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ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2020年J2リーグ第30節 ツエーゲン金沢vsギラヴァンツ北九州

2020-11-03 19:27:56 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の金沢の記事はこちら(28節・千葉戦)
※前回の北九州の記事はこちら(26節・甲府戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(11節)

前回のこのカードで、ストライカーのルカオが前半早々に負傷退場してしまい、以降長期離脱を強いられたという苦い体験をした金沢。
21節(ヴェルディ戦)で復帰したルカオは、ジョーカーとしての活躍を経て再びレギュラーへと舞い戻り、北九州との二度目の対戦を迎えました。
その他大橋・下川ら故障者が復帰し、上昇機運を築きたい現状ですが、目下3試合未勝利&無得点と停滞中。

この日は前節(岡山戦・0-0)と同じメンバーで挑みましたが、ホドルフォと下川の位置を入れ替え。
ともに左サイドの選手(下川は様々な所をこなしますが)ですが、サイドバックとサイドハーフの位置が両者前節とは逆で、ホドルフォ左SB・下川左SHという位置でスタートします。

開始早々の金沢の攻撃。
ルカオがそのフィジカルから来る迫力あるドリブル、エリア内左へと進入してから左へ展開し、下川のクロスが上がります。
そして加藤陸次樹がヘディングシュート、しかしゴールバーを直撃。
いきなり決定機を得るも、モノに出来ませんでした。

その後前半4分、北九州にも初シュートが。
右サイドから藤原がロングスロー、跳ね返されたボールを國分が繋ぎ、藤原に渡ってクロスが入り町野が落とすもクリア。
しかし再び繋がり再度藤原からクロスが上がると、ディサロ燦シルヴァーノがヘディングシュートを放ちます。(GK白井キャッチ)
FWのヘディングシュートの応酬、という入り。

しかしそこからは、北九州が持ち味を発揮して攻撃権を支配します。
ロングスローを絡めるなどいつもとは雰囲気の違う入りでしたが、その後は何時ものように長短のパスを絡めて好機を量産していきます。

ショートパス重視で、特徴的なビルドアップを底辺として攻撃を展開するのが北九州の持ち味。
手応えを得た序盤戦・旋風を起こした前半戦・一転して対策に苦しんだ折り返し以降を経て、やや様相も変化。
FWを裏へ走らせるパスを多めにするという振る舞いを見せる事が多くなってきました。

パスの連続だけで相手を崩せればいいが、そうで無い時の方が圧倒的に割合が多いのがサッカー。
それ故、一本のパスで決定機を演出出来ればそれに越したことは無く。
もちろんそんな事は早々多くないですが、立ち上がりにそれを見せていく事で、以降自分達の得意な攻撃を有効にするという作業も重要なものとなります。
双方のバランスを適度に保ち、両方使えるようにする事で、攻撃のレベルアップを図る。
停滞が続く(9戦未勝利)北九州ですが、その中でそんな意図をもって取り組んでいるのでしょうか。

10分頃までは圧倒的に北九州のペースながら、先制点は生まれず。
すると11分、GK永井のフィードを下川がカットして金沢の攻撃、下川はそのままドリブルでエリア内に進入してシュート。(GK永井キャッチ)
やや危ない場面を作ってしまった永井、これを機に双方攻め合う展開に。
それでも0-0のまま推移し、飲水タイムへ突入します。

明けた後は金沢が攻勢に出るもシュートを撃てずにいると、北九州の最初の攻撃で試合が動きます。
28分左サイドでパスワークののち福森がディサロを狙ってロングパス、跳ね返されるも町野が拾い、中央で國分→高橋と渡りチャンスエリアへ。
高橋はエリア手前やや右から果敢にシュートを放ち、見事にゴールゲット。

先制を許した金沢、直後(30分)に加藤陸のスルーパスでルカオが抜け出してドリブル、エリア内右へ進入してシュート。
ブロックされ、そこからコーナーキックが2本続くなど反撃の姿勢を見せます。
以降もルカオのフィジカルを活かしたプレーを軸に攻撃。
サイドに開いてキープしたり、クロスからバイシクルを狙ったり(空振り)と多彩なシーンを作っていきますが、どれも不発に終わり時間が進んでいきます。

すると前半も終盤の41分、北九州が自陣からカウンター。
椿がドリブルで一気に突き進み、敵陣中央からスルーパスを送ると、ディサロが抜け出してGKと一対一に。
ディサロは右へフェイントしてGK白井を交わしたところ、白井の伸ばした足に引っ掛かり(映像では触れていないように見えたが便宜上こう書いておく)倒れると、審判の笛が鳴り反則・PKを得る結果となります。(白井に警告)
このPKをディサロが自ら蹴り、左へのシュートはGK白井の逆を突いてゴール。
前半のうちに点差を広げる事に成功します。
以降も金沢は押し込みますが、シュートに結び付く事無く前半終了。

ともにハーフタイムでは動かず、迎えた後半開始のホイッスル。
最初に攻撃権を得た北九州、これが結果に結び付きます。
福森が中盤でボールカットしそのままドリブルで前進、一気にエリア内左へ入ってクロス。
ファーサイドでディサロが合わせてヘディングシュート、綺麗にゴール。
2・3点目ともに、長い距離のドリブル突破が実を結んでの得点となりました。

尚も攻め立てる北九州。
後半5分には左サイドでのパスワークから、加藤弘堅のパスを椿が入れ替わって受け、そのままスルーパス。
受けた町野が奥からグラウンダーでクロスを入れると、藤原が走り込んでシュート、ブロックされたボールをディサロが落として椿がシュート。(DFに当たって枠外)
7分にも右サイドで藤原のスルーパスに高橋が走り込んでクロス、ファーサイドで椿がヘディングシュート。(枠外)

