※前回の岡山の記事はこちら(19節・甲府戦)
※前回の愛媛の記事はこちら(17節・ヴェルディ戦)
22試合消化で、得点20・失点23という「出入りの少なさ」故、今季はあまり目立っていない印象の岡山。
(もっと出入りが少ない栃木というチームがありますが、やっているサッカーが特徴的なので非常に目立っていると思う)
現在2連勝中と調子は上がっているように見えますが、依然として負けが先行しているのは変わらず。(7勝6分9敗)
この日の相手は最下位の愛媛で、連勝を伸ばしたい所だったでしょうが、1試合平均1得点以下というパワーの無さは依然として課題に残っておりどうなるか分からない。
立ち上がり、岡山は1分に直接フリーキック、3分にコーナーキックを得るなど押し込みを見せますがシュートには繋がらず。
その後は愛媛がボールを握っての攻撃を展開するも、岡山も前線からの守備を嵌めて対抗します。
前半8分、中盤での徳元のボールカットから、パウリーニョの縦パスを受けた上門がエリア手前からシュート。(GK岡本キャッチ)
11分には敵陣深めという位置で山本がパスを遮断する絶好のチャンスも、その後関戸のスルーパスを収められずに逸してしまいます。
こうなるとボールポゼッションが特徴である愛媛、中々攻撃の形を作れず苦労する状況に。
以降飲水タイムまでは攻撃権を支配した岡山。
しかしこちらも、シュートはFKからの野口のヘディングシュート(枠外・20分)のみと決め手に欠きます。
愛媛はポゼッションサッカーを指標に掲げているものの、過去は5試合で無得点と攻撃力が低迷。
同じポゼッションスタイルの北九州・新潟相手には支配率で負け。
逆にこの日のように、ボール支配には拘らないもののプレッシングが強いチーム相手にも、ボールを繋げない状況に陥る事が多々あります。
象徴的だったのが前節・金沢戦で、思うように前線にボールを運ぶことがままならず、シュート数はたった4本に終わる惨状でした。(0-0で引き分け)
その前の新潟戦もシュート数は4本で、無得点が続いているのも納得。
3-4-2-1が基本フォーメーションでしたが、この日は4-4-2というオーソドックスな形でスタート。(前節も同様)
主に森谷が最終ラインに降りての「丁の字型」でビルドアップを図り、両サイドバック(右・茂木、左・木暮)に高い位置を取らせるという形を採っていましたが、ここまでは過去2試合同様に思うように前線にボールを運べず仕舞いでした。
飲水タイムも終わり、その直後の26分にようやく愛媛にチャンス。
池田の左サイドへのロングパス、これは跳ね返されるも長沼が拾い、ここから敵陣で長いパスワークを展開。
長沼のクロスが入り、クリアされたボールを森谷が拾いミドルシュート。(GKポープ・ウィリアムキャッチ)
これが切欠となり、愛媛は以降ペースを掴む事に成功します。
28分、一旦攻撃が途切れるも右サイドで山﨑がボールカット、するとボールを拾ったのは左SBの長沼。
そのままドリブルでエリア内右に進入してシュートを放ちます。(枠外)
この長沼の中央~逆サイドへの張り出しは今後も何度か見られ、ボールサイドに人数を増やす事で活性化を図った感があり。
後はFW吉田が降りて来て、ビルドアップの出口になっていた事でしょうか。
こうしたポジションの定型からはみ出した動きで、岡山の守備を掻い潜る事に成功していたのでしょう。
30分以降は双方中々チャンスが生まれない展開となりましたが、40分過ぎから激しく動きます。
40分の愛媛、クリアボールを池田が拾い、長沼が遠目からシュート。(枠外)
42分には愛媛、吉田のキープから左へと展開され、小暮がカットインからシュート。(ブロック)
その直後に岡山、野口・上門・白井のパス交換から、野口がエリア手前からシュート。(枠外)
44分には岡山、白井が遠目からミドルシュート。(GK岡本キャッチ)
終了間際故、「多少無理矢理でもシュートを撃っていこう」という意思が両チームともに働いていたのか、激しい展開を描いて前半を終えます。
双方良い時間があった故か、ハーフタイムでの交代は無く後半を迎えます。
すると後半立ち上がり、ペースを握ったのは岡山。
後半2分右サイドで形を作ったのち、パウリーニョが野口とのワンツーでエリア内に進入、そのままシュートするもGK岡本が辛うじてセーブ。
