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DAZN観戦 2025年J1リーグ第10節 サンフレッチェ広島vsファジアーノ岡山

2025-04-15 16:00:33 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

  • 広島ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

広島ベンチメンバー=チョンミンギ(GK) 山﨑 塩谷 松本大弥 井上潮音 東 小原 中村 加藤陸次樹

岡山ベンチメンバー=川上(GK) 柳育崇 藤井 竹内 岩渕 神谷 佐藤 一美 ブラウンノア賢信


念願の日をついに迎えた岡山。
その日とは、J1での戦いを繰り広げる傍らで、切望していた(と思われる)広島との中国ダービー。
2009年にJリーグ入りしたものの、相手の広島は前年のJ2暮らしから、圧倒的に勝ち点を積み上げた末にJ1返り咲きを果たしたのち定着。
戦うには自身がJ1に上がる他無い、そんな覚悟を植え付けられて?から月日は流れ。
そして2025年、ようやく迎えた対戦に関係者の溢れ出る思いを想像すると……といった一戦。

ダービーマッチとはいっても、場外も含めたバチバチとしたやり合い、という雰囲気は初々しさ故にあまり強くなく。
J2の場で着実な漸進の末にJ1昇格へと漕ぎ着けたためか、徳を重ねて……では無いものの、岡山の周囲を取り巻く空気は優しいという感じに。
どんな手を使ってでも……という急進的な躍進が反発を呼びやすいのは現在の町田の事例を見ても明らかで、これに包まれてるうちに、J1の舞台でも更なる漸進を果たせるかどうか。
そんな新たなダービーの幕開けを、広島の新スタジアム・エディオンピースウイング広島で迎えた(といっても2年目ですが)のは絵的に様になり。

滑り出しは上々の成績(4勝2分3敗)とはいえ、戦力的には厳しそうで開幕して間も無く松本昌を補強するなど陣容を固め。
前年記した自分の懸念とは裏腹に、ルカオがJ1でもフィジカルモンスターぶりを発揮しているのが嬉しい誤算でしょうか。
しかし周囲の個の力が上がっており、戦い続けるにはそのルカオをなるべくスタメンで起用し続けなければならない苦しさも感じつつ、この日も1トップに据えて挑みました。

前半2分の広島、中盤で浮き球を確保しつつ繋いでいき、その間に抜け出す体勢を取った川辺へとロングパスを通す中野。
右奥で受けた川辺は工藤を剥がしてカットイン、その勢いのままシュート気味に速いクロスを入れるもGKブローダーセンがセーブ。
右コーナーキックで継続し、キッカー菅のクロスをファーで荒木が合わせる(枠外)という具合に、先制攻撃で力の差を見せに掛かります。

対する岡山も5分、ロングパスのセカンドボールを拾って攻撃に入ると、藤田縦パス→木村ポストプレイを経て受けたルカオが右ポケットを急襲。
そして低いクロスを入れるも中央の江坂は合わせきれずと、早速そのストロングポイントを押し出すルカオ。

3-4-2-1同士でのミラーゲームに相応しく、攻撃のターンになれば素早く縦に送る攻めを空中・地上共に繰り広げる両チーム。
その展開の通例に従うように、その後の岡山はルカオが荒木に抑えられ、木村の突破力も阻まれるなど苦戦。
J1上位の壁を実感させる絵図が膨らんでしまい、この局面をどう打破していくかに力点が置かれます。

14分、田部井のロングパスを中央で収めたルカオは、そのまま荒木を避けるように右へと流れ。
カットインならぬカットアウトと言いたくなる動きから、前進ののち溜めを作るという工夫を見せ。
ここはフィニッシュに繋がらずも、続く攻撃では左サイドの工藤から組み立て、先程と同様に田部井がルカオへ縦パスを繋ぎ。
今度は中央のままボールキープするルカオに対し荒木が反則を犯し、これによりエリアからすぐ手前の位置で直接フリーキックを得た岡山。
キッカーに選んだのは江坂で、壁の右を通さんとしましたがその脇に居たジェルマンのブロックに阻まれます。

着実にリズムを作っていきますが、17分には川辺のパスカットから広島が中盤から一気にカウンター、裏へのミドルパスにジャーメインが走り込み。(渡る前に田上がクリア)
21分にはプレス回避の局面でGKブローダーセンのパスが乱れる(川辺が直接縦パスも前田には通らず)など、広島相手故に一手のミスが縦に速い攻めに繋がりかねず。

プレッシャーに屈しても可笑しくない状況で、妙手となったのが阿部の攻撃参加。
22分、田上のパスを右へと流れながら受けた阿部、これによりジェルマンを剥がして出来たスペースを(藤田とのパス交換ののち)持ち運び。
そしてそのままグラウンダーのクロスを送り、木村ポストプレイ→江坂再度エリア内へパスと、ボールを上下動させた末にルカオに訪れたシュートチャンス。
このフィニッシュは荒木のブロックに阻まれましたが、以降CK・スローインを量産するセットプレー攻勢に突入。
強敵・広島が相手でも、その攻撃機会では互角以上の立ち回りを見せます。

そんななか広島側にアクシデントが発生し、28分にカウンターに持ち込みかけた所でドリブルするジェルマンが倒れ込んでしまい。
最初見た際は寄せた藤田のチャージを受けてかと思われましたが、どうやら筋肉系トラブルらしくすぐさま交代を用意するミヒャエル・スキッベ監督。
故障者続出が波に乗れない状況を生んでいるだけに頭の痛い所で、この日も一筋縄ではいかない試合と化します。(中村と交代)

手加減する事無く、気丈に攻め込む岡山。
30分、左奥でスルーパスを受けたルカオが溜めたのち逆向きのヒールパスで目線を変え、江坂の奥でのキープからの戻しののち田部井のクロス。
ニアで木村が跳び込んだその奥で、松本と藤田が位置する絶好機と化したものの、両者被ってしまい撃てず。

一方アクシデントによる交代で、退潮の気配を感じながらの戦いとなった広島。
その後は越道の突破力を押し出すか、細かいパスワークで繋ぐ攻撃の二択気味になったものの然したる効果は挙げられず。

迎えた40分、GKブローダーセンのロングフィードを川辺が跳ね返し、そのまま空中で繋いでいくというその2つからかけ離れた攻め。
川辺と前田の2人で中央を繋いでいき突破に成功し、そのまま前田がミドルシュートを放ちましたがGKブローダーセンがセーブ。
巧みな1タッチによる前進が、岡山ディフェンスの喰い付きを呼んだものの決めきる事は出来ず終わります。

前半もアディショナルタイムに突入し、岡山はGKブローダーセンがプレッシャーを受けつつロングフィード。
これが荒木がクリア出来ずに一気に裏を突くボールになり、ルカオが走り込んだもののGK大迫が前に出てクリア。
最後方と最前線のパワーでJ1の舞台でも互角以上に渡り合う岡山ですが、そのまま形になったような絵図となり。
結局これが最後の好機となり前半終了。

既に交代カードを使っている広島の方が動いたハーフタイム。
越道・菅→塩谷・東へと2枚替えを敢行します。(中野が右ウイングバックに回る)

流れを呼び込みたい広島でしたが、後半の入りは岡山がスローインから攻め立て。
後半1分に右サイドでの繋ぎから阿部がミドルパス、ルカオを狙うと見せかけてその裏へと落とした事で好機。
木村が奥へ進入してクロス、ニアで藤田がフリックで浮かせるも繋がらずと、得意手を囮に使う事で余裕も感じさせる攻撃に。

その後CKに持ち込んだ岡山に対し、出遅れを強いられた広島。
しかしスローインならばこちらが上といわんばかりに、5分に持ち込んだ右スローインで中野がロングスローを敢行。
これが一気に中央まで伸びた所、後方から佐々木翔が強烈に走り込んでヘディングシュートを放ちます。
GKブローダーセンがキャッチするもその威力は以降も脅威となり、これだけクロスと見劣りしないボールであればロングスロー連発の攻めも様になる、といった穿った思想も自分の脳内に浮かび。

これで精神的に優位に立ったでしょうか。
7分には岡山の攻撃も、阿部ミドルパス→ルカオ胸で落としを拾った木村のカットインが大きくなると、塩谷のクリアがそのまま最終ラインの背後へ。(走り込むジャーメインに惜しくも繋がらず)
9分には自陣での左スローインから、岡山のプレッシングを田中聡がグラウンダーでのサイドチェンジを通して回避(その後スルーパスを奥で受けた前田によりCK獲得)と、大人の立ち回りを発揮し始める広島。

