面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

ともしびを捜して

2008年06月17日 | Weblog
 夜も9時を過ぎたころ、友人Y氏から食事のお誘い。西武新宿駅前でY氏と落ち合い、「少女人形舞台」のライブの参考になればと、「うたごえ喫茶ともしび」を捜した。40年前は確か、西武新宿の駅から歩いて2,3分のところにあったと、かすかな記憶を頼りにともしびを捜した。しかし、ともしびは見つからず、時間だけが過ぎた。

 Y氏とふたり、歌舞伎町の交番に聞いたり、煙草屋に聞いたりしているうちに、何だか、Y氏の電話も夢の中の出来事に思えてきた。40年前、駅前のビルの地下にあった「イエスタディ」での出来事が鮮やかによみがえり、僕は雑踏の中、立ち竦んだ。六本木のイタリアレストラン「シシリア」でボウイのアルバイトをしていたAに頼まれて「イエスタディ」にピアノを運んだのは、僕とMだった。そんな話をY氏にすると、「ともしびを捜そうよ」と、面白くもなさそうな顔で、さくさく歩き出した。

 洋服屋のご主人が親切に教えてくれた靖国通りに、「ともしび」は営業していた。僕らは、店が見つかったことにほっとして、近くの蕎麦屋でようやく食事にありついた。なんだか、ぐだぐだと、取り止めもなく書いているが、まだ疲れが尾をひいているようだ。

 とにかく、夢ではなく「ともしび」は存在していた。靖国通りに面したビルの6階でエレベーターを降りると、四十人ばかりの客が、声を張り上げてロシア民謡を歌っていた。40年前と変わらぬ歌声だが、昔の若者たちは、皆、年老いていた。不思議な光景だった。やっぱり、夢かもしれない。明日、もう一度、行って見よう。