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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第9節 V・ファーレン長崎vsサガン鳥栖

2025-04-17 16:00:34 | サッカー視聴記(J2)

※前回の長崎の記事はこちら(6節・秋田戦、5-1)
※前回の鳥栖の記事はこちら(6節・富山戦、1-0)

<長崎スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 水曜(4/9)にルヴァン杯2回戦(J1・湘南戦、延長1-2)が挟まる。そこからの継続スタメンは高畑・名倉・松本天の3名で、高畑は120分フル出場。また山田陸・増山・ジェズス・ギリェルメの4名が途中出場。
  • 6節で負傷交代した山口は以降ベンチ外が続く。

<鳥栖スタメン>

  • 松本凪がJ1・セレッソからレンタルで加入し、7節(熊本戦、1-3)から登録されて即途中出場。

巨大戦力かつ、圧倒的なホームスタジアム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)を持って昇格までひた走る。
そんな青写真を描いていた長崎でしたが、ここに来て連敗とそれが覆されかねない流れに。

故障者が膨らんだ事で、難しい局面を強いられているのが現状。
ジェズスを中心としたマンパワーも活きなくなり、かつディフェンス面の弱さが露出する格好に。
それを隠すべくの戦いを余儀なくされる中、「ホーム無敗伝説」に縋る事が出来るかどうか。
この日迎えたのは、長崎とは対照的に調子は上向きな鳥栖。

弱点を隠すための戦い。
即ち相手に攻撃機会をなるべく与えないという立ち回りが求められますが、幸い長崎のスタイルはそれに近く。
攻撃時では最終ラインでパスを多く繋ぎ、プレス回避を果たす事で保持の時間、つまり相手がボールを持つシーンを減らす事に努め。
守備時では既に持ち併せている「ハイブロック」の思考の通り、無理に奪いにはいかず相手の縦狙いをケアする事で、チャンスクリエイトさせないという意思を押し出し。
しかし客観的に、それは一重に消極的とも取れる印象を与える事にも繋がり。
それでも前年のスタジアム開場後の初戦(34節・大分戦、4-1)では、そうしたスローペースな立ち回りで入ったため、受け入れられる下地は備わっているはず。

かくして難しい試合に挑んだ長崎ですが、それを尻目に入りからボール保持に入ったのは鳥栖の方。
最終ラインから長短交えたパスワークで、山田寛のポストプレイも絡めて前進を果たし、ペースを掴まんとします。

それでも長崎の「ハイブロック」を受けるや、むやみに前進しないという姿勢をこちらも見せる鳥栖。
主に自陣で我慢の繋ぎを展開します。
名倉がFWの位置へと上がり、前線4人で規制を掛ける守備時の長崎。
それに対し、3センターバック+ドイスボランチの5人に加え西川が降りて数的優位と出口を確保するやり口(西川の他にも降りる選手がいると、長崎ボランチも前に出るので6枚のプレスをかわす事を強いられる)で、その間を縫いながら隙を探し。
崩しのキーとなるのはやはり1トップに入った山田寛で、長崎選手の間に位置して縦パスを受ける体勢を取る所に、櫻井を中心に出し手が素直に当てていくというのが主な手法となりました。

そんな相手の姿勢により長崎は、レイオフに喰い付いて崩される……という醜態こそ晒さなかったものの、自身が攻撃機会を減らされているような感覚に。
しかし12分新井晴から奪取して攻撃権を得ると、すかさずこちらもボール保持に入り、関口の右→左へのサイドチェンジは遮断されるもギリェルメが拾い直し継続。
そしてアタッキングサードに進入し、左からのクロスの連続と波状攻撃の末に、跳ね返りの確保からギリェルメがミドルシュート(GK泉森キャッチ)とファーストシュートを生み出しました。

それを受けた鳥栖、前述のような睨み合いの姿勢から、裏へロングパスを送る事も見せ始めますが有効打にはならず。
静かな立ち上がりから、徐々に前への意識を高めるという意識は伺えますが、一歩間違えると焦りにも繋がりかねないその思考。
18分、スリヴカのポストプレイが櫛引のアフターチャージを受け倒れた事で反則、櫛引に警告。
その焦りが長崎サイドに降りたかに見えましたが、直後の19分に再度スリヴカのポストプレイで繋がんとするも、ズレた所を遮断されて長崎の好機に。
そして敵陣右サイドで名倉がキープする所を西矢が反則と、激しいチャージ・判定という部分が顔を出し始める展開に。
しかしその負の部分を受けてしまったのが長崎の山田陸で、23分にスリヴカのチャージで足を痛めてしまい、起き上がるのに1分程かかるも何とかピッチ外→復帰。

そうした乱戦模様な時間帯をやり過ごした鳥栖は、保持時でパスのスピードを上げ、非保持時はプレッシングにウイングバックも加わり奪いにいく体勢に。
前半も半分を過ぎたからか、能動的に相手を動かす意識へとシフトした、という事が良く伝わる立ち回りへと移ります。
これに長崎サイドは難色を示し、特にプレス回避に四苦八苦。

そして31分その局面で、ボールキープする関口が新井晴のプレッシャーでロスト、拾ったスリヴカがすぐさまエリア内へ切り込むというショートカウンターに。
入れられた中央への横パスを山田寛がゴールへ蹴り込み、最短距離で見事完遂させて先制点に辿り着きます。
入念なゲームプランを感じさせる経緯で、リードを奪った鳥栖。

そんな相手の流れに付いていけず、綺麗に後手を踏んでしまった長崎。
水曜にルヴァン杯2回戦を戦い、延長までもつれ込んだにも拘わらずその際のスタメン選手を起用した事が拙かったでしょうか。
ここまでのスローペースもそれを考慮した感がありましたが、相手の変節の見極め・対処という面で、スピードについていけなかった感があり。

ともかくここから攻勢に入らなければならず。
ボール保持の姿勢は相変わらずも、サイドへ展開→鳥栖WBのプレッシャーで前進出来ずという事を繰り返し。
その背後を取る策も、鳥栖の守備組織はかなりのもので、周囲のパスコースを抑えられかつロングボールの出所にもプレッシャーを掛けられるのでままならず。
結局、サイドバックとウイングの2人掛かりでのサイドからの攻めで、入れ替わりを駆使して崩しに掛かる事ぐらいしか出来ずに時間を浪費していきます。

一方で「ハイブロック」の姿勢は変わらずも、鳥栖のパスワークがその間を果敢に縫っていく意識を強めると崩されるようになり。
40分、最終ラインからのパスを西矢が間で受けた事で右サイドから前進、スルーパスを受けた松田がカットインを経てミドルシュート。
エドゥアルドがブロックするも櫻井が拾い継続し、そのまま左ポケット奥へ切り込んだ所関口に倒されるも反則の笛は鳴らず。
攻勢どころか、際どい凌ぎを余儀なくされ反撃の雰囲気が高まらないという絵図に。

結局0-1のまま前半終了。
ギアを上げたい長崎ですが、ハーフタイムでは動く事無くそのまま後半開始を迎え。

そして変化が無かった事に従うように、その立ち上がりも鳥栖ペースが続き。
特に長崎のロングパスやクリアを回収してから攻撃と、長崎が前に出たいというタイミングで仕掛ける事で押し込み。
新井晴のロングスローも活用しながら(ただしセンターバックは上げない)、敵陣でサッカーを展開しリードを最大限活用していきます。

そんな中で、前半に足を痛めていた山田陸が、悪化させたのか早々に交代となってしまい。(後半5分)
加藤を投入し何とか綻びを見せずと振舞うも、山口の離脱が響いている状況が重くのしかかり、更なる苦境が襲い掛かるという雰囲気を変えられません。

覚悟を決め、最終ラインからボール保持での前進の体勢に入る長崎。
それでも鳥栖は前半のようなハイプレスに出る事は稀となり、リトリートに徹して「ボールを持たせる」状況を押し付けに掛かります。
それにより、山口不在の状態では中央から崩す意識も中々取れず(労せずして敵陣には入れるため、相手の前線五角形の中から崩す姿勢も殆ど見られず)、結局サイドからどうにかするしか無く。
奥へと切り込まず、手前からのクロスを連発する事でモノに出来れば……という攻め手が目立つのみとなりました。

そんな中、CBのエドゥアルドまで足を痛めてしまう事態が発生。
この試合のみならず、今後の事を考えてもこれ以上の負傷者は避けたい所でしたがそうも言っていられず。
併せて2枚替えを敢行し、エドゥアルド・名倉→新井一・フアンマへ交代。(ジェズスが一列下がりインサイドハーフに)
クロスの数が膨らんできた事で、フアンマに状況打開を託す形となります。