前半同様攻撃機会を重ねていく岡山ですが、そうした広島の攻撃により一発で破られかねない雰囲気にもなり。
ベンチが動いたのは11分で、松本昌→佐藤へと交代します。
直後の12分、左サイドから木村が持ち運ぶと見せかけ人数を掛けてのパスワークに入ると、その間に上がった木村が江坂のパスを間で受けて好機到来。
彼のスルーパスに走り込んで加藤聖が奥から低いクロス、クリアが真上に上がった所に落下点に入ったのは木村という具合に、起点からフィニッシュワークまで勤めに掛かります。(その後こぼれ球→工藤のパスを受けてシュート、GK大迫キャッチ)

こうして木村が持ち味を出して来た事で、好循環が一気に噴き出したでしょうか。
続く13分、最後方から阿部のロングパスが出されると、右ワイドから走り込む佐藤の前で受けにいったルカオが本領発揮。
入れ替わりながら受けた事で荒木と東の2人をいっぺんに剥がす形になると、そのまま一気にドリブルでGK大迫の眼前に。
必至に追走した東が辛うじて触れるも、同じく並走してきた佐藤がそのボールを詰めてゴールネットを揺らします。
ファーストプレイでゴールを叩き出した佐藤により、リードを奪った岡山。
ルカオに対し良く対応してきたこれまでの広島でしたが、ワンミスで破られる脅威はこちらも健在、といった失点になりました。

広島が追い掛ける立場となった事で、どちらが強いかどうかは関係無いものとなり。
とにかく多くチャンスに持ち込み、それらのうちの一つをまずモノにするしかありません。

その意思の通り、16分に再度中野がロングスローを投げ入れる場面に持ち込み、期待通りに中央まで放り込む中野。
これはクリアされるも、その流れにより岡山が布陣を整えた結果、佐藤と木村の位置が逆となる状態に陥ります。
そして直後の17分、広島の左での前進姿勢に対し佐藤が右へと意識を強めた結果、田中聡→塩谷へと通され逆サイドへ。
そしてカットインの姿勢からミドルシュートを放つ塩谷(工藤がヘッドでブロック)という具合に、紛れによる相手の乱れも有効利用する広島。

18分にルカオが遠目からシュートを放って(GK大迫キャッチ)以降、広島の怒涛の攻撃を受け続ける状況となった岡山。
広島は22分に前田→加藤陸へと交代し、更なる攻めの加速の手段とします。

24分、岡山はルカオのパスミスでロストすると、広島が最後方からのビルドアップに入るも左サイドから縦に速い運びを選択。
相手のミスはすかさず突くという姿勢をここでも発揮すると、奥からの中村のグラウンダーのクロスを、フリーになったジャーメインが合わせシュート。
しかしGKブローダーセンがファインセーブと、守護神が瀬戸際で凌ぎ。
その後のCKもクロスをパンチングで跳ね返したブローダーセン、最前線のミスは最後方で取り返すという形で、失点を防ぎます。

それでも耐える時間から脱出できない岡山。
攻撃権を支配し続ける広島は28分右サイドでのポゼッションから、ボールを上下動させた末に中野がクロス、逆サイドへ流れた所を東が拾って再度クロス。
ジャーメインがヘッドで合わせるもミート出来ず、右ポケットへこぼれた所を股も塩谷がクロス、そしてファーで加藤陸が折り返しと右往左往するボール。
これをジャーメインが中央で待ち構え、苦労が報われるという絵図になりましたが、詰めた田上に倒される形となり撃てず。
決定機阻止のような形ですが笛は鳴らずに終わり、広島サイドの紛糾を招くのみとなってしまいました。(これによりベンチのセハット・ウマルコーチに警告)

しかし反則紛いのアタックをした田上の方が足を痛める事態となり、ここで交代の運びとなるアクシデントが岡山側にも降り注ぎ。
これに併せて木山隆之監督は3枚替えを敢行し、田上・江坂・ルカオ→柳育・神谷・一美へと交代します。
J1昇格への道を作りながらもサブが中心となっている面々が、厳しい局面で投入と試される事に。

35分、その投入された一美のボールゲインから敵陣で攻撃開始と、久々に攻撃機会を得た岡山。
左から逆サイドへ展開し、佐藤のクロスにまで持ち込むもここから広島のカウンターに繋がってしまい。(東のロングパスを受けた加藤陸が左ポケットへ切り込んでCKに)
どうしても専守からの脱却が難しいなか、1点を守りきる意識を強め。
そうなると今度は柳育を中心とするディフェンスの試練となり。
単調なロングボールやクロス攻勢ならば無類の力を発揮する柳育だけに、地上から崩されるという弱点の露出は避けたい残り時間。
(37分に広島は田中聡→小原へと交代)

39分の広島、そのクロス攻勢に入るも、両サイドから弛まなく入れられるボールに四苦八苦という絵図に。
そして3本目の中村のクロスが左から入り、加藤陸が合わせるも眼前で工藤がブロック。
何とか凌いだ岡山ですが、同時に田部井まで足を痛める(攣らせる?)事態が発生しすぐさま交代を図るベンチ。
竹内を投入してCKの防衛に入る岡山、そこでも荒木にマンマークで付く柳育がやり合うという具合に悪目立ち。
良くも悪くも、純粋にJ2からの這い上がり組という色が強いものの、それがJ1の場では新鮮にも映り。

交代でボランチに入った小原が、その守備をこじ開けんと奮闘。
43分に左サイドでドリブルする中村から、自分が仕掛けると見せかけ中央へ展開ののち、右ハーフレーンで持つ小原。
ここでミドルシュートの体勢に入るも、キャンセルしてエリア内の加藤陸へ繋ぐなどあくまで決定機を得ようとする立ち回りを貫き。(その後右奥でパスワークも結局撃てず)
そうかと思えば直後の44分、ロングスローの跳ね返りを拾ったのち、またも持った小原はミドルシュートを選択。(ゴール左へ外れる)

リトリートする相手に対し、面白い攻めも見られましたが試合はATに突入と、追い掛ける側はそうも言っていられない状況に。
焦りが滲み出る広島、中盤で荒木が一美に反則を受けると、遅延行為紛いにボールを持つ藤田から取り返さんとした川辺が押し倒してしまい。
そして警告が突き出される(正直これは納得いかない判定……)など醜態を晒すものの、とにかくゴールしなければ後が無く。

しかしロングボールへと傾倒する事は避けられず、そうなると柳育を中心とする岡山ディフェンスの思う壺となり。
何度かクロスは上がるものの、フィニッシュに持ち込ませず時間をやり過ごした岡山。

そして試合終了の笛を聞き、勝利を実感する時間が訪れ。
記念すべきダービーマッチを制し、これで今季5勝目を挙げた岡山。
名実とともにJ1で戦える自信を得る一戦となったでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J1リーグ第9節 鹿島アントラーズvs京都サンガFC

2025-04-09 18:06:36 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

鹿島ベンチメンバー=梶川(GK) キムテヒョン 津久井 三竿 舩橋 小池 溝口 田川 師岡

京都ベンチメンバー=圍(GK) 福田 永田 宮本 ジョアン・ペドロ 米本 松田 マルコ・トゥーリオ ムリロ・コスタ


名門中の名門である鹿島。
その経歴は今更説明不要なものの、ここ数年は人気・成績両面でトップ集団からは後れを取っているという印象が拭えず。
2019年以降タイトルとは無縁で、「陸の孤島」と揶揄されるホーム(県立鹿島サッカースタジアム)の立地も重くのしかかりがちに。

川崎・神戸といった別クラブのタイトル獲得量産や、広島のような新スタジアムの完成などの要素で、ここ数年で勢力図は塗り替えられ。
今季は滑り出し上々で目下首位に居るだけに、そうした状況に立ち向かい、かつ勝ち抜く事が求められる一年になりそうです。
この日ホームに迎えた相手は京都。

その京都、前半1分の最初のチャンスを右コーナーキックに繋げたものの、そこから展開されたのは鹿島のカウンター。
しかもクリアボールを須貝がキックミスという形で鹿島ボールになったもので、柴崎のスルーパスを受けた濃野の前進を戻ってきたアピアタウィアが何とか防ぎ。
続く3分にも、(川﨑の)対角線のロングパスを受けた奥川が右奥を伺う好機を作った京都、ここから奥へ切り込むと見せかけカットインの姿勢からアーリークロス。
しかしこれも、跳ね返りを福岡が1タッチで縦パスと、早くエリア内へボールを送る姿勢が仇となってクリアボールが鹿島のカウンターに繋がります。(柴崎のパスを受けた松村がドリブル、鈴木優とのパス交換を経て左ポケット奥からクロス)
アウェイ感の強い環境下で厳しい状況に追い込まれているような入りを描き。

ウイングにもターゲットになれる選手を置いているのが京都の特徴。
そしてサイドを幅広く使ったロングボールと、一貫した立ち回りを見せたものの、7分にそれを合わせにいった原がクリアした濃野に対し反則。
すると警告対象にまで発展、早々に橋頭保の一角が警告付きと、こちらも苦しい状態となり。

