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DAZN観戦 2020年J2リーグ第10節 レノファ山口FCvs栃木SC

2020-08-12 17:06:42 | サッカー視聴記(2020年以前)

「ストーミング」という戦術が、世界で新たなトレンドにならんとする勢いを持っているらしいサッカー界。
しかもそれは、現在の栃木が行っているサッカーと類似するとの事です。

ボールポゼッションを放棄し、相手が後方でボールを持つ所に激しくプレッシャーを掛ける事で、ゴールを脅かす機会を多くしていくスタイル。
しかしそれを遂行するには圧倒的な走力ならびに体力を下地としなければならず、特に現在の日本のような夏場では、行えるクラブは限定的でしょう。
そんな特殊な戦術を、酷暑の時期でも貫かんとする栃木。

こう述べると「栃木のサッカー=世界的にも誇る事が出来る」等と思ってしまいますが、このサッカーに辿り着いた一因としては、やはり前年の残留争いがあったからだと思われます。
とにかくハードワーク重視で、前線にロングボールを蹴り込んでは、プレッシングを仕掛けて高い位置でボールを奪わんとする。
技術的な精度の低さ・セットプレーに頼った得点力故、不格好なサッカーに映ってしまう事が多々ありましたが、苦しい戦いを勝ち抜いた末の偶然ともとれる一致。
そして今季もその路線を継続し、ひたすらウノゼロのスコアでの勝利を繰り返しています。

この日の相手は山口で、前年の栃木のサッカーの中心となっていたヘニキが移籍した先のクラブ。
彼をFWで起用した事が栃木の「ストーミング化」を齎したようなものであり、果たして敵となったヘニキに対しどんな結果を見せ付けられるか。

激しいプレスに伴いデュエルの回数も激増している栃木。
今季からジャッジの基準が変わった事も追い風となっているようですが、立ち上がりにいきなり山口・安在が後頭部を痛め倒れ込むシーンが。
明本との競り合いで痛み、幸いにも何ともありませんでしたが、ポゼッションスタイルが理想の山口にとっては非常に苦労しそうな相手になる。
そんな事を想像してしまいました。

そしてその通りと言わんばかりに、以降ペースを握ったのは栃木。
最後尾からボールを繋がんとする山口に対し、激しいプレスで殆どそれを行わせず。
攻撃が巧く繋がらず、決定機は稀でしたが、相手に掛けるプレッシャーは相当なものがあったでしょう。
山口は前半10分、吉濱が負傷退場(見ている限りでは接触していないっぽい)で交代を余儀なくされた(森晃太と交代)事もあり、中々攻撃機会を得られません。

16分の栃木の攻撃。
起点は最早栃木の代名詞ともいえるロングスロー(瀬川)からでしたが、跳ね返されたボールを森俊貴がダイレクトでエリアに送ります。
これも跳ね返されますが、瀬川が拾って組み立て直し、西谷とパス交換したのち左サイド奥に進入してクロス。
GK山田がパンチングで逃れ、尚も田代が拾いにいくもこぼれ、シュートは撃てず。
しかし何度もセカンドボールを拾ってゴール前にボールが送られる攻撃で、こうした積み重ねでプレッシャーを与え続け、いずれ相手守備の決壊を待つとなると有益なものでしょう。

その後の栃木は17分に、瀬川のクロスを明本がヘディングシュート。(ゴール右に外れる)
19分には浮き球を佐藤祥が収めてドリブルに入り、そのままミドルシュート(ゴール右に外れる)と攻撃を仕掛けていきます。
押されっぱなしの山口も21分に左サイドで攻撃を作り、池上のクロスをファーサイドで森晃が合わせますが枠を捉えられず、という所で飲水タイムに。

リズムに乗れない山口は、ここからビルドアップのやり方を変えたようで、以降は形を作れるようになります。
2センターバックと、ボランチ・高と両サイドバック(右・川井、左・安在)による「W型」のような基本形でしたが、栃木のプレスの前に出口を中々作れず苦労していた序盤。
飲水タイム以降は、左サイドハーフの森晃が落ちてきて受けに来るシーンがしばしば見られました。
頑なにもう片方のボランチ・池上を簡単に降ろしたくないという思想が伝わってくるようで面白かったですが、これでようやくボールを前進させる下地が整った山口。

それでも以降の好機はヘニキのロングパスによるものだったり、高い位置で奪取して……というシーンが目立った前半。
41分、川井が奪ったボールを河野が拾い、そのままドリブルからミドルシュートを放ちますがゴール右に外れます。
45分にはヘニキのロングパスから、イウリがこぼれ球を拾ってスルーパス。
これを河野が受けてエリア内に進入するも、栃木・溝渕のディフェンスで倒れて撃てず。(反則は無し)
終盤は山口ペースで動いたものの、0-0のまま前半終了。

