西日本新聞 夕刊「潮風」より転載
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都大名誉教授が、研究が
壁に突き当ったとき、入浴中にそれまで考えていたモデルをあきらめたのが
きっかけで、新たな発想を得たというエピソードを受賞記念講演で披露された。
中国北栄の文学者、欧陽脩(おうようしゅう)は、文章やアイデアを
練り上げるために最適な場所として、
馬上、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)の「三上」を挙げている。
つまり馬上で揺られている時、寝入りばなや目覚めの時、用を足している時
物知りの知人は、今は「二上二中」と言う。厠上と枕上は変わらないが
車中と湯中が加わる。湯中は古来、多い。古代ギリシャの数学者アルキメデスは
王様から「この王冠は純金か」と問われて調べる方法が見つからず窮した時、
お風呂で湯船から水が溢れ出すのを見て比重に気づき
「ユリイカ(分かった)」と叫んだ。益川教授も場合もそれに当たる。
いいアイデアは理屈をこねくり回しても浮かぶわけではなく、
日頃の情報の蓄積に裏づけされたひらめきが肝心だ
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都大名誉教授が、研究が
壁に突き当ったとき、入浴中にそれまで考えていたモデルをあきらめたのが
きっかけで、新たな発想を得たというエピソードを受賞記念講演で披露された。
中国北栄の文学者、欧陽脩(おうようしゅう)は、文章やアイデアを
練り上げるために最適な場所として、
馬上、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)の「三上」を挙げている。
つまり馬上で揺られている時、寝入りばなや目覚めの時、用を足している時
物知りの知人は、今は「二上二中」と言う。厠上と枕上は変わらないが
車中と湯中が加わる。湯中は古来、多い。古代ギリシャの数学者アルキメデスは
王様から「この王冠は純金か」と問われて調べる方法が見つからず窮した時、
お風呂で湯船から水が溢れ出すのを見て比重に気づき
「ユリイカ(分かった)」と叫んだ。益川教授も場合もそれに当たる。
いいアイデアは理屈をこねくり回しても浮かぶわけではなく、
日頃の情報の蓄積に裏づけされたひらめきが肝心だ