その直後の17分、左→右へのサイドチェンジを直接ヘッドで落とした増山、関口のリターンを受けると奥へ切り込みに成功してクロス。
ようやく崩した形で送られたこのボール、中央に走り込む松本天に合わせるものとなった所をGK泉森が掻き出すも、ファーに流れた所をギリェルメがヘディングシュート。
バウンドしてGK不在のゴールに向かったものの、井上が寸前でブロックと、訪れた決定機もモノに出来ませんでした。
肝を冷やした鳥栖は、19分にベンチが動き松田→上原へと交代。

20分の長崎、関口が対角線(右→左)のロングパスをギリェルメに送り、クリアのこぼれ球を拾ったギリェルメ。
こうした一手でサイドを変える行為も、中央を固める鳥栖の前では効果が薄く、ブロックの外で繋ぎ再び右へ移した末に関口のアーリークロス。
ファーへ上がったボールに、期待通りフアンマが合わせにいくも、跳び出して直接抑えにいったGK泉森と交錯。
そしてこぼれ球をジェズスがワントラップからのボレーシュートでゴールネットを揺らしますが、フアンマの反則で無効となり。
決定機逸に加えぬか喜びまで発生してしまった事で、精神的にも厳しい戦いを強いられます。

それでもフアンマ狙いの手法を続けていくぐらい、余裕は既に無く。
26分、FKでの二次攻撃で再度同じシチュエーション、ファーサイドに上がった(右から増山の)クロスをフアンマが合わせにいき。
しかし今度はその手前でキャッチしたGK泉森と、集中力を切らす事無く守り続ける鳥栖により不発。

その集中力というファクターは、主に守備面で試されるのは言うに及ばず。
相手がそうした戦いを続ける事で、自身がそれを喪失するに至ってしまったでしょうか。
幻のゴールの後ぐらいから、ギリェルメが前年観られたような、フリーマン的に動き回る姿勢となったのもそれに拍車を掛け。

28分、鳥栖は自陣深めでのボール保持という局面で反則を受けると、FKでの再開は相手の様相を見て素早い運びを選択。
櫻井が持ち運びから送ったスルーパスに対し、反応が遅れた長崎サイドは一気に最終ラインの裏を突かれる(慌てて櫻井にプレスバックするジェズスや、パスカットを空振りする新井一の姿が痛々しい……)事態を招いてしまいます。
そして走り込んだ山田寛のダイレクトシュートが、前に出てきたGK後藤の足下を抜いてゴールに突き刺さり。
仮にも攻勢を貫いていた状況も重なり、長崎にとっては致命的という他無い追加点となりました。

2点差となるも、それを挽回できる都合の良い手法はある訳も無く。
31分に双方ベンチが動き、長崎は高畑・増山→米田・青木へと2枚替え。
鳥栖は櫻井・スリヴカ→松本凪・日野へと2枚替え。

33分長崎の保持に対し、プレスバックで奪いにいった山田寛が、加藤へのスライディングが反則を取られかつ警告対象に。
それに加え倒れた加藤との交錯で痛んでしまった山田寛、ここで交代の運びと鳥栖サイドにも(自滅の形とはいえ)アクシデントが発生。
間を置かずに再度交代を選択し、山田寛・新井晴→新川・今津へと2枚替え。
今津が右CBに入った事で、井上が左WBに回りました。

それでも、自陣で5-4-1ブロックを固める体制は不変な鳥栖。
単純なクロス攻勢は避けたいという思考は伺えた長崎(39分に右奥を突いた関口がポケットへ横パス→さらに松本天がフアンマへ横パスもクリア)ですが、ポケットを突きにいっても鳥栖の人数を掛けるディフェンスが破られる気配は無く。
結局クロスを選択し、後をターゲットに託す他ありません。

コーナーキックも量産される中、何本もエリア内へ浮き球が上がりますがモノに出来ず。
43分にCKでの二次攻撃で米田がヘディングシュート(GK泉森キャッチ)、アディショナルタイムにこれもCKでの二次攻撃からクロスを櫛引が折り返し、中央でフアンマが合わせにいくも撃てず。
決してノーチャンスではありませんでしたが、半分運頼みの側面も強く出てしまう、苦し紛れの攻勢の感は否めません。

地上での好機は、中央でのパスワークを経て米田がフアンマとのワンツーで左ポケットへ進入と、変節で迎えたシュートチャンス。
しかし切り返しを経て放たれた米田のシュートは、上原がスライディングでブロックと身体を張られ実らず。

いよいよもって厳しくなる長崎。
その中でふとした事から鳥栖がカウンターチャンス、という所でこぼれ球を拾わんとした新川を米田が倒してしまい反則・警告。
このプレーに対し、カウンター阻止+ラフプレーによる一発退場を一斉にアピールする鳥栖サイドでしたが判定は覆らずと、一悶着あった最終盤。
これによるFKから、上原がエリア内へ入れたロビングが収まり、新川がシュートチャンスを迎える(ミート出来ず)も追加点は奪えず。
ひたすら専守を強いられてきた鳥栖、これが実に2点目以来の攻撃機会と、息継ぎもままならない中で良く無失点で凌いだと思います。

結局0-2のまま試合終了し、鳥栖が勝ち点3をゲット。
これにより、明暗分かれたシーズンの入りも、両者ともに4勝で並び勝ち点差は1となり。
決して長崎のような個の力は持つに至らない鳥栖も、昇格に向けた戦いに入る資格を得た一戦となったでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第9節 藤枝MYFCvsジェフユナイテッド千葉

2025-04-16 16:00:55 | サッカー視聴記(J2)

※前回の藤枝の記事はこちら(3節・秋田戦、2-1)
※前回の千葉の記事はこちら(7節・磐田戦、0-1)

<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 2節(今治戦、0-0)で負傷交代した楠本の詳細が発表され、全治約6週間との事で、今節復帰しベンチ入り。
  • 大森の負傷が発表され、2/25に発生して全治約10週間との事。

<千葉スタメン>

  • 谷田がJ3・鹿児島へ育成型レンタル移籍となり、前節(水戸戦、2-1)をもって登録抹消。

初黒星を喫した前回の磐田戦から、一転させる勝利を前節挙げた千葉。
それでも内容は水戸に押されっぱなしという、成績と内容のギャップとどう向き合うかは常に付き纏っているようであり。
試合前の放送席(解説=太田吉彰氏)で「勝っても慢心する選手は居ない」という千葉選手の談が語られていましたが、それは単に内容が芳しくない故の事にも取れ。

以前の得意手はハイプレスからのショートカウンターと、序盤からテンションを高める事で主導権を握りにいく戦い。
しかし今季はそれを改め、相手にボールを握られるのを許容しながら……という立ち回り。
勝利のためには何かを犠牲にする、とは良く語られる事ですが、今季の千葉にとってのそれがハイプレスなのは疑いようが無い。
そして磐田戦では逆に、ハイプレスに出るも敗戦という結果に終わっただけに一層覚悟が決まったでしょうか。
それを胸にこの日は藤枝のホームに乗り込むも、雨中の決戦と化した藤枝総合運動公園サッカー場。

悪天候の影響か、お互いパスミスが目立つ入りとなり。
前半3分にGKスアレスがキックミス、フィードが短くなり自陣で奪い合いが発生するも何とか収めた千葉。
その後高橋のロングパスもキックミス、しかし浮いたボールを自らヘッドで前へ送った高橋により攻撃開始と、前述のような「負の要素とどう向き合うか」という意思を感じる絵図となり。(その後右奥までパスワーク、石川がクロスもブロックされる)

そして続く4分、今度はGKスアレスから正当に攻め始め、地上での前進で仕切り直し。
千葉とは違い果敢なハイプレスを貫く藤枝ですが、その裏を突くように左サイドから素早く運び、椿のドリブルとストロングポイントに持ち込み。
ポケットへ進入の末にグラウンダーのクロスを通すと、全体前掛かりな藤枝故にフリーになっていたカルリーニョス、悠々と合わせたシュートでGK北村の股を抜きゴール。
早々に千葉に先制点が齎されました。

最後方の薄さもさる事ながら、日高と椿の間で受けた横山に対処できず(二度追いすべき千葉寛汰の寄せが甘い)、スルーパスを許したのが失点に直結し。
前からいったものの、高目に位置取る千葉のサイドハーフにより、ウイングバックがピン止めを受けていたのが影の決め手だったでしょうか。
その後も最終ライン~前線の間でパスを引き出す横山を止められずと、古巣対決である彼故に、昔の自分にやられている感が強まる展開を強いられます。

その後も、前への意識を高める事でで薄くなった後方を突かれるシーンが続き。
8分にまたもGKスアレスまで詰めにいくもロングフィードでいなされ、それをカルリーニョスが収める(その後椿へ展開もラインアウト)など、長短どちらを選択されても駄目という対応に。
全体浮つき具合を抑えられず、13分には横山の右へのロングパスを森が遮断するも、そのままヘッドでGKへ戻さんとした所を田中に走り込まれる決定機に。
そしてGK北村を抜くループシュートを放った田中ですが、戻った世瀬がヘッドでクリアと何とか凌ぎます。