しかし後半開始直後、いきなり動きます。
栃木のキックオフで始まり、後方から田代のロングボールが敵陣右サイドへ。
一旦こぼれるも西谷→明本→佐藤祥→大島と繋がっていき、最後は明本とワンツーした大島がエリア内に進入しシュート。
ゴール右を狙ったボールはブロック・GKのセービングを綺麗に抜き去り、栃木が先制点を挙げました。

これで「ウノゼロ」の勝利に向かう体制を整えた栃木。
後はあわよくば追加点を……という姿勢になったのか、後半は山口がポゼッションを高めての攻撃を展開します。
それでも後半4分にはGK川田修平のロングフィード、矢野が落下点に入りこぼれた所を明本が拾い、そのままエリア手前中央からシュート(GK山田キャッチ)。
ウノゼロはあくまでも理想郷で、2点目を取れるチャンスがあれば狙うスタイルは終始変わらず。

逆に追い込まれた山口。
前半とは一転して、ボランチの高がCB2人の間に降りて来てビルドアップ、その前に池上を配置する「丁の字型」で組み立てます。
最後方が3枚になったのを受けて、栃木も前半のようにガツガツプレスにはいかず、中央を固める守備をメインにシフト。

そのためボール運びは容易になりましたが、堅固な守備を破れずに苦労する山口。
サイド攻撃を軸に、前半ではあまり見られなかったサイドチェンジを何度も交えていき、何とか崩さんと試みます。
それでもサイド奥からのクロスがやっとで、次第に手詰まり感が増していく展開。
そして17分、苦境を打開せんと2枚替えを敢行し、田中パウロ淳一・高井という主力クラスの選手を投入します。(河野・浮田と交代)

パウロはこれが今季2試合目と蚊帳の外に置かれた状態でしたが、高井は8節まで全試合スタメンを張っていました。
その8節(長崎戦)で、特別指定であった河野がJリーグ初ゴールを挙げた事もあり、次節から新人起用へとシフトした霜田正浩監督。
このゴールでプロ契約を勝ち取った河野の他、眞鍋・浮田と新人選手をレギュラーに組み込んでいきました。
当然割を食う選手は居り、それが高井であり、この後に投入された小松もそうでしょう。
そんなチームの方針転換を以てしても、目に見えて成績は上向いていない現状(まだ2試合目ですが)。
この日は逆に、パウロ含め彼らの意地・反発力をチーム力に変えていきたい展開となりました。

4-2-3-1の2列目(3の部分)に、途中出場の森晃・パウロ・高井が並ぶ布陣となった山口。(高井がトップ下で右にパウロ・左に森晃)
19分スローインを受けたパウロが左へサイドチェンジ、一旦カットされるも高が繋ぎ、彼からパスを受けた森晃がエリア内左からシュート。(ゴール右に外れる)
26分には森晃が右へサイドチェンジしてパウロが受け、川井がエリア内にカットイン(その後戻して左から安在クロスもシュート出来ず)という具合に、サイドチェンジを多用しての攻撃は変わらず。

27分にはパウロにチャンスが訪れ、スローインを受けた後カットインし、エリア手前からシュートを放つもブロックされ枠外に。
チャンスは作るものの、やはりゴールには至らない山口。

そんな相手を尻目に、散発的に何度か攻撃を仕掛けていく栃木。
焦る山口に対して反則・FKを貰う場面も多く、遠目からでもエリア内にロビングを入れ、相手に対するプレッシャーとしていきます。

しかし30分、山口にカウンターから決定機が。
栃木・溝渕のグラウンダーのクロスがエリア外に逸れ、これを高井が拾って中央をドリブルで前進。
そして森晃にパスを出し、受けた森晃がエリア内左に進入してシュート。
ボールはゴール右を捉えたものの、GK川田修にセーブされて同点ならず。
まさかのカウンターからの絶好機でしたが、これを逃してしまった山口。

その後37分に小松を投入(安在と交代、パウロが左SBに回り4-4-2へシフト)するなど、総攻撃の体制に入らんとする山口。
しかしどうしても栃木の守備を崩す事が出来ず。
逆に小松投入の直前には、エリア手前でボールロストし、奪った有馬(矢野と交代で出場・25分)にシュートを撃たれる(ゴール上に外れる)という危ないシーンも。

結局そのまま逃げ切り、またもやウノゼロ勝利を達成した栃木。
終盤にはスローインの遅延行為で瀬川が警告を貰ったり、アディショナルタイムに西谷→柳へと交代し5バック体制にシフトするなど、嫌らしくもしたたかに守り切りました。
「ストーミング」の破壊力こそそれほど発揮出来ませんでしたが(やはり欧州に比べ選手の質の問題が……)、この鉄壁ぶりはある程度誇っていいものだと思います。


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