アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

のだめ(ランラン)、やりすぎのモーツァルト??

2010年01月25日 | ピアノ
映画の「のだめ最終章」を見たとき、この、のだめの「やりすぎのモーツァルト」にピタリはまる演奏はいったい何?? と思った。

漫画でいうと14巻に出てくる学校の試験で、ドビュッシーあたり弾いてたときは先生方がうっとりして「トレビアンつけよう~」って顔してるのに、トルコ行進曲になるとあっけにとられてどうしましょってなったところ…
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「音の多彩さはすばらしい」「しかし個性的といえば聞こえはいいが、やりすぎは嫌いだ!」
「あの個性は大事にすべきよ!…持とうと思って持てるものじゃないわ」
「いや!モーツァルトではメヌエットをスケルツォのように弾いたり最後は勝手に和音を足したり 僕はああいうのは許せない!」
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の部分である。

映画のトルコ行進曲は、「きちんとした(?)」プロのモーツァルトでは聞かれないノリで、マングースが行進してる感じありありなんだけど、すんごくうまい。テンポも超速。音大のテスト的にどうなのよというやりすぎ感と、技巧的にずばぬけていて荒削りな魅力にあふれている感が同居した、完っ璧にこの場にふさわしい演奏だ。これはいったいどうやって??

どうやってもこうやっても、誰かが弾くしかないので(^^;; それがランランというピアニストの演奏だと知ったのは映画を見た後。ランランについては、私が応援しているRayくんの特別レッスンで見て興味は持っていたんだけど、ちゃんと演奏を聴いたことはなかった。これは、聞いてみないとね。

と、思ったんだけど、アマゾンで即クリックしたのはランランのCDではなくて、まず「のだめ」CD三枚組のほう。だってこのゴージャス三枚組、そのうち一枚は丸ごとランランだっていうんだもの。気になるじゃないですか。

届いたのが木曜夜。早速携帯プレーヤーに入れて、金曜日の往復は幸せ~もう、わくわくしながら聞いた。今回の映画はのだめより、千秋とオケが中心だったので、このCDの中身は、まだ映画で聞いていないもののほうが多かった。

あらためて聞いたモーツァルトもやはりおもしろかったんだけど、このあとののだめの成長と、ショパンのコンチェルトの大成功、そして挫折から立ち直るテルミンとのアンサンブルなど…それぞれ、場面に合う演奏がされて、それがすべて一人のピアニストの演奏、これはすごい。

このテルミンがまたいいんだ~人の声にも似た不思議な音色。あーこの楽器、さわってみたい…そして他にもほかにも。。このCD三枚組については書きたいことがいっぱいあるんだけど。

とりあえず、モーツァルトに話を戻すと、何がやりすぎで何が正しいのか?? やりすぎは何でいけないのか?? いやそもそもいけないのか?? ということだ。

のだめCDの中のランランのトルコ行進曲を、手元にあるCDの中から、イングリット・ヘブラーの「モーツァルト・ピアノ・ソナタ全集」にあるものと聞き比べてみた。イングリット・ヘブラーさんはモーツァルトの名手といわれている人で、この人のモーツァルトはひとつの「正しい」モーツァルトだろう。ほんとに心地よくて、なめらかで美しい。私の愛聴盤である。

ランランの演奏が、まず違うのはテンポ。ヘブラーが3分33秒のところ、ランランは2分31秒というタイムで駆け抜けている(後から訂正: ランランの録音は繰り返しを一部省略しているからこのタイム差になっている。かなり速いには違いないが)。そして、緩急、強弱、派手なペダルなど、ヘブラーが決してつけないくらいのメリハリに満ち溢れている。素人にもわかる勢いと極色彩。

ランランの「やりすぎ」演奏は、マングースのアニメーションと相まって、たくさんの人の心をとらえたのは確かだ。こういう演奏のどこがいけないのだろうか?? ランランはもちろん、「正しい」モーツァルトも弾ける人なので、のだめ用でなければこんな演奏はしないだろう。