パスワークからのスルーパスという北九州の攻撃に付いていけず、意気消沈ぶりが滲み出たかのような金沢。
たまらずベンチも早めに動き、8分に3枚替えを敢行します。
長谷川・ホドルフォ・加藤陸→高安・窪田・山根へと交代。
下川が左SBへと下がり、本塚が右SH→左SHへとシフトし、ネジの巻き直しを図ります。

以降はしっかりと反撃体勢を取り、所々北九州の攻撃を浴びつつも好機を作っていく金沢。
15分、敵陣で藤村のカットから、スルーパスを左奥へ送ると下川が受けてクロス。
中央で跳んだルカオを越え、奥で山根がヘディングシュートを放ち、ゴールに突き刺さり。
これでようやく1点を返します。

意気軒高といきたい所でしたが、ここからまたも北九州の攻勢に晒されます。
ダイレクト中心でのパスワークに、金沢のマンマーク主体の守備が機能せずにピンチを量産。
そうして振り回されたのち、20分には國分のロングパスから決定機が。
町野を狙ったボールは一旦クリアするも、奪い返されてそのまま町野がドリブル。
エリア内右でGK白井と一対一の状況となり、シュートが放たれるも何とか白井がセーブ。
22分にはパスミスをエリア内でディサロに拾われる失態も招き(シュートは撃てず)、中々反撃に出れない状況で後半の飲水タイムを迎えます。

これが明ける際に、双方選手交代。
北九州は國分・町野→針谷・鈴木へと交代。
金沢は本塚・ルカオ→島津・杉浦恭平へと交代。
とりわけ、磐田からレンタル移籍してきたばかりの北九州・針谷の投入が目を惹きました。

明けた直後の27分に、金沢は杉浦恭がヘディングシュートを放つ(村松に当たって枠外)ものの、ペースを握る事は出来ず。
ボランチが國分から針谷に変わった北九州、以降もあまり変わる事は無く攻撃を組み立てていきます。

34分、針谷の右へ展開から高橋が前方へスルーパス、藤原が走り込んでエリア内でシュート体勢に入るチャンス。
しかし撃つ前に金沢・下川に倒されて(反則無し)モノに出来なかったばかりか、足を痛めてしまう事態に。
幸い1分程で起き上がり事なきを得ます。
直後に北九州は椿→新垣へと交代。

点差を詰めたい金沢ですが、リードを奪われると、どうしても「ボールを持たされる」状況となってしまうのは避けられず。
不格好ながらもボールを繋いでいきますが、突破口を開けぬまま終盤を迎えてしまいます。
すると42分、北九州がボールカットしてからのカウンターを炸裂させます。
加藤弘カットして縦パス→カットされるもディサロ拾ってスルーパス→鈴木と渡ってエリア内へ。
鈴木は落ち着いてシュートをネットに突き刺し、試合を決定付ける4点目を奪いました。
同時にディサロが足を攣らせ、そのまま交代に。(池元と交代)
2ゴールと結果も叩き出し、まさにやり切ったという風な交代でした。

最後に意地を見せたい金沢、アディショナルタイム突入後もあきらめず攻撃。
CKから、クロスがクリアされたのち後方からロビング攻勢で、石尾が落としたボールを廣井がボレーシュートの体勢に。
しかしこれは空振りで、代わりに下川がシュートしますがGK永井がキャッチ。
最後まで北九州の守備を破る事は出来ず……という前に、シュートの機会も少なかった気がします。

結局1-4で北九州が勝利と、ダブル達成でようやく10試合ぶりの勝利。
今季は補強には消極的な姿勢でしたが、ここに来て針谷を戦力に加えてきた北九州。
まだ昇格は諦めていないという姿勢が窺えますが、第二の旋風は巻き起こす事が出来るか。


DAZN観戦 2020年J2リーグ第30節 ジュビロ磐田vsアビスパ福岡

2020-11-02 16:43:15 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の磐田の記事はこちら(24節・京都戦)
※前回の福岡の記事はこちら(24節・北九州戦)

レンタル移籍で加わった遠藤を軸に戦う事を選択した磐田。
登録後全試合でスタメン起用し、以降の成績は3勝2分と好調で、「昇格を諦めない」というメッセージを発信する事に成功しています。
そんな中で迎えた首位・福岡との一戦は、そのメッセージを強めるのには格好の機会。

遠藤とともに、前監督(フェルナンド・フベロ氏)の際には殆ど起用されていなかった今野・三木・舩木辺りを重用。
システムも3バック(3-4-1-2)へと完全移行を果たす等、鈴木政一監督のチーム改造は急ピッチで進められているという印象です。

ただしこの日は試合開始直後、早々にアクシデントが。
センターバックの中央を務める大武が、福岡・増山のドリブルをスライディングで止めた際の接触で足を痛めてしまいます。
一旦はプレイを続けましたが、前半5分頃に再び倒れ込み続行不可能となり、早くも交代枠を使う事となりました。
代わって投入された中川は今季初出場で、そのまま中央CBへ。

イレギュラーへの対処を強いられる磐田を尻目に、首位・福岡は序盤から好機を作っていきます。
4分には攻撃が途切れた後、磐田のパスが乱れた所を山岸が拾い、そのままシュート。
ブロックされるも左サイドで福満が拾い、カットインからシュート(GK八田キャッチ)と最初に槍を突きつけました。

フアンマ・デルガドが出場停止中の福岡、そのため2トップは山岸と遠野という組み合わせ。(ちなみにCBのドウグラス・グローリも出場停止)
オーソドックスなビルドアップ(ボックス型)から、あまりパスは繋がずに縦のボールを重視しての速い攻撃を展開するのが持ち味。
但しフアンマが不在なため、ロングボール一本から好機を作る場面は影を潜め、サイドが主体の攻めを余儀なくされていました。
ボールサイドへ選手の数を増やしつつ前進、という攻撃ですが、行き詰まると手前からでも積極的にクロスを供給していくスタイル。