前回懸念した、カルリーニョスのターゲットとしての疑問符も、試合を重ねた事で改善されたようであった千葉。
こうなると怖いものは無いというように、立て続けに好機を作る千葉。
15分、中央に張るカルリーニョスと対を成すように右へ開いた石川を利用して前進、そして奥からの石川のクロスにニアで跳び込むカルリーニョス。(僅かに合わず)
続く16分またも右に開いた石川から前進、今度はカルリーニョスのポストプレイも絡めながらのパスワークで、再度奥を取った石川がグラウンダーでクロス。
そしてニアに走り込んだカルリーニョスが合わせると、綺麗にGK北村のニアをぶち抜いてゴールに突き刺し、早くも2点目を叩き出します。
握り続けるペースを、スコアに反映させていく千葉。

全く攻撃の流れを作れない藤枝、高橋のバックパスが直接ゴールラインを割ってのコーナーキックが唯一の好機となったこの時間帯。
「良い守備から良い攻撃へ」という格言を、逆の形で示してしまいます。

尚も攻め込む千葉は21分、石川のボールカットからのカウンターで、田中の右ポケットへのスルーパスに高橋が走り込んでグラウンダーでクロス。
そして上がって来た石川が中央で合わせシュート、GK北村がセーブした跳ね返りを再度シュートと連撃も、これも北村のセーブに阻まれ。

プレスが機能しない藤枝ですが、それでも2点差の挽回のためには前に出るしか無く。
26分に再度その局面も、千葉は鈴木大→田口→日高と左ワイドで循環させ、前へ出れなくさせたうえでの中央への展開でいなし。
カルリーニョスのポストワークで左へ展開して椿がドリブルと、休む間も無いぐらい発揮される千葉の長所。
そして入れられた低いクロスをファーで合わせたのは石川で、またもゴールネットが揺れこれで3点目。
従来とは裏腹に(愛媛戦は除く)、大量リードを奪う事に成功します。

過ぎた事は仕方無いので、好機をほとんど作れない状況を改善したい藤枝。
地上での繋ぎは雨天の環境でパスミスも出ていたため、裏狙いとともにアバウトなロングボールをディアマンカが収めてくれる事を期待する、という振る舞いが中心だったこれまで。
当然ただボールを失うのみで、千葉のターンばかりになる事に繋がっていた感があり。

28分自陣で世瀬がボール奪取、千葉の攻めを切ったのちエドオジョンのドリブルへと持ち込みボールは右ワイドへ。
パスを受けた浅倉はクロスと見間違うようにサイドチェンジを敢行し、左奥で受けたシマブクのカットインを利用。
久々に突いたボックス内、そしてファーに上がったクロスを千葉寛が合わせヘディングシュート(枠外)と有効打を放ちます。
それでも31分、カウンターから椿のミドルシュートでゴールを脅かされる(右へ僅かに外れる)など、更なる失点との戦いも強いられ。

迎えた34分最終ラインから左へ展開、シマブクは1タッチパスを選択したためパスワークでの前進になると、待ち受けるのは開いていたディアマンカ。
そのまま奥へ切り込んでマイナスのクロスが入れられ、ファーまで流れた所をエドオジョンが合わせシュート。
日高がブロックするも、すかさず拾い再度シュートしたエドオジョン、ゴールに突き刺します。
クロスに対し日高がスリップしたためクリアを選べなかったという幸運が絡みましたが、ともかく文字通り反撃の狼煙を上げる事となりました。

勢い付いた藤枝は、守備面もさらに前掛かりとなり。
ピン止め状態を強いられてきたWBも果敢にハイプレスに加わり、千葉のSHには左右のセンターバックが開いて対応、と強気な姿勢に。
しかしそれが奏功し、今度は千葉サイドがロングボールを蹴らされる状況へと入れ替わります。

着実に攻撃機会を重ねていく藤枝、アタッキングサードまで運び、スローインで再度押し込みと「超攻撃(以下略)」に相応しく映るサッカーに。
そして40分その右スローインからで、浅倉がワンツーで奥へと切り込み、奪われるもすかさず久富が奪い返す分厚い攻撃。
人数を掛けて繋いだ末に、エドオジョンが入れ替わりでポケットを突いてグラウンダーでクロス、これを杉田がニアで合わせシュート。
ゴール左に突き刺さり、早くも1点差に迫った事で試合の行方は不透明なものとなりました。

千葉がロングボールへ傾倒し、かつ藤枝が圧力を強めた事で、ターゲットのカルリーニョスが激しいチャージに晒される事となり。
そして42分に森のチャージを受けて蹲るカルリーニョスを尻目に、攻め上がらんとした藤枝ですが審判団の待ったが掛かり中断。
するとこれに抗議を見せたのは須藤大輔監督で、負傷も疑われる中で正直その態度はどうなんだという絵図を生み出し。
そしてその通り警告を受けるまでに繋がり、過度な前掛かりの意識が仇となってしまいました。(試合後のコメントから、前半の出来に怒り心頭だった事が伺えその影響か)

これが尾を引いてか、その後(大量得点のためか、アディショナルタイムも目安5分と長い)はビルドアップの段階で千葉のカットに遭う場面を目立たせ。
左サイドの前進から、ハーフレーンで受けた千葉寛がシュートする(鈴木大がブロック)などノーチャンスではありませんでしたが、これ以上の得点は無く。
2-3のまま前半終了となりました。

ともに交代無くハーフタイムを終え、迎えた後半のキックオフ。
しかしその絵図は、いきなりカルリーニョスが度重なるチャージの影響か、脳震盪を疑わせるように蹲るという顔面蒼白ものとなります。
幸い無事が判明したカルリーニョスがピッチ外→復帰となり、仕切り直し。

千葉は藤枝の前進を切りたいものの、GK北村も加わるそのビルドアップの前には、得意手のハイプレスも封印せざるを得なく。
構える姿勢を貫くも、藤枝は6分に森が右ハーフレーンを持ち運びと、それを突いてから縦パスを通して好機。(その後エドオジョン→久富と経由してクロス→跳ね返りをエドオジョンがミドルシュート、日高がブロック)

これでその後の展開はほぼ固定され、藤枝は千葉をリトリートに追い込むも、そこからどう崩すかというものに。
8分、最後方へ戻したのちGK北村がロングフィード、これを杉田のポストプレイを経て左ハーフレーンで前進の体勢に入るシマブク。
切り込むと見せかけエリア内の浅倉へパスを送り、ポストプレイで返されたボールを中央寄りからのミドルシュートにまで繋げます。
ゴール右を襲ったものの、ポストを直撃と惜しくも決められず。

前半から一転、必死に守るのみとなる千葉。
12分に左ワイドからのフリーキックを得た藤枝、キッカーシマブクのクロスが中央に入ると、鈴木大のクリアが直接ゴールへ向かってしまうもののGKスアレスがセーブ。
自分らのミスも脅威となるなかで、何とか試合を落ち着けに掛かります。

田口を中心として、中盤の位置でボールキープに努める千葉。
20分に持ち込んだカウンターでも、右ワイドの位置でパスワークにより減速と無理をしない立ち回り。
これにより取り返したい藤枝は、焦りから田口に対し繰り返し反則を犯してしまった浅倉が警告を受け。(21分)
23分には森が直接エリア内へロングパスを送ると、千葉寛が収めたのちディアマンカに託し、ダイレクトでシュートしたディアマンカでしたが枠を捉えられず。
千葉の狙い通りに攻撃機会を減らされる事で、手数を少なくしたいという思考に囚われるようになってきたでしょうか。

そんな状況で、24分に双方ベンチが動き。
藤枝は久富・杉田→楠本・金子へと2枚替え、千葉は田口・カルリーニョス→品田・呉屋へと2枚替え。

千葉がベテラン勢を代えたのに留まったのに対し、藤枝は世瀬がアンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)気味へと布陣変更。
さらに最終ラインも、楠本が中央に入った事で、右に回った森の攻撃性が発揮され。
停滞気味だった藤枝に、再度燃料注入されたという展開になります。

主体的な攻撃のみならず、千葉のロングパスをカットする事で次々とゴールに迫り。
その中心が先程決定機を逃したシマブクで、突破力を盾としながら周囲を利用する事でボックス内を突き続け。
ワイドのみならず広範囲で動く彼に合わせるように、ポジションチェンジする金子・浅倉といった流動性も武器となり。

そんな中で千葉は28分に決定機、それも攻撃が途切れたのちのゲーゲンプレスを決め、奪った田中がすかさず右ポケットへ進入。
そして中央へ送られた横パスから石川がシュート(世瀬がブロック)と、劣勢からの一刺しを狙う展開に。

