※前回の藤枝の記事はこちら(3節・秋田戦、2-1)
※前回の千葉の記事はこちら(7節・磐田戦、0-1)
<藤枝スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 2節(今治戦、0-0)で負傷交代した楠本の詳細が発表され、全治約6週間との事で、今節復帰しベンチ入り。
- 大森の負傷が発表され、2/25に発生して全治約10週間との事。
<千葉スタメン>
- 谷田がJ3・鹿児島へ育成型レンタル移籍となり、前節(水戸戦、2-1)をもって登録抹消。
初黒星を喫した前回の磐田戦から、一転させる勝利を前節挙げた千葉。
それでも内容は水戸に押されっぱなしという、成績と内容のギャップとどう向き合うかは常に付き纏っているようであり。
試合前の放送席(解説=太田吉彰氏)で「勝っても慢心する選手は居ない」という千葉選手の談が語られていましたが、それは単に内容が芳しくない故の事にも取れ。
以前の得意手はハイプレスからのショートカウンターと、序盤からテンションを高める事で主導権を握りにいく戦い。
しかし今季はそれを改め、相手にボールを握られるのを許容しながら……という立ち回り。
勝利のためには何かを犠牲にする、とは良く語られる事ですが、今季の千葉にとってのそれがハイプレスなのは疑いようが無い。
そして磐田戦では逆に、ハイプレスに出るも敗戦という結果に終わっただけに一層覚悟が決まったでしょうか。
それを胸にこの日は藤枝のホームに乗り込むも、雨中の決戦と化した藤枝総合運動公園サッカー場。
悪天候の影響か、お互いパスミスが目立つ入りとなり。
前半3分にGKスアレスがキックミス、フィードが短くなり自陣で奪い合いが発生するも何とか収めた千葉。
その後高橋のロングパスもキックミス、しかし浮いたボールを自らヘッドで前へ送った高橋により攻撃開始と、前述のような「負の要素とどう向き合うか」という意思を感じる絵図となり。(その後右奥までパスワーク、石川がクロスもブロックされる)
そして続く4分、今度はGKスアレスから正当に攻め始め、地上での前進で仕切り直し。
千葉とは違い果敢なハイプレスを貫く藤枝ですが、その裏を突くように左サイドから素早く運び、椿のドリブルとストロングポイントに持ち込み。
ポケットへ進入の末にグラウンダーのクロスを通すと、全体前掛かりな藤枝故にフリーになっていたカルリーニョス、悠々と合わせたシュートでGK北村の股を抜きゴール。
早々に千葉に先制点が齎されました。
最後方の薄さもさる事ながら、日高と椿の間で受けた横山に対処できず(二度追いすべき千葉寛汰の寄せが甘い)、スルーパスを許したのが失点に直結し。
前からいったものの、高目に位置取る千葉のサイドハーフにより、ウイングバックがピン止めを受けていたのが影の決め手だったでしょうか。
その後も最終ライン~前線の間でパスを引き出す横山を止められずと、古巣対決である彼故に、昔の自分にやられている感が強まる展開を強いられます。
その後も、前への意識を高める事でで薄くなった後方を突かれるシーンが続き。
8分にまたもGKスアレスまで詰めにいくもロングフィードでいなされ、それをカルリーニョスが収める(その後椿へ展開もラインアウト)など、長短どちらを選択されても駄目という対応に。
全体浮つき具合を抑えられず、13分には横山の右へのロングパスを森が遮断するも、そのままヘッドでGKへ戻さんとした所を田中に走り込まれる決定機に。
そしてGK北村を抜くループシュートを放った田中ですが、戻った世瀬がヘッドでクリアと何とか凌ぎます。
前回懸念した、カルリーニョスのターゲットとしての疑問符も、試合を重ねた事で改善されたようであった千葉。
こうなると怖いものは無いというように、立て続けに好機を作る千葉。
15分、中央に張るカルリーニョスと対を成すように右へ開いた石川を利用して前進、そして奥からの石川のクロスにニアで跳び込むカルリーニョス。(僅かに合わず)
続く16分またも右に開いた石川から前進、今度はカルリーニョスのポストプレイも絡めながらのパスワークで、再度奥を取った石川がグラウンダーでクロス。
そしてニアに走り込んだカルリーニョスが合わせると、綺麗にGK北村のニアをぶち抜いてゴールに突き刺し、早くも2点目を叩き出します。
握り続けるペースを、スコアに反映させていく千葉。
全く攻撃の流れを作れない藤枝、高橋のバックパスが直接ゴールラインを割ってのコーナーキックが唯一の好機となったこの時間帯。
「良い守備から良い攻撃へ」という格言を、逆の形で示してしまいます。
尚も攻め込む千葉は21分、石川のボールカットからのカウンターで、田中の右ポケットへのスルーパスに高橋が走り込んでグラウンダーでクロス。
そして上がって来た石川が中央で合わせシュート、GK北村がセーブした跳ね返りを再度シュートと連撃も、これも北村のセーブに阻まれ。