しかし、趣味でピアノをやっているふつうの人が、「やりすぎ」を禁じられ、一足飛びに正しいモーツァルトをめざそうとするとどうなるかというと、たいがいただの平板なつまらないモーツァルトになる。印象に残るのは、なめらかに弾けていない音階のでこぼことか、アラばかりというはめにもなりかねない。

ヘブラーさんのモーツァルトが、こんなにおとなしいのに、それでいて変化に富み人を飽きさせないのは、卓越したテクニックでがっちりベースがコントロールされているからだ。素人と違って、意図せず飛び出しちゃった音とか、指がもつれて間が空いちゃうところとかはないわけで、少しの音色の変化、控えめな強弱やアクセントでもすんなりと表現したいことが伝わるのだ。

素人が自分の演奏を考えるときには、まずは誰にも聞かせないでこっそりでもいいので、「やりすぎ」を考えてみたほうがいいんじゃないだろうか。のだめ&ランランみたいなかっこいい「やりすぎ」ができるわけないけど、いろいろ自分流を試してみて、それから「正しい」演奏を先生といっしょに考えてみたら??

やりたいことが何もないままレッスンに持っていくと…そう、私の先生のように、言うに事欠いて「祇園精舎の鐘の声」とかいって苦慮することになる。ないところから表現は引き出せないし、音楽的に間違っているところは直せばいいのだから。
(といっているが、私が非常に苦手なのがその、「やりすぎ」なんだけどね…)

モーツァルトのあからさまなやりすぎのほかに、これ以降の曲もランランはいろんな工夫をしてその場にあった演奏をしているようだ。ショパンのソナタが、非常にゆっくり、何かを確かめているような演奏になっているほかは、そんなに突拍子もない演奏はないんだけど…千秋としてのドビュッシー、Ruiとしてのラベル、のだめとしてのショパンのコンチェルトを離れ、同じ曲のランラン自身としての演奏はどんなものなんだろうか。比べてみたい!!

…ランランがどういうつもりでのだめ演奏を引き受けたか知らないけど、営業的にめちゃくちゃうまい線だよな~


昨日の録練:
フォーレ ノクターン第四番 四分割の二
録練中にだいぶましになったけど、後半かなり滞ってます。後日再チャレンジ。

はなひめ 昨日の勉強:
ことばの練習帳 第二回
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20 コメント

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ランランはすごいです♪ (ラズベリー)
2010-01-25 09:58:24
アンダンテさん おはようございます。

ランランの魅力にどこまでもはまるラズペリーです。
ランランはのだめの吹き替えを依頼されたとき、のだめの曲は全部自分が弾くと、かってでる熱の入れようだったそうです。
ランランは実力はさることながらイメージを大変大切にしているのでなせるわざだと思います。
私もどちらかというとやりすぎ注意のレッテルを貼られるほうですが、いくら正確でも小さくまとまってしまう音楽よりも面白い音楽になるなら、何がいけないの?と言いたくなりますね。もちろん、ちゃんと弾けてのハナシですが…。
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ランラン! (aki)
2010-01-25 10:07:06
と、聞いて飛び出してきました(笑)
アンダンテさん、ランランはCDじゃなくて、ぜひぜひ映像で…!
あらゆる意味で衝撃的です(爆)
我が家にはランランがヴェルビエ音楽祭に初出演した時のDVDやら
(ちなみにこのDVD、キーシンが1stで2ndがアルゲリッチという、
キーシンの心中を思うと心臓バクバクものなモーツァルトや
八台のグランドで弾きまくる熊蜂の飛行など見所聴き所満載です)
NHKで放映されたサントリーホールでのリサイタル(英雄ポロネーズがあらゆる意味で衝撃的)やら
極めつけに児童虐待としか思えないランラン自伝本などがあるのですが、
ま~、ホントに興味深い人です。成功してよかった!と心から思います(^-^)
ちなみに、ランランがピアノを始めたのは「トムとジェリー」で
トムがピアニストになる回を見て憧れたからだそうです(笑)
トムジェリはクラシックの使い方がうまいですよね~。
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> ラズベリーさんへ (アンダンテ)
2010-01-25 13:26:08
> のだめの曲は全部自分が弾くと、かってでる熱の入れよう
おぉ~なるほど、こう弾いたらハマるというようなイメージがわいたんでしょうね。タイプ的にも合うのかな。