磐田は前述のアクシデントもあり、その対応に追われつつも跳ね返す事で(特に中川の?)緊張を解く、といった立ち上がりだったと思います。
20分頃から徐々にペースを掴み、主に中盤の底~最終ラインからのロングパスで裏を取ろうとする攻撃を展開。
24分には左サイドで伊藤のロングパスを小川航基が落とし、そのボールを遠藤がダイレクトで再びロングパス、中野が走り込んで受けるという攻撃。(その後小川航に渡るもカットされ終了)
やりたい事は理解出来たものの、シュートは生まれる事無く飲水タイムへ。

明けた後の磐田は一転、逆にショートパスを多く繋いで攻撃していきます。
そうして押し込む場面が増えたものの、やはり流れの中からシュートは撃てず。
ただしそこで得たフリーキックのチャンス(35分・左サイド奥から)でキッカー遠藤がクロス、クリアされた後再度のクロスを中川がヘディングシュート。(GK村上キャッチ)
結果的に、このセットプレーでの攻撃が一つの突破口となりました。

再び福岡のペースとなっていく試合展開、37分には左サイドのスローインから、前のエリア内へのスルーパスに福満が走り込んでシュート。(GK八田セーブ)
39分には右サイドを増山がドリブル突破、グラウンダーでクロスを入れるも山岸には合わず。
押し気味に試合を進めるも得点は奪えません。

すると再び磐田のセットプレーが牙を向き、40分にロングパスを受けにいった小川航が福岡・三國ケネディエブスに倒されて反則・FKに。
この右ハーフレーン・エリアからかなり手前でのFK、遠藤のファーサイドへのクロスから、再び中川がヘディングシュートを放ちます。
今度はゴールへと突き刺さり、アクシデントの穴を埋めるどころか、先制点を齎す事となった中川。

リードを奪われた福岡、右サイドハーフ・増山の突破力を軸に以降も攻め立てるも、結局得点は無く前半終了。
42分にもドリブル突破で中央に向かっていった増山(奪われて好機とはいかず)でしたが、以前の38分には磐田・山本康裕に対するアフターチャージで警告を受けており、この日は積極性が仇となった感があり。

後半に入り、立ち上がりは磐田の攻撃。
それも後方から裏へのロングパスに、遠藤が走り込んで受けようとするという変化を付けてきました。
以降も暫く、遠藤が前線に留まりFWのように振る舞う姿勢を取ります。(代わりに大森が下がっていた)

しかしそんな思惑とは裏腹に福岡に決定機が。
後半3分自陣からのスローイン(左サイド)で組み立て、前のスルーパスに走り込んだ松本泰志が、福満とのパス交換ののちグラウンダーでクロス。
これを中央で増山がスルーし、流れたボールに走り込んだエミル・サロモンソンがシュートを放つも、GK八田が辛うじて触れて左ゴールポストを直撃。
尚も福満がシュート(ブロック)、クロスから増山がヘディングシュート(GK八田キャッチ)と攻め立てた福岡でしたが、ここを逃してしまいます。
すると手痛い代償を支払ってしまう事に。

5分の磐田の攻撃、遠藤が自陣から左サイドへと向かうドリブル、そしてパスを受けた大森が今度は中央へと向かうドリブルでエリア手前へ。
そして大森からパスを受けた松本昌也がエリア内右へ短いスルーパス、走り込んだ小川航がシュート。
ブロックに入った福岡・上島に当たり、ループの軌道となってゴールに吸い込まれるラッキーともいえるシュートとなり、磐田が追加点を手にします。

2点のビハインドを背負った福岡、とにかく攻めなければならない状況。
6分に遠野が左からクロスを受けてシュートするも、ブロックされてコーナーキックへ。
そのCK、キッカー・サロモンソンのニアへの低いボールを福満が頭でフリックするも、逆サイドに流れていきます。
遠野が拾い、戻しを受けた前のクロスを上島が擦らすヘディングシュート、しかし惜しくもゴール右へと外れてしまいました。

ポゼッションに拘らない福岡ですが、「ボールを持たされる」事を強いられる展開に。
しかも長らく無敗(15試合)でこの試合を迎えたため、この状況は新鮮でもありました。
11分にはサロモンソンがエリア内右へとスルーパス、増山が走り込んでクロスを上げ、山岸がヘディングシュートをするも枠外に。
18分には中央からのFK、かなり手前の位置からキッカー・サロモンソンがエリア内中央へとロビングを上げ、上島が走り込んでヘディングシュートしますがこれも枠を捉えられず。
相手を押し込んで辛抱強くシュートチャンスを探りつつ、そこで得たセットプレーをモノにしていく。
そんな理想形の攻撃は何度か見せたものの、得点出来ないまま時間が経過。

飲水タイムと前後して、福岡は増山・福満→城後・木戸へと、磐田は山田→舩木へと交代。
両チーム動いて明けた後は、磐田がペースを握りボールを支配。
何度かアタッキングサードに進入するも、基本的にはボールを繋ぎ、相手の攻撃機会を減らす振る舞いで時間を使っていきます。
そして中心となってその役目を果たしていた遠藤は32分にお役御免。(上原と交代、同時に小川航・松本昌→ルキアン・小川大貴へと交代)

そしてここから福岡が再び攻勢に。
相手を押し込み、セットプレーを数多く得るという理想の形を作っていきます。
城後が投入された事で、遠野のポジションが不透明になっていたのも磐田サイドからして嫌らしいものになっていたでしょうか。
当初はトップの位置に城後が入り、遠野が右SHとなっていましたが、次第に両者入れ替わってのプレーが目立っていきました。

それが37分に得点に結びつきます。
中盤左サイドでのパスワークののち前が縦パス、受けた遠野が山岸のサポートも得て収める事に成功、そのままエリア手前からシュート。
これがゴール右へと突き刺さり、福岡が1点差に詰め寄りました。

以降は守勢を強いられる磐田、それに対しボールを繋いで攻め上がる福岡。
39分には右サイドで攻める姿勢から中央→左へとサイドを変えて攻撃、松本泰がグラウンダーでクロス。
これに跳び込んだ城後には合わずも、逆サイドで拾ったサロモンソンから再度クロスが入り、ニアサイドで山岸がヘディングシュート。
しかしゴール上に外れてしまいます。

