※前回の群馬の記事はこちら(33節・熊本戦、2-3)
※前回の徳島の記事はこちら(30節・山口戦、2-1)
<群馬スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 細貝が今季限りでの引退を発表。それを受けてこの日が今季初スタメン、並びに引退セレモニーと送り出しモードに。
- 佐藤の負傷が発表されるも、発生日・治癒期間ともに未発表。(26節以降ベンチ外)
<徳島スタメン>
降格決定後も、依然として勝利が遠い群馬。
シーズン通算3勝とあっては、テールエンドからの脱却は夢のまた夢であり、そのままとうとう今季もホーム最終戦を迎え。
相手が前半戦唯一の勝利を挙げた徳島(7節、1-0)という縁起の良さと、細貝引退への花道というモチベーションを盾に、何とかしたい試合となりました。
その群馬戦での敗戦が、(監督交代という)チーム再建への一つの切欠となった徳島。
後半戦に怒涛の巻き返しを図ったものの、叶わず前節(藤枝戦、3-0)をもって昇格の可能性が消滅の運びとなり。
誰が見ても序盤の出遅れがこの結果を招いた、という所ですが後悔先に立たず。
建て直して挑んだ昇格争いでは、やはり清水戦での逆転負け(順延29節、1-2)が重く響いたでしょうか。
ターゲットを活かす攻めへと切り替えた清水の前に、失点を重ねての敗戦。
そんな露呈した弱点を引き摺るかのように、いわき・秋田とパワー系クラブに連敗を喫するという具合にダメージは根深いものとなりました。
群馬同様に残された試合をどう挑むかが、当面の課題となり。
徳島のボール保持に対し、前線の守備はどう立ち回るか、といったこの日の群馬。
前半2分に樺山が敵陣でボール奪取に成功、キープする所を鹿沼に倒され反則と、ショートカウンターへの期待感が膨らむ入りだったため尚更であり。
2トップ(守備時)が相手ボランチをチェックする体勢から、最終ラインで繋ぐ所に前に出ていく群馬のファーストディフェンス。
しかし徳島は動じず、その2トップをピン止めするかのように児玉がアンカーの位置にほぼ固定。
最終ラインの繋ぎにGK田中が加わり、2トップの間を通して児玉がボールに触れる事も容易となり、そんな守備を無効化させていきます。
それでも素人目には、「保持しているが攻められない」という光景に映る徳島。
相手のエンジンの掛かりが遅いうちに何とかしたいと思ったでしょうか、8分の群馬は逆に自身が地上でのビルドアップ、自陣中央で細貝縦パス→平松ポストプレイからの繋ぎがディフェンスに遭うも何とか確保に成功。
そして右サイドでのパスワークから細貝がサイドチェンジと、ラストダンスに相応しい細貝の組み立てを経て、左サイドでの繋ぎの中で天笠が渡に反則を受け。
これによるフリーキックでの放り込みから、コーナーキックへ移行とセットプレー攻勢の流れに入ります。
この右CK、キッカー仙波は中央へクロスを送り、カイケのクリアが平松に当たり足下にこぼれるという絶好機に。
すかさずシュートした平松ですが、巧くミート出来ずゴール左へ外してしまい、シーズンの成績を象徴するような悔やまれる逃し方となりました。
徳島は児玉を中心としたパスの出し入れを軸としつつ、彼へのチェックが厳しい時はエウシーニョのボールキープでカバーするという具合に、多彩な保持の方法を見せ。
次第に、自陣での守備からのカウンター狙いへの移行を余儀なくされる群馬。
しかし15分そのカウンターで、左サイドでのボール奪取から、仙波のスルーパス一本で完全に裏を取る事に成功。
平松が中央をドリブルで持ち運ぶ絶好機も、エリア手前での切り返しから横パスを選択し、上がってきた川本がシュートするも枠外に終わり。
ゴールを脅かすという点では相手を凌駕したここまでの流れ。
それ故に欲が出たのか、ここから徳島がボール保持から好機、つまりは最終ラインで巧く群馬のプレッシングを呼び込み前進に成功する絵図を膨らませ。
群馬の狙いとしては、徳島の青木が左サイドバックとなり2センターバック化した所に詰めにいくというイメージ。
カイケと森での繋ぎで、視野の面で難があるカイケの方を獲り所としていたようであり。
しかし前半戦と違い、味方のサポート(鹿沼やGK田中など、常時逃げ道を持たせるポジショニング)もあって冷静にパスを出すカイケの前に実りは殆ど無く終わります。
試合が動く切欠となったのは24分、ここも森とカイケの繋ぎから、青木とのパス交換を経て森が間を通す縦パスで渡井に渡り。
渡井ドリブル→西野左奥へ切り込みと好機を作り、入れられたマイナスのクロスを渡ポストプレイ→渡井シュート(GK櫛引キャッチ)と、徳島のファーストシュートを齎します。
しかし同時に、クロスを入れた西野が、エドオジョンのスライディングを受けながらの無理な体勢で入れたためか足を捻ってしまい。
