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DAZN観戦 2020年J2リーグ第24節 ジュビロ磐田vs京都サンガFC

2020-10-06 17:14:12 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の磐田の記事はこちら(20節・栃木戦)
※前回の京都の記事はこちら(19節・琉球戦)

以前、磐田のライバル(?)クラブである清水の事を「外様監督に厳しい」と評した事がありましたが、磐田も近隣である以上似通った性質だったのかもしれません。
10月2日付で、フェルナンド・フベロ氏の監督退任(解任かと思っていたが退任に落ち着いたらしい)を発表した磐田、後任には黄金時代の監督でもあった鈴木政一氏が就く事となりました。
このニュースだけで複雑な気分になりましたが、その直後にガンバ・遠藤の獲得話が公になる(のちに正式決定)という事象が起こった事で、ピッチ上とは無関係な要素が原因での監督交代という印象を強くしたと思われます。
平たく言えば、遠藤の移籍元であるガンバについてこんな記事がありましたが、監督との二者択一を迫っていたのは磐田では無いのかと。

それはさておき、既に還暦を過ぎた年齢の鈴木氏、磐田の火中の栗を拾うべく3度目の監督就任。
黄金期の「N-BOX」システムが燦然と輝き、Jリーグの覇権を握ったのも今や遠い昔(2002年)でありますが、あの頃の磐田を監督という要素で見ると非常にややこしい歴史。
初優勝(1997年)の際も、外国人監督がシーズン途中で退任し、桑原隆氏が代行を務める中での栄冠でした。
そしてその桑原氏は代行のまま務め上げたのち、この功績を評価されて以降鈴木氏と同様に複数回監督を務めたものの、(代行期含め)3度目の監督期はシーズン途中で解任(2004年)と一年持たず。
その後任が鈴木氏(2度目)であり、内輪で人材を回す傾向がこの頃から非常に強かった。
(そのサイクルに巻き込まれたが、巧く抜け出したのが現金沢監督・柳下正明氏だと個人的に思っている)

そして一度目のJ2降格の際(2014年)も、ペリクレス・シャムスカ氏がシーズン途中に解任→OBの名波浩氏が就任という「外様監督(外国人監督?)に厳しい」性質が発揮されており、歴史は繰り返すのか。

前置きが長くなりましたが、16年ぶりの鈴木氏の初陣となったこの試合。
システムはかつての黄金時代を彷彿とさせる3-4-1-2で、当時なら「3-5-2」で一括りにされていたもの。
相手の京都の布陣は3-3-2-2と、これも3-5-2に一括りにされそうなもの。
両者の違いはボランチの人数であり、解り易いように後者(京都の方)は「1アンカー」「3-1-4-2」と記される事が一般的です。

前者は明確に「トップ下」が存在しているのが大きな特徴でしょうか。
しかも鈴木氏が黄金期を率いた頃は、「トップ下=司令塔」という認識が根付いていた時代。
時は流れ、司令塔の役割はボランチが務める事が一般的になり、パスワークは最終ラインから行われるのが当たり前となったサッカー界。

そんな訳で、立ち上がり磐田のパスワークは非常に堅く、ビルドアップの際も少ない動きに終始。
しかし、相手方の監督交代という事で京都も出方を窺う姿勢であったか、ヨルディ・バイスのロングパスに偏った組み立てで流れを掴む事無く推移します。

そんな中、前半6分に試合が動きます。
最終ラインから右サイドに展開し前進したのち、小川航基が縦パスを収め、反転してエリア手前からシュート。
これが京都・森脇に当たった事もあり、GK若原の虚を突きネットを揺らし、先制に成功した磐田。
それでもパス数が少なく前進出来た(今野→山本義道→松本→上原縦パスで小川航へ)辺り、「堅い試合」の印象を強くしたシーンでしたが。

京都はこの5連戦を、以前とは違い小規模なターンオーバーに終始したためか非常に動きが重く。
序盤戦のような「ピーター・ウタカとバイス頼みのサッカー」の影が再び舞い降りたかのようでした。

そんなチーム内に放り込まれたのが、先日レンタル移籍で「出戻り」となった仙頭。
前年は主に3トップのウイングだっただけに、何処で起用されるのか注目でしたが、ウタカとの2トップでスタート。
しかしチームが硬直化し、次第に降りてシャドーのように振る舞い、何とか攻撃を引き出そうそしていました。
彼の目立ったシーンは27分、コーナーキックからの二次攻撃で、後方から右サイドに展開したウタカにボールが回りクロス。
クリアされた後に中野克哉からパスを受けた仙頭、エリア内左へと切り込みを見せ、磐田・上原に倒されボールロストするも反則は無し。
その推進力は変わらず、という所を見せてくれました。