プレスが機能しない藤枝ですが、それでも2点差の挽回のためには前に出るしか無く。
26分に再度その局面も、千葉は鈴木大→田口→日高と左ワイドで循環させ、前へ出れなくさせたうえでの中央への展開でいなし。
カルリーニョスのポストワークで左へ展開して椿がドリブルと、休む間も無いぐらい発揮される千葉の長所。
そして入れられた低いクロスをファーで合わせたのは石川で、またもゴールネットが揺れこれで3点目。
従来とは裏腹に(愛媛戦は除く)、大量リードを奪う事に成功します。
過ぎた事は仕方無いので、好機をほとんど作れない状況を改善したい藤枝。
地上での繋ぎは雨天の環境でパスミスも出ていたため、裏狙いとともにアバウトなロングボールをディアマンカが収めてくれる事を期待する、という振る舞いが中心だったこれまで。
当然ただボールを失うのみで、千葉のターンばかりになる事に繋がっていた感があり。
28分自陣で世瀬がボール奪取、千葉の攻めを切ったのちエドオジョンのドリブルへと持ち込みボールは右ワイドへ。
パスを受けた浅倉はクロスと見間違うようにサイドチェンジを敢行し、左奥で受けたシマブクのカットインを利用。
久々に突いたボックス内、そしてファーに上がったクロスを千葉寛が合わせヘディングシュート(枠外)と有効打を放ちます。
それでも31分、カウンターから椿のミドルシュートでゴールを脅かされる(右へ僅かに外れる)など、更なる失点との戦いも強いられ。
迎えた34分最終ラインから左へ展開、シマブクは1タッチパスを選択したためパスワークでの前進になると、待ち受けるのは開いていたディアマンカ。
そのまま奥へ切り込んでマイナスのクロスが入れられ、ファーまで流れた所をエドオジョンが合わせシュート。
日高がブロックするも、すかさず拾い再度シュートしたエドオジョン、ゴールに突き刺します。
クロスに対し日高がスリップしたためクリアを選べなかったという幸運が絡みましたが、ともかく文字通り反撃の狼煙を上げる事となりました。
勢い付いた藤枝は、守備面もさらに前掛かりとなり。
ピン止め状態を強いられてきたWBも果敢にハイプレスに加わり、千葉のSHには左右のセンターバックが開いて対応、と強気な姿勢に。
しかしそれが奏功し、今度は千葉サイドがロングボールを蹴らされる状況へと入れ替わります。
着実に攻撃機会を重ねていく藤枝、アタッキングサードまで運び、スローインで再度押し込みと「超攻撃(以下略)」に相応しく映るサッカーに。
そして40分その右スローインからで、浅倉がワンツーで奥へと切り込み、奪われるもすかさず久富が奪い返す分厚い攻撃。
人数を掛けて繋いだ末に、エドオジョンが入れ替わりでポケットを突いてグラウンダーでクロス、これを杉田がニアで合わせシュート。
ゴール左に突き刺さり、早くも1点差に迫った事で試合の行方は不透明なものとなりました。
千葉がロングボールへ傾倒し、かつ藤枝が圧力を強めた事で、ターゲットのカルリーニョスが激しいチャージに晒される事となり。
そして42分に森のチャージを受けて蹲るカルリーニョスを尻目に、攻め上がらんとした藤枝ですが審判団の待ったが掛かり中断。
するとこれに抗議を見せたのは須藤大輔監督で、負傷も疑われる中で正直その態度はどうなんだという絵図を生み出し。
そしてその通り警告を受けるまでに繋がり、過度な前掛かりの意識が仇となってしまいました。(試合後のコメントから、前半の出来に怒り心頭だった事が伺えその影響か)
これが尾を引いてか、その後(大量得点のためか、アディショナルタイムも目安5分と長い)はビルドアップの段階で千葉のカットに遭う場面を目立たせ。
左サイドの前進から、ハーフレーンで受けた千葉寛がシュートする(鈴木大がブロック)などノーチャンスではありませんでしたが、これ以上の得点は無く。
2-3のまま前半終了となりました。
ともに交代無くハーフタイムを終え、迎えた後半のキックオフ。
しかしその絵図は、いきなりカルリーニョスが度重なるチャージの影響か、脳震盪を疑わせるように蹲るという顔面蒼白ものとなります。
幸い無事が判明したカルリーニョスがピッチ外→復帰となり、仕切り直し。
千葉は藤枝の前進を切りたいものの、GK北村も加わるそのビルドアップの前には、得意手のハイプレスも封印せざるを得なく。
構える姿勢を貫くも、藤枝は6分に森が右ハーフレーンを持ち運びと、それを突いてから縦パスを通して好機。(その後エドオジョン→久富と経由してクロス→跳ね返りをエドオジョンがミドルシュート、日高がブロック)
これでその後の展開はほぼ固定され、藤枝は千葉をリトリートに追い込むも、そこからどう崩すかというものに。
8分、最後方へ戻したのちGK北村がロングフィード、これを杉田のポストプレイを経て左ハーフレーンで前進の体勢に入るシマブク。