33分にまたも双方同時に交代となり。
藤枝は世瀬・浅倉→松下・梶川へと2枚替え、千葉は横山→エドゥアルド。

ここから千葉が押し返し、エドゥアルドを経由してのビルドアップで好機を連発させ。
39分に右サイドで高橋のボール奪取からパスワークに入ると、中央へ展開ののちペースを上げエドゥアルドがスルーパスで逆の左へと持っていき、椿がポケットへ進入して横パス。
そして呉屋が合わせシュートと、先程の決定機のような一刺しを浴びせましたがGK北村がキャッチ。

藤枝は総替えとなった中盤のトライアングルでも、流動性を保ち敵陣でポゼッションを高め。
しかし多くは求められず、先程の勢いは喪失する事となりフィニッシュに持ち込めない攻めを繰り返します。
(40分に千葉寛→松木へと交代)

ATへ突入してようやく、左サイドから細かな繋ぎでエリア内を突き、ディアマンカのシュートが放たれるも枠を捉えられず。
直後に千葉は日高→前へと交代しカードを使いきると、逃げ切りの姿勢に入り。
GKスアレスロングフィード→呉屋フリックで左奥へと運び、スローインも絡めながら時間を使っていきます。

それを何とか断ち切った藤枝、文字通り最後の力を振り絞り前進。
シマブクが突破力を発揮するなか、CBの中川創・森も流れの中でエリア内に入るなど総動員で攻め上がり。
そしてその中川創を狙ったクロスにより右CKになると、GK北村も前線に加わり。
最後の攻撃かと思われましたが、クリアボールを尚も繋ぎにいったのはその北村で、エリア内へ送り返さんとした所に呉屋のスライディングをまともに受けて倒れ込み。
当然反則の笛が鳴り(呉屋に警告)、敵陣で痛むGKというレアな絵図が齎される中、エリアからやや近めでのFKとこれが今度こそ最後の攻撃。
横位置は左ハーフレーンと、直接かクロスかどちらも選べる状況のなか、直接シュートを選び放たれるシマブクのシュート。
ゴール左を襲ったボールをGKスアレスがセーブと、最後は綺麗なシュートとファインセーブのぶつかり合いで締められました。
尚もその後金子のクロスがブロックされ、ラインアウトでCKと思われましたが流石にこれ以上の経過は許されず試合終了の笛が鳴り。

撃ち合いの前半から一転、ゴール無しで後半を終えたという激しい移り変わりとなった一戦。
最後はどんな形でも良いから勝利、そして昇格に結び付けたいという千葉の意識が上回ったでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第9節 ベガルタ仙台vsFC今治

2025-04-14 16:01:30 | サッカー視聴記(J2)

※前回の仙台の記事はこちら(5節・水戸戦、2-2)
※前回の今治の記事はこちら(4節・愛媛戦、3-2)

<仙台スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(秋田戦、1-0)出場停止だった武田はリザーブに留まる。
  • 7節(富山戦、1-0)で負傷交代した相良は以降ベンチ外が続く。
  • 有田の負傷が発表され、2/26に発生して全治約3ヶ月との事。
  • 名願がプロA契約を締結。
  • 中田(阪南大)の来季加入が内定し、同時に特別指定選手となり6節(磐田戦、2-3)から登録される。

<今治スタメン>

  • 水曜(4/9)にルヴァン杯1回戦(順延/徳島戦、2-1)が挟まる。そこからの継続スタメンは無しで、大森・梅木怜・Mヴィニシウスが途中出場。
  • 5節(富山戦、0-0)で負傷交代した山田の詳細が発表されるも、治癒期間は未発表。
  • 来季加入が内定している菊池(江戸川大)が特別指定選手となり、6節(いわき戦、1-0)から登録される。

今季の前半戦は、本来のホームであるユアテックスタジアム仙台(以下ユアスタ)が、芝の張替えのため使用できないという環境下の仙台。
その代用がキューアンドエースタジアムみやぎで、兼用スタジアムながらその規模はユアスタよりも上という代物。

過去には代表戦も開催されるなど、それを活かすべくの運用が図られていましたが、最大のネックには逆らえず。
それは一重にアクセスの悪さであり、山中に位置するため公共機関では行き辛く、最寄り駅から直ぐに着けるユアスタとは雲泥の差。
頼りになる自家用車も、代表戦など大観衆が必至な一戦の際は渋滞が避けられないものとなり。
シャトルバスがユアスタから発車する(一部路線)というシステムも、そんな苦境を皮肉っているようであり何とも。
そんな評判の悪さ故か、使用頻度は激減して現在に至っています。

仙台もそれを重く見てか、当初はユアスタのキャパシティ越えを見込む試合に使用するはずでしたが、2013年を最後に開催は無し。
かくして大きなハコモノを持て余す格好となりましたが、ひょんな事から出番が巡ってきた今季。
思い起こされるのが2019年の福岡(当時J2)で、当時のレベルファイブスタジアム(現・ベスト電器スタジアム)が使用できない序盤戦(ラグビーW杯に合わせて改修のため)となり、それに合わせるようにチームが低迷。
そのため今季の仙台も、縁起がどちらに転ぶかという所でしたが、立ち上がりはまずまず(4勝2分2敗)でとりあえずは一安心でしょうか。

ロースコアの接戦を制する形で連勝中も、この日の今治は目下攻撃力爆発中というクラブ。
難しい一戦となるのは避けられないなか、どう立ち回ってそれを抑えにかかるか。

その今治、序盤からロングボールを前線に当てる手法から押し込み、セットプレー攻勢に。
梅木怜のロングスローも交えながら敵陣でサッカーを展開し、前半4分には攻めが途切れた後のゲーゲンプレスで奪取してからの好機。
右ワイドからカットインした梅木怜の中央への戻しで、加藤潤がミドルシュート(枠外)とプレッシャーを与え。

直後の5分、仙台も石尾ロングパス→荒木とダイレクトで前線に届けると、今治のパスカットが乱れて左コーナーキックをゲット。
クロスの跳ね返りを石尾がミドルシュートにいくと、このフィニッシュが主審に当たるという珍事。
これにより途切れたため当然ドロップボールになりましたが、その位置はエリアからすぐ手前と、疑似的な直接フリーキックとも取れる仙台の好機に。
距離を詰めたい今治ディフェンスとの牽制のなか、主審が落としたボールをすかさず郷家がシュートしましたが、前に出たタンキがブロックで防ぎ決められません。

しかしこれにより仙台もオナイウのロングスローを交えながら押し込みと、逆の展開に。
10分にそのロングスローからの二次攻撃で、後方左サイドから石尾のクロスがファーに上がると、菅田が折り返し。
そして中央で宮崎が身体で合わせ、ゴールネットを揺らしましたが菅田がオフサイドを取られてしまい、無念のノーゴールとなります。

アバウトな攻勢が続いた事で、どちらが主体的な攻めの体勢に入るかという点が見どころとなり。
12分の今治、プレッシングを受けるも戻し→GK立川左へショートパスでいなすと、加藤潤が持ち運んで敵陣へ。
しかし結局は近藤がアーリークロス(ファーのヴィニシウスの前でGK林キャッチ)と、強力なスコアラーであるヴィニシウスを活かすような攻めは変わりません。

仙台が17分から、CKとロングスローを交互に続ける攻勢になり、その跳ね返りに対し外からミドルシュートを積極的に放ち。
勝利したとはいえ、前節シュート3本に終わった事を気に病むかのように立ち回ります。

それでも20分が過ぎると、仙台も最後方からボール保持で組み立てる姿勢に。
23分今治のゲーゲンプレスを浴びながらの保持も、石尾が巧にキープで剥がして繋ぎ。
そのまま左サイドを運び、鎌田が奥を取ってマイナスのクロス(ニアの荒木の前でクリア)と、地上からでも十分に勝負になる事を示し。
26分、荒木が降りてのレイオフで、スペースを開けた所を石尾が受けて前進開始。
そして鎌田のスルーパスを受けたオナイウが左奥からカットインでエリア内を突くも、撃たんとさらに切り込んだ所を奪われて実りません。
しかし27分、29分と立て続けにパスミスから今治のショートカウンターとなり、後者はヴィニシウスのミドルシュートに繋がり。(GK林キャッチ)

先んじて地上で繋ぐ姿勢を取った今治は、助っ人2トップを活かす立ち回りに加え、チーム全体も前進を急ぐ意識が強まり。
敵陣で得たFKも、素早くリスタートする場面が目立ちます。
37分には左ハーフレーンで加藤潤が反則を受けた所からそれを選択、近藤がそのままポケットまで切り込みシュートするも枠を捉えられず。