一方、先制したもののその後は京都同様今一つな流れの磐田。
この日は左ウイングバックで出場した大森でしたが、業を煮やしたのか次第にフベロ監督時代のような、中央から逆サイドへと張り出してボールを受ける動きを見せます。
29分には右サイドで、山田のスルーパスを受けてクロスを上げたりもした大森。
両チームとも「流れの悪さを何とか跳ね返そう」という選手の動きが目立ったものの、ともに攻撃機会少なく前半を終える事となりました。

仙頭の動きにヒントを得たのか、京都ベンチはハーフタイムに選手交代。
中野克→野田へと代え、野田をFWに置く事で仙頭を明確にシャドーにする策を打ちました。
その効果か後半先にチャンスを得た京都(後半2分)、ウタカが野田とのパス交換でエリア内右へと進入。
クロスが入るもクリアされ、こぼれ球を仙頭がボレーシュートにいくも、ミートせず不発。

しかし直後の3分に磐田の攻撃、中野誠也の中央でのドリブルから、パスを受けた山田がエリア内左へと進入してシュート。
ブロックされたボールを小川航が詰めてシュートしますが、GK若原が何とかセーブ。
決定機を逃してしまった磐田。
10分にもCKから、キッカー山本康裕のクロスを山本義が合わせに行き、こぼれ球を小川航がシュートするもGK若原に防がれます。

12分には中野誠が裏へと抜け出して受け、GKと一対一になりかけたものの、エリア手前で放ったシュートはGK若原に正面で防がれます。
エース(小川航)の決定機逸が波及したような絵図となりつつありました。
(その直後にも小川航にシュートチャンスが訪れるも、GK若原のセーブで防がれる)

そして15分、そんな流れをバックに京都が同点に。
決めたのはウタカで、バイスの縦パスを受けてそのまま反転、磐田・今野のアタックを物ともせずシュート。
華麗にゴール右へと決め、10節・山形戦で見せたような「個人技で相手を嘲笑う」かのようなウタカの活躍が炸裂しました。

これで試合は京都ペースへと傾き、仙頭もエリア内で幾度となくチャンスを作るなど躍動。
手詰まりになりつつあった磐田、21分に小川航を諦めてルキアンを投入します。(同時に大森→小川大貴へと交代)

ルキアンは投入された直後(22分)、松本のクロスをファーサイドでヘディングシュートを放つ(GK若原キャッチ)など、流れを引き戻さんと奮闘します。
その通りに以降はイーブンな展開になるも、お互い決定打に欠く事となり終盤戦に突入。

33分、上原の縦パスを受けた山田がエリア内に進入してチャンスを迎えた磐田。
山田はコントロールされたグラウンダーのシュートを放ちますが、ボールは左ゴールポストを掠めて外れ勝ち越しならず。
この日は「背番号10のトップ下」として出場・奮闘していた山田、それだけにここで決めていれば……という場面となりました。

磐田がチャンスを作るのは主に中盤からの縦パス・スルーパスで、最終ラインからのビルドアップで相手を剥がしたり(京都のプレスが消極的だったという要素はありますが)、センターバックが積極的に攻撃に絡む事は殆ど見られず。
「N-BOX」がそのまま現世に舞い降りたかのような、中盤が命綱の攻撃だったと今にして思います。

そして次第に京都が押し込んでいく展開となり、磐田は44分に今野→大井へと交代(同時に松本→針谷へと交代)して凌ごうとします。
アディショナルタイムに突入し、引き分けという結末も過る中、最後に笑ったのはあの男でした。

左サイド奥での野田のクロスをウタカがエリア内で収めて落とし、エリア手前からバイスがミドルシュートにいくも空振り。
しかし野田が拾ってエリア内左へ進入、クロスを上げるもこれがゴールに向かい、バーを直撃。
磐田サイドがホッとしたのも束の間、飯田が走り込んでシュート、しかしこれもゴールバーを直撃してしまいます。
それでも京都の攻撃は続き、黒木から再度クロスが上がると、ウタカがヘディングシュート。
これもゴールバーに当たりますが、ゴール内に落下して三度目の正直。
苦しい展開を締めたのはやはりエースのウタカで、勝ち越し点を挙げた京都。

以降の磐田は見るも無残で、(目安の5分まで残り3分以上あったにも拘わらず)一度も好機を作れないまま試合終了の笛を聞く破目に。
最終ラインでボールを回し続けたものの、守りを固める京都の前に、乏しいビルドアップの引き出しが露呈した格好となりました。
何とか前線へのパスコースを探そうという試みは徒労に終わり、奮闘空しく鈴木監督の船出は厳しいものに。
ここに遠藤が加わる事で変わるかどうかですが、それは神のみぞ知る、というべきでしょうか。


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