切り込むと見せかけエリア内の浅倉へパスを送り、ポストプレイで返されたボールを中央寄りからのミドルシュートにまで繋げます。
ゴール右を襲ったものの、ポストを直撃と惜しくも決められず。
前半から一転、必死に守るのみとなる千葉。
12分に左ワイドからのフリーキックを得た藤枝、キッカーシマブクのクロスが中央に入ると、鈴木大のクリアが直接ゴールへ向かってしまうもののGKスアレスがセーブ。
自分らのミスも脅威となるなかで、何とか試合を落ち着けに掛かります。
田口を中心として、中盤の位置でボールキープに努める千葉。
20分に持ち込んだカウンターでも、右ワイドの位置でパスワークにより減速と無理をしない立ち回り。
これにより取り返したい藤枝は、焦りから田口に対し繰り返し反則を犯してしまった浅倉が警告を受け。(21分)
23分には森が直接エリア内へロングパスを送ると、千葉寛が収めたのちディアマンカに託し、ダイレクトでシュートしたディアマンカでしたが枠を捉えられず。
千葉の狙い通りに攻撃機会を減らされる事で、手数を少なくしたいという思考に囚われるようになってきたでしょうか。
そんな状況で、24分に双方ベンチが動き。
藤枝は久富・杉田→楠本・金子へと2枚替え、千葉は田口・カルリーニョス→品田・呉屋へと2枚替え。
千葉がベテラン勢を代えたのに留まったのに対し、藤枝は世瀬がアンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)気味へと布陣変更。
さらに最終ラインも、楠本が中央に入った事で、右に回った森の攻撃性が発揮され。
停滞気味だった藤枝に、再度燃料注入されたという展開になります。
主体的な攻撃のみならず、千葉のロングパスをカットする事で次々とゴールに迫り。
その中心が先程決定機を逃したシマブクで、突破力を盾としながら周囲を利用する事でボックス内を突き続け。
ワイドのみならず広範囲で動く彼に合わせるように、ポジションチェンジする金子・浅倉といった流動性も武器となり。
そんな中で千葉は28分に決定機、それも攻撃が途切れたのちのゲーゲンプレスを決め、奪った田中がすかさず右ポケットへ進入。
そして中央へ送られた横パスから石川がシュート(世瀬がブロック)と、劣勢からの一刺しを狙う展開に。
33分にまたも双方同時に交代となり。
藤枝は世瀬・浅倉→松下・梶川へと2枚替え、千葉は横山→エドゥアルド。
ここから千葉が押し返し、エドゥアルドを経由してのビルドアップで好機を連発させ。
39分に右サイドで高橋のボール奪取からパスワークに入ると、中央へ展開ののちペースを上げエドゥアルドがスルーパスで逆の左へと持っていき、椿がポケットへ進入して横パス。
そして呉屋が合わせシュートと、先程の決定機のような一刺しを浴びせましたがGK北村がキャッチ。
藤枝は総替えとなった中盤のトライアングルでも、流動性を保ち敵陣でポゼッションを高め。
しかし多くは求められず、先程の勢いは喪失する事となりフィニッシュに持ち込めない攻めを繰り返します。
(40分に千葉寛→松木へと交代)
ATへ突入してようやく、左サイドから細かな繋ぎでエリア内を突き、ディアマンカのシュートが放たれるも枠を捉えられず。
直後に千葉は日高→前へと交代しカードを使いきると、逃げ切りの姿勢に入り。
GKスアレスロングフィード→呉屋フリックで左奥へと運び、スローインも絡めながら時間を使っていきます。
それを何とか断ち切った藤枝、文字通り最後の力を振り絞り前進。
シマブクが突破力を発揮するなか、CBの中川創・森も流れの中でエリア内に入るなど総動員で攻め上がり。
そしてその中川創を狙ったクロスにより右CKになると、GK北村も前線に加わり。
最後の攻撃かと思われましたが、クリアボールを尚も繋ぎにいったのはその北村で、エリア内へ送り返さんとした所に呉屋のスライディングをまともに受けて倒れ込み。
当然反則の笛が鳴り(呉屋に警告)、敵陣で痛むGKというレアな絵図が齎される中、エリアからやや近めでのFKとこれが今度こそ最後の攻撃。
横位置は左ハーフレーンと、直接かクロスかどちらも選べる状況のなか、直接シュートを選び放たれるシマブクのシュート。
ゴール左を襲ったボールをGKスアレスがセーブと、最後は綺麗なシュートとファインセーブのぶつかり合いで締められました。
尚もその後金子のクロスがブロックされ、ラインアウトでCKと思われましたが流石にこれ以上の経過は許されず試合終了の笛が鳴り。
撃ち合いの前半から一転、ゴール無しで後半を終えたという激しい移り変わりとなった一戦。
最後はどんな形でも良いから勝利、そして昇格に結び付けたいという千葉の意識が上回ったでしょうか。
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