8月2日、60歳の誕生日のお祝いに劇団員、ゲスト出演者から寄せ書きの色紙をもらった。どんな高価なプレゼントより心に沁みた。翌日は最期のアトリエ公演の千穐楽であった。後片付けもそこそこに、僕は九州公演の営業に旅発った。あれから1ヶ月、故郷熊本の山里を拠点に福岡、佐賀を回った。旧友との再会、新しい出会い、94歳になる父との静かな明け暮れ、素晴らしい夏の贈り物だった。長年書き溜めた夢と少年時代の思い出をつづった「夏の絵本」が、この旅で完成した。いくつかの新しい物語も生まれた。
突然の首相退陣で、お世話になる予定だった政治関係者も東奔西走と聞く。一国の大事である。朝倉の芝居ごときに煩わせたくはない。ひとまず東京へ戻ろう。稽古場のこと、11月公演、片山の10周年公演、人形舞台のレコーディング、脚本、小説の刊行、手帳には後回しにした予定が目白押しだ。5月に必ず劇団を引き連れて帰ってくることを古里に約束して、別れを告げよう。
まだまだ旅の途中である。僕の瞳は輝いているだろうか?僕の心は理想に燃えているだろうか? 父が言った。「人様に喜んでもらえること、それが何よりだ」新聞に載った僕の記事を、父は繰り返し読んでは頷いている。
突然の首相退陣で、お世話になる予定だった政治関係者も東奔西走と聞く。一国の大事である。朝倉の芝居ごときに煩わせたくはない。ひとまず東京へ戻ろう。稽古場のこと、11月公演、片山の10周年公演、人形舞台のレコーディング、脚本、小説の刊行、手帳には後回しにした予定が目白押しだ。5月に必ず劇団を引き連れて帰ってくることを古里に約束して、別れを告げよう。
まだまだ旅の途中である。僕の瞳は輝いているだろうか?僕の心は理想に燃えているだろうか? 父が言った。「人様に喜んでもらえること、それが何よりだ」新聞に載った僕の記事を、父は繰り返し読んでは頷いている。