@アップリンク渋谷
「FORMA」を見逃してからというもの、
アップリンクで上映する邦画はとりあえずチェックしとけ、という
自分ルールがあります。
全くもって全部を観ているわけじゃないんだけど、
それでもHP見る限り、気になる作品が多いのは事実で。
しかも、私好みの雰囲気の作品が多い。
本作も、ポスターの装丁と、
キャッチコピーと、
田中泯、という三要素で鑑賞を決めました。
あとで、去年ライムスター宇多丸氏が絶賛していた
インディペンデント映画の監督の新作だと知りました。
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母親に死なれ、父親に捨てられた過去を抱える男。
彼は友人に誘われて、ホームレスたちを簡易宿泊所に押し込んでは
生活保護費を奪う「囲い屋」で働いていた。
ホームレスを人間ではなく物のように扱い、
次第に感情や表情を失っていく男。
そんな中、彼はホームレスとして生きていた父親と再会し、
心が揺れ始める。
やがて男は、囲い屋から父親を連れ出して車を走らせて、
ある廃虚にたどり着く。
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個人的には、映画作品には、興味を持続させるストーリー展開があるのが好きなんだけど、
どうやら監督はそれをあまり好まない人だったようで、
ひたすら、感性・感性・感性、で撮っている印象。
ただ、その感性が創り上げた作品には、ストーリーは無くても、
ちゃんと観客の興味は持続されるようになっていて、
それは純粋に凄いなあ、と思いました。
たとえば、映像技術とセンス。これは目を見張るものがありました。
所謂、構図とか、情景描写とか、色使い。
キャリアが浅い監督なのに、色彩の使い方が素晴らしいです。
誰だっけな、監督が敬愛する巨匠がいて、その方にとても似ているらしいですが、
幸か不幸か、私は未見だったので、新鮮に感動しました。
それと、メタ表現と思われる映像の応酬。
映像が美しいので、画面を見つめていても苦にならないのですが、
多分、1秒1秒が意味を持つであろう映像。
もしかしたら、何も考えずに撮っているのかもしれないけれど、
どちらにしても、私には全部は理解出来なかった。
でも、これは何のメタ表現だ??と思いながら
最後まで追いかけてしまう、という点で、非常に巧いと思います。
ただ。ただね。
私個人的には、
ある程度のストーリー展開があって、
メタ表現の中にも、答えを見つけられる作品が好きなので、
正直、凄い映画だなあとは思ったけれど、好きな作品ではありませんでした。
なので、好みが分かれそうだなあ、という点で、
中々人には薦めにくい作品ではあります。
あ、でも1つ。全力で本作を薦める要素があります。
田中泯の佇まい。それと、歩行姿。
私、彼はずっと役者だと思っていたので、
ダンサーだと知ったのは本作ででした。
本作は、彼がダンサーたる姿を惜しみなく画面で披露していて、
素直に、「美しい」という感想が出てきます。
歩行でさえダンスに見える、なんて、スゴイ。
真っ直ぐに前を見据えて歩いているだけの姿が、あれほど絵になる人もいないと思う。
彼の姿だけでも、本作を観る価値があります。そのくらい凄い。
”好きな類の映画”ではあったけど、
”好きな映画”では無かったかなあ。
でも、昨今のふにゃふにゃな邦画の中では、
骨のあるしっかりとした作品だと思います。
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