40分以降はセットプレー攻勢、FKからCKを得、そこからアディショナルタイムまで4本もCKを得ます。
その中で、こぼれ球を前がミドルシュート(ブロックに当たりGK八田セーブ)といった場面も生まれましたが、ゴールを破る事は出来ず。
とうとうATに突入し、三國を前線に上げてパワープレイの体勢で全てを賭けにいく事に。

しかしその後は守備が薄くなったのを突いた磐田に決定機が。
舩木のロングパスをルキアンが収めにいき、こぼれ球を中野が拾ってドリブルすると、そのままGKと一対一の状況へ。
しかし放たれたシュートはゴール右に大きく外れてしまいます。
その後もルキアンがエリア内左へと持ち込む場面がありましたが、シュートはGK村上が正面でキャッチ。
決定的な追加点で楽になる事は出来なかった磐田、その後山本義道が足を攣らせる(交代枠は既に無し)など苦しい場面を描きます。
しかし福岡のパワープレイも不発に終わり、2-1のまま試合終了。
16戦ぶりの黒星を福岡に付ける事に成功しました。

攻めてはフアンマの、守ってはグローリの不在が高さ不足という点で響いてしまった福岡。
両名次節から戻れるので悲観的になる事は無く、気を取り直して自動昇格圏を守る戦いに入りたい所でしょう。

一方無敗を続けたものの、内容的には怪しさが目立った磐田。
遠藤が退いてから完全に押され気味になり、「彼が居なければどうなるか……」という疑念を抱かざるを得ないものでした。
結果重視へと針が振れる時期に差し掛かり、上位争いに加わろうとする中で故障者も増えてきた状況、大ベテランである彼の無理使いも考えられます。
それで将来残されるものはJ1への道筋か、はたまた転落・彷徨への道か。


TV観戦 第100回天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会3回戦 HondaFCvsFCマルヤス岡崎

2020-10-30 18:40:25 | サッカー視聴記(2020年以前)

前回の天皇杯の記事-2回戦・Honda vs 常葉大

<Hondaスタメン> 4-4-2
GK 楠本
RSB 堀内 RCB 池松 LCB 中村 LSB 八戸
RSH 佐々木 DH 鈴木雄也 DH 松本 LSH 富田
FW 岡崎 FW 児玉

<マルヤススタメン> 3-4-1-2
GK 角井
RCB 飯田 CCB 多々良 LCB 森本
RWB 地主園 DH 阪本 DH 塩見 LWB 青木
CH 船谷 FW 平井 FW 犬飼

「森山泰行(選手兼チームディレクター)のチーム」という試合前の印象が強かったマルヤスでしたが、この日森山はベンチ外。
2013年にJFLへ昇格が決定して以降は定着を果たしているチーム状況ですが、順位的には中下位を6年間続けており、何かの拍子でどうなるかは不透明。
今季は下位に低迷していますが、幸いにも(Jリーグと同様)降格は無しというレギュレーションなため助かっている現状でしょうか。

Hondaと比べてもJリーグ経験者の多さが目を惹く選手構成で、この日もスタメンのうち7人を数えます。
前年松本でディフェンスラインに居た飯田をはじめ、ベテランが多数ながらもまだまだやれる選手が多く。
森山が居なくても、経験不足に困る事は無さそうな編成となっていました。

そんなマルヤスと相対したHondaですが、前回とは一転してフォーメーションを4-4-2へと変更。
2回戦でセンターバックを務めていた松本と、故障から復帰した本来CBの主将・鈴木雄というドイスボランチで、スタメンだった三浦・山藤・石田・大町はベンチ外となっていました。
石田以外前節ではベンチにすら居らず離脱中の疑いがあり、ヴェルスパ大分に首位の座を明け渡している状況も納得の、苦しいやり繰りを強いられているのでしょうか。
そんな中、札幌から育成型レンタルで所属中の中村がスタメン。

ややイレギュラーな状況でのキックオフとなりましたが、いきなり前半1分、富田がスライディングでシュートを放った(枠外)Honda。
5分にも児玉からパスを受けた佐々木がエリア手前からシュート、しかしGK角井のセーブに阻まれます。

強者の名に恥じない立ち上がりとなりましたが、内容的には2回戦とは異なり。
ポゼッション重視のスタイルながらも、普段よりもロングボールを多く交えての攻撃を敢行していました。

この日の相手のマルヤスも2回戦の常葉大同様に、前からプレスを嵌めてのショートカウンターを狙いとしていた感があり。
それをかわすべく、フィードが持ち味の中村を起用しつつのフォーメーション変更に踏み切ったのでしょうか。(中村はフリーキックを直接狙う場面でキッカーにも立っていた)
また単純に、大型選手が多いマルヤスの前線に対抗するべく、跳ね返しに期待しての起用だったのか。
反面、ショートパスでのビルドアップはぎこちなさを感じた中村。
おかげで左サイド(マルヤスから見て右サイド)でマルヤス・地主園に何度かボールを奪われる事態が発生し、冷や汗をかくシーンが見られました。

そのHondaのビルドアップ。
3バックの際には「ミハイロ・ペトロヴィッチ(現札幌監督)式」の最終ラインを採るなど、落とし込みの深さが感じられていましたが、この日は急造(といっても、2回戦でも終盤の布陣変更で4バックになっていましたが)なためか形式的の感があり。
オーソドックスなボックス型で、サイドバックが高めに上がるのは敵陣に入ってから、という具合。
それでもロングパスを絡めての攻撃が形になり、セットプレーからも有効打を放つなどで、2回戦よりもシュート数は増大を果たしていました。