続行不可能で交代の運びとなってしまいます。
ジョーカー的存在の、高田颯を早めに投入せざるを得なくなった徳島。(26分)
しかしアクシデントにも気負いせず、普段通り果敢に仕掛け続ける高田颯の前に窮地に陥る群馬。
30分、ここは3CBのままビルドアップを見せる徳島、鹿沼→青木と経由して受けた高田颯が左サイドを疾走。
そしてクロスに辿り着き、合わせにいった渡がディフェンスに遭い、そのままラインアウトで右CKに。
キッカー渡井はニアにクロス、そして渡がフリックと定番の流れを選択すると、ゾーン守備の隙を突かれ続ける群馬を尻目にファーで青木折り返し→中央で鹿沼シュートとやりきり。
そしてゴールネットが揺れる光景を、鹿沼のハンドをアピールする事しか出来ない群馬ディフェンス。
膝で合わせる格好でゴールに入れた鹿沼は右腕を伸ばしていたものの、映像を見る限りでは触れておらず。
守勢に追い込んだ末の、先制点に辿り着きました。
この日もリードされてしまった群馬。
戦力差もあり毎試合守勢になるのは仕方無いですが、その強度自体が足りずにセットプレーでの失点を繰り返す今シーズン。
これを隠すには、やはり攻撃のターンを増やすしか無く。
35分最終ラインでマイボールとし、徳島のゲーゲンプレスを川本のミドルパスでいなし、繋ぎを経て仙波のスルーパスが最終ライン裏へ。
樺山が抜け出して受ける、再び決定機という絵図が生まれましたが、そのまま右ポケット奥まで切り込んで放たれた樺山のシュートは枠外に終わります。
その後、ボール保持からの攻めでどうにかしようとする群馬。
しかし41分にパスミスからの徳島の好機が生まれた(敵陣アタッキングサードまで運ぶも、児玉→エウシーニョのパスがズレて終了)事で、その試みも途切れ。
そして繰り広げられる徳島のボールポゼッションによる好機、43分にはGK田中からの繋ぎを経て、再度高田颯がドリブルからクロス。
そして渡が合わせヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と、立ち上がりの「ボールを持たされる」絵図はすっかり雲散霧消に。
その流れのまま突入したアディショナルタイム、群馬が押し返さんとした所を、縦パスをカットした児玉からカウンターに持ち込む徳島。
またも高田颯のドリブルシーンに繋げると、今度は自ら左ポケットへ切り込みシュートチャンスを迎え。
しかし櫛引のセーブに阻まれて追加点はならず。
その後のCKで、ショートコーナーからの返しがオフサイドになるという、情けない絵図を経て前半終了となりました。
迎えた後半、群馬にとっては何処まで細貝を引っ張るかも頭に入れながらの戦いに。
しかしキックオフからのボールを失ったのち、徳島の攻撃となりブラウンノアが右サイドを持ち運んでアタッキングサードでの展開に。
そして戻しを経て、ミドルパスを交えながら両ワイドを突いて揺さぶる攻めを繰り広げた末に、何度目かの左ワイド→中央への展開を経てエウシーニョの1タッチパスでついにエリア内を突き。
トラップで浮かせた渡の落としを経て、ブラウンノアがディフェンスを背負いながら放ったシュートこそ小柳がブロックするも、こぼれ球を拾った渡井が追撃。
GK櫛引がセーブとこれも防ぎましたが、跳ね返りが渡に当たりこぼれた所をブラウンノアが詰め、3度目の正直でゴールにねじ入れます。
前半の流れそのままという事を、得点で証明する結果となりました。
立ち上がりで主導権を握るどころか、痛い追加点となってしまった群馬。
その後もひとしきり徳島の攻撃を浴びる状況となり、後半6分に最終ラインでのプレス回避からまたも高田颯の左サイドでドリブルからのクロス。
クリアされるも小さく、左ポケットで拾った渡井のクロスもブロックされるも、渡が拾ってシュート(GK櫛引セーブ)と執拗に続けられる徳島のゴールへのベクトル。
最後はエウシーニョの右からのシュートがサイドネット外に終わるも、一向に反撃の機運を高められず。
そんな状況で、直後に細貝の交代を選択した武藤覚監督。
すると徳島サイドも協力し、花道を作っての送り出しとなります。
感涙を浮かべながら、サッカー選手としての歩みを終える事となった細貝。
彼に代えて和田を投入し、仙波がボランチに回って挑み直す群馬。
徳島の方も、花道形成というブレイクで良い流れを途切れさせる事となったようで、ここから巻き返しの流れに突入します。
9分右サイドでエドオジョンが、(古巣という事で)徳島サポーターのブーイングを浴びながらもパス交換から前進に入り。
そして樺山のスルーパスに抜け出して辿り着いたクロス、これが高い軌道でファーを突くボールになると、川本が足下で合わせ。(枠外)