ここから停滞する試合展開、お互い保持の姿勢から何も起こせない、という絵図が続き。
そうなると、41分にオナイウが敵陣深めでボールカット(そのままゴールラインを割る)、42分にヴィニシウスがプレスバックで奪う(その後左サイドでパスワークも戻して作り直し)という具合にボールゲインが目立つのは必然となり。
続く43分には、今治の後方からのミドルパスを菅田がカットすると、今度はフィニッシュまで繋がり。
中央で鎌田が持井を剥がして左へ展開し、受けたオナイウが再びカットインで中央からミドルシュート。(GK立川キャッチ)
これで仙台に針が振れたか、その後は序盤のようにスローイン攻勢に。
最後はオナイウのロングスローからの二次攻撃で、右奥へ切り込んだオナイウのクロスを菅田が合わせヘディングシュート。(枠外)
得点する機会は何度か生み出したものの、結局スコアレスで前半終了となりました。

ハーフタイムでの交代は無く後半開始。
すると終盤の流れは引き継がれ、後半2分にGK林ロングフィード→郷家フリック→宮崎ドリブルが加藤徹に反則を受け。
これによるFKから、またもセットプレーで攻勢を掛ける仙台。

後れを取った今治は、後半になるとヴィニシウスが降りてパスを受ける場面が目立ち始め。
次第に劣勢になった事を受け、ダイレクトプレイとショートカウンターのみでは限界があると悟ったでしょうか。
ビルドアップの流動化に努めたヴィニシウスですが、その姿勢は報われる事無く、攻撃機会を得られず時間を浪費してしまいます。

10分には仙台の攻撃を切るも、大森のヘッドでのバックパスがズレてしまいCKを献上するなど、絵図的にも苦しいものに。
その左CKで、キッカーオナイウニアにクロス→井上フリック気味にヘディングシュート(GK立川キャッチ)と、セットプレーから着実にダメージを与えていく仙台。

その後主体的な攻撃へと移る仙台に対し、今治は反則気味のアタックでそれを阻む(そして多発する仙台サポーターのブーイング)という具合に退潮著しくなる今治。
ハイライトは16分で、リトリートに徹する今治に対し保持に入る仙台、井上の右→左へのサイドチェンジはカットされるもこぼれ球を尚も繋ぎ。
エリア内を突く→跳ね返しという応酬を経て、左からオナイウが切り込んでポケット奥からクロス。
ファーで跳んだ宮崎の奥で郷家が足下で収める絶好機が訪れましたが、シュートは加藤徹のブロックに阻まれ先制ならず。

どう見ても押され気味なのは明らかな今治、ベンチが動いたのが20分でタンキ→笹へと交代。
FWを1枚削ったその采配通りに、(笹がボランチに入り)3-4-2-1へとマイナーチェンジさせる手を打った倉石圭二監督。

これによりなし崩し的なリトリートから、意図的なそれへと意識を変えたでしょうか、5-4-1のブロックを形成し仙台を迎え撃つ体勢に。
以降仙台はボール保持するだけ、という状況に陥り。

そんな中で24分、仙台が敵陣で真瀬がボールカットしてショートカウンターに入ると、そのまま奥へ切り込んでグラウンダーでクロス。
これが合わずに終わると今治がカウンターに持ち込み、近藤が持ち運び加藤潤とのパス交換も交えて敵陣へ。
そして抜け出すヴィニシウスにスルーパスが送られ、オフサイドに終わったものの、堅守速攻の意図は十二分に伝わる攻防となり。

勝ち筋を見出したかに見えた今治ですが、28分に再度ベンチが動くと橋頭保であるヴィニシウスが退く事に。(藤岡と交代、同時に梅木怜→弓場に交代)
これでカウンターが成り立たなくなり、仙台攻勢の流れが再度生まれる事に繋がってしまいます。
こうなると、水曜のルヴァン杯の終盤でヴィニシウスを(後半42分から)出場させた采配に疑問符が浮かび、これと前半ヴィニシウス(とタンキ)にパワープレイをさせた事で消耗が早くなってしまった印象を受けました。
なお仙台はこれ以前の26分に動いており、松井・オナイウ→武田・名願へと2枚替え。

仙台はオナイウが退いたものの、代わって入った名願が彼顔負けの突破力を披露。
何度も左からのカットインで脅かし、大黒柱の不在で勢いを失う今治に見せつけるかのように攻勢に入ります。
33分、名願がカットインからヒールパスと変化を付けるも、今治の壁は破れずポゼッションを続け。
そして中央から鎌田が浮き球で縦パス、宮崎が1タッチで前へ送ったボールを荒木がスルーし、右ポケットへ流れる所に郷家が走り込む決定機に。
そのまま奥へ切り込みマイナスのクロスを入れた郷家ですが、ニアで遮断され合わずと、これもモノに出来ません。

完全に守勢に回る今治ですが、その分仙台も崩しが難しくなり。
かつ激しく当たってくる今治ディフェンスへの難色も大きくなるなど、前節とは打って変わって優勢故の難しさを味わう事となり。
前述の好機以降、攻撃機会が生まれない時間が5分程も続いてしまった末に、39分にFWを揃って代え荒木・宮崎→安野・グスタボ。
局面を変えるべく、新顔のストライカーに勝負を託す事となりました。(安野がこれが2試合目)

その2人へと浮き球パスを届ける攻めが中心となる仙台、39分にミドルパスを収めた安野が(ダニーロに)反則を受け、左サイドからのFK。
クロスの跳ね返りを拾った石尾がミドルシュートと、この日積極的に放たれるフィニッシュですが枠を捉えられず。

押されっぱなしだった今治、41分に最後の交代を敢行し新井・加藤潤→三門・ディニスへと2枚代え。
大ベテランの三門を投入したものの、シャドーでは無くボランチに入り。(笹がシャドーに回る)
晩年故に守備強度が無くなり、近年は一列前での起用が中心だったため意外な采配に映りました。

その変節が奏功したか直後の43分に地上での繋ぎ、GK立川が小さいフィードでプレスをいなし、収めたディニスから左サイドで前進。
縦パスを受けた笹が奥へ切り込み、鋭いクロスが入りましたが走り込む持井には合わず。
しかしその直後、グスタボが大森に反則を犯し警告を受け、自陣からのFKですが時間も押し迫っていたため放り込み。
その跳ね返りを拾った三門が右ポケットへ切り込んでシュート、菅田のブロックでゴール前に浮き上がり、これを笹が詰めてヘディングシュート。
しかし浮いてしまい決められず。

その直後、ロングフィードを収めたグスタボにより前進の体勢に張る仙台、武田がディニスに反則を受けこちらも遠目からのFKで放り込み。
蹴る前にアディショナルタイムへ突入と、切羽詰まった攻防へと移り変わるなか、その二次攻撃で辛抱強く攻める仙台。
右奥からクロスが上がると、ファーで郷家が体勢を崩しながら折り返し、中央のグスタボが収められずもこぼれたボールが郷家の下へ戻り。
素早く起き上がって放たれた郷家のシュートが逸れて菅田に当たり、ラインに出ようとするボールをさらに菅田が追撃に。
しかしコースにGK立川が立ちはだかったのもあり、ミート出来ず結局ラインアウトと、どうしても先制点が生まれない膠着した試合に。

この際立川がポストに激突して痛んだ事で、目安時間(+4分)がアテにならなくなるAT。
しかしその後はお互い蹴り合い、奪い合いという絵図が続き、一歩も退かないながらもフィニッシュへの導線は生まれず。
0-0のまま試合終了を迎え、引き分けに終わりました。

旋風を巻き起こしている今治ですが、この日はやや助っ人、特にヴィニシウス頼みの攻撃という印象が強く。
ボール保持の際は、右センターバックの大森の持ち運びなど光るものも随所に見られていただけに、活かす下地はまだ足りないといった所でしょうか。
前節長崎を粉砕した(4-1)その活躍は象徴的なものでしたが、果たしてそれが恒常性あるものかどうかが、今後の注目となりそうです。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第8節 ロアッソ熊本vsカターレ富山

2025-04-10 16:01:04 | サッカー視聴記(J2)

※前回の熊本の記事はこちら(2節・札幌戦、3-0)
※前回の富山の記事はこちら(6節・鳥栖戦、0-1)

<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(鳥栖戦、3-1)を境に、再びウイングバックを採用した従来の3-3-1-3へとマイナーチェンジした模様。
  • GKバーンズ・アントンがJ1・町田から育成型レンタルで加入し、今節から登録される。
  • 大本の負傷が発表され、2/20に発生して全治約4週間との事で、前節復帰して途中出場。
  • GK武者の負傷が発表され、3/8に発生して全治約6ヶ月との事。
  • 4節(徳島戦、0-1)で負傷交代した豊田の詳細が発表されるも、治癒期間は未発表。
  • 5節(山形戦、1-3)で負傷交代した阿部の詳細が発表され、全治約6週間との事。
  • ユース所属のGK小園が2種登録選手となり、前節から登録される。

