレーで合わせた鳥海。
ループの軌道でゴールへと吸い込まれ、その鳥海の果敢な姿勢とともに、スコアで一歩前に出た甲府。

勢いに乗った甲府はアディショナルタイムにも決定機、右往左往する空中戦を三平が前に送って終わらせ、受けたウタカがドリブルでエリア内を突き。
そして切り返しから左へ横パスを送り、走り込んだ長谷川がシュートを放ちましたが勢いが付きすぎて枠外に終わり。
追加点はならなかったものの、リードと好循環を保って(その後のメルボルンのボール保持の最中に)前半終了となりました。

ハーフタイムでの交代は無かったものの、休憩を挟んで心機一転という後半戦。
甲府はその精神の通り、開始1分のうちに二度敵陣でボール奪取と、フレッシュさを取り戻し。

一方追い掛けるメルボルンは、前半同様ボールポゼッションを重視しての攻撃に。
5分には甲府のプレッシングをいなして右から前進、ナテルの中央へのパスをロパーネがスルー、奥で拾ったアルスランがミドルシュート。(GK渋谷キャッチ)
反撃体制を整えるものの、7分には関口に奪われたヤコリシュがすかさずアタックを掛けた結果、倒してしまい反則・警告を受ける破目に。

中々暗雲を振り払えず、このまま「ボールは握るが得点には遠い」というポゼッションスタイルの宿命が危惧されたメルボルン。
10分にも長らくパスを繋ぎサイドを振りながら攻め込み、後方からのミドルパスが右ポケットを取り、受けたナテルがクロス。
これを三浦がブロックすると、ハンドのアピールをするメルボルンサイドを尻目に跳ね返りを繋いで甲府がカウンターに持ち込まんとします。
そして長谷川のドリブルがナテルに倒されて反則、警告が付き出されるというタイミングで、先程のハンド疑惑の所でのVARチェックに。
するとOFRに持ち込まれ、三浦の開いてしまった右腕にボールが当たる映像が映し出される事となり。
そして判定が変わってハンドとなり、メルボルンのPKへと移り変わります。(その結果ナテルへの警告は無しに)
これをアルスランがキッカーを務め、しっかりGK渋谷の逆を突いてゴール右へ蹴り込み。
同点となり2-2、点の取り合いといった様相に。

前へ出るには再び攻めなければならなくなった甲府。
その意思の通りに攻め込まんとするも、それが仇となり逆に相手の縦に速い攻撃も受ける事になってしまいます。
16分のカウンター(フィニッシュには繋がらず)に続き、17分にもグッド縦パス→ヤコリシュスルーでフリーのマクラーレンに渡り、そのまま左ポケットを突きドリブルするマクラーレン。
それを阻みにいったGK渋谷、かわされかけるも奥で何とか手で掻き出し、という所でオフサイドディレイの笛が鳴って命拾いします。

悪循環に呑まれるという所で先に動く甲府ベンチ、18分に林田・ウタカ→松本凪・クリスティアーノへと2枚替え。
流れを采配で変えんとしたその直後でした。
GK渋谷のロングフィードが跳ね返されると、ウガルコビッチがダイレクトでスルーパスと、またも縦に速い運びを許してしまい。
そして右サイドで受けたナテルのクロスにヤコリシュが中央で合わせ、ボレーシュートでゴールネットを揺らし。
交代から間も無い相手に、冷水を浴びせるような勝ち越し弾を決めたメルボルン。

その後も左サイドで三浦・長谷川が軸の二段階の攻めを繰り返す甲府ですが、前半のような勢いは無く。
25分のメルボルン、左サイドでの前進から再びベヒッチ縦パス→マクラーレン前方へポストプレイで裏を取り、受けたヤコリシュがエリア内を突いてシュート。
これもオフサイドディレイの笛に取り消されましたが、甲府は前節で度々オフサイドを取られながらも裏抜けを貫いた姿勢が、自身に返って来るかのような肝を冷やす展開を強いられます。