29分のHonda、一旦右サイドでパスを繋ぐ(この際に左SBの八戸が上がっていたと思われ)も戻され、中村の左へのロングパスを上がっていた八戸が受けて攻撃開始。
ボランチまで戻されてから松本が右へスルーパス、受けた堀内がエリア内へと入り、切り返した後シュート。
ブロックされたボールが浮き上がり、富田の落としを受けた児玉がシュート(ブロック)、さらに岡崎が追撃してシュート(ブロック)と攻め立てて右コーナーキックへ。
そのCKでも、キッカー鈴木雄のクロスから佐々木がヘディングシュートを放ち、ゴールライン寸前でマルヤス・阪本が頭でブロックして防ぐという決定機を作りました。

以降も激しく攻め立てたHondaでしたが、先制点は奪えずに前半終了。
2回戦の、早めに2点リードを奪ったのちペースダウンした展開とは逆を行き、相手ゴールを幾度も脅かしたもののスコアレスに終わったこの日の前半。

後半もHondaペースで入り、そのまま推移しますが、前述したビルドアップでのミスでピンチを招きます。
後半9分、GK楠本の左サイドへのパスがややズレた所を地主園が突き、Honda・八戸からボール奪取して敵陣深めで攻撃開始したマルヤス。
そのまま低いクロスを上げると、船谷のポストプレイを受けた犬飼がエリア内右からシュートを放ちますが、GK楠本にセーブされてモノに出来ず。
地主園はその後も躍動し、クロスを上げたりスルーパスを出したりとマルヤスの好機を作り、ロングパスをFWに当てるのが主体のマルヤスの攻撃と違いを出す橋頭堡として活躍。
Hondaに主導権を握られ、その機会は少なかったですが。

危ない場面を作ってしまったHonda、その後は何とか冷静さを取り戻し。
すると19分に決定機を得、左サイドをパスワークで突破し岡﨑が奥でキープしたのち、中央へと戻されて佐々木がエリア内へ縦パス。
これを富田がトラップして裏に抜け出し、シュートを放ったもののGK角井がセーブしてゴール上に逃れ、こちらもモノに出来ず。

中盤に差し掛かり、マルヤスの運動量も落ちてきたか攻撃機会は激減。
そんな中Hondaは23分、児玉→古橋へと交代を敢行します。
レジェンド・古橋の投入でボール支配力を高めにかかったのでしょうか。

一方のマルヤス、飲水タイム(24分)まで何とか無失点で凌ぐと、明けた際に動きます。
平井・阪本→水野・寺尾と2枚替え、船谷がトップ下→ボランチへとシフト。
トップ下に入ったであろう寺尾ですが、以降は地主園に変わって右サイドでチャンスを作る動きが目立ちました。
交代投入された2選手のコンビネーションを生かし、ペースを握る事に成功します。
29分から35分まで、6度連続で攻撃機会を得て押し込みます。
31分には寺尾のパスを受けた犬飼がエリア内からシュートしますが、オフサイドで無効に。

しかしこの有利な時間帯を逃すと、直後のHondaの最初の攻撃。(35分)
GK楠本のロングフィードから敵陣でパスを繋ぎ、富田が中央でキープ。
マルヤス・塩見にこぼされるも、そのこぼれ球が左サイドの八戸へと転がり、八戸は奥からグラウンダーでクロス。
すると岡崎がニアサイドに走り込んで合わせ、ゴールに突き刺す事に成功。
マルヤスがトランジションの面で迷ったのか、動きが止まった隙を突いた格好の先制点でした。

攻めなければならなくなったマルヤス、40分に犬飼→津田へと交代。
津田は元徳島のストライカーで、ドウグラス(現神戸)とともにJ1昇格に貢献した実績で有名な選手。
窮地に陥ったチームの切り札として起用されましたが、逃げ切り体制を採った相手に対し持ち味は生きず。

支配力をふんだんに生かし、ボールサイドに選手の数を増やしてのショートパスの連続でキープを続けるHonda。
相手を守備に奔走させ、攻撃機会を無くしていくという姿勢なのは明白であり、プロ顔負けの試合運びを展開していく終盤。
クリアされても敵陣でセカンドボールを拾って攻撃を継続、時計の針を進めていきます。

マルヤスは最後の手段とばかりに、DFの飯田を前線に上げてパワープレイで対抗せんとします。
しかし同点どころかシュートを放つ事すらままならず、そのまま試合終了と相成りました。

既にHondaは、井幡博康監督の今季限りでの退任が発表されている状況。
さらには元プロ選手である古橋・山藤・大町も揃って今季限りで退団と、今季を一つの区切りとする姿勢を執っています。
果たして有終の美を飾るのはリーグ戦か、ないしはこの天皇杯か。


DAZN観戦 2020年J2リーグ第29節 愛媛FCvs栃木SC

2020-10-29 16:30:54 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の愛媛の記事はこちら(25節・徳島戦)
※前回の栃木の記事はこちら(27節・ヴェルディ戦)

23節・福岡戦(0-1)を境に、全く得点出来ない状態に陥ってしまった栃木。
無得点試合が続く事5試合、その間は引き分けを2度刻むのがやっとという状況でしたが、前節・琉球戦でようやく脱する事に成功しました。
しかも今季初の4得点を挙げ、4-1での勝利。(前年の最高は3得点)

方や、そんな4-1というスコアを3試合連続で記録、しかもいずれも敗戦となってしまっているのが最下位の愛媛。
四国ダービーに敗れてから燃え尽きてしまったかのような歩みですが、果たしてこの日も継続されてしまうのか。

26節(ヴェルディ戦)は退場者を出してしまった(長沼)のが直接的な原因でしょうが、それで無くても、シュート数で相手に圧倒されてしまっているのがそもそもの要因。
ヴェルディ戦も7対33と悲惨を通り越して喜劇的な数字を残してしまいましたが、27節・山形戦も6対18、前節・長崎戦は9対20と倍以上の差が付くのが当たり前。
四国ダービーでも7対25でしたので、長沼の退場(と出場停止)とは無関係に、相手に圧倒される下地が出来てしまっていた。