<富山スタメン>

  • 前節(仙台戦、0-1)は井上がトップ下の4-2-3-1で、松田の起用により?再度4-4-2に。

札幌戦での快勝から一転、再び一筋縄ではいかないという成績を描いている熊本。
今季の新布陣(3-1-4-2気味)も、豊田をはじめ故障者という要素で思うように機能しなくなったようであり。
再びメインである、慣れ親しんだ3-3-1-3へと戻すに至りました。

前節は鳥栖相手に快勝と、J1からの降格クラブには滅法強い、そんな感想を抱かせる試合を演じ。
やはり特異な布陣かつ、昨今では貴重となった感のある地上でのパスワークにほぼ全振りしたかのような戦いは、慣れていない状態で相対すれば無残に粉砕されるのみであり。
そして今節は一転して、J3から上がって来た富山と対戦しました。
とはいえ、熊本のJ3時代にしのぎを削って来た相手である富山、大木武監督の戦術・傾向もある程度理解している(と思われる)だけに一筋縄ではいかず。

強風が舞い降りる環境となった、この日のえがお健康スタジアム。
前半風上となったのは富山で、それを活かすべく適度にロングボールを交えながら攻勢を掛け。
中央での持ち運び・ボールキープで溜めを作り、サイドバックを上げてのクロスに持ち込むもののフィニッシュには繋がらず。
シュート2本に終わったという前節の劣勢ぶりを、払拭するには至りません。

ならばと、守備で取り返す気概を見せる富山。
熊本の最終ラインからのボール保持に対しても、前線から規制を掛けてガッチリ組み合う姿勢で対抗します。
この日の熊本は、3バック+アンカーに加え、右の三島が後ろ残りで出口となるような位置取りが基本。
その分左の岩下に自由が与えられ、彼が広範囲で動く(当然後ろの組み立てに加わる事もある)が故のシステム、といった所でしょうか。
そんな熊本に対し、常時2トップ+左右のサイドハーフがベクトルを前に向けながら、構える事で容易に繋げさせない状態を保ち。

かくして、熊本にとっては動き辛い状況に持ち込まれる展開。
それを打開する李のロングパスも、向かい風という環境下で多用する訳にはいかず。
3バック+上村での組み立てで富山の前線を突破するに越した事は無いですが、それが果たせず、かつ右の三島にも伊藤のチェックが厳しく。
これ以上自陣に人数を掛ければ、富山もその分前に出てくるため「後ろに重い」状態になってしまう。(実際岩下が降りた際は6対5での剥がしとなっていた)
FWに縦パスを当てても、そのレイオフに対し激しく寄せられ防がれる場面が目立つなど、富山サイドの研究・対策はしっかりしているという感がありました。
崩しきれないため、止むを得ずというようにアーリークロスを多用するのがこの日の前半のハイライトであり。

そんなジリ貧状態の熊本に対し、自ら仕掛ける立場を得た富山。
17分、GK田川がキープしながら全体セットに入った中、布施谷が上がったのを見てそこへロングフィードが送られ。
その布施谷の落としはクリアされるも尚も浮き球を繋ぎ、右へ展開してスルーパスで奥を突く攻撃。(走り込んだ伊藤がクロスもブロックされる)
風も味方に付けながら、得意手の「高く上がるSB」を押し出しに掛かります。

押し気味に進める富山ですが、決定力に欠け中々フィニッシュに持ち込めず。
26分に植田のパスカットから素早い前進により左CKを得ると、この機をモノにせんとゴール前に大密集を作り。
そしてその密集の手前へ送られたクロスを碓井が折り返しと搦め手を見せ、シュートは撃てずも再度左CKに繋がると、今度はニア近め・ファー遠目に集まる体制に。
そして今度もファーにクロス→今瀬折り返しで、碓井が撃ちにいくもミート出来ず。
得点力をカバーすべく変化を付けますが、成果を上げられません。

富山が好機をモノに出来ずという展開が続くと、流石に慣れが生まれその勢いは削がれ。
それを突くかのように、30分以降は熊本の攻撃機会が続く展開に。
当然ボール保持が主体ですが、その体制からは前述の通り我慢を強いられ、ショートパスの連続で富山ディフェンスを寄せたうえで戻し→逆サイドへ展開といった地道な作業が続きます。
好機はむしろボールゲインからで34分、藤井のパスカットから中央を素早く運び、左ポケットを取った塩浜がカットインシュート。(植田がブロック)

最終ラインからの前進は我慢が続くうえに、敵陣でのパスがズレて終了というらしくない絵図が目立つ熊本。
膠着を打破すべく、後方で繋ぐなか大西が前線に上がるなど要所で可変を見せますが、それも手段の一つに留まるのみとなり。
富山は最終盤にセットプレーの好機を迎え(中盤中央からのフリーキック)、キッカー植田は直接エリア内へは上げずに左奥を取ったうえでのクロスを選択。
これをニアで松田がフリック気味に合わせヘディングシュート、しかしGK佐藤優がキャッチ。
攻めあぐむ状況をセットプレーで打開、という流れになりますが、結局スコアレスのまま前半終了を迎えました。

エンドが変わった後半、富山は前半のように風を利用する事は出来ない状態。
キックオフは追い風の熊本ですが、ロングボールは使わず最終ラインから保持に入り、あくまで富山の前線守備と交戦を選びます。
そして左へ展開ののち上村が1タッチで縦パス→塩浜ポストプレイ→半代でプレスを脱し、逆サイドへ展開して好機に。
渡邉のアーリークロスがファーでこぼれ、拾った岩下が左ポケット奥へ切り込みクロスと、多重に攻めた末にCKに繋げ。
そしてこの右CKのキッカーは袴田で、ターゲットタイプの彼故に何か仕掛ける、という予感の通りショートコーナー。
そして中央への展開を経て、上村が送った浮き球に対し袴田が入り込むという変化。
これは跳ね返されるも尚も渡邉が浮き球を送り、今度は塩浜がフリックで繋げた末に李が混戦のなかシュート。
ブロック→藤井シュート→ブロックと追撃もしますが、結局は決められません。
その後のCKは全て上村が蹴り、かつライナーでのクロスを主とするという具合に、徹底して変化を付ける姿勢はやはり膠着状態の打破が目的だったでしょうか。

しかしペースを掴んだ熊本、5分にも長らくポゼッションを続ける攻撃。
サイドチェンジも交えた末に、三島のパスを間で受けた藤井のドリブルが契機となり、エリア内で彼のパスを受けた半代が奥へ切り込み。
ディフェンスでこぼれるも拾った渡邉がクロス、藤井が合わせるもミート出来ずファーに流れ、拾った岩下がシュートしましたがGK田川がセーブ。
熊本らしいパスワークでの攻勢も、最後の牙城を破れず。

すると流れが富山に移るのは必然というべきか。
8分富山は6対5の状況に持ち込んでの前線守備を制する形で、岩下のレイオフに対し竹中がデュエルで奪取、拾った高橋が右サイドから前進→カットインを経てクロス。
そして松田がヘディングシュート(枠外)と、繋ぐ熊本に対し後半もその前線は脅威になり。

再び前半のやり直しというような展開も、富山は前半のようにロングボール主体にする事は出来ず。
先程のように嵌めて奪う状況を作れれば……といった所。
一方熊本は地上主体のなか、時折裏を突くロングパスを見せるものの、それが風により伸び過ぎて繋がらず……という絵図が目立つのみに。

そんな状況を動かすのは采配、そう言わんばかりに15分同時に交代を敢行。
熊本は渡邉→大本、富山は植田・伊藤→末木・浦。
負傷離脱から復帰した大本は言わずもなが、今季初出場の浦と、新たなサイドアタッカーに局面打破を託すような交代策に。

そしてこれ以降、大本と浦の経験値の差がそのまま出るように、熊本へと針が振れる試合展開。
三島の追い越しも交えながら、右サイドを抉っていく熊本の攻撃。
当然パスワークによる左からの攻めも見せながらのため、富山は全てに対応は出来ず撤退守備を強いられる事となり。
全員敵陣に入り込んでの保持と、やりたいサッカーへと突入する熊本でしたが、富山の粘りもあり中々フィニッシュは生まれません。

10分以上も受けに回る事となった富山。
それによる疲弊感を落ち着けるかのように、27分にGK田川がエリア外でボールを持つと、戻りながらのキープで中々前に出さず。
熊本サイドもそれを静観するも、動かないのを見て半代が仕掛けた所でようやくフィードを送った田川。
そのフィードをポストプレイで繋いだのは碓井で、これをヒントに彼を囮として他選手を抜け出させる意識を高めたでしょうか。
続く好機は中央から、末木のスルーパスに浦が走り込むも遮断されると、尚も繋いだ末に降りてきた碓井が縦パスの供給役に。
このパスを西矢がフリックし、エリア内へ抜け出したのはまたも浦でしたが、袴田に倒される格好となり(笛も鳴らず)決定機とはいきませんでした。
これ以降も、浦はサイドよりむしろ中央で、名前の通り「裏」抜け中心の立ち回りで貢献する事に。