精神的に優位に立った鹿島、入りのカウンター攻勢は終わり、主体的な攻めのターンへと突入。
10分には京都のお株を奪うような、対角線のロングパス(左→右)を通したのちの右スローインからの繋ぎで敵陣で長いポゼッション。(右奥で細かく繋ぎ、クロスをニアで柴崎が受けるもその後パスミス)
続く11分にはGKから地上での繋ぎで、巧みに京都のプレスを剥がしたのち柴崎がドリブルで自陣から一気にエリア内へ。
そしてシュートにまで持ち込んだ柴崎。(アピアタウィアがブロック)

この日の鹿島のビルドアップは、4対4の同数にGKを加える事で数的優位と取り。
前線が前に張ってきちんとピン止めしているのか、京都はそれ以上の人数を掛ける事はままならなず、持ち前の前線の圧力を発揮出来ません。
エリアスの二度追いに頼る絵図が目立ち、ボールゲインは夢のまた夢という状況を強いられ。
16分の鹿島のボール保持、京都はGK早川にロングフィードを蹴らせたものの、跳ね返りを拾わんとした柴崎を福岡が倒してしまい。
これをセアラが拾った事でアドバンテージ、そのまま右へスルーパスを通されて荒木がクロス(クリアでCKに)とまたも好機を許したうえに、先程のチャージで福岡にも警告。

京都が苦境なのは明らかで、ここから左CK→右奥でのスローインと鹿島の攻めが続き。
投げられたボールから素早いクロスを選択し、跳ね返りを収めた柴崎が浮き球のままコントロールしてエリア内へ。
このパスを受けた鈴木優も巧みにキープから横パスを出し、最後はセアラが1タッチシュートで仕上げネットを揺らします。
柴崎・鈴木優の技に翻弄されては、最も警戒すべき得点力を誇るセアラへの道が開いてしまうのも道理というものであり。

早くもリードを得た鹿島に対し、京都は激しく寄せる意識を高めるものの、再開して間も無い19分に今度はアピアタウィアが(松村に対し)反則・警告。
これで合計3枚目と、傷口が広がっていきます。

量産される京都の反則もあり、鹿島は遠目からのフリーキックでも放り込みを選択する事が多かったこの日。
ここからは少々余談ですが、アクチュアリープレイングタイム(以下APT)を増やすための「世界基準の判定」を持ち込むに至った今年のJリーグ。
しかし判定を巡っての不満の噴出により、本末転倒な感が強まっている昨今。
むしろ直接的にAPTを増やすにはロングスローや放り込みの数を減らしたり、CKでの間合いの時間を減らす努力の方が不可欠と思いますが、それは各クラブのスタイルとも要相談となり。
結局はコントロールし難い要素だと、有力クラブである鹿島でも放り込み重視という姿勢を見て、そんな事を考えさせられました。

試合の方は、やはり前線に張る人数の多い鹿島に対し、GK早川の足下の技術もありプレスを抑制せざるを得ない京都という展開が続き。
28分、京都は焦りからか敵陣でボール保持の体勢も、左から原のアーリークロスを選択。
これが跳ね返されるとまたも鹿島のカウンター、という具合に着実に構築されつつある負けパターン。
荒木が右ハーフレーンをドリブルで持ち運び、並走するセアラへラストパスが送られた末に、放たれるセアラのシュート。
GK太田が距離を詰めてセーブ、尚もゴール方向へ向かうボールに鈴木優が詰めにいくも、アピアタウィアが掻き出し。
それも束の間さらに荒木がミドルシュート、これも佐藤響がブロックと連撃を何とか凌ぎます。

しかしそれも一瞬の安堵でしか無く、続く29分に関川のクリアを収めた鈴木優に対し腕でチャージした須貝が反則と、ラフプレー紛いでしか止められないディフェンス。
これで得た左サイドからのFKを、キッカー荒木中央へクロス→濃野を越えて植田折り返し→セアラシュートと完璧に生かし切った鹿島。
またもセアラの1タッチゴール(得点ランキング独走の今季8点目)で、リードを広げるに至りました。

猛烈な追い上げが必要となった京都。
自身もボール保持による最後方からの崩しを図らざるを得ず、その能力が決して高くないだけあって更なる苦境に立たされた感があり。
GK~DF間で持っている際、鈴木義が巧に鹿島FWの間を取るポジショニングでどうにかしようという姿勢は失点前から見せており。
それでも、最後方から前への可変というやや変則のスタイルでは、洗練されたハイプレスに対し安定させるのは難しく。
結局、2失点後は福岡が降りる形が基本となりました。

しかしその形からも然したる好機は生まれず。
37分、最終ラインで裁いた福岡が一列前に出て、左からの横パスをセアラの背後で受けたのが起点となり前進。
縦パス→エリアスフリック→原でアタッキングサード進入に成功し、右からのクロスの跳ね返りを繋いだ末に、起点の福岡がミドルシュート(関川がブロック)とフィニッシュに繋げたのが唯一のものとなりました。
攻撃機会が1度だけとあらば、当然鹿島の攻撃に翻弄されるという時間が長くなり。

2ゴールに加え、セアラが腕を痛めて倒れ込むシーン(42分)も生まれた事で+5分となったアディショナルタイム。
突入後も押し込み続ける鹿島、CKでの二次攻撃から、クリアボールを繋いで柴崎が突撃という状況に持ち込むとエリアスが引っ掛けてしまいまたも反則。
今度はエリアから至近距離、つまり絶好の直接FKを与えてしまいます。
壁に8人を使い、必死の防戦体制を取った京都。
鹿島はキッカーに荒木を選択し、満を持して放たれたシュートはそれを直撃。
足下に転がってきたボールを再度シュートした荒木ですが、前に出たエリアスがブロックと防ぎきります。

京都は粘ったものの、2点差という結果は変えられず前半が終了。
前年の天皇杯・神戸戦を彷彿とさせる、力量差を痛感せざるを得ない展開を受けてハーフタイムで2枚替え。
アピアタウィア・福岡→宮本・ペドロに交代と、最終ラインと中盤にそれぞれテコ入れを敢行する事となりました。

アンカー福岡が退いた事で川﨑がその位置を務め、ペドロが空いたインサイドハーフに入った中盤三角形。
しかし投入されたペドロ、後半2分に柴崎に対する反則で早くも警告を貰う有様と、根本的に変わっていないかのような絵図を作ってしまい。
その後も、スコアラーのセアラが何度もシュートチャンスを迎えるなど、鹿島ペースが継続されたかのような立ち上がりに。(ただしスローインのボールに入れ替わって遠目からシュート(7分・枠外)など、その姿に若干の焦りが感じられ)

宮本の投入、かつ鹿島がプレスのペースを落とした事で最後方での繋ぎは良化した京都。
それが活きたのが8分、地上でサイドを移しながのパスワークで敵陣進入ののち、平戸が斜めの縦パスを中央に打ち込みペースアップ。
原のポストプレイをさらに川﨑が1タッチで前へ送ると、エリア内中央でエリアスがシュートと決定機に繋がりましたが、ふかしてしまい決められません。

一つ風穴を開けた事で、積極性を取り戻したい京都は12分さらに佐藤響→福田へ交代と矢継ぎ早に動くベンチ。(須貝が左サイドバックに回る)
その直後の13分、エリアからすぐ手前という位置でペドロがボールカット、そのままエリア内に切り込むショートカウンター。
これを植田が倒してしまうも反則の笛は鳴らずと、モノに出来ませんでしたがハイプレスの勢いも出始め。

そんな良い流れが生まれ始めた京都に対し、鹿島はスタメンを引っ張った事で次第に息切れという格好に。
守備陣形の間延びも目立ち、迎えた16分の京都のビルドアップは、右への展開から(福田の)スルーパスで一気に右ポケットと直線的な前進。
しかしこれが最大の武器となり、走り込んだ原のマイナスのクロスに対し、ブロックするも掠めただけとなりニアのエリアスに渡る好機に。
そして横パスを経て放たれる平戸のシュート、植田がブロックするも右へこぼれるボール、そこに奥川が反応してのシュートでネットを揺らします。
前半に比べちょっとずつ遅れ始めた、鹿島の守備を破り1点を返しました。

尚も17分からCK攻勢に入るなど、京都のターンは続き。
対する鹿島は19分に(福田への)アフターチャージで松村が反則・警告と、前半の京都を彷彿とさせる苦境に立たされます。
すかさずベンチが動き、柴崎・荒木・松村→三竿・小池・師岡へ交代。
一挙3枚替えを敢行し、破綻を防ぎに掛かった鬼木達監督。

それでもペースは変えられず、京都は1点目のような、ダイレクトにサイド奥を突く姿勢を貫き。
そこには多少見られていた、緻密なビルドアップといった感は無いものの、疲弊してきた鹿島ディフェンスの前では大きな要素となります。
25分には京都の自陣でのボール保持に対し構える姿勢の鹿島、そこにあろう事か、構える鈴木優が戻ってきた主審(上田益也氏)に激突されるという珍事も生まれ。
その隙を突くかのように、降りてキープする原が右サイドへロングパス、これを福田がエリア内へ落としと素早く運ぶもフィニッシュには繋がりません。