ポゼッション重視のサッカーとは聞こえが良い愛媛ですが、相手も同じくボール支配が出来るチームだと、支配率でも後れを取ってしまう。
連敗中は徳島・ヴェルディ・長崎と、ポゼッション同士での激突では悉くそんな現象を生んでしまっており、良い所が全く無いという状況では最下位に沈むのも道理。
データから見ても「中途半端なポゼッション」という言葉が頭を過ります。
こんな事になったのは前半戦のヴェルディ戦で「相手の良さを消すサッカー」に、一瞬でも傾いてしまったのが原因なのでは、というのが個人的な感想。

J3を見てみると、今季J初参戦となった今治が奮戦、J2ライセンスも(条件付きで)得るという昇り調子を描いています。
その存在が、同県のクラブである愛媛にとって大きなプレッシャーとなっているのでしょうか。

それはともかくとして、この日は連敗中の相手とは一線を成す、ボールポゼッションには全く拘らない栃木が相手。
それでも、自陣でのビルドアップに対する果敢なプレッシング、ロングパス一本から押し上げる攻撃と苦戦する要素が満載です。
そしてその通りに、栃木の圧力に押されまくりの愛媛。

立ち上がりの10分間で、攻撃機会は愛媛3度に対し栃木は7度と差を付けられます。(自分の集計です)
その中でも前半9分の栃木のフリーキックからの攻撃で、中盤からという遠い位置からでも、ゴール前に入れてくる栃木に対して中々クリア出来ず。
セカンドボールを拾われ続けたのち溝渕から3度目のロビング(クロス)がエリア内に入ると、榊が擦らしたボールを明本がトラップ、そして反転した榊がシュート。
GK岡本を抜くもゴール寸前で愛媛・池田がクリア、しかし尚も攻撃は続き、再度の溝渕のクロスがこぼれた所を山本がシュート(GK岡本セーブ)と波状攻撃。

栃木の「ストーミング」スタイルに簡単に呑み込まれる、そんなシナリオを想像させた立ち上がりの愛媛でしたが、以降はとりあえずロングボールを主体にする攻撃。
何とか栃木のプレスをかわして反撃せんとします。
13分にはロングパスの跳ね返しを田中が拾ったのち繋ぎ、長沼のスルーパスを受けた藤本が、ドリブルからエリア手前やや右でシュート。(GKオビ・パウエル・オビンナキャッチ)
19分には中盤で田中がボール奪取、藤本が右サイドをドリブルで進み奥からクロスを上げると、川村がファーで収めたのちシュート。(GKオビンナセーブ)
ロングボールにボール奪取と、相手の栃木をインスパイアしたようなプレーから好機に繋げましたが、GKオビンナの好守に阻まれました。

その後は栃木のサッカーにも何とか対応し、飲水タイム明けには27分に森谷がミドルシュート(ブロック)、30分には茂木がミドルシュート(ブロック)とミドル攻勢に。
栃木サイドも32分に西谷がミドルシュート(枠外)、35分にも明本がシュート(GK岡本キャッチ)と、双方シュートを放つ展開ながらスコアは中々動かず。

そんな中、栃木の前線からの守備のプレッシャーからか、GK岡本がキックミスでタッチを割ってしまう場面が散見。
この試合でも顕著だった岡本のキックミスですが、この日は相手GKにキックの大切さを思い知らされる事となります。

前半も終了間際の45分に愛媛はFKのチャンス、左サイドからキッカー森谷のクロスが入り、茂木のフリックがこぼれた所を中央で藤本がボレーシュートの体勢に。
しかしこのシュートは空振りで不発となる始末で、奥に居た川村がすかさずボレーシュートを撃ち直した(ブロック)ものの、「好機は作るものの流れが悪い」というようなシーンでした。
逆に栃木はアディショナルタイム、左コーナーキックからニアサイドで田代がヘディングシュート(GK岡本セーブ)と、綺麗なフィニッシュを見せたもののゴールは割れず。
結局0-0のまま前半終了。

ハーフタイムに愛媛が選手交代(三原→前野)を敢行したのを挟み、迎えた後半。
ロングボール主体の栃木ですが、意外とキックオフ直後の攻撃は、アバウトなロングボールで捨てる事無く攻撃に繋げている印象。(この試合ではゴールを奪った)
この日もそれに違わず、黒﨑が低いロングパスと変化を付けると、森のフリックを経て前線でパスを繋いで明本のシュート(ブロック)で終えました。

それでも後半の立ち上がりは、前野が入った事もあり愛媛が押し気味の展開となります。
そんな状況に冷水をぶっ掛けるように生まれた、GKオビンナのスーパーなアシスト。

後半8分に自陣からのFKとなった栃木、キッカーを務めたGKオビンナのロングキック。
これがやや低めの速いボールで愛媛エリア内を突くと、走り込んだ森がトラップで収める事に成功。
慌てる愛媛ディフェンスでしたが時既に遅く、森から放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり。
「ロングボール一発」という表現が生温い程の先制点となりました。

思わぬ形でビハインドとなってしまった愛媛。
その後も攻勢は変わらずでしたが、肝心のシュートは中々放てず。
17分のCKから、池田のヘディングシュート(枠外)までお預けとなります。

そんな流れを感じたのか、直後にベンチも動きます。
既に13分に藤本→有田へと交代していましたが、ここでは池田→横谷に交代するとともに布陣も変更。
この日は4-3-3(4-2-1-3か4-1-2-3かは今一つ解らず)でスタートした愛媛のフォーメーションでしたが、ここで3-4-2-1と従来の基本形へとシフトしました。
ボランチは森谷と横谷が務め、逆に従来ボランチでの出場が多かった田中・川村がシャドーへシフト。
ウイングバックは右に丹羽・左に長沼でしたが、飲水タイム(24分)を挟んだのち左右が入れ替わり。
一方の栃木もこの交代と同時に、榊→大島へと交代。