30分にまたも両者同時交代。
熊本は藤井・塩浜→竹本・大崎。(半代が左ウイングに回る)
富山は竹中・松田→濱・武。(高橋がボランチに、布施谷が右SHに回る)

再開は富山のFKからで、これが右CKへ移るとショートコーナー。
クロスは上げずに戻しから右ポケットへの縦パスと先程の熊本のように変化を付けると、これを受けたのは浦。
そのまま奥へ切り込みますがディフェンスの壁は厚く、クロスもシュートも撃てず終わり。

それでも脅威を感じさせたのか、熊本ゴールキックでの再開では、選手を上げてロングフィードを送る体勢から意表を突いてショートパスを選択したGK佐藤優。
そして右から前進の姿勢を見せたのち裏へのロングパス、と変化を付けた末にCKと、お互い膠着からの変化合戦という様相も示します。
そんな苦労を重ねるも得点には結び付かず、試合は終盤に。

41分、熊本のロングパスをカットして敵陣で攻撃開始する富山、ここも降りる碓井を囮として中央から突破。
末木縦パス→武ポストプレイ→高橋エリア内へスルーパスと崩しかけましたが、抜け出した浦のシュートはオフサイドとなり無効に。
ひたすら浦を活かす攻撃も、ゴールを上げられないまま打ち止めとなり。
43分に布施谷→溝口へ交代(浦が右へ回る)したのちは、一度も攻撃機会を得られずとなりました。

最後の攻勢に入りたい熊本ですが、こちらも決定打に欠き。
45分に右CKを得ると、キッカー上村はやはりストレート性のクロスをファーに送り、袴田が折り返したボールに合わせにいく半代。
デイフェンスに遭い今度は逆の左CKになり、上村はまたもストレートのクロス、そして袴田が折り返しに入るという具合に貫かれるその手法。
しかし袴田は折り返しでは無くグラウンダーでの縦パスを選択、ゴールに向かうこのボールを混戦のなか岩下がトラップ。
ここから乱戦になるも、岩下が戻りオフサイドを取られてこちらも無効で終わりました。

負傷者も揉め事も起こらなかったため、アディショナルタイムは+3分という短さ。
熊本はそこで残っていたカードを使い、半代→松岡へと交代。
その投入された松岡が、左ワイドからカットインを経てシュートするシーンもありましたが、その行方は大きく枠を外して終わり。

結局スコアレスのまま試合終了となり。
難しい展開のなか、どちらも無理攻めはせず勝ち点0に終わるのを避けた、という終末だったでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J2リーグ第8節 レノファ山口FCvs愛媛FC

2025-04-08 16:00:15 | サッカー視聴記(J2)

※前回の山口の記事はこちら(5節・大分戦、1-1)
※前回の愛媛の記事はこちら(4節・今治戦、2-3)

<山口スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • GK糸原がJ1・湘南へレンタル移籍となり、前節(秋田戦、0-1)をもって登録抹消。
  • 5節で負傷交代した亀川の詳細が発表され、全治約5週間との事。

<愛媛スタメン>

  • 前節(大分戦、0-1)の3-4-2-1から、3節までの4-4-2へと布陣変更。
  • ユイェチャンがJ3・奈良へレンタル移籍となり、前節をもって登録抹消。
  • 4節で負傷交代した石浦の詳細が発表され、全治約3ヶ月との事。
  • ユース所属のGK亀山が2種登録選手となり、今節から登録される。

浮上の兆しが全く掴めない愛媛。
今節の前にはとうとう、低迷クラブの常である「お気持ち表明」と呼ばれる声明をHP上で発表するに至りました。

再度J3に落ちたくないのは疑いようの無い事実ですが、これも弱肉強食の世界の常であり。
発足時からJ3リーグの価値も上昇を続けているので、下から伸びてくる腕を払い除けるだけの力を付けなければならない。
センターラインの強度が失われ、かつ補強選手もそれを埋める事が出来ないとあれば、勝利が遠い状況を転換させるのは夢のまた夢といった所でしょうか。
そういう意味では、上位を伺う位置に居た前年の前半戦などは確変状態と言わざるを得ず、その波に呑まれるだけとなっている現状を打破する術は果たしてあるのか。

4バックへと戻して迎えた事で、相手の山口と同一フォーメーションとなったこの試合。
「オレンジダービー」という相称に相応しいような、ミラーゲーム故のプレッシャーをかわすべくの、山口のロングボール攻勢に早くも劣勢の色を示してしまいます。
前半2分こぼれ球の連続を経て板倉がラフにロビング、末永の胸での落としを収めた古川がバイシクルの体勢でさらにロビングと、浮き球で運んでいく山口。

この攻撃で左スローインに持ち込み、岡庭のロングスローをニアで松田がフリックも、流れた所を拾った古川からの戻しで二次攻撃に入り。
ボールは左の岡庭へと戻されると、鋭いアーリークロスがファーに上がり、これを古川が跳び込んで合わせヘディングシュート。
ゴールに突き刺さり、浮き球攻勢の締めに相応しく映る先制点を早くもゲットしました。

これで前節に続き、早々に追い掛ける事を余儀なくされた愛媛。
5分にも、山口の右スローインから、ターゲットの古川を越えたボールを細谷がクリア出来ずに逆方向へ。
そして有田が中央突破を経て左ポケットへスルーパス、走り込んだ岡庭のグラウンダーでのクロス(ニアの末永に僅かに合わず)と、動揺を隠せないといった守備陣。
落ち着きを取り戻す作業から始める事となり、そのため2トップ(村上・田口裕)を狙ったロングボール中心の立ち回りに入り。

立ち上がりの10分が過ぎ、主体的にゲームを動かしたくなる時間帯に。スコアはもうすでに動いていますが
11分に山口が田邉のパスカットからカウンターを展開するもシュートには持ち込めず、クリアボールを拾った細谷に対しゲーゲンプレス。
しかし愛媛はこれを地上でパスを繋いでいなし、甲田が中央突破する状況を作ります。(古川のプレスバックで奪われる)

ここから左サイドでの繋ぎを主とする愛媛。
15分に再び細谷から黒石→窪田と繋ぎ、窪田の浮き球パスを田口が(松田に)倒されながらも胸でスペースへと落とし、そこに窪田が走り込んで好機到来。
そのまま奥を取って入れたクロスを、ファーから走り込んできた甲田が折り返し、そして村上が合わせシュート。
流れは完璧だったものの、甲田のパスがややズレたため枠外に終わってしまい同点とはなりません。

好循環を生み出したと思ったのも束の間、18分にはその左サイドでの前進を立て続けにパスカットで遮断する山口。
これで芽を摘まれる格好となった愛媛、逆に流れに乗った山口が主体的な崩しを見せるターンに。
23分に田邉の左への縦パスからの繋ぎで、バックパスで引き付けた所に岡庭がミドルパスを裏へ供給、走り込んだ末永より先にクリアされるもそれをブロックで防ぐ末永。
そして拾い直すと左奥からカットイン、ポケットに進入してシュート。(福島がブロック)
その後も中盤の底、とりわけ2トップの間でパスを受ける田邉を軸としながらビルドアップに精を出す山口。
各個の対応を見ても、パスを出す際はしっかり愛媛のプレッシャーを引き付けて送るという意識が備わっており。
全体ロングボールでのビルドアップが目立つ山口の攻撃ですが、地上でもこうした前進のための下地は前年に続き健在である、そんな印象を残すに至りました。

対抗したい愛媛、26分に再び左サイド深めでゲーゲンプレスを受ける状況からスタートすると、窪田のボールキープからのサイドチェンジで右へ展開。
このボールを福島がワントラップで岡庭を剥がして回避に成功し、前進を経て左へスルーパスを通して好機。
奥で溜めを作った田口裕、カットインでもクロスでも無いポケットへの横パスを選択すると、受けた窪田のクロスがブロックされるもこぼれ球が中央の甲田に。
そしてシュートに繋げたものの、下堂が距離を詰めてブロックと、最後の一押しが果たせず。

それでも山口のプレッシャーをいなせるだけの力は見せ付け、これを盾に攻撃機会を作っていく愛媛。
30分に田口裕が、31分に武藤が立て続けにミドルシュートを放つなどフィニッシュの意識も旺盛であり。
前回観た伊予決戦とはまた違う形(あの試合は全体押され気味でカウンター狙いという印象)での、好ゲームを予感させる絵図となりました。

