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8050

2022-12-29 | 

林真理子著「8050」を読んだ。
「8050」とは、80代の親が50代の子供の生活を支える。高齢者の親と中年の引きこもり。中高生で引きこもりになった若者たちが40代から50代になり、親も高齢になり社会問題となっている。この本は区民図書で400人待ちでした。それだけ関心があるということなのでしょうね。地元小学校の市民図書に希望を出したら、今月購入してくれました。

林真理子氏がこの問題をどう描くのか、自分も高齢になり興味があった。読んでみて「8050」とは違っていました。「5020」でした。この差は大きい。
ここからネタバレです。中学生の時に引きこもりになった20歳の息子と50代の両親。歯科医の父親を中心に、いじめた同級生に息子の無念を晴らす「復讐」の裁判をする話だった。
母と20代の姉の4人家族。7年間引きこもりだった息子に寄り添おうと父親が裁判に奔走する。知らなかった息子のこと。娘のこと。妻のこと。夫婦の問題…。家族の本音や姿がシビアに描かれていく。ただ父親は歯科医で経済的に恵まれており、息子も進学校に行った頭のいい子。母は役員の秘書をしていて専業主婦。娘は早稲田を出て大企業に就職しているという設定だった。

少年問題を扱っている庶民派の弁護士が力になってくれたり、7年前のいじめの有力な証人になってくれる人が登場したりと、上手くいき過ぎな感もする。息子が更生されていく過程も意外な展開。もともと頭のいい子なのでということらしい。引きこもりの解決はそんなに簡単ではないと思う。もっと根深いものがあるのでは。自分たちが死んだらこの子はどうして生きていくのだろう。自分の老いとともに子供の将来への絶望感。何より肝心の高齢者の問題が描かれていなくてがっかりだった。タイトルに異議ありです。安っぽいドラマを見せられたたようだった。日大理事長ともあろうお方が、こんなあざといやり方あかんよね。