この変更当初こそ攻め上がりを見せていた愛媛、24分には横谷の縦パスを受けた川村が反転してシュート。(GKオビンナキャッチ)
しかし飲水タイム後は徐々にペースを失っていき、30分頃からは全く攻められなくなってしまいました。
シュートどころか敵陣に進入する事すらままならず、という状況。

そんな相手を尻目に、栃木は高い位置での守備が冴え続け、奪った後は漸進戦術で押し込みます。
奥からのスローインを量産し、奪われても相手に繋げさせず、クリアも満足にさせず。
綺麗にフィニッシュする場面は殆ど無かったものの、自陣に釘漬けにする事に成功しただけでも、リードしている側にとっては十二分な価値。
シュート数の乏しさが顕著な愛媛だけに、焦りの増幅という効果もあったでしょう。

しかし38分、その原動力となっていた明本が足を痛め、担架で運ばれて交代。(エスクデロ競飛王と交代・同時に溝渕・瀬川へと交代)
終盤に来てようやくボールを繋げるようになった愛媛ですが、それでも自陣ではリトリートに徹する栃木に対して有効打を放つ事は出来ず。
逆に45分、栃木のカウンターから大島がシュートを放つ(枠外)という具合に、追加点の危機にも晒されてしまいました。
結局ATでもシュートを放つ事は無かった愛媛、0-1のまま試合終了。
多少マシになったとはいえ、この日も8対12とシュート数で下回り。

栃木勝利の立役者となったGKオビンナ。
8月にマリノスから育成型レンタルで加入という経歴で、ここ最近8試合連続でスタメンと、完全に正GKの座を奪取。
しかしそんな出場記録を残していた矢先、マリノスへのレンタルバックが決定するという事態が発生してしまいました。
強靭なフィード力を発揮し、短期間で強烈な印象を残して颯爽と去る、という格好良い展開を描く事となったオビンナ。
GK事情が荒れ気味であるマリノスでの現状、チャンスを得る事はできるでしょうか。


DAZN観戦 2020年J2リーグ第29節 FC琉球vs京都サンガFC

2020-10-28 17:03:27 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の琉球の記事はこちら(23節・新潟戦)
※前回の京都の記事はこちら(26節・町田戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(19節)

サッカーの硬直化とともに敗戦が込んできて、上位を追走する姿勢が崩れつつある京都。
前節・北九州戦は何とか勝利(1-0)したものの、昇格枠に入るには首の皮一枚という、敗戦は許されない状況で迎えたアウェイ琉球戦。

不敗神話こそ既に過去のものとなりつつある琉球のホームですが、一年中暑いという気候で、秋から冬にかけてのこの時期の方が相手にとってフィットネスの面で問題になりそうです。
そんな中で前節は、ヨルディ・バイスに上夷とディフェンスラインに2人も負傷者が発生してしまった影響もあり、嫌でもターンオーバーせざるを得ない京都。
特にバイス交代後に右センターバックを務めた飯田が、この日も同じ右CBで起用されたのが目を惹きました。
しかしこの5連戦フル稼働中の飯田、そんな激しい環境の変化が最後に仇となったでしょうか。

立ち上がりこそ、早い段階で先制を許す傾向にある最近の琉球の弱点を突いた京都。
前半2分には安藤のロングパスから、仙頭がエリア内右でシュートを放つ好機。(ゴール左へ外れる)
早々にシュートを放つと、その2分後の4分でした。
敵陣で福岡のパスカットから少ないパス数で繋ぎ、再び仙頭がペナルティアークからシュート。
今度はゴール左へと突き刺す事に成功し、琉球戦の必勝パターンともいえる展開に持ち込みました。

その後も琉球のビルドアップを前線で遮断、好機に繋げる京都。
12分には深めの位置で川崎がボール奪取、そのままピーター・ウタカに渡りエリアライン上からシュートが放たれるも枠外に。
この日はウタカの1トップで3-4-2-1という登録上のフォーメーションですが、ボランチの一角の川崎がやや前目に出た、3-1-5-1のような感じの配置。

一方、早くも追い掛ける立場となった琉球。
何時ものようにポゼッションから攻勢を掛けるも、中々シュートにまで辿り着く事が出来ないという展開を強いられます。
それでも工夫が無かった訳では無く。

先制される前から、両サイドハーフが中間ポジション(ハーフレーン)の位置で縦パスを受けるシーンを作っていきます。
その縦パスを出すのが両CBの李栄直(リヨンジ)と知念で、ボランチを経由してのパスワークが主だった頃から、大分変っているという印象を受けました。
この日の京都が、バイスが不在なのもあり普段のようなリトリート主体では無かったのも影響したでしょうか。
ショートパスの連続を強いられているのではなく、長短交えての攻撃のバランスは良好に見えました。

それでも、飲水タイムを挟んでも琉球はシュートを放つ事無く推移。
他方の京都も、バイスや森脇が居ない状況でもディフェンスからのロングパス攻勢が中心なのは変わらず。
それが通る時は好機に持っていけますが、他の攻撃方法であるウイングバックの突破力も、飯田が最終ラインなため効力は半減。
代わりに右WBに入った上月も良い突破を何度か見せました(26分には琉球・河合がバックチャージしてしまい反則・警告)が、硬直具合をほぐすには至りませんでした。

京都の状況から、琉球が追い付くチャンスはそこかしこに転がっている。
そんな雰囲気が感じられた中、30分台に好機を得る琉球。
36分に李のロングパスが跳ね返されるも、風間宏矢が拾って右サイドでパスを繋いだのち、風間宏希のエリア内へのスルーパスに走り込んだ風間宏矢がポストプレイで絶好機。
そこに走り込んだ阿部が放ったループシュートがゴール上部を襲うも、GK清水が辛うじてセーブしてゴールならず。
直後のコーナーキックでも、クロスが跳ね返されたのち河合がミドルシュートを放つ(京都ディフェンスに当たって枠外)など、同点への機運が高まります。

