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観自在

身辺雑感を気ままに書き込んでいます。日記ではなく、随筆風にと心がけています。気になったら是非メールください!

正雪大吟醸無量寿

2014-05-31 22:10:41 | 
 職場の最寄りの駅近くにある酒屋に初めて行きました。明鏡止水の限定酒とどちらにするか迷ったのですが、最終的に正雪を購入しました。静岡の酒ですから、間違いはないだろうという信頼もありました。ラベルによると、酒母米、麹米が山田錦、掛米が吟ぎんがのようです。精米歩合は前者が35%、後者が50%となっています。
 この酒は、まず香りに驚かされました。洋梨のフルーティーな香りは日本酒とは思えないほどでした。ワインの香りも楽しいものですが、日本酒でこれだけの香りが立つというのは珍しいと思います。
 味の方でも、洋梨の味がまず口に広がります。味わいになるとメロンの方が近いでしょうか。全体的な印象としては重厚ではなく、さわやかな味わいを感じる一方で、まろやかで芳醇な味わいも感じられます。このバランスが、この酒の旨さを決めているのかもしれません。のど越しの最後には酸味が立ってきて、フルーティーな印象を強調する感じがします。そして、苦みが喉の奥に広がってやがて消えていきます。
 かなり無理をして書いているのは、先ごろ、田崎真也氏の番組を見たからです。やはり、彼の勉強ぶりは大したものでした。多少でもそれにあやかろうとわかったようなことを書いているわけです。しかし、この味を言葉にすることはとても難しいですね~。
 ともあれ、この酒、オススメです。1升瓶が税込3000円ちょっとですよ。
 ついでながら、肴はメジナの刺身とトビウオの焼き魚でした。メジナはタイに似た体形で、全身が黒っぽく、身が引き締まった魚です。私はタイより美味だと思います。ヒラメの刺身とも同額だったので悩みましたが、メジナで正解だったと思います。トビウオは焼きすぎたため、身が固くなってしまいました。全身筋肉質?な魚ですので、焼きすぎはよくないようです。

夏の夕方に合う発泡酒

2014-05-24 18:50:05 | 

 行きつけの酒屋で、2本のビールを薦められ、店主の口車に乗って購入してしまいました。どちらも神奈川県厚木市にあるサンクトガーレン有限会社が発売している発泡酒です。
 まず、右が湘南ゴールドという名称で、英語で「SWEET ORANGE ALE」とあります。湘南ゴールドとは神奈川県オリジナルのみかんで、ゴールデンオレンジと遠州みかんを掛け合わせて作ったものだそうです。お味の方は独特のクセが感じられ、私には向いていないようでした。
 中央は、今日飲んでみたのですが、PINEAPPLE ALEです。こちらはパイナップルの濃厚な香りがビールとよくマッチしていて美味でした。どちらもアルコール度数は5%です。値段は聞かずに買いました。話のネタに一度飲んでみるとよいでしょう。パイナップルエールはオススメします。
 さて、写真に写した左側の缶ビールは地ビールの草分けエチゴビールが1年だけ限定で発売したWEISS(ヴァイス)という発泡酒です。私はこれが気に入ってとにかく飲みました。10年以上前のことだと思います。原材料を見ると、コリアンダー、オレンジピール、ジンジャーが入っていることがわかります。それらが絶妙なバラスでブレンドされており、いやなクセがなく、爽やかな味わいでした。
 夏の夕方、堤防で小鯵を釣った後、一気に飲む味がたまりませんでした。以後、再販を楽しみにしていますが、いまだに復活しないのは残念でなりません。似たようなビールがあると買ってみるのですが、ヴァイスには遠く及びません。エチゴビールのブルーパブにも以前はよく行きましたが、今はそれほど魅力を感じなくなりました。ヴァイスなら起死回生と行けると思います。またヴァイスが飲みたい!! 心からの叫びです。夏の夕方に飲むものとして、あれ以上の発泡酒やビールにはお目にかかったことがありません。空き缶を捨てられないのはそのためです。

これが石田屋一式です!

