面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

旅の途中で

2008年09月03日 | Weblog
 8月2日、60歳の誕生日のお祝いに劇団員、ゲスト出演者から寄せ書きの色紙をもらった。どんな高価なプレゼントより心に沁みた。翌日は最期のアトリエ公演の千穐楽であった。後片付けもそこそこに、僕は九州公演の営業に旅発った。あれから1ヶ月、故郷熊本の山里を拠点に福岡、佐賀を回った。旧友との再会、新しい出会い、94歳になる父との静かな明け暮れ、素晴らしい夏の贈り物だった。長年書き溜めた夢と少年時代の思い出をつづった「夏の絵本」が、この旅で完成した。いくつかの新しい物語も生まれた。

 突然の首相退陣で、お世話になる予定だった政治関係者も東奔西走と聞く。一国の大事である。朝倉の芝居ごときに煩わせたくはない。ひとまず東京へ戻ろう。稽古場のこと、11月公演、片山の10周年公演、人形舞台のレコーディング、脚本、小説の刊行、手帳には後回しにした予定が目白押しだ。5月に必ず劇団を引き連れて帰ってくることを古里に約束して、別れを告げよう。

 まだまだ旅の途中である。僕の瞳は輝いているだろうか?僕の心は理想に燃えているだろうか? 父が言った。「人様に喜んでもらえること、それが何よりだ」新聞に載った僕の記事を、父は繰り返し読んでは頷いている。

柿の葉は色づけど

2008年09月03日 | Weblog
 庭の柿の葉が日毎に色づいて、朝夕の冷え込みも強くなった。山里の秋が化粧を始めた。冬を知らせる見事な紅葉までのあいだ、柿、栗、アケビ、きのこと、山の幸があふれる。もう10日もすれば、庭の柿の木に登ってもぎたてを齧ることができる。楽しみにしていたのだが、微妙になった。首相の退陣劇で政界がにわかに慌しくなり、お世話になる予定の政界関係の方も東奔西走、朝倉の芝居ごときに付き合う時間はないであろう。

 もうひとつの楽しみ14日の中秋の名月も、久々に空気の澄んだ山里で見上げられるかと期待していたのだが、残念だが何処で見ることが出来るか微妙である。大きな時代の流れに抗ってもせん無きこと、速やかに東京へ引き返し懸案事項の解決に尽力しよう。劇団稽古場、11月公演、片山竜太郎10周年記念公演、16期生新人公演、17期生入団試験、そして、小説の刊行、脚本執筆、ノートに予定を記せば柿の熟するを待つゆとりはない。

 来年の夏は芝居を持って九州を回る。確約して、ひとまず別れを告げよう。