オタマジャクシ1匹で
ペットロス症候群になりかかった
友人夫婦の話です
昨秋、食用に購入した生きどじょうに
生オタマジャクシが1匹交じっていた。
我が家の水槽に移したら、
元気に泳いでいる。
いっしょに生きどじょうを購入した友人が、
オタマを見学しにやってきて、
「お宅より3倍の量のどじょうを買ったのに、
オタマには気づかなかった。
でも、オタマはいたかもしれない。
だって、どじょうの丸煮に、
ジャリっとしたものがあった」と言って、
しばし真剣に見入っていた。
しかし、うちのオタマは、
なかなか手足を出そうとしない。
三か月たち、水温もさがり、
このままだと凍死もまぬがれないので、
思い切って、
某水族館に里子に出すことにした。
水槽ごともって出かけた夫が、
身軽に無言で帰宅した。
その日以降、
仲間と仲良く暮らしているかなあ
ちゃんとごはん食べてるかなあ
トノサマガエルに
いじめられていないだろうか…
と気になるけど、
こちらの里心がつきそうなので、
水族館には電話をしないことにした。
でも、オタマの水槽のあった場所がからっぽで、
こちらもスースーして
何かがうまらない。
自分たちは、犬やネコのペットを
飼ったことがなく、
そしてたぶん、今後も飼う予定はない。
でも、オタマジャクシという、
どこに目があるのかわからないような
無愛想な生き物に、
こんなにも夢中になるなんて
予想だにしなかった。
朝起きれば、
そして外出から帰宅すればまず一番に、
ふたりでオタマの水槽にかけつけて、
その元気な姿を確認してから、
さあ、とばかりに一日がはじまり、
また、帰宅後の一息をつくといった具合だった。
よくよく考えてみれば、
丸煮にしたどじょうも、
すくわれたオタマジャクシも
同じ命にちがいないのだが、
「愛おしいと感じる思い」には、
どんな理屈もたちうちができないらしい。
恥ずかしながら、還暦をすぎて、
自分たちはやっとそんなことに気づいた
ペットの猫や犬が死んで、悲しみのあまり
「ペットロス症候群」になりそうだ…
という話しは聞いたことがありますが、
「おたまじゃくし」1匹でもありえるんですね。
かくいう私も「めだか」に はまってまして、
死んだらどうなることやら…です。