この直後、京都はさらに奥川→トゥーリオへと交代。
アタッカーの駒を増やし、かつそれを活かす姿勢を強めに掛かります。
その象徴が27分、GK太田が低い弾道でロングフィードを送り、エリアスのポストプレイで落とされたボールでトゥーリオが一気にロングシュートを狙い。
自陣から放たれたこのシュートが、ゴール左へ際どく外れるあわやという場面を創出する事に。
そんな姿勢に圧されたか、続く28分には鹿島陣内で浮き球の応酬になり、関川がヒールでのクリアを図るもキックミスで原に収まるというらしくないプレー。
そして原がすかさずミドルシュート(ゴール上へ外れる)と、運気は京都にあるのが一目瞭然な展開。
ベンチも終始前掛かりで、33分に早くも最後のカードを使用し平戸→コスタ。
これでトゥーリオが中央に回った事で、4-4-2気味の布陣ながら、サイドハーフ(右=コスタ・左=原)も前掛かりな4トップと言いたくなる陣容に。

34分、(セアラが須貝に倒されるも反則無しとなった事で)試合が途切れたため鹿島が自陣からドロップボールで再開。
これに果敢にプレスを掛ける京都、すかさず植田が左に展開して安西→セアラと素早く奥へ運び。
とにかく取り返したい京都と、したたかさを発揮したい鹿島との意思のぶつかり合いという趣ある攻防が描かれます。
左奥を取った鹿島ですが、キープの姿勢も匂わせながらも師岡のバックパスがカットされた事で途切れ。
狡猾な絡め手を使いながらも保持に失敗した鹿島により、一層京都に針が振れる結果を招いたでしょうか。

迎えた35分、地上からの組み立てで宮本が右から斜めの縦パスを通し、中央→左へ素早く展開。
すると原はその姿勢の通りアーリークロスを選択し、今度は鹿島の対応力が落ちていた事もあり、エリアスにピタリと合ってヘディングシュート。
ゴールネットを揺らし、待望の同点弾が生まれました。

既に京都の怒涛の攻めを止める術が無いという鹿島。
キックオフからの繋ぎで、トゥーリオのパスカットで矢印反転を強いられアタッキングサードまで運ばれ。
そして左スローインの連続で攻め上がる京都、奥での繋ぎを経て須貝のクロスが上がると、ニアで跳んだコスタの奥で合わせたのはまたもエリアス。
再度ゴールネットが揺れ、3分間で2得点というエリアスの本領が発揮され逆転に成功します。

一気に窮地に立たされた鹿島、キックオフの前に鈴木優→田川へと交代。
さらに2分後の40分、樋口→キムテヒョンに交代と一気にカードを使いきり。
この交代でキムテヒョンが左CBに入っての3-4-2-1となり、小池がボランチにシフト。

この布陣変更で保持力は高まるも、守りに入った京都に対し一向に隙を伺えず。
フィニッシュシーンを作れないまま、試合はとうとうATへ。
楽勝の気配も見せていた前半の姿は何処にも無く、死線を彷徨いながら活路を見出すという状況の鹿島。

しかし+1分を回った頃、京都の左スローインを濃野が跳ね返して前進に転じ、セアラがデュエルを制してのキープで中央に繋げ。
安西を経由して師岡が中央突破に持ち込むと、スペースを得ていた事で果敢にミドルシュートを選択。
これがゴール左へと突き刺さり、土壇場の同点弾を齎します。

3-3となったものの目安時間はまだまだあり。(当初は+7分)
鹿島の疲労度は最高潮のはずで、勝てるかも……という姿勢で何とか鞭を撃つといった状況。
そしてその「自分の意志とはかけ離れた前向き姿勢」が、残酷な結末に繋がったでしょうか。

GK早川ロングフィード→師岡フリックという手法で素早く左奥を突きに掛かる鹿島の攻撃。
既に繊細な崩しなど無きに等しく、スペースに転がるボールに安西が走り込むも、カバーした宮本が奪うと京都のカウンターに。
宮本ミドルパス→トゥーリオポストプレイ→コスタと経由するなか、前掛かりだった鹿島守備の薄さは語るのも物憂いという有様で、中央で原が持ち運ぶ状況に。
そして左ポケットへ出されたラストパスに、ワントラップを経て放たれたエリアスのシュートがGK早川を弾いてゴールネットに突き刺さります。
相手を希望から絶望へ……という、ハットトリックを達成したエリアス。

再度追い掛ける鹿島ですが、キムテヒョンを上げてのパワープレイに舵を振るしか無い残り時間。
右からの小池のクロスを、諸岡が合わせてのヘディングシュート(GK太田キャッチ)が唯一のフィニッシュとなり。

そして10分も過ぎ(その最中にGK太田が遅延行為で警告)、乱打戦の決着を告げる笛が鳴り響き。
オープンな展開に自らしてしまった感の強い鹿島の敗戦となりましたが、巻き返しを図れるかどうか。

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DAZN観戦 2025年J1リーグ第7節 FC東京vs川崎フロンターレ

2025-03-31 16:00:40 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

FC東京ベンチメンバー=波多野(GK) 木本 エンリケ・トレヴィザン 東 常盤 塚川 西堂 小柏 野澤零温

川崎ベンチメンバー=チョンソンリョン(GK) ジェジエウ ファンウェルメスケルケン際 橘田 瀬川 河原 エリソン 伊藤 宮城


2週間空き再開、というタイミングで丁度良く組まれた多摩川クラシコ。
代表ウィーク明けで、その代表に選ばれている選手がお互い在籍している(FC東京=長友・川崎=高井)という点でも注目度は高く。
しかし長友は負傷により欠場(放送席の談)と、若干アテが外れた格好となりました。

川崎の常勝軍団への進化に伴い、対戦成績が大きく傾くに至ったダービーマッチ。(リーグ戦では2017年から、川崎の11勝2分3敗)
2017年のFC東京の1勝1分という星から、良くもまあここまで川崎の方に開いたのだから、クラブの成り上がりがなせる業と言うべきか。
近年の川崎の衰えから、これで五分に戻るのかという予感を孕ませたものの、前年も川崎の2勝。
しかも2戦とも3-0と、FC東京は優位に立つどころか、長らく後れを取る事によりコンプレックスまで得てしまったかのような成績を描き。
挽回を図りたい一年なのは言うに及ばずですが果たして。

立ち上がりは良好だったFC東京。
ボール保持で川崎のプレッシングを呼び込んで剥がし前進、という流れを作るポゼッションスタイルならではのペースの掴み方を見せます。

前半6分にGK野澤大を交えてのパスワークで剥がしに成功、右から運ぶ状況となるやすかさず土肥が対角線のロングパス。
これを受けた俵積田がワイドからのカットインを経てミドルシュート(GK山口瑠キャッチ)と、前線に数多並べたスピード型アタッカーの持ち運び一辺倒とはならず、組み立てによる好機。
すると直後の7分に決定機が訪れ、センターバック⇔ボランチのパス交換でマルシーニョを中央に寄せた事で、右から運ぶ余地を作るというこれも保持型の崩しによる起点。
そして佐藤がボールキープでの溜めを経て裏へのミドルパスと、緩急を使って裏を取った末に、走り込んだ俵積田がまたもシュート。
今度は至近距離でのフィニッシュでしたが、これを距離を詰めたGK山口瑠が顔面ブロックの形でセーブと、ハイレベルな攻防が炸裂します。
尚も繋ぐFC東京が、安斎が左ポケットからカットインシュート(ブロックを掠めて枠外、コーナーキックに)とひとしきり川崎ゴールを脅かし。

一方後れを取った川崎、こちらも地上で繋ぐ色を高めに掛かるも、FC東京のハイプレスの前に前進の機運が高まらず。
5-2-3の基本形から、ウイングバックを前に出してのプレッシャーによりサイドで運ぶ道筋が失われ。

ならばと11分、家長が降りて高井と佐々木の間に立つ事でその導線を作りに掛かると、その逆の左からの攻め。
丸山ミドルパス→マルシーニョスルーパス→脇坂走り込んでグラウンダーでクロスと、縦に速い運びに成功するも山田には惜しくも合わず。
川崎の次なる手は14分で、高井が一つ飛ばしのパスで左に預けると、三浦に対し佐藤が詰めにいった所を剥がして前進に入る三浦。
FC東京は三浦に対し白井が詰めたかった状況で、高井→丸山→三浦と循環する想定をしていた所で(佐藤が丸山に詰める予定が)裏を掻かれたため隙が生まれ。
ここでは前進からの裏へのパスがカットされて終わるも、変節により徐々に形を作る元王者らしい振る舞いを見せていきます。