3分には左サイド、スローインから徳元が攻め上がり、パウリーニョとパス交換した後クロス。
クリアされるも小さく、関戸がエリア内で拾ってそのままシュートするもブロックに阻まれます。
4分には中盤で主導権の奪い合いから、上門がドリブルで持ち込んで左サイドからカットイン、エリア手前からシュートするも枠外に。
一方愛媛は攻撃機会を殆ど得られず、9分に川村のロングパスから、忽那のエリア手前右でのシュートのみ。(枠外)
5分には反則ののち、藤本が思い切りボールを蹴ってしまい遅延行為で警告を貰うなど、フラストレーションも溜まり気味な状況を強いられます。
こういう展開では愛媛ベンチが先に動きそうなものですが、先にカードを切って来たのは岡山。
12分、パウリーニョ・野口に代わり、上田と赤嶺が投入されます。
長期離脱から復帰して初スタメンのパウリーニョという事を考慮しての事だったでしょうか。
反対にFWの交代は、この日は野口をFWに起用(といっても一列下がってトップ下のような動きが目立ちましたが)するやり繰りを見せる等、イヨンジェ故障の穴の大きさを痛感します。
以降も岡山ペースは変わらずでしたが、先に動いてくれた事で愛媛側も決断しやすくなったでしょうか。
17分に2枚替え、池田・吉田→前野・横谷へ交代するとともに、3-4-2-1への布陣変更を敢行。
それによる大きな動きは小暮の左SB→右ウイングバックぐらいで、後は以前行っていた事故、自然に移行する事が出来たと思われます。
19分、右サイドに移った小暮のロングパスから、藤本が入れ替わって受けて抜け出してチャンス。
エリア内右に進入してシュートしますが、ゴール上に外れて先制ならず。
これで愛媛ペースになるかと思いきや、その後も岡山の攻勢は続き、何度もエリア内でボールを受けるチャンスが巡って来るもシュートは撃てず。
飲水タイムを挟み(再開時に愛媛は忽那→丹羽へと交代)、先に相手ゴールを脅かしたのは岡山。
29分に直接FK、距離はあったものの上門が直接狙い、無回転のシュートが襲ったもののGK岡本は判断良くパンチングで防ぎます。
その直後愛媛にも好機、左サイドで横谷のスルーパスに藤本が走り込み、彼のファーサイドへのクロスを小暮が合わせシュートするもGKポープがキャッチ。
その後双方2枚替えを敢行、ペースを握りにかかります。
30分に岡山、山本・後藤→齊藤・田中裕介に交代。
32分に愛媛、小暮・藤本→西岡大志・有田へ交代。
しかし岡山はさらにアクシデントへの対応も強いられます。
以前から足を痛めていた右SBの松木(後半14分、愛媛・池田のスライディングを受けて倒れ込んだ)、35分に限界に達して倒れ込み、そのまま担架で運ばれてしまいました。(椋原と交代)
これを境に主導権は愛媛に移り、以降岡山に攻撃権を与えずに攻勢。
時間も押し迫り、最後は中3日の愛媛と、中2日の岡山の違いによる疲労度の差が出て来たでしょうか。
41分、右サイドのスローインから形を作り奥へ進入、西岡大志が丹羽とのワンツーを経てクロス。
グラウンダーで入ったボールを丹羽がニアサイドでシュートしますが、枠を捉えられず。
そして43分、再び右サイドでパスワークののち茂木がスルーパス、奥で受けた川村からのリターンを茂木がクロス。
今度はエリア中央へと上がり、その落下点には有田がノーマークで待ち構え、そのままヘディングシュートを放ちゴール。
実に6試合ぶりの得点は、苦しかった試合を勝利へと手繰り寄せるゴールとなりました。
その後愛媛はボールキープに徹し、アディショナルタイムへ突入。
反撃に転じたい岡山、主導権を奪い返して最後の攻勢に出ます。
ロングボール攻勢で愛媛を押し込み、CKも3本得るなど息をつかせぬ攻撃。
最終盤に左サイドで徳元が低いクロスを上げると、ニアサイドに赤嶺が跳び込んでヘディングシュートするも、惜しくもゴール左へと外れてしまい同点ならず。
そのまま0-1で試合終了を迎える事となりました。
6試合ぶりの得点で6試合ぶりの勝利となった愛媛。
以前目立っていた逆転負けこそ無くなったものの、得点力は大幅に低下するなど、まるで低迷打破のために守備から入ったかのような近況。
前回取り上げたヴェルディ戦(17節)で、「相手のストロングポイントを消す」戦いを繰り広げてから、コペルニクス的な転換がチーム内であったのでしょうか。