追い付かんと早めに動くベンチ、26分に鳥海・三平→宮崎・飯島へと2枚替え。
以降、クリスティアーノの広範囲な動きでスペースを作りつつ、フレッシュな2列目がその隙を突くという体勢に。
最終サインからの攻めも、これまでの左サイド重視から、右で上がってきた関口にパスを通すスタイルへと移行しつつあり。

守勢となってきたメルボルン、31分に動きアルスラン・ナテル→サキ・レッキーへと2枚替え。(ヤコリシュが右WGに戻る)
アウェイという事もあり、次第にボールポゼッションを守備、つまり時間を使う方向へと意識を高めます。

追い付きたい甲府、37分にCK攻勢に持ち込み、1本目の右CK。(キッカーはクリスティアーノ)
ファーへのクロスがこぼれた所を松本凪がボレーシュートで仕留めんとしましたが、GKヤングのセーブに阻まれ2本目へ。
クリスティアーノは今度は高いクロスを上げ、クリア→跳ね返しを繰り返したのち拾ったが松本凪が右ポットへロビング。
これをクリスティアーノが折り返し、宮崎がボレーシュートとまたもフィニッシュに繋げるも、今度は右サイドネット外と決められず。
一方防いだメルボルンも、GKヤングが足を痛めて倒れ込んでしまう等ダメージは隠せません。(その後無事にプレー続行、この間にヤコリシュ→ギャロウェイに交代)

甲府は39分に最後の交代、三浦→小林。
残り時間でどれだけ攻められるかという所でしたが、その最初の攻撃でやってくれます。
クリアボールを繋ぎ、拾ったクリスティアーノが右に開いてのドリブル、そのクロスに宮崎が合わせヘディングシュート。
再び前に出るのか迷ったGKヤングを尻目にゴール左へと突き刺さり、点の取り合いを象徴するかのように再び同点とした甲府。
これで3-3と、次が決勝点という雰囲気となります。

追い付いた勢いそのままに猛攻を仕掛ける甲府。
42分の長谷川のヘディングシュート(枠外)を皮切りに、敵陣でサッカーを展開し続け。
その中で、クリスティアーノがロングスローを入れるというレアもののシーンも披露する等、まさに形振り構わない体勢に。

巻き返したいメルボルンですが、スタミナ面の限界か一向に攻められず。
ATに突入して間も無く、こぼれ球を確保しにいったサキが飯島を倒してしまい、さらにこぼれた所を宮崎とマクラーレンがデュエル勝負。
ショルダーチャージで宮崎が吹っ飛ばされたという所でサキの反則が取られると、宮崎とマクラーレンがヒートアップを見せるという、反則に拘っていない選手がいきり立つという珍妙な絵図も生まれ。
このFKもクリスティアーノの放り込みから攻め→右スローインでクリスティアーノがロングスローと、アバウトな攻撃を繰り返す甲府。
その後最後の交代を敢行したメルボルン(ロパーネ→マッゼオ)でしたが、結局3-3以降一度も攻撃機会を得れず仕舞いとなりました。

その後も甲府は、クリスティアーノが右ポケットからシュートを放つも枠外と、依然として勝ち越しへの執念がピッチに表れる展開を続け。
しかし流石に4点目は生まれず、そのまま引き分けで幕を閉じる事となりました。
これで勝ち上がり決定は最終節に縺れ、甲府・メルボルンが勝ち点8、浙江とブリーラムが勝ち点6という2分された状況に。
甲府は得失点差でもメルボルンと同等(+2)なので、最終節がまさに運命の分かれ道となり。
2位になってしまえば、既に勝ち点9を得ているクラブが3つもあるので勝ち上がりには分が悪い。
甲府がアウェイ、メルボルンがホームなので、そういう意味ではこの試合は勝ちたかった所でしょうが過ぎた事を言っても仕方無く。
リーグ戦でのプレーオフ争い以上になるようにしかならないという状況ですが、果たしてJ2クラブの勝ち抜きという快挙は達成されるでしょうか。

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