その後再び保持の時間を高めるFC東京ですが、エリア内を突いても中々フィニッシュに持ち込めず。
19分にカウンターを浴びかかった所で、橋本が奪い返して逆カウンターの形を作り、俵積田が左奥を突いての戻しから高がミドルシュート(枠外)というのが唯一のものとなり。

ややダレてきた状況で、24分に再び降りてきた家長がボールに触れたのちの保持から形を作る川崎。
佐々木ミドルパス→山田ポストプレイがディフェンスに遭いこぼれるも、脇坂が拾って継続し左ポケットをマルシーニョが突く好機に。
そして細かなタッチを経てシュート(白井がブロック)と、全盛期を思い出させるかのように、家長のボールキープでリズムを生み出しに掛かります。

その川崎の姿に脅威を覚えたか、FC東京は27分の攻撃で、センターバック(ビルドアップ時は主に土肥がサイドバック化する形)の木村が持ち運びを選択。
しかしこれが丸山に奪われるとその背後を突かれ、またもマルシーニョが持ち運ぶ状況となり、戻しを受けた大島が仲川に倒されて反則。
セットプレーの好機を得た川崎、この左ワイドからのフリーキックで、キッカー三浦のクロスを高井が跳び込んでヘディングシュート。
GK野澤大のセーブに阻まれますが、尚も左CKで継続すると再びキッカー三浦のクロスを高井が合わせヘディングシュート。
ネットを揺らして決まったかに見えたものの、その前に家長・山本のGK野澤大に対するブロッキングが反則を取られたようで、幻のゴールとなってしまいました。

お互いボール保持をベースとする、傍らから観ればスローペースに映りながらも、密度の高い攻防が繰り広げられ。
33分のFC東京、右から土肥が立ち上がりのように対角線のロングパスを送るも、これをカットした川崎が保持の姿勢に入ると高井が最後方から対角線のロングパス。
これがマルシーニョに渡る(トラップ際を奪った白井がハンドの反則)という具合に、今度はFC東京の得意手を折ったうえでかつ同じ手でそれを上回りに掛かったでしょうか。
元王者かつ、ダービーマッチで優位性を取るクラブに相応しいその姿が面白く映り。

そうした立ち回りにより、次第に攻撃機会で上回りを見せる川崎。
何度も鋭いクロスが供給され、その度に山田が走り込むもののあと少しで合わないという場面が頻発し。
40分には最終ラインでのパスワークでハイプレスを剥がし、右から家長が持ち運んだのち山本のミドルパスで突かれるエリア内。
左ポケットで受けたマルシーニョが、ここでは戻しを選択し、中央ペナルティアークから脇坂がシュートと変幻自在の攻め。
橋本がブロックして何とか防いだFC東京ですが、これにより橋本が痛むその絵図が示すように、立ち上がりの勢いは削がれる格好となりました。

結局スコアレスで前半終了。
時間が進むにつれ押されていたFC東京ですが、ボールは握れていたという事もありこのハーフタイムでは静観を選択します。

しかしそれが拙かったか、後半のキックオフからは、一転してハイプレスに転じた川崎に対し押された末に逃げのロングボールを回収されて終了となり。
そして敵陣で保持を続ける川崎、ここでもポジションチェンジを繰り広げる家長を掴まえられず窮地に陥る事となり。
後半3分、ボールキープで右ハーフレーン→ワイドへと移動する事で岡を引き付けた家長、これによりポッカリ空いた右ポケットへ(佐々木から)送られたスルーパスを受けた脇坂。
奥へ切り込んで上げたクロスは誰にも合わずも、逆サイドで拾ったマルシーニョから再度奥を抉り三浦のクロス(GK野澤大が直接キャッチ)と、敵陣でサイドを振られ続ける厳しい攻めを浴びます。

いきなり面食らった感のFC東京ですが、直ぐに立ち治り前進体勢を整え。
5分に自陣で高のボール奪取から右サイドを前進、パスに入れ替わりからドリブルに入った佐藤に対し、丸山がオブストラクションの形で反則。
これで右ハーフレーンからの直接FKになると、キッカー安斎は壁の外から巻くように直接シュート。
ネットが揺れて一瞬沸き上がった味の素スタジアムでしたが、サイドネット外側という結果でスコアは動きません。

これを切欠に、右サイドからの攻めを増やすFC東京。
しかし10分に長いボール保持から、橋本の斜めの縦パスが丸山にカットされると一転川崎のターンとなり、その丸山の展開からこちらも右サイドでの攻め。
(家長の)スルーパスを受ける事で深さを取った佐々木が、家長とのパス交換からカットインを選択すると、高を剥がした末にポケットからグラウンダーでクロス。
脇坂のトラップが丁度スイッチのような形になると、受ける側の山田はダイレクトでシュートを選択、土肥のブロックを掠めてゴールに吸い込まれるボール。
前半同様、FC東京と同じ攻め(右サイドアタック)で上回り先制点に辿り着きました。

追い掛ける事を余儀なくされたFC東京、ホームである以上許されない敗戦。
しかし失点により色を失ったか、右サイドアタックは取り止められ。
左ワイドに俵積田を固定化させ、安斎や土肥が内に絞るという可変も取り入れながら繋ぐ体制に。
それでも一度失った流れは取り戻せず、逆に川崎の右サイドから押し込まれる絵図が続きます。

例によって家長のボールキープを軸に、彼を中心としたトライアングルを形成させて繋ぐ事でポゼッションを高め。
中々それを切る事が出来ないFC東京ディフェンス、反則への傾倒も見せる事となり。
18分に大島ミドルパス→山田ポストプレイを起点とし、中央→右への展開ののち家長が奥へと切り込み。
キープに入って溜めを作る家長に対し、高があろう事か後ろから腕で激しくチャージ。
これに倒れなかった家長ですがボールはこぼれ、俵積田が拾ってロストしたその刹那、高に対し激昂する一幕へと発展してしまいます。
慌ててプレーが止められるも結局反則無しという絵図に「世界基準の判定」がまたも悪目立ちしたような格好で、チャージに対しての「倒れない損」は一層色濃くなった感じであり。

これにより不穏な空気となりましたが、追い掛けるFC東京は後ろめたさはあるもののそれを利用しない手は無く。
直後の20分にベンチが動き、橋本・俵積田→東・小柏へと2枚替えを敢行します。

ここからさらに保持の色を強め、ボランチ付近へと可変する土肥(この動き自体は前半中頃から見せていた)を中心に、後方の縦パスを軸に組み立て。
しかしこの日の前線はターゲットタイプが不在なため、クロスに辿り着いてもフィニッシュが遠く。
川崎は高井・丸山を中心に中央を固め、多少サイドを抉られても冷静な守備対応でやり過ごしていきます。

そして26分、双方交代を選択しFC東京は佐藤→塚川。(仲川がシャドーに回る)
川崎はマルシーニョ→伊藤へと交代します。
不足しているターゲットの投入と判り易いFC東京の采配でしたが、その効果が現れる前に非情な結末が待っていました。

川崎はスローインによる漸進を経て、27分に右奥でのスローインからの繋ぎを得点に結び付け。
パス交換から上がった佐々木のクロスが、ニアでの東のクリアがフリックのようになってしまい、流れた所を素早く反応した伊藤が合わせシュート。
綺麗にゴールに突き刺さる、伊藤の投入直後でのゴールでリードを広げるに至りました。

苦しくなったFC東京を尻目に、川崎は33分に大島・山田→橘田・エリソンへと2枚替え。
豊富な駒を活かしながら、リードを保つ王道の立ち回り。

その直後、前に出た高井が小柏と交錯しながらボール奪取、こぼれ球を拾った伊藤が中央を前進してシュート。
土肥がブロックして防ぐも、交錯した小柏が肩を痛める事態になった事で顔面蒼白といった格好に。
札幌時代から癖になっている個所で危ぶまれましたが、幸い無事でプレーを続けるに至った小柏。(ピッチ外→復帰)

それでも反撃の機運が高まらない状況は変わらないFC東京。
焦りや苛立ちといった要素から逃れられない、という所でついに決定的なミスをやってしまい。
38分、敵陣での繋ぎで最終ラインから作り直しに入るも、東のバックパスが短くなって木村の眼前で脇坂がカット。
そのまま木村をかわしてドリブルに入った事で完全に抜け出し、そのままエリア内に進入しGKと一対一、と見せかけて並走してきたエリソンへ横パス。
難なくシュートをネットに突き刺したエリソンにより、止めとなる3点目が齎されました。

これでどうしようも無くなってしまったFC東京、止むを得ず後半当初である右サイドアタックの色を強め。
白井が推進力を見せるものの、時既に遅しのそしりは免れません。
41分に最後の交代を敢行、土肥・仲川→常盤・野澤零へと2枚替え。(4-2-3-1へシフト)
すると直後に川崎も、山本・家長→河原・瀬川へと2枚替え。

