虹の彼方に ~ over the rainbow ~

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『 楽屋 ~ 流れ去るものはやがてなつかしき ~ 』 TVで見た感想 後編の巻!

2009-10-21 18:44:22 | Yu Aoi


ご訪問してくださり、ありがとうございます


           


先日、 NHK 教育テレビの 「 芸術劇場 」 で、放送された、

『 楽屋 ~ 流れ去るものは やがてなつかしき ~ 』

という舞台作品を、見ました。


その感想を、書こうと思います

前回の記事から、続いています。


【 ※ 以下、ネタばれありです! ご注意ください ※ 】


楽屋に残った、3人の女優たち・・・


女優 A と B は、女優 D が、

いつもと、様子が違うことに、気がついたようです。

女優 B が、 D と、いきなり、ジャンケンをした!

ジャンケンが、できたことで、

女優 D が、この世に、すでに、存在していないことを、

B は、理解したようでした。


女優 D に、そっと、抱きしめられた、 A も、

その時に、確かに、そのことを、理解したということが、

A の驚きの表情から、わかりました。


女優 A の額の傷跡が、戦時中に、爆撃をうけたためのものだと、

わかると、女優 D が、

「 お疲れには 睡眠が いちばん! 」

と、ずっと、大事に抱えていた、よだれのしみ込んだ枕を、

女優 A に、渡そうとしますが、

とっさに、逃げる A が、おかしいです ( 笑 )。


女優 A は、長いこと、この楽屋に、通っているようですが、

女優 B は、最近になって、通っているようです。


「 あのー もう そろそろですか? “ 出番 ” !? 」

「 出し物は なんですか? 」

と、女優 D が、女優 A と B に、尋ねますが・・・


「 毎晩 そうやって 自分勝手な メイクをして

  “ 出番 ” を 待ってるだけ!

  永遠に 来ない “ 出番 ” を 

  待っているだけ でしょ? 」


「 ばかばかしいと 思いません? 

  あたしは そんな みじめな まねは いや!

  そんなんだったら まだ 病院のベッドの上に

  いるほうが ましです 」

と、女優 D が、高揚した様子で、女優 A と B に言いますが … 。


「 だったら さっさと 

  病院のベッドの上に 帰ったらどうなんだい?

  その 大事な まくらちゃんと いっしょに!! 」

と、女優 A は、声を荒げて、女優 D に言います。


「 ただし … あんたのベッドは もう ないよ

  あんたには もう 安らかな 眠りは もう ないのさ 」

と、女優 A が、立ちあがって、ゆっくりと、 D に言います。


「 本当に … あたしのベッドは もう ないんでしょうか? 」

と、女優 D が、急に、顔色を変えて、言います。


「 そのうち あんたも 慣れるよ~。 こうやって 待つのが … 」

と、女優 D を、憐れむように、女優 B が、言います。


「 そうよ じきに あたしたちみたいに なるんだから 」

と、いつものように、化粧をしながら、女優 A が、言います。


「 これから あたしにも 長い夜が 来るんですね … 」

「 でも あたし やっぱり 思うんです 何かを やるべきだって! 」

「 なにか 決めて ちゃんと! 」

「 来るべき日に そなえるっていうか! 」

「 なにかの ひょうしに “ 出番 ” が 

  やって来ないとも かぎらないし! 」

と、女優 D が、高ぶる気持ちを、抑えきれない様子で、

何かを、おそれて、慌てているように、言います。


「 そんなもの 来やしないんだよ 」

と、女優 A が、諭すように、 D に、言います。


「 あなたは きっと 疲れていらっしゃるんだわ! 」

と、女優 D は、大事に抱えていた、枕を、

女優 A に、さし出しながら、言い、 A を、追い回します。


「 枕で せまったって 役を 渡すもんか!! 

  出てけー!! 」

と、女優 A が、 D に、叫びます。


「 ちょっとー! [ あたしの役 ] って …

  役なんて 決まってないじゃないのよー 」

と、女優 B が、情けない、面持ちで、 A に、言います。


泣き崩れる、女優 A を、抱きかかえる、女優 B … 。


「 わたしって 誤解されやすいんです

  誤解されやすいところが もしかしたら

  女優に 向くんじゃないかって 

  ある人が 言ってくれたんです …

  間違いでした 」


「 わたし 協調性と 普遍性に 欠けるんです

  誤解されやすいってことは あたしにとって

  誰からも 愛されない ってことなんです …

  あたしは いつだって 独り

  今までだって そうだったし これからだって … 」

と、女優 D 。


「 待ちなさいよ! 

  そりゃね 誤解されやすいってのも つらいけど 

  その反対だって つらいのよ あたしなんか … 」

と、女優 B が、 D に向かって、

自身のつらかった気持ちを、語ります。


女優 A と D の間を、取り持とうとする、 B の姿に、

惜しみない、なにげない優しさを、感じました。


彼女が、これまでに、計り知れない、

つらい思いをしてきたからこそ、

相手を、優しさや、愛情をもった、まなざしで、

見ることができるのだと思いました。


「 今後 ご迷惑は おかけしません

  ひとりで わたしなりに やっていきます

  いつか やって来るかもしれない “ 出番 ” を 待って … 」


「 きっと 前から 運命づけられていたんですね

  長い夜を たったひとりで 過ごすことが … 」

と、女優 D は、なにかを、悟ったかのように、

イリーナのセリフを、言います。


女優 D の独白を、聞いていた、女優 A が、

「 ちょっとー ( 泣くのをこらえながら )!

