観自在

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久々の出会い

2009-07-05 11:47:22 | コラム
 1年に1回会うか会わないかというような人はいませんか? 私には何人か、そういう人がいます。親戚だったり友人だったりしますが、昨日は、以前お世話になった、そういう人に会いました。
 久しぶりに会った、その方は、見違えるほどやせ細って弱っていました。60代と思いますが、以前は、とても活動的で押し出しも強く、お話をしていても、こちらが常に聞き役でした。それが、この1年ほどの間にすっかり老け込まれたようでした。お聞きしたら、それもそのはず、癌で胃を切除されたということでした。
 もともと禅をなさっている方で、私ともそうした接点もあってお付き合いしてきたところがあります。入院中の2ヶ月間、いろいろなことを考えたそうです。ちょうど居間のテレビで故石原裕次郎氏の特集番組をやっていましたが、ときどきそちらを見ては、感慨深そうになさっていました。酒好きだったにもかかわらず、ほとんど飲めなくなっておられ、私は代わって飲みたいような気になって、かなり飲んでしまいました。
 最近、故遠藤周作氏にまつわる文章を集めた『遠藤周作のすべて』という本を読みました。弔辞なども含まれていて、遠藤周作が亡くなった後に、周囲の人間が生前のエピソードや感慨を書いたものを、文藝春秋社が編集したものです。その冒頭に、遠藤氏のご子息である遠藤龍之介氏の文章が載っていました。肉親が見た遠藤周作は、風変わりであり、いたずら好きであり、大まじめであり、愛すべき人物でした。病弱だった遠藤周作は、常に死と向き合っていたようです。
 「メメント・モリ」という有名な言葉がありますが、死と向き合って生きるというのは、どういうことなのでしょうか。いずれ、私にもそういう時期が来ると思いますが、そのときにじたばたしないように、悔いのない生き方をし、従容として死を受け容れる度量を身につけたいと思いました。


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