弛まぬ空

酷く個人的かつ内面的な日記

抑うつリアリズム

2017-01-19 14:33:37 | 思考
うつ(状態)にある人は、認知療法で言う自動思考に「認知の歪み」がある人も多い。
否定的な自動思考には種類があるが、例えば、「全か無」(二者択一的思考)や、過度の一般化、過大評価、先読みの誤り、などがある。

これらを、ワークシートに書いたりして修正していくのが認知療法の一手法だ。

そして、これらの思考とは逆のポジティブな思考は心身共の健康に寄与するとの報告もある。

ところが、だ。
「抑うつリアリズム」といって、(抑)うつ状態にある人の方が、「正確な」認知をしているとの研究もある。すなわち、普通の人のポジティブな思考にはバイアスがかかっており、むしろ、「悲観的な思考の方が現実、未来を正しく反映しているというものだ。
この観点からすると、上述の先読みの誤りも、「誤り」でも何でもなく将来の可能性についてより正しく(或いは妥当に)予想しているといえる。

ポジティブ幻想といった用語もある。

これこそ、二者択一的思考になってしまうが、
心身共に健康だが不正確な認知をするか、不健康だが正しい認知をするか。
では、どちらを選ぶのがいいのだろうか。
ポジティブな思考が自分だけに及ぶものであれば、不正確な認知をしていても構わないのであるが、思考は行動となり他者に影響を及ぼすことも少なくない。認知と感情、行動は切っても切り離せない関係にあり、社会で生きる以上、楽観視というのは常に危険性を孕むものである。

程度問題と言われればそれまでだし、うつと近接する不安(※不安も認知療法の対象)で動けないとなると本末転倒なのだが、「先読み」、それをどこまで確信して動くのか、それが問題だ。

個人的には、悲観的行動主義者、こうなりたいと思っている。だが、将来を悲観的に見積もってそれを回避する、そういうマイナスをゼロにするための行動というのは、動機づけも難しいし、回避できた時も正の報酬というよりは安堵の感情しかないので難しいものだ。



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