これが切欠となり、徳島はそれに負けじとボール保持の体勢を維持せんとするも、11分にパスミスで失うなど不穏な空気に包まれてしまい。
そんな相手の状況もあり、この時間帯で1点取りたい群馬。
投入された和田が降りてビルドアップの出口役を務める、前年の長倉(現新潟)のような役所を得たのもあり流動性が増したパスワーク。
前半とは打って変わって徳島を専守に追い込みますが、その中でどう崩すかも問われる状態に。
14分に全員敵陣へ入り込んだ状態で、左サイドで中塩の縦パスを受けた和田がそのまま奥へ切り込んでクロス。
これを大外でエドオジョンが跳び込んでヘディングシュートも、枠には飛ばず。
20分にCKからの二次攻撃という局面で、敵陣浅めでのパスワークで徳島ディフェンスを引き付けたのち前進。
まるで相手の徳島のような崩しが図られるも、スルーパスを供給した和田が渡井のアフターチャージで倒された事で、この好機は直接FKに託されます。
左ハーフレーンの位置で、樺山・天笠・川本のうちだれが蹴るのかという絵図になりましたが、出した選択は直接では無くフェイントを交え。
樺山蹴り出し→天笠止める→川本シュートという流れを描くも、これにより前に出る余裕が出来た徳島の壁に阻まれ実りません。
直後に双方選手交代。
徳島が渡井・渡→杉本太・坪井へ2枚替えを敢行し、群馬は樺山・平松→山中・佐川へと2枚替え。(川本が右サイドハーフに回る)
劣勢に陥った徳島ですが、こうした状況で頼りになるのがエウシーニョ。
選手交代で落ち着きが図られ、最終ラインで保持する余裕が生まれたのち再度攻勢に入り。
26分後方での繋ぎのなか、児玉のロングパス一本で裏を取ったのがエウシーニョで、そのまま右ポケットからマイナスのクロス。
合わせた坪井のシュートは枠外に終わるも、後方待機で組み立てに拘る事の多かった存在が、急に最前線で脅かすという方策で流れを変えに掛かり。
狙いは的中し、その後諦めずにボール保持から前進を試みる群馬を遮断するなど相手に何もさせない時間に。
32分にはゲーゲンプレスでエウシーニョがボールカットし、アタッキングサードで保持する状況と、崩しとともに時間を奪っていく局面に突入。
ここから14本パスを繋いだ末に、児玉のスルーパスが送られるもここはエウシーニョは反応できずに終わり。
しかしここで、群馬のチャージを受けながらのパスとなった児玉が異議を唱えた事で、警告を受けるという好循環を切りかねない絵図を作ってしまった徳島。
その通りに以降、佐川が立て続けにシュートを放つ(35分に2本)という具合にペースは反転し。
36分に再び両ベンチが動き、徳島は青木・エウシーニョ→永木・柳澤。
群馬は仙波・川本→風間・河田と、またも双方2枚替え。
以降も佐川にフィニッシュを撃たせる攻めで巻き返しを図る群馬ですが、その佐川がミドルパスを収めた所ハンドを取られる(42分)など、完全にモノに出来ず。
その佐川を反則で止めた鹿沼が警告を受けるなど、カードの被害が膨らんできた徳島。
痛み分けのような展開と化す中、それでもベテラン・永木の投入(青木と同じ左CB)で落ち着きを取り戻し、オープンになりかねない時間帯を締めに掛かります。
そして2点差のまま迎えたAT。
敗色濃厚となってきた群馬ですが、その中で河田を狙ったGK櫛引のロングフィードから、セカンドボールを繋いでの好機。
左ワイドから河田がエリア内へ浮き球を送った所に、山中が走り込んで受けるという細い所を繋ぎ、ディフェンスに掻き出されるも中央で拾った佐川。
再度エリア内へ切り込むという所で永木に倒されて反則の笛が鳴り、一瞬PKかと思ってしまう際どい位置ながら、外という判定で直接FKに。
ペナルティアークという近距離でのキックで、徳島サイドは壁を作るのに難儀し距離を巡って主審と一悶着を見せ。
しかし狙う側の群馬も、曲げるなどの工夫をし辛く、小細工無しで撃つしか無い状況。
そして直接シュートを放ったのは、この日ゴールへの運気を持っているであろう佐川でしたが、放たれたシュートは壁を直撃してしまい万事休す。
その後徳島の攻めで杉本太のシュート(中塩がブロック)まで持ち込んだ、という所で試合終了を告げる笛が鳴り。
結局ホーム最終戦でも、勝利を挙げられなかった群馬。
当然試合後のセレモニー(細貝の引退セレモニーとは別)は重苦しいものとなりましたが、前年の大宮のそれに比べると、何処と無く緩い雰囲気を感じたのは確か。
社長に対するブーイング(批判の断幕も数多出ていたとの事)は恒例行事のようなもので、それ以外は温かい雰囲気であり、キャプテン櫛引のコメントも評価のし辛いものに。(口下手?という要素もあるでしょうが)
大宮の際の全方位ブーイング一色というのは決して良くは無いものの、これを引き摺る事で、一層厳しさを増しているJ3の戦いを勝ち抜けるのかが今後問われていくでしょう。。