家長が退いたものの右サイドで攻める意欲は旺盛で、FC東京が四苦八苦する状況は変わらず。
相手のクリアボールも拾って攻め続けた末に、アディショナルタイムに右ワイドからエリソンがカットインでエリア内へ。
これは遮断されるも拾い直したのち再度右から攻め、瀬川が佐々木とのパス交換の末に右ポケットからトラップ→シュート。(GK野澤大キャッチ)

何とかその流れを切ったFC東京は、左サイド深い所から安斎がドリブルで持ち運び、高井を股抜きした所でその高井に倒され反則。
これでセットプレー攻勢に入った事で、最後の意地を見せたかった所でしたがフィニッシュは生まれず。
最後は左CKから、ターゲットとして起用されたはずの塚川がクロスを収められずに終了と、チグハグ感が最高潮という感じで幕を閉じました。

0-3で試合終了となり、これで3試合連続同スコアでクラシコを制した川崎。
ここから過密日程で、リーグ戦のみの7連戦が待ち受けています(ACLによる日程調整の結果)が、果たして王者復権はあるでしょうか。

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DAZN観戦 2025年J1リーグ第6節 東京ヴェルディvs名古屋グランパス

2025-03-18 16:00:25 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

ヴェルディベンチベンバー=長沢(GK) 鈴木海音 福田 平川 稲見 松橋 食野 山見 白井

名古屋ベンチメンバー=ピサノ・アレックス幸冬堀尾(GK) 野上 宮 内田宅哉 加藤 菊地 山中 永井 杉浦


クラブとしての総合力が試される、上位カテゴリでの戦い。

J1に復帰して2年目のヴェルデイはまさにそんな状況で、開幕からの出遅れに加えて故障者続出という、踏ん張り所を迎えており。
この日もアクシデントと無傷で済まない試合となりましたが、それでも言い訳は許されず、乗り切っていくしかない。

一方名古屋は、そんな誤算が離脱者のみならず「加入者」という枠組みでも起こってしまったというべきか。
編成も終盤を迎えた頃、突如としてマテウスCの復帰というニュースが飛び込み。
2年前の夏に涙の移籍劇で中東(サウジアラビア・アル タアーウンFC)に旅立つも、故障に伴い方向転換があったようで、双方合意での契約解除を経て復帰の運びとなり。
名古屋サイドにとっては(移籍金無しとの事もあり)歓喜でしかない補強……というのは机上の理論だったようで、特に前年彼抜きのチームの方向性を必死で整えてきた長谷川健太監督にとっては寝耳に水の感があり。
そしてマテウスC自身も故障により2年前までの破壊力は喪失気味で、かつヴェルディ同様に故障者続出という要素も絡み、相乗効果を齎せずとあっては現在のチームの位置(最下位)も納得できなくも無く。
それでも戦いを止める事は許されず、何とか今季初勝利が欲しい試合となりました。

3-4-2-1のミラーゲームという、お互いボール保持の面で苦戦が予想される試合展開。
そこからどう動かすかという課題を、いち早く解決に掛かったのは名古屋。
といっても前年から取り入れている、右ウイングバックをサイドバック化させた4バックへの可変を素直に貫く、お馴染みの解決策をこの日も見せただけですが。
それでも、チーム屈指の長身かつ中央タイプの三國がワイドに開くという一見違和感あるその可変は、個人よりもチーム戦術という「クラブとしての総合力」の落とし込みを感じさせるものであり。

それを下地とした名古屋のビルドアップに、ヴェルディはハイプレスを掛けるも中々嵌められず。
前半2分はその右に張り出す三國への繋ぎを、新井が二度追いで詰めにいくも間に合わず、浅野→中山フリック→マテウスCとそのまま右ワイドで前進を果たす名古屋。
そしてスルーパスに走り込んだ浅野の低いクロスを、ニアに入り込んだ中山が合わせシュート(GKマテウスVセーブ)と先制攻撃。
これにより自身も得た名古屋、ゴールキックでも短いリスタートを積極的に見せるなど、長谷川監督のチームとは疑いたくなる姿も示し。
9分にはそのリスタートから先程と同じく三國経由での右での運び、ボランチの稲垣が開いて受けにいって中継役に。
対してヴェルディはそこに森田が付いていけず、その後中央のマテウスCを経由し逆サイドへ運んで好機に繋がる(フィニッシュには繋がらず)という具合に、そんな可変に後手を踏んでいた印象が拭えない対応。

一方ヴェルディの攻撃は、一重にミラーゲームに苦戦という絵図は免れず。
ロングボール重視で、木村をターゲットとしつつ新井の裏抜けと選択肢は複数あるのがまだしもの事。
そこからのスローインで、何とか攻撃回数を稼ぐという立ち回りを強いられました。
中々嵌らないハイプレスも、11分に左サイド深めで木村がカットする(その後深めでパスワークから新井のクロス)など一定の成果は見せて対抗姿勢を整え。
しかし主体的な攻撃での優劣感は拭えず、それがスコアを動かす事となります。

21分、ヴェルディの最後方からのビルドアップで地上での繋ぎを選択するも、齋藤の縦パスを染野が収められず自陣でボールロスト。
すかさず浅野がエリア内へミドルパスを送ると、ハイプレスの勢いのまま前残りしていた稲垣の落としと、相手の陣形がスカスカなうちに絶好機を迎え。
そして受けた森島がGKマテウスVの眼前に迫り、ループシュートでその上を抜いてネットを揺らします。
試合内容をそのままスコアに結び付けた名古屋がリードを奪い。

スコアが動いた後は、サッカー云々より選手が痛むシーンが目立つ展開に突入。
22分にマテウスCが林との競り合いで痛み、1分ほど倒れ込んでしまったのがその入り口となり。
マテウスCは無事に継続するも、直後に森田が佐藤のスライディングを受けてしまうと、今度は無事で済まない事態に発展してしまいます。
長らく倒れ込んでいる間に、別の所で中山が出血のため治療という事案も絡む、痛々しい絵図に。
ここでは継続の運びとなった森田、中山とともにピッチ脇で長らく待機している間も、10対10でサッカーは続き。
ヴェルディが長らくポゼッションを続けた末に、ラインアウトとともに両者復帰。
しかしヴェルディベンチは交代を選択し、33分に再度倒れ込んだ森田に代えて平川を同ポジションで投入します。

痛みを抱えながらプレーしていた森田に釣られるように、30分に谷口のクリアミスから決定機を作られる(マテウスCが拾いエリア寸前からシュート、林がブロック)など退潮著しかったヴェルディ。
攻守ともに前への姿勢を強めるも、逆に名古屋の冷静さに翻弄される事が多く、39分には縦パスに入れ替わった森島を倒してしまった綱島が反則・警告。
この辺りは前年までの、苦しい時には球際の強さ・走力を重視するスタイルを押し出すしかないように映り、正常なブラッシュアップには未だ遠いという感じでした。

長くなったアディショナルタイムも、そんなヴェルデイの反則が目立つ事で、名古屋がサイドからフリーキックを放り込むという展開に占められ。
結局0-1のまま前半終了と相成りました。

既に1枚交代をしていたヴェルディの方が動いたハーフタイム。
宮原→山見へと代え、新井を左WBへと移し翁長が右に回るという布陣変更も絡め巻き直し。

それでもやる事は前半とあまり変わらず。
最前線の木村のみならず、染野へのロングボールの割合も増やす事で、一層身体を張った印象の方が強くなり。
しかし地上でサッカーをしたい(と思われる)名古屋も、その跳ね返しによるボールの右往左往で一筋縄ではいかない時間を強いられたでしょうか。

名古屋のスタイルを折ったうえで、シンプルにゴールを目指すヴェルディ。
後半9分に裏へのロングパスを選択し、左ワイドで受けた木村が溜めを作り、スルーパスで奥を取った新井のグラウンダーのクロス。
ディフェンスに遮断され、こぼれ球を拾った染野がシュートしますが枠を捉えられず。
決定機を逃してしまい、その後もフィニッシュは12分の山見のミドルシュートぐらい。(GK武田キャッチ)
しかし名古屋も巧くいっていた前半とは雲泥の差という状態で、その押し込まれる感は通常をはるかに上回るものだったと推測します。

リズムを取り戻したい名古屋は18分、地上での繋ぎで久々の好機を迎え、左ポケット奥を取った泉がマイナスのクロス。
しかし合わずにクリアボールを確保という段階で、三國のパスミスでヴェルディのカウンター、それも染野のスルーパスから山見が独走という願っても無い状況へと移り。
慌てて対峙する佐藤を振りきるように放った左ポケットからのシュート、これが佐藤の後追いブロックを掠めた事で、GK武田は止められずゴールに突き刺さります。
佐藤の対応が拙く、GKも正面に見えるボールを後逸したと映る非難を浴びやすい名古屋の守備となりましたが、そんな混乱を齎したのはやはり強烈な個の縦突破といえたでしょうか。
ともかく山見という矛を突き出した事で、追い付いたヴェルディ。