しかし42分、長らくパスを繋いでいた琉球でしたが、李のパスがウタカに引っ掛かってしまいカウンター。
そのままドリブルで一気にエリア手前まで進んだウタカ、切り返してエリア内に進入、シュートを放ちましたが枠を捉えられず。
5連戦では飯田に準ずる稼働時間のウタカ、琉球遠征も重なってこの日の決定力は冴えなかったでしょうか。
そんな要素に救われた琉球でしたが、以降は京都が攻撃権を支配し(アディショナルタイムに5度も攻撃機会があった)前半の残りを終えます。

流れを変えるべきかどうか、という立場の琉球ですが、ハーフタイムでカードを切る事を選択。
小泉→池田へと交代します。

そして後半が始まり、琉球のファーストチャンスでした。
前半は縦パスの受け手がハーフレーンに位置する攻撃を多用してきましたが、ここではパスの出し手である知念が、左ハーフレーンから斜めの縦パス。
これを中央で阿部がスルー、その後方で池田もスルーすると、右ハーフレーンで走り込んでいた風間宏矢が受けてそのまま抜け出し。
GKと一対一の状況に持ち込み、エリア内に入った所でゴール左へシュート。
右に跳んだGK清水の逆を綺麗に突く同点弾となりました。

息を吹き返した琉球ですが、これ以降は双方エリア内に進入するシーンが生まれる乱戦模様に。
後半5分、琉球が阿部のドリブルから左へ展開されて沼田がクロス、クリアされるも阿部が繋いで風間宏矢がヘディングシュート。
GK清水がキャッチしてスローイングすると京都がカウンター、谷内田のスルーパスにウタカが走り込み、エリア内に持ち込みますが琉球のCB2人に挟まれシュートは撃てず。
6分の琉球、阿部が低い位置(ボランチとCBの間)を取ってビルドアップに参加するかと思いきや、知念のロングパスで飛ばして好機。
池田のドリブルから、パスを受けた風間宏矢がシュート。(ブロック)
7分には京都、クリアボールを左サイドで富田が拾って中央へパス、受けたウタカがエリア内からシュート。(ブロック)

白熱の展開になって来ましたが、ロングパスも絡めての攻撃を見せるなど、ポゼッション一辺倒では無くなった琉球の方に好印象。
逆に京都は、次第にフィットネスの面が露わになりつつあったと思います。
9分には知念がパスを散らしたのち、風間宏希の左へのロングパスに沼田が走り込んで受け、エリア内左へ進入。
これを飯田がスライディングで何とか防ぎ(沼田が倒れるも反則無し)ましたが、後の伏線となるシーンに映りました。
それでも15分には、京都が長いポゼッションから決定機。
スルーパスやカットインを絡めつつ左右にサイドを振り、最後は左から冨田がクロスを上げると、中央でウタカがヘディングシュート。
しかし跳び出したGKダニー・カルバハルが辛うじてセーブ。

危ないシーンを作ってしまった琉球でしたが、以降は段々と攻撃権を支配していきます。
そして迎えた22分、池田を中心に左サイドでパスを繋ぐも、一旦最終ラインまで戻し作り直し。
李がドリブルで一人剥がしたのち裏へロングパス、これに池田が走り込んでエリア内に持ち込む絶好機に。
池田のシュートこそ戻った京都・上月が防ぐも、こぼれ球を阿部が走り込んでシュート、ゴール右へと突き刺さりついに逆転。
ショートパス攻勢から、一転したロングパス一本で裏を取るという、両者がミックスされた攻撃が結果に結び付きました。

逆に追う展開となってしまった京都。
飲水タイムを挟み(直前に谷内田→曽根田へと交代)、以降は守備を固める琉球に対し、ボールを支配して(持たされて?)の攻撃に活路を見出す(強いられる?)事に。
以前は琉球がこういう展開に陥る事が多かっただけに、自分達がされてきた事を相手に強いるその心情はどうだったか気になる所ですが。
ともかく、ボールは握るもシュートに辿り着けずに時間を浪費していく京都。
28分には川崎・上月→庄司・野田へと2枚替え、フォーメーションも4バックへとシフト(放送席では3トップと言われていたが詳細は良く判らず)して勝負を賭けにいきます。

しかし、右サイドバックへと移った飯田がついに破綻。
31分にこぼれ球を自陣で拾った阿部に対し削ってしまうと反則・警告。
その1分後にはカウンターで裏を取られ、阿部のドリブルに必死に追走するも、バックチャージを犯してしまい反則。
すると審判の恩情なども無く、容赦無く2枚目の警告が付き出される事となり、あえなく退場となってしまいました。

止む無く福岡を右SBへと移し、4-3-2のような配置を採る京都。
しかしこれ以降はほぼノーチャンスの展開を強いられ、数的優位の琉球はボール支配を重視。(交代で入った茂木(風間宏矢と交代で出場)は攻めっ気満々といった感じでしたが)
その狙い通りに攻撃機会も減らされていきます。
唯一可能性があったのが43分、クリアボールを拾ってのカウンター。
中央をパスワークで突破してウタカに繋げると、ウタカは右サイドへスルーパスを送り、野田が走り込んで受けたシーン。
しかし対峙した琉球・知念をかわせず(股抜きするも素早くカバーされる)、万事休す。

ATでは福岡が足を痛めてピッチ外に運ばれ、9人での戦いを強いられてしまった京都。
パワープレイを仕掛けたくてもバイスは不在で、相手を押し込む事すらままならず。
最終盤には琉球にコーナー付近でキープされる事2度、そしてそのまま試合終了となりました。

久々に先制を許した試合で逆転勝利を果たした琉球。(9節・岡山戦以来か)
攻撃力を売りにするチームに相応しい結果が出ましたが、以降は守備重視のチームと相対した時が課題となるでしょうか。
そういった相手には、この日のように早期に先制を許すと厳しくなるのは明白であり、先制点を奪う戦いも出来る事がベストだと思います。