他方山口は、組織力・圧力で上回っていながら(個人の印象です)も、決して楽観視できない状況に。
その要素の一つに審判団の判定が上げられ、この日の主審・中川愛斗氏は期待の若手という立ち位置。
そのため倒れるシーンが続出しても、その基準自体にブレが見られるという印象を残し。
29分には野寄が黒石のチャージを受けて倒れ込むも笛は鳴らずに終わり、たまらずその判定に抗議を見せる志垣良監督。
フラストレーションも敵に回る状況で、どう立ち回るかを余儀なくされました。

それでも38分に決定機、末永が福島を剥がしてのドリブルで前進ののち、左サイドでのパスワークを経て奥を取りクロス。
これが中央に落ちる所を有田が合わせましたが、GK辻のセーブに阻まれ。
追加点で楽にする事は出来ず、結局1-0のまま前半を終えます。

追い掛ける愛媛はハーフタイムで動き、本来のレギュラーである谷本を投入。
交代となった武藤は特別指定選手で、この日が3試合目のスタメンでしたが悔いの残る一日となりました。

采配も絡めて巻き返しを図る愛媛に対し、山口は先手を取り後半2分、左へ展開ののち戻し→岡庭ミドルパスで例によって相手を引き付けた裏を取りにいく攻め。
走り込む田邉の前でクリアされ拾われるも、すかさず古川が奪い返して継続し、その流れのまま野寄が中央からミドルシュート。
これが細谷のブロックを掠めて右ポストに当たる際どいフィニッシュとなります。

後れを取った格好の愛媛ですが、5分に最後方での繋ぎから福島が低い弾道でロングパス、村上の落としを受けた深澤がスルーパスと疑似カウンター気味に前進に成功。
これを受けた村上がエリア内からシュートしますが、GKマルスマンの距離を詰めてのセーブに阻まれます。

山口ペースを乱すのに成功……と思っていたら、直後の6分にはそう言っていられない一幕が発生。
最終ラインから直に左へ展開し、窪田のドリブルでの前進を選択した愛媛。
窪田はそのまま板倉をブリッジで剥がしにいった所、ボールと無関係な中央で田口裕と岡庭の交錯ならびに小競り合いが発生してしまい。
ボールがタッチを割って途切れると、これに激昂した田口裕が岡庭を突き飛ばすという事態にまで発生し、一触即発となるピッチ上。
志垣監督を中心に山口ベンチもカードのアピールで再度紛糾(結局ノーカードに終わる)と、またも苛立ちを抱える事を余儀なくされたでしょうか。

そんな山口は、11分に愛媛のコーナーキックでの攻撃が(甲田の岡庭への反則で)途切れたという段階で、テコ入れを敢行。
交代はしなかったものの、サイドバック・サイドハーフの立ち位置を揃って交換という手段を取り、岡庭と末永が右・板倉と野寄が左へと移ります。
つまりは前節におけるスタート時の立ち位置となり、この変化で不穏な空気の払拭に掛かり。

ここから攻撃機会を重ねた山口(4度、そのうちFKが一度・岡庭のロングスローが一度)でしたが、愛媛サイドもこのまま黙って押し込まれる訳にはいかず。
17分に自陣での左スローインからの繋ぎで、プレスを受けながらも谷本が間を取ってパスを受けた事で前進の機運が生まれ。
そしてロングパスを右サイドの甲田へ通してアタッキングサードに進入すると、中央への展開を経て左ポケットを取る窪田。
ボールキープ→戻しから谷本がミドルシュート(枠外)と、前半と同じく山口のプレッシングを剥がしに掛かる事で対抗します。

19分にCKに持ち込んだというタイミングで、山口ベンチが動き野寄・古川→横山・小林へと2枚替え。
この右CK、キッカー岡庭クロス→小林フリックに有田が跳び込むも惜しくも合わずとなり。
すると愛媛も21分に動き、村上・田口裕→ダンカン・藤原へと2枚替え。
2トップを揃って代え、藤原が降りてのポストワークを見せる事で前進の円滑化を図ります。

その後も、25分に山口が成岡・有田→キムボムヨン・山本桜へと2枚替え。
26分に愛媛が窪田→行友へ交代と、ベンチワークが交錯する時間帯に。

しかしその直後の2分、ハイボールの競り合いでダンカンと松田が頭部同士激突する事案が発生。
両者とも治療に長く時間が採られ、憚らずもクールダウンが図られる事となり。

これが、藤原の動きで好機を作るも、反面フィニッシュに持ち込めないという展開になりかけていた愛媛に針が振れる切欠となったでしょうか。
32分その変節の節が見られ、GK辻からボール保持による前進を図ると、山口のプレスが間延びした所を突く事に成功。
降りて縦パスを受けた藤原が右へロングパス、前線に張っていた甲田がこれを受けて好機到来。
サイドの選手が前に張り前線の人数を多くする事で、山口サイドも思いきったプレスを掛けられずという状況がナチュラルに出来上がっていたでしょうか。
ここはクロス攻勢に持ち込んだ末に、最後は甲田がミドルシュートを放つもゴール左へと外れ。

攻撃権独占の流れを作り上げた愛媛。
37分に再びGK辻からの繋ぎで、ドイスボランチの溜めを経て上がって来て受けた黒石がスルーパスで左ポケットを突き。
走り込んだダンカンがシュートを放つも下堂のブロックに阻まれ。
続く38分にもボランチを起点とし、深澤がディフェンスに遭った所を拾った甲田が前進からミドルシュート、これをエリア内で岡庭がブロック。
谷本と深澤のコンビが、縦関係ながら前後は流動的と巧みに動く事で掴まえ辛い状態に。

プレスの嵌らない山口は守備に奔走され、疲労の色も濃くなる終盤戦。
そうなると貯め込んでいた苛立ちも、最悪の形で噴出する事になります。

41分に空中戦で、落とした福島に対するアフターチャージで板倉が反則・警告。
これを見るやベンチはすかさず、板倉を退かせる(磯谷を投入)弥縫策を採り。
後は逃げきるだけという所で迎えた43分、またもハイボールの競り合いで細谷に対しキムボムヨンが強烈に当たりにいく格好で、細谷の足を削ってしまい反則。
すると主審・中川氏は躊躇う事無く赤いカードを突き出し、退場処分となってしまったキムボムヨン。
ファウルトラブルが続くと、経験の浅い主審は次々とカードを出す事でコントロールを図るしかない。(それが更なるトラブルを招く結果になろうとも)
そうした傾向も考慮しなければならないなかで、反則塗れの流れに乗ってしまったと、後悔先に立たずな絵図となりました。(なおベンチからの異議で中山元気コーチにも警告)

これで生まれたインターバルにより、愛媛は最後の交代を敢行し深澤→佐藤。
また吉田を前線に上げて3バックへシフトと、パワープレイ体制も採り。
最早ボランチからの組み立ても必要無い、と言わんばかりに最後の押し込みに掛かります。

一方数的不利の山口は、センターバックを3枚(右から松田・下道・磯谷)にしての5-3-1で残り時間を凌ぐ体制に。
左ウイングバックは末永が務め、後ろを固めます。

アディショナルタイムに突入し、次々と吉田狙いのロングボールで好機を作っていく愛媛。
そして何度目かのロングパス、吉田が直接エリア内へと落とし、その跳ね返りを拾った甲田が持ち運んでついに進入したエリア内。
右への横パスを、丁度斜めから撃つのに相応しい位置を取っていた佐藤がダイレクトでシュートを放つと、美しく巻かれたボールが左サイドネットに突き刺さります。
攻め続けた結果が、とうとうスコアに反映され同点に。

目安+8分なため、まだどちらに転ぶかわからない残り時間。
数的不利の山口も、ラフなボールの蹴り合いを(愛媛のクリアミスも絡み)制する事でアタッキングサードに運び。
そこから小林が良い位置でミドルシュートにいきますが、こちらもキックミスでモノに出来ません。

しかし山口が無理に攻めた結果、カウンターに持ち込んだ愛媛、中央での吉田のポストプレイ・藤原の持ち運びの両方を反則紛いで止めにいった松田。
ここでやられれば全てが台無しという思いが溢れるも、佐藤が拾ってドリブルに持ち込んだ事でアドバンテージとなりそれは実らず。
そして左へ展開→行友のカットインシュートが放たれますが、GKマルスマンがキャッチ。
山口がホッとしたのも束の間、直後には藤原が右サイドで奪取と、敵陣でのボールゲインからのショートカウンターが火を噴き。
そして右ポケットを突いたダンカンがシュート、これが右ポストを直撃して跳ね返りと、怒涛の攻めも実らない愛媛。

結局1-1のまま動かず、試合終了を迎え。
後味悪い勝ち点2の逃し方となった山口と、状況的に勝ち点3がマストな愛媛が織り成した痛み分けに終わりました。

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