尚もヴェルディは、20分に縦パスをカットした平川から素早く山見にエリア内を突かせる(染野のミドルパスに走り込む)攻撃を貫き。
コーナーキックに代わると、キッカー山見のクロスに対するGK武田のパンチングも小さく、エリア内で齋藤に拾われる(すぐさま奪い撃たせず)という具合に動揺を隠せない名古屋。
潮目が変わったのは明らかとなり、名古屋がどう立て直すのかという状況に。

森島-マテウスCのラインを押し出して(無理目のスルーパスを通さんとする森島)攻撃権を掴まんとしますが、前半とは違い、積極的に上がる稲垣の姿も見られなくなり重厚な攻めは見られず。
それ故疲労感も色濃くなりますが、その姿に森島・マテウスCは代え辛いといった思惑もあったでしょう、22分に中山・浅野→内田宅・永井へと2枚替え。(マテウスCがシャドーに回る)

優位性を活かしたいヴェルデイ、24分にゲーゲンプレスを嵌めて左サイドでボール奪取した山見、そのままカットインでポケットへ切り込まんとし。
しかし三國の反則ギリギリのショルダータックルに阻まれ、再度決める事は出来ず。

それでも流れは変わる事無く、28分にロングパス→染野フリックで右奥へと運び好機。
スローインでサイド奥を狙って投げ入れると、セーフティに蹴り出した事でCKと、名古屋は積極性を押し出す力は既に無く。
そんな退潮した姿を見せる相手にこの右CKで仕留め、ファーに上がったクロスを綱島が綺麗に合わせると、ループを描いた末に右ポスト内側を叩いてゴールイン。
そのシュートコースには谷口も詰めていたという、仮に決まらなくても……という分厚い攻めの末に逆転を果たします。

リードした後もヴェルディは優位性を保ち、ターゲット(木村・染野)を押し出しながら人数を掛けて敵陣でサッカーを展開。
名古屋にとってはやられると嫌な立ち回りで、まずは攻勢を作り上げる事から始めなければならなくなったその状況は一重に厳しく。
35分、敵陣でサイドを変えながらのパスワークを経て、右から内田がカットインで中央へ。
そして稲垣のミドルパスでバイタルを急襲に掛かり、浮き球での繋ぎから泉のレイオフでシュートチャンスを迎えたマテウスC。
しかし放たれたシュートは枠外に終わり、同時にマテウスCも交代の運びとなってしまいます。(杉浦と交代)
全盛期とはいかない中で奮戦するも、この日も勝利を齎せずとなり。(この段階ではまだ判りませんが)
同時に佐藤→菊地へ交代し、三國が中央に・内田が右CBへと回り。

これ以降、シンプルに杉浦を裏抜けさせる手法を目立たせる名古屋ですが反撃の糸口は掴めず。
最後の交代は和泉→山中ですが、失った好循環を取り戻すには物足りないカードとなり。
ヴェルディサイドも、39分に染野が足を攣らせた事で、攻勢よりも維持の意識を高めなければならず。(染野→松橋、新井が再度シャドーに回る)

前半とは打って変わって、名古屋の反則が膨れ上がる終盤戦。(43分には森島に警告)
その最中に最後のカードを使うヴェルディ。(齋藤・新井→稲見・福田)
得たFKで、コーナー付近でのキープに入るなど時間を使いに掛かります。

何とか断ち切り、ATで好機を迎えたい名古屋。
ヴェルディも最後までデュエルの色を失わない事で、反則からFKの連続となるも遠い位置。
結局は放り込みに全てを賭けるというものと化し、それも形にならず。
2-1のまま試合終了となり、不調同士の戦いはヴェルディが白兵戦をモノにしたという内容で勝ち点3を手に入れました。

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DAZN観戦 2025年J1リーグ第5節 FC東京vs湘南ベルマーレ

2025-03-12 16:10:26 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

FC東京ベンチメンバー=波多野(GK) エンリケ・トレヴィザン 木村 常盤 西堂 小泉 佐藤 野澤零温 エヴェルトン・ガウディーノ

湘南ベンチメンバー=真田(GK) 大野 大岩 松村 高橋 茨田 ルキアン 根本 石井


開幕3連勝というクラブ初の快挙で、3節終了時点で首位に立った湘南。
順位表を見てもにわかに信じ難いですが、毎年の残留争いに耐え抜いた反動がついに来たのか、ないしは瞬間風速の最高潮がたまたま立ち上がりに訪れたのか。
いずれにせよ、今後暫くはその動向が注目の的となりそうです。
ちなみに4節で連勝は止まった(マリノス戦、1-1)ため、2位でこの試合を迎え。
なお先に結論から述べると、一昔前の一本調子のスタイルは既に払拭されたと言って良く、4局面を使い分けながら我慢する時は我慢する。
そんな奥深さが染み渡っていたものの、優勝争いに加わるには個の力の覚醒が必要にも見えもう一息という印象でした。しかしそうなると夏場の引き抜きが

この日の相手はFC東京で、今季を戦うに辺り迎えた新監督は松橋力蔵氏。
言わずと知れた、前年まで新潟を率いていた松橋氏ですが、正直良く引き受けたという印象の方が強く。
何しろ、ポゼッションサッカーを身に付けたいという事で、3年前にアルベル・プッチ・オルトネダ氏を招聘したもののその計画が頓挫するに至ったクラブ。
2年足らずで解任したその歴史から、「(同じ新潟の)松橋氏なら今度こそ大丈夫だろう」という学びを得ての決断なのかどうか非常に怪しく。
湘南が辛抱を重ね、ボール保持を(不完全ながら)効果的に取り入れるクラブになれたのとは実に対照的で、二の舞とならない事を祈るばかりであり。
それでも、前年のディエゴ・オリヴェイラの引退をはじめ過渡期となっている現状だけに、スタイルに合致した抜擢というのはやり易いはずである松橋氏。
この日起用された新顔の選手(常盤・野澤零など)からそんな印象を受けるものの、その顛末は如何に。

試合の方は、雨が降り注ぐコンディションとなった一戦。
湘南は、ロングボール中心のビルドアップに舵を切る事でこの難戦を乗りきりに掛かったでしょうか。
前半5分、GK上福元が鈴木章狙いのロングフィードを送り、セカンドボールを拾った畑から敵陣で攻撃。
中央でパスを受けた小野瀬が持ち運びからミドルシュート(枠外)と、手数を掛けずに持ち込んだファーストシュート。
その後も長いボールを軸に組み立てますが、9分には同じくGK上福元のロングフィードのセカンドボールを拾った畑、彼も裏へのミドルパスを選択。
走り込んだ福田には通らずもまたも跳ね返りを確保しますが、ここは再度受けた畑が戻して作り直しと、無理攻めはしない意思は健在であり。

一方のFC東京、ガチガチの保持のスタイルを築くには時が足りていないのは明白。
そもそも、ハイプレスのための走力が第一に求められ、かつ「世界基準の判定」が悪い方向で目立つ現在のJ1でそれは成り立つのかという根柢の疑問も立ち。
そんな中、結果が出なければ容赦なくアルベル氏のように切られるのだから、厳しい世界という印象が拭えない監督業。

それはともかく、7分にその湘南の手法を、岡がミドルパスをカットして遮断すると縦に速い攻めへと移り。
安斎・俵積田の1タッチパスを挟み、橋本が溜めたのちのスルーパスで左奥を取りにいくも、受けた安斎が藤井に反則気味に倒された事で終了となり。

お互い、保持したいもののままならないという状況が顔を出し。
そうなると冴え渡るのはハイプレスで、ともに3バックの布陣なので、ウイングバックにパスが出ればすかさず相手WBに詰められて前を向けないという絵図が常態化する試合。
つまりそれをどう解決するかが、ポゼッションによる攻略法となりました。
余談ですが、こうしたWBの果敢なプレッシャーを仕掛けられる背景には、後方の支援が必須であり。
即ち前に出た裏を取られても、まだ4バックで守れるだけの組織力があれば、WBも安心して規制を掛けるのに集中できるというもの。
先日観に行った札幌の試合の事を考えながら、札幌に何より足りないのはそんな信頼性・それを植え付けるべくの普段の落とし込みなのでは……なんて思いが頭を過りましたが、この場ではどうでも良い事であり。

