夫婦で新しい人生にトライしてます~日本編

15年ぶりにカナダから帰国。終の棲家と選んだ北海道美瑛町から日々の生活を綴ります。

氷裂

2024-08-13 07:57:40 | 日記

美瑛町に「皆空窯」という陶器工房があります。主宰者は南正剛さん。テレビドラマに詳しい方なら2005年にフジテレビで放送された倉本聰脚本のドラマ「優しい時間」で、寺尾聡扮する主人公の息子役拓郎を演じた二宮和也が勤めていた工房であることはご存じだと思います。ドラマの中でも「皆空窯」はそのままの名称で使われていました。

私達はこのドラマを見ていないのですが、美瑛町に住んでから富良野を訪ねて「珈琲森の時計」(ドラマの中で寺尾聡が営む珈琲店。今もそのまま営業している。)へは何度も出かけたのでドラマの話だけは知っています。

その南正剛さんが昨日町民センターで美瑛の角和町長とパネルディスカッション形式で「土の聲を聴く」という講演をなさったので、良い機会だと思って夫婦で出かけて来ました。お盆休みに入った日の午前10時からという設定でしたが、会場には彼の作品のファンなどで思った以上に参加者が見られました。

愛知県の瀬戸で陶芸を始めた彼が同じく陶芸家である南泉さんと一緒に美瑛に移住されたのは1983年だそうですから、既に40年のキャリアを持つ美瑛町民です。「氷裂」は彼の作品の表現方法でマイナス10度以下に冷えた日に陶器が凍って砕け散って行く時に作る文様をそのままに仕上げたもので、一つとして同じものはなく、また自分でもコントロールできない自然の美しさを陶器に仕上げる技法だそうです。昨日は会場にそれらの作品も展示されていました。

なぜ今この講演会の開催に至ったかは、これまでも日展などでたくさんの受賞を重ねていたことで一昨年北海道文化賞を受賞し、更に昨年文化庁の地域文化功労者として表彰されたことを町が讃えたものです。話を聞くと10年ほど前から美瑛町内の全小学校で陶芸の時間を設けて指導をしてきたそうで、その作品群が青い池近くの「道の駅白銀ビルケ」敷地内に「セラミックツリーの森」として飾られているのだそうです。これは知らなかったので、是非今度出かけて見たいです。

焼き物の大家然とした人を惹きつけない厳しさを想像していたところ、その人間性は全く逆に率直な暖かい人柄で、子供達にその技術を伝承したいという想いがあふれている人でした。美瑛町の子供たちは小学校、中学校と陶器制作を学んでいることを初めて知りましたが、将来その道を目指すかどうかは別としてこんな経験が出来ることは素晴らしいことでしょう。

展示していた作品群の価格は200万円台からぐい呑みの1万円台までありましたが、昨日は参加者全員へ記念品として箸置きをいただいたので、今度改めて工房へお邪魔して気に入ったものがあれば購入しようかと話していました。

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