まずは中京のローズS。勝ったのは、キングカメハメハ産駒アンドヴァラナウト。6番手追走から、直線は馬場の良い中央を狙って前進、マイペースで逃げ粘るエイシンヒカリ産駒エイシンヒテンを早めに交わして、そのまま押し切る横綱相撲で、嬉しい重賞初勝利。福永騎手の完璧な騎乗が目立ちました。これで本番の阪神2000mでも、有力馬の1頭として名乗りを上げました。それにしても、主戦の福永騎手が、本番ではファインルージュか、アンドヴァラナウトか、どちらを選ぶかにも注目です。
2着には、逃げて粘ったエイシンヒテン。こちらも松若風馬騎手のナイス騎乗ではありましたが、本番の秋華賞でも、レースの流れを握るのはこの馬になります。この馬を無理に早めに潰そうとすると、前にいる馬が全滅になるような展開になりますし、この馬のペースで走らせすぎると、後ろから差す馬は全く用無しになってしまいます。本番でも注目のエイシンヒテンです。
そして3着には、何とか本番切符を確保した、1番人気のキングカメハメハ産駒アールドヴィーヴル。エイシンヒテンが作った独特のペースで、何とか3着を確保した松山騎手のファインプレー。予想の段階から、この馬の潜在能力の高さをアピールいたしましたが、この馬が本番に出れるか否かは大きな違い。春のレースは、桜花賞のレベルがダントツでしたが、1着ソダシと3着ファインルージュの出走が確定しているだけで、2着サトノレイナスは骨折、4着アカイトリノムスメの体調は未だ整わず。5着のこの馬が出走切符を手に入れたことは大きい。本番での「大逆転」も十分に可能だと思います。
そして中山のセントライト記念。勝ったのは、ヴィクトワールピサ産駒アサマノイタズラ。後方待機から、先行陣が入れ替わる激しい展開の中、4コーナー手前から動き始めて、直線では豪快に外を回して、先に抜け出していたオルフェーヴル産駒ソーヴァリアントを差し切り勝利。9番人気の低評価を跳ね返し、本番への切符を手に入れました。本番の菊花賞で、ここまでハマる展開になるとは限りませんが、消耗戦を見据えて、後方から勝負をかけるという意味では、同じような勝負を仕掛けていけば、チャンスはあると思います。
2着は、先に抜け出していたソーヴァリアントですが、道中は中団待機で脚を溜めていました。3コーナー過ぎから、早めに先行陣に並びかけていたので、一番長く脚を使っていたのは、この馬。消耗戦が必至の本番菊花賞で、この能力はフルに活用できると思いますので、強さを見せたレースと言えます。菊花賞が楽しみになりました。
3着は、中団待機から、2着馬よりも仕掛けるタイミングを遅らせて差してきたエピファネイア産駒オーソクレース。昨年12月以来のレースで、本番への切符を取る責任がありましたので、Cルメール騎手がギリギリの判断で、このタイミングで仕掛けたのだと思います。仕事人ルメールのファインプレーだと思います。ただし、今のオーソクレースにとって、3000mの菊花賞がベストの選択かというと、微妙な気がいたします。次のレース選択は、陣営が熟慮の上決めると思います。
それにしても、春のクラシックで活躍したタイトルホルダーやグラティアスは良いところがありませんでした。来週の神戸新聞杯は荒れないことで有名なレースですが、春の実績馬 対 夏の上り馬、という観点では、注目しておく必要がありそうです。今年の3歳牡馬は、ひょっとすると「夏の上り馬」優位の年なのかもしれません。