将棋界注目の一戦、叡王戦第5局は、東京都渋谷区千駄ヶ谷の将棋会館で行われ、先手の藤井聡太二冠が111手で激戦を制して、叡王位奪取に成功。これで、史上最年少の三冠となりました。
まず最初に、振駒に注目しておりましたが、「と金」が3枚で藤井二冠が先手番に。かつて羽生永世七冠が20代の頃、大事な1局は悉く先手番を引いていましたが、この大一番、同じように藤井二冠が先手となりました。やはり、ここまで強くなると、勝負運を司る神々も自然に宿ってしまうものなのでしょうか。
戦型は、相掛かりから後手の豊島叡王が攻撃的な駒組みへ。藤井二冠も、序盤から主導権を握られないようスキのない手を繰り出す展開となり、予想どおり、序盤戦から激しい鍔争いが繰り広げられました。
序盤の攻防では、明確な情勢変化はなく、そのまま中盤、そして終盤へ。差のない終盤戦となれば、終盤力の強さで勝る藤井二冠が徐々に差を広げる展開となり、そのまま押し切る形で勝利。第5局だけを見れば、「圧勝」と言える内容だったと思います。
新聞各紙や地上波TVでは、史上最年少の三冠達成を報じるニュースばかりでありますが、そんなことよりも、本日の内容を見るにつけ、将棋界は、すでに4強時代ではなく、藤井聡太1強時代へ突入したことを象徴する1局だったと思います。
10月から、豊島竜王との間で、あらためて竜王戦七番勝負が行われることとなりますが、ここは将棋界を愛する一人としても、ぜひ豊島竜王の立直しに期待したいと思います。