話を戻すと、時間が進むにつれてそれを解決せんと藻掻く両チーム、という展開に。
FC東京は、定番の手法である縦パス→レイオフ→裏へのパスという1タッチでの繋ぎの色を強めます。
24分には中央でしたが、橋本のレイオフから森重のロングパスで右サイド奥を取りにいき、セカンドボールを拾って右サイドでのパスワーク。
ここからスローイン→右コーナーキックと押し込み続けましたが、CKが防がれると湘南のカウンターに。
しかし岡が敵陣のまま奪い返した事で逆にショートカウンターとなり、スルーパスを受けた俵積田(CKのキッカー)が右奥へ持ち込みグラウンダーでクロス。
クリアされるも小さくなり、右ポケットで拾った仲川から今度は高いクロスが入ると、山下が合わせヘディングシュート。
中央を狙ったボールでGK上福元の逆を突くも、左手一本でのセーブに阻まれ惜しくも先制はなりません。

他方、地上で繋ぐ色を強める湘南。
序盤にあれだけ使っていたロングパスは影を潜め、前述のようにワイドで嵌められそうになれば素直に戻し、最終ラインでサイドを振りながら隙を伺うというポゼッションスタイル定番の流れに。
トレンドである、3バックから左右への可変は何度か見せるものの、中央のキムミンテが一列上がるというややレアな形も取り入れ。(といっても、前年に何度か見せていた形ではある)
プレッシャーを浴びると脆い印象があるキムミンテの足下だけに、むしろこちらが本命にも思えました。

前半も終わりが近づき、一方的にボールを握る流れを得た湘南ですが、それでも中々好機を生み出せず。
今季の成績と同様、これまでの我慢を結果に繋げたいという状況で、40分に鈴木淳がボールキープで仲川を剥がした事が契機に。
右へ展開されると、藤井がカットインで中央まで流れる、激しいレーンチェンジの末にエリア内と送られたミドルパス。
これを完全に裏を取った平岡が受ける決定機が生まれましたが、トラップ際を白井のスライディングでクリアされ撃てずに終わってしまいます。

結局そのままスコアレスで前半終了。
保持の色が強まった事で、中断もほとんど見られなかったためアディショナルタイムも取られずに(湘南の保持が続いていたため30秒ほどオーバーして)終わり。

共に交代無く、そのままのメンバーで始まった後半戦。
終盤にかなりボールを握られていたFC東京が、その対策としてハイプレスの色を一層高める入りとなり。
山下がアンカーに付きつつ、その他の選手が前に出るのが基本形のFC東京で、早速の後半1分に鈴木雄に詰めた俵積田がパスをブロック。(そのままタッチを割る)
前線の圧力で、湘南ペースを乱しに掛かります。

狙いは概ね成功し、攻撃権を掴んだFC東京は7分、敵陣右サイドで確保したのちバックパスから1タッチ中心に細かく繋ぎ。
そして高のスルーパスに走り込んだ白井がグラウンダーでクロスを入れるも、走り込む仲川の前でディフェンスがクリア。
実らずと思った刹那、同じくクロスの遮断にいったGK上福元が仲川と交錯して痛む事態に発展してしまいます。
主にフィードでビルドアップの片翼を担ってきたこの日の上福元だけに、不安が過りましたが何とか無事で継続。

その後、俵積田の突破力を軸として押し込むFC東京。
チームの完成度が高くない以上、強力な矛を利用した攻めに傾倒するのはある意味当然の回帰であり。
18分には左サイドを橋本縦パス→安斎ポストプレイ→俵積田スルーパス→安斎で攻略(そのままグラウンダーでクロス→仲川スルーも繋がらず)と、前半も見せていた手法とも混ぜ合わせ。
その圧力に屈するように、自陣での凌ぎが目立ってきた湘南。

その矢先、FC東京ベンチの方が先に動き山下→佐藤へ交代。(仲川がFWに回る)
ポジションチェンジも絡んだ事でやや混乱したか、19分にFC東京の好機(左から安斎がグラウンダーでクロス)から生まれたのは湘南のカウンター。
それでもネガトラにより遅攻に持ち込まれ、と思われた矢先に、左サイドで畑のスルーパスに走り込んだ福田に対する(岡の)反則でセットプレーを献上するに至り。

これを境に持ち直す湘南。
22分後方での繋ぎから、降りてキープする平岡が左ワイドに流れた事で、(戻しを経て)空いたスペースへ畑が縦パス。
そして受けた小野瀬が裏へスルーパスと、相手を引き付けての素早い崩しが見られましたが福田の抜け出しは惜しくもオフサイド。
それでもここから、FC東京のハイプレスを利用せんと3バックが幅を取って繋ぐ体制へと移り、縦パスを送るためのスペースを空けるというビルドアップの色を強めます。
FC東京も負けじと、最終ラインでの保持から、土肥が前に出る可変から右サイドで攻める姿勢を強め。
22分(上記の湘南の好機の直後)にその右サイドから例によって縦パス→レイオフ→ミドルパスで裏を突き、受けた佐藤がそのまま右ポケット奥まで切り込んでマイナスのクロス。
これを俵積田が合わせたものの、ふかしてしまいゴール上へと外れ。

25分に湘南ベンチも動き、平岡・鈴木章→石井・ルキアンへと2枚替え。
すると直ぐにFC東京の好機という具合に、この日は交代で勢いを失う流れとなった感があり。
それもハイプレスを嵌めてのもので、26分左サイド深めでカットした仲川からそのまま奥で溜めを作り、(安斎が)エリア内中央へ送るもフィニッシュには繋がらず。
しかしその直後にもパスミスを誘発させ、安斎がペナルティアークからシュート(ブロック)と、湘南のボール保持に突け込むある意味理想的な展開になりかけます。

しかし28分にFC東京は橋本・白井→常盤・小泉へと2枚替え。
するとやはり失速し、30分以降はほぼ湘南の保持の時間と化する事になり。

FC東京のプレス自体は継続するも、嵌められずにいなす絵図を頻発させる湘南。
34分にはGK上福元の右への小さいフィードから、浮き球のまま繋いでいくと前に出た常盤が逆を突かれる形でカットできず、敵陣に運ばれ。
福田が右からカットインでポケットを突き、グラウンダーでクロスを送るもGK野澤大に横っ飛びで阻まれ。
36分には最終ラインでサイドを振ってのいなしから、キムミンテの鋭い右への縦パスから前進開始……と見せかけて再度戻しを経て左から前進。
福田の持ち運びから左ポケット角を突き、石井がシュート気味に鋭いクロスを送るもルキアンの前でクリアされ実らず。
ひたすらサイドを変える姿勢を貫く絵図に湘南の我慢強さを実感するも、肝心の得点に繋げるフィニッシュは放てず時間を浪費していきます。

するとFC東京の方が3度目のカード、つまり使いきりを選択。
38分に俵積田→野澤零へ交代しますが、やはり流れは変えられず。
39分の湘南はGK上福元のロングフィード、そのセカンドボールからの攻めと原点回帰し、右ポケットからの(藤井の)クロスのクリアが小さく福田が拾い継続。
戻しを経て奥野がミドルシュートと、ほぼノーマークでのフィニッシュに繋げましたがふかしてしまい枠外に。
雨が降り注ぐ(一時雪へと変わる)環境下で、その影響によるシュートミスが(双方とも)深刻になる試合となり。

41分、ルキアンのポストプレイに対し後ろから反則を犯した岡に警告が突き出され。
FC東京が崩れるか否かの戦い……と思われましたが、ここから息を吹き返すFC東京。
終盤になり、悪天候に長く晒された影響か湘南の保持も乱れがちとなり。
42分にGK野澤大のロングフィードのセカンドボールを拾って敵陣から攻撃と、序盤の湘南をなぞるような手法で展開ごとひっくり返し。
後方から小泉がミドルシュートを放ち、これが強烈な軌道でゴール上へ僅かに外れるも、その号砲となります。

余力を振り絞って、ボールを握り攻撃権を掴むFC東京、それに対する湘南のプレッシングも簡単にいなされ。
そして左右のCBも果敢に前線に絡む、分厚い攻撃で押し込み続け。
AT突入直後、右サイドで土肥がワンツーで前進に絡んだかと思えば、中央→左への展開を経て岡の持ち上がりも活用。
そして中央へ打ち込まれた縦パスを佐藤がポストプレイで浮かせ、野澤零から受け直した佐藤がエリア内に進入。
DFに囲まれるなか右のスペースへ横パスが選択されると、託された格好の高がフリーでシュートを放ちます。
GK上福元の左を抜いたかに見えましたが、その脇のキムミンテが背中でブロック、跳ね返りをさらに仲川が追撃しましたがこれも枠を捉えられず。

粘りを守備面で発揮する状況となった湘南、残っていたカードを使う(福田→根本)ものの当然ながら流れは変わらず。
尚も押しまくるFC東京、右奥から常盤グラウンダーでクロス→ニアで小泉スルー→野澤零シュートと再度決定機。
しかしこれもゴール右へ外れてしまい、劇的な先制点は最後まで生まれませんでした。

最後は安斎が(鈴木淳に)反則気味のチャージをエリア内で受けた事で、騒然な空気となるなか試合終了の笛が吹かれ。
難しい展開であった事を証明する、スコアレスドローで幕が閉じられました。

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