昨日は、月1回のシニアカレッジ「すずらん大学」の講義の日でした。夏の暑さぼけを配慮していただいたのか昨日は座学ではなく、遠足のような町外施設見学が催されました。2ヵ所を訪ね、最初の施設は旭川市博物館でした。
初めて訪れたので興味を持ちましたが、最初にスタッフの方から説明を受けてこの施設はアイヌの展示に力を入れていると聞いてより関心が増しました。
アイヌの人たちは、この世に存在するもの全てに神が宿り、神の住む世界と人間が住む世界は普段は上下に分かれているが、交流する時神は例えばヒグマのような姿で現れるので人間はそれを崇めながら必要な肉や毛皮をいただき、人間はイナウと呼ぶ細工した木片を祈りながら差し上げそれは神の世界では黄金に変わるという共存共栄の世界観で生きて来たと説明を受け、いつもこういう話を聞くたびにアイヌ民族の平和主義に感心しますが、文字を持たない小さな集落で生きて来た人達には先住した北海道や樺太の地を統治するような意思はなかったのかなと思います。明治以前から和人が入ってからは主従の関係に置かれてしまった歴史は残念なものです。
博物館の1階はアイヌと屯田兵の展示、吹き抜けの地階は北海道の地形や動植物の展示となっていてかなり見ごたえがありました。
博物館向かいの道の駅あさひかわで昼食後、次に向かったのは林産試験場でした。ここはいつも美瑛から旭川へのドライブ途中で見かけていた施設ですが、試験場は一般人には関係ないとスルーしていました。
そこに入って見ると、トドマツやアカマツ、ナラ、ブナなどの北海道の樹木を生活の様々な分野にいかに利用して行くかを研究したり、各地の木工製品を展示しているなかなか面白い施設であることが分かりました。残念ながら展示館は冷房がなく、昨日の暑さでは長居出来ずに早々に引き上げてしまったことが悔やまれます。
この施設で私が最も目を引いたのは組織でした。組織名称は「地方独立行政法人北海道立総合研究機構森林研究本部林産試験場」と言います。元々は「北海道立林業指導所」でした。元の名称は私も茨城県での現役時代農業試験場などの試験研究機関があったのでなじみがありますが、現在の名称は単に名前だけではなく組織の在り方が大きく違っているようです。
2007年に私と妻はカナダへ移住しましたが、その後の2010年に地方独立行政法人なる制度が作られ、国と同様試験研究機関などは独立採算制の別法人と位置付けられたのでした。職員は公務員の身分でもなくなったようです。日本を去っていて分かりませんでしたが、結構な混乱があったのではないかと想像します。採算性を思えば冷房がないというのも分かるような気がしました。