  困るのよ … 

  それに 勝手に イリーナの役なんか 取っちゃって 」


「 あたしたちには 太陽の光が ふりそそぐ 

  うれたような 真昼は ないのよ 」

と、言う、女優 A の表情から、

長年、培われてきたであろう、

揺るぎない、意志を、読み取りました。

それと、同時に、隠すことのできない、

深い、悲しみの色を、帯びた、瞳が、

心に、残りました … 。


「 だったら 少しばかり 生活を 変えてみるのも

  悪くないわね ~ ! 」

と、女優 B が、言います。

彼女は、なにか、ふっきれたように、

新たな、決意を、胸に抱いているかのようでした。


「 そうね! せっかく 3人にも なったことだし 」


「 ( 女優 B に かけ寄って ) あんた マーサをやる? 」

と、女優 A 。


「 あんたは オルガ? 」

と、女優 A に、向かって、 B が、言います。


「 あたし 久しぶりに 女の役よ 」

と、女優 A が、嬉しそうに、言います。


「 あの … 」

と、女優 D が、なにか、言おうとすると、


「 ( 女優 D に 歩み寄って ) そんな 枕なんか 捨てなさい! 」

「 あんたは イリーナ! 望みどおりでしょ 」

と、女優 B が、女優 D に、言います。


女優 D の、抱えていた枕を、取り、捨てようとする B に、


「 待って! あわてることは ないわ

  時間は たっぷり あるんだから 」

と言って、女優 A は、

みなに、ブランデーの入ったグラスを、渡します。


ここで、はじまりのときに、聴こえてきた、

静かに、ささやかに、奏でられる、

美しい、ピアノの調べが、流れてきます。


「 さあ! 乾杯しましょ 

  あたしたちの 長い 長い 夜のために 」

と、女優 A 。


「 あたしたちの 終わりなき 稽古のために 」

と、女優 B 。


「 ( なんとも言いがたい 悲しみを帯びた表情で )

  そして あたしたちの もう やって来ない 眠りのために 」

と、女優 D 。


すると、今まで、真っ暗だった、楽屋に、

薄白い、青く光っている、月明かりが、さし込んできました。


女優 D に、頬紅と、口紅を、塗る、女優 A が、

あたたかくて、慈しみの心に、溢れていて、

胸を、打たれます。

女優 D は、まるで、凍りつくほどの、悲しみが、

より、いっそう、彼女を、美しくさせているようです。


そして、3人の女優が、それぞれの役の、衣装を着ます。


マーサ ( 女優 B )  

「 まあ あの音楽の響き あの人たちは 発っていく

  私たちだけが ここに残って

  また 私たちだけの生活を はじめるのだわ

  生きてゆかなければ 生きて … ゆかなければ! 」


イリーナ ( 女優 D )

「 やがて 時が来れば どうして こんなことがあるのか

  なんのために こんな 苦しみがあるのか

  みんな わかるのよ …

  でも まだ 当分は こうして 生きていかなければ!

  働かなくちゃ ただ もう 働かなくちゃ

  もうじき 冬が来て 雪が 積もるだろうけど …

  私 働くわ 働かなくちゃ 」


オルガ ( 女優 A )

「 音楽は あんなに 楽しそうに  鳴っている

  あれを 聴いていると 生きていきたい と思うわ 」


「 まあ どうだろう やがて 時が経つと 

  私たちも 永久に この世に 別れて

  忘れられてしまう 私たちの 顔も 声も

  何人姉妹だったか ということも みんな 忘れられてしまう

  ああ かわいい 妹たち!

  私たちの生活は まだ おしまいじゃないわ!

  生きていきましょうよ!!

  音楽は あんなに 楽しそうに 鳴っている

  あれを 聴いていると もう 少し したら

  私たちが なんのために 生きているのか

  なんのために 苦しんでいるのか

  わかるような 気がするわ

  それが わかったらね … それが わかったら 」


オルガが、マーサとイリーナを、しっかりと抱えながら、

ひたすら、真っすぐに、前を、見つめ、

確固たる意志を、抱きながら、語る姿に、

生きる勇気と、何事にも、屈することのない、

清らかな魂を、感じました。

そして、心が、揺さぶられるような、思いがして、

ただ、ただ、涙が、溢れてきました … 。


マーサと、イリーナと、オルガは、いえ、3人の女優たちは、

いつしか、お互いに、しっかりと、寄り添い合っていました。

そして、遠くから、聴こえてくる、音楽に、

じっと、耳を、澄ましているかのようでした。


3人の女優たちが、立ち尽くしている姿に、

そして、その言葉に、込められた、深い思いが、

遠い、過去の時代に、語られはじめたときと、同じように、

長い年月を経た、今の時代でも、共感することができると、

わたしは、思っています。 不思議なことですが・・・。


( ロシア語による、ナレーション )


「 はなやかな町 ・・・ 」

「 まずしい都・・・ 」

「 囚われのこころ・・・ 」

「 あでやかなる姿・・・ 」

「 あでやかなる姿・・・ 」


( ― おしまい ― )




 




           


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読んでくださり、ありがとうございます

それでは、また。。。


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