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日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

JR烏合の衆物語

2005-03-25 11:01:37 | Weblog
 23日、首都圏を走るJR東日本の京浜東北線の電車が車両故障を起こし、車内の1,000人を越える乗客が2時間半にわたって車内に閉じ込められる事故があった。
 いつも書いているように、機械が故障したり、人間が失敗をすることは、我々の日常生活について回ることである。問題は、事故を起こさないための対策と事故を想定してのシステム作り、それに事故が起きた時の対処の仕方だ。しかし、JRさん、これまで私が指摘してきた通り、その何れもが弱点で今回もその弱点を露呈した。
 まず、事故を起こした問題の209系の電車の構造だが、90年代前半に「軽量」「完全空調」を売り物に華々しく登場したのは良かったのだが、それまでの電車よりも寿命が極端に短かったことから使い捨てカメラ「写ルンです」を文字って「走ルンです」と揶揄されたり、窓が密閉状態であることから圧迫感を訴える声もあった。そんな曰くつきの電車なのだ。私は、その電車に初めて乗った時、窓一面が一枚のガラスで埋められているのを見て、事故の際に外に出られるのか、と不安を覚えた。すると、デビューから数年した頃のことだったと思うが、横浜辺りで「車内異臭騒ぎ」があって、窓が開かないことが問題になった。
 私はその後、JRが何らかの改善を行なってきたと思っていたのだが、ナント、「209系」はその点が改善されないまま使われ続けてきたらしい。その理由は、恐らく改善には多額の費用がかかるためであろうが、命に関わることを「金がかかるから」といった理由で放置するのは、公共交通機関としては無責任である。案の定、今回、窓が開かなかったために車内は蒸し風呂状態になり、乗客が次々に身体の不調を訴えた。一部の乗客は、駆けつけた救急車で病院に搬送されたが、我慢を強いられた乗客数十名は電車の中でじっと耐え、蒲田駅に着いた時には人の目も気にせずにホームにへたり込んだり横になってしまった。
 24日、事故の発生地点(大田区中央3丁目)に行って見たが、風通しもよく、もし窓が開けられたら乗客はあれ程の苦しみを味わう事がなかったように思われた。この日の東京の最高気温は15度。当時は、10度を多少上回った程度の気温だった。
 さて、そこで生まれた幾つかの疑問をJR東日本広報にぶつけてみた。すると、電話口に出てきたマスヤと名乗る社員の無礼かつ無知蒙昧としか言いようのない返答。これには久し振りに私も怒り心頭に発した。
 まず、件の社員、状況をきちんと把握しておらず、まともに答えられないのだ。そして、こちらが質問をしているのに、「ご意見は承っておきます」とのたもう始末。こんな社員をきちんと教育せずに外部対応をさせる課長を叱ってやろうと、電話口に出させようとするが、昨日一日「会議中」を理由につかまらなかった。
 現場と事務方は違うと見るべきかも知れぬが、安全管理を担当する者も外部に会社の広報をする者も「同じ穴のムジナ」の喩えそのまま。危機意識のかけらもない烏合の衆だ。
 同じ時間、埼玉県川口駅で私のパートナーが事故の影響を受けて大変な思いをしていた。それも、JRの対応の悪さが大きな原因となったという。例えば、駅員は状況を伝える情報を的確に出す事すら出来なかったらしい。彼女はJRに頼っていられないと機転を利かしてタクシーに乗り、次の赤羽駅に行き埼京線に乗って職場到着が多少の遅れで済んだようだが、多くの客はJR職員を信じたがために後れを取り、会社や学校に大幅に遅れて着いたようだ。
 毎度のことだが、こんな“小さな”事故でさえ機能不全に陥り乗客の安全が担保できないようでは、大地震などの大規模災害で安全対策が上手く機能するはずがない。不安だらけだ。でも、影響力のあるマスコミが一大キャンペーンをはって徹底的に叩く位のことをしなければ、重い腰を上げることはないだろう。