年金ふわふわ

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退職月に支払われた賞与に対する厚生年金保険料

2016年03月18日 | 年金ワンポイント
ここのところずーっと「新聞連載記事」の再利用ばっかりで、アップをさぼっていたブログ主です。10年以上続いてきたその新聞連載も、この3月をもっていったん終了となることから、また少しずつアップを再開しようかなって思っています。その第一弾。

たとえば、7月10日にA社で賞与をもらった人が、同じ7月の15日に退職した場合、そのボーナスに対しては厚生年金保険料はかかりませんよね。月給についても賞与についても、保険料は「被保険者期間」の基礎となる各月について徴収されます(厚81②)。被保険者期間は、資格取得月から喪失月の前月までの期間(厚19)。7月15日に退職すると16日が喪失日となり(厚14)、被保険者期間は前月の6月まで。7月は被保険者期間でないので、7月に支払われたこの賞与に対しては保険料は徴収されない…という仕組みです。

では、この人が同じ7月の20日にB社に就職し資格取得したら? 7月は被保険者期間ですよね。あ、B社におけるひと月めの被保険者期間であることは承知しています。6月までがA社における被保険者期間、7月からはB社における被保険者期間ですが、保険料は「当該事業所における被保険者期間について徴収する」などとなっているのでなく、単に「被保険者期間について徴収する」となっているだけです。

7月が被保険者期間であることに違いはありません。では、前社のA社で7月10日に支払われた賞与に対する保険料は、徴収されるのでしょうか、徴収されないのでしょうか?

どうも徴収されないみたいなんですが、それはどの条項を根拠とするのでしょうか? 徴収されないことについて文句を言っているのではありません。わたしゃどっちでも構いませんが、徴収されないとしたらその根拠を知りたいだけです。相変わらず理屈っぽくてゴメンなさいね。ご存知の方、ご意見がある方は教えていただけると嬉しいです。

2 コメント

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宮城先生の本によると (栗原リス)
2016-03-22 21:43:28
勘違いでしたら、ごめんなさい。

少し古いですが、平成18年発行の「たて・よ・ななめ・過去・未来 条文から読み解く年金給付」 735ページ Q5で、A社にとっては資格喪失月なので徴収せず、賞与支払届も出さず。 734ページ Q3の中では、B社入社前の賞与について、厚年法82条1項「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する」となっているので、被保険者でない時点での保険料徴収はできない、と書かれています。

同条2項も関係あるかもしれません。
「事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。 」
よその会社の保険料を負担しろとは、書いていない。

もしA社とB社の都道府県が違えば、健康保険料率も違ってしまいそうですね。
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根拠規定? (taka)
2016-03-26 09:02:00
栗原さんの根拠規定のご指摘、納得できますね。

根拠規定が不明なものってありますよね。

(例)
A社(月給30万円)を3/31退職(4/1喪失)した場合、
4月は在職停止されないと思いますが、4/10にB社
(月給20万円)に再就職した場合、4月は在所停止に
なるのでしょうか?根拠は?(厚生労働省令の規定は
根拠になるのでしょうか?)

仮に在職停止されるとして、総報酬月額相当額はA社
の30万円?それともB社の20万円?あるいは0円?
その根拠は?

標準報酬月額の規定
厚20条 標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)によつて定める

「被保険者の報酬月額に基づき」とあります。4月はA
社に係る被保険者ではありません。

ちなみに、70歳以上被用者の在職停止に関して、厚46条1項で「標準報酬月額に相当する額」と表現しています。
70歳以上被用者は厚年の被保険者ではないため、
標準報酬月額とはできないためであると思われます。
(標準賞与額については、過去1年間に被保険者であ
る場合があるため、標準賞与額と標準賞与額相当額と両方の用語で規定さています)

今回の事例では、おそらく、A社の30万円に基づいて
在職停止が行われると思いますが、その根拠は?
0円という解釈もできるのではないのかな?

根拠規定の不明な例の1例です。

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