ラズベリーさんはちゃんと「やりすぎ」ができる方なんですね(^^) それはきっと大事なことだと思いますよ。私の場合、「ちゃんと弾けてのハナシ」とかいってると一生平板なまま終わりそうですから(笑)逆順を考えるのも悪くないのかもしれない、と。

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> akiさんへ (アンダンテ)
2010-01-25 13:31:03
akiさんようこそ(^-^)
「ランラン」はakiさんの召喚呪文だったのですね。

そのDVDめちゃめちゃおもしろそうですね~今晩あたりクリックしてそうです!!

「トムとジェリー」のピアノは昨日初めて、「ハケンOLの美ピアノ道」ブログを通して知ったところです。あれほんとに秀逸ですね!! 確かにランランのピアノってああいう、勢いとノリの良さの魅力がありますもんね。
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魔の囁き(笑) (aki)
2010-01-25 15:13:04
Amazonでクリック!であれば、ヴェルビエ音楽祭DVDページに
「何パーセントのカスタマーが…」と出てくる「アート オブ ピアノ」DVD、
これもまたいいですよ~20世紀のピアニスト達のお宝映像満載。
ホント、クリック一つで買えちゃうわ、ご親切にも芋蔓式に(?)並べてくれるわのAmazonは魔物です(^-^;
ちなみに私は所持していませんが「アート オブ ヴァイオリン」もあるそうです(^-^)♪
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英雄ポロネーズ (ちょこ)
2010-01-25 17:25:24
すみません。
ずっと、ロムしていたのですが、
ランランと聞いて思わず書き込みさせていただきます。

私もランランのNHKで放映された英雄ポロネーズを見たひとりです。
・・・・こんなに好きに弾いちゃっていいのか!という衝撃ものでした。
実は20年近く、まともにピアノを弾いていないのに、ランランのおかげで(!)真剣にピアノ復活検討中です。
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初コメントです♪ (私はタワシ)
2010-01-25 20:19:15
こんばんは。
おとつい、アンサンブルのサークルでトルコ行進曲を楽しんできたばかりです。といっても私は鳴り物(打楽器)担当ですが~その場にあったのを適当に手に取りました。名前は忘れましたがアンデスの民族楽器でした。大いに盛り上がりましたよ。
それはともかく、ヘブラーさんの名前が出てうれしかったです。学生時代からこの人の奏でる、あたたかくて居心地のいいのいい音が好きです。シューベルトなどもいいですよね。
最近K331の2楽章を練習中の私ですが、へブラーさんのような演奏を目指してはいるものの、やっぱりモーツァルトは難しいです。
>なめらかに弾けていない音階のでこぼこ
ははは、耳が痛いです。まさに私のこと!
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Unknown (rin)
2010-01-25 21:15:26
アンダンテさん、こんにちは。

最近、あちこちでのだめの話題を見て、もう見たくてたまりません。
のだめ大ファン(特に千秋先輩♪)で、コミックは日本語版も英語版も読んで、続き知りたさに雑誌KISSまでイギリスで定期購読してる私。。。でも映画はなかなか見れないんですよね(涙)

のだめでクラシックを身近に思う人が増えるといいなぁといつも思います。
ランランといえば、youtubeでランランがオレンジで黒鍵のエチュードを弾く映像が忘れられません。
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> akiさんへ (アンダンテ)
2010-01-25 21:18:34
ンもぅ…akiさんたら、私のツボを押すのうまいですね~
今、「ヴェルビエ音楽祭」と「アート オブ ヴァイオリン」をクリックしちゃったとこですよ…わくわく。
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> ちょこさんへ (アンダンテ)
2010-01-25 21:29:15
おぉ~
これも何かの縁(?)ですから、ピアノ復活してみましょー。楽しいですよ(^-^)

ランランの魅力すごいですね。ふだんロム専門の方もぐぐいとひきよせる…

DVD届くの楽しみです!!
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