
人ひとりが通れる小さな門をくぐると右手に石段があり、その森は茂庵へとつづいている。

銀閣寺道バス停で降りて50mばかり戻って、広い道を左に折れて坂道を進むと右側に茂庵への道標のお地蔵様がある。

長屋のような民家が石段を登るとブロックごとに現れて、日本の美しい民家の原型を見ているようだ。

南天の実が冬の日差しに眩しく輝いて、石段の疲れを忘れさせてくれる。

がけ崩れを防いでいるのか、いかついコンクリートの構造物だが不思議に景色に溶け込んでいて美しい。

古い石垣には冬なので花こそ無いが様々な緑が、前日の雪に洗われて艶やかに繁っていた。

植物はこんなちいさな隙間にも生命を宿す。

夏になると大文字がこの高台から見れるのかと新たな発見。この画像のみSIGMA DP3 Merrill

そろそろ石段を登って息も上がってきたころ突然に壁一面の緑の表札。この門をくぐるとトップの写真の入り口へつづく。

ここが京都の町中とは思えないほどの静寂さだった。前夜の細雪が森全体に水分を含ませて吸う空気までウエットだった。

森の中にはいくつかの庵が点在しているが、この森全体が茂庵の所有地らしい。

雲の切れ間からわずかに射す木漏れ陽に、それまで薄暗らかった森の棕櫚の葉が浮かび上がって思わず足を止めた。

吉田山の頂上に木造二階建ての茂庵が見えてきた。

けっこうな来客数で、ほとんどがカップルか女子会で、外国の旅行者も数組見えていたが男一人で来たのは僕だけだった(汗)

予約を入れて一階の待合所で順番を待つ。二階は木造板の間で土足禁止なので靴を脱ぐが、7インチのエンジニアブーツを履いてきて脱ぐのに一苦労。

ランチは2種のみでディナーは無い。AM11:30~PM18:00の営業で、まあこの山道を夜に登れはしないなぁと。(ヒールでも楽に登れます)

和洋の2種類から選んで、これはチャパティ風パンにモッツアレラチーズとトマト&なすとズッキーニとベーコンの洋。抜群の美味さで1260円とリーズナブル。スープと甘みの強いピクルスが付く。

温かいゆず湯は本物のゆずを絞った本格派で、ランチとセットなら200円と安くて美味しかった。

カウンター窓側がお勧めだ、冬の澄んだ空に東山が美しい。室内は他のお客様が居るので基本NG。

帰りは反対の山道を降りたが風情は銀閣寺道バス停からが断然のお勧めだ。ただ行きも帰りもお地蔵様が見送ってくださった。
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