2014-05-24 16:09:39 | 

 黒龍は福井県永平寺町にある蔵元で作られています。フツーの黒龍でも十分おいしいですが、トップレベルの酒、つまり超高級品というべきお酒が数種類あります。
 数年前に、食事にお招きいただいたお宅で、黒龍の石田屋というお酒に初めて出会いました。そのお宅でもいただいたもので、なんでも正月に封を切ってお屠蘇代わりに飲んだ後、酒が好きな人も家族にいなかったので、私が来るまで冷蔵庫で保管してくださったとのこと。私がいただいたのは2月の中旬くらいだったと思いますので、2か月近く冷蔵庫で眠っていたわけです。お酒好きな方はおわかりの通り、いくら冷蔵庫に保管しても、酒の味は必ず落ちます。どんな銘酒でも、栓を抜いてから1日たっただけで、へたった感じの、平板な味になってしまいます。酒好きでもない先方では、そんなこともわからずにとっておいてくれたわけですが、そのご厚意はありがたいと思いました。しかし、味の方は期待はしていませんでした。
 濃いブルーの4合瓶に入った酒を飲んだとき、私が飲んだ酒の中でもトップレベルの酒の一つだとすぐ思いました。飲み口は、濃厚な酒ではありませんが、適度に芳醇な感じもあり、何より芯が太い印象を受けました。ぐっと迫ってくるような旨味があったと思います。ほとんど減っていなかった石田屋を私は一人で飲み干してしまいました。
 しばらくしても忘れられず、ネットで調べてみたところ、期間限定・数量限定の発売でほとんど入手が困難、オークションでは3万円の高値で取引されていることを知りました。開栓後2か月もたって、あれだけ旨かったのだから、開けてすぐに飲んだら……そう考えるのは酒飲みの業と言うべきものでしょう。
 諦めかけていたとき、飲み仲間から朗報が入りました。茨城県のある町に、石田屋を17,000円で出している居酒屋があるというのです。費用を折半する約束を取り付け、私は飲み仲間とともに駆けつけました。そこで、出していただいたのが、写真の石田屋です。右にある箱が外箱、中央に黒く見えるのが木製の立派な内箱、そして、左にあるのが空き瓶です。東京から飲みに来たと告げると、店長は空き箱を含めてすべて紙袋に入れて渡してくれました。それで一式が私の手元に残ったわけです。
 意外にも味に対する感動はありませんでした。飲み仲間も、「そんなにいいか?」といった顔をしていました。ひょっとしたら貯蔵したり、開けてしばらくしてから飲んだ方が旨い酒だったのでしょうか。最初に飲んだ時のような感動がなかったのはなぜなのか、今も謎のままです。
 

白州 これを買って!

2014-04-27 06:40:51 | 

 先週、スーパーでこれを買いました。サントリーシングルモルトウイスキー新白州350mlと大きなロゴ入りグラスがセットになって1。600円のお値打ち価格。レギュラーの大瓶にはDVDがついているようですが、私はこのグラスに惚れました。私は昔からおまけに弱い人間で、何かおまけがついているととても得した気分になってしまいます。
 以前、山崎にあるサントリーのウイスキー工場で、山崎と白州の試飲をしたことがありました。山崎のふくよかな味わいに対して、白州はワイルドな印象で、ずいぶん味が違うのだなと感心した記憶があります。新白州もあら走りといった感じで、深い味わいが確認できました。
 写真手前のおちょこは、相当以前に奈良県の今井町で買い求めたものです。色合いも美しく、龍を描いた金彩もしっかりと残っています。相当数で組になっており、その中から1個を選んで買いました。大変気に入っていますが、酒飲みの私は、大きなぐい飲みで飲むので、あまり出番がありません。ウイスキーを飲むときに使うのがちょうどよいです。
 ゴールデンウィークの1日、白州で一杯なんてどうですか? 環濠集落として有名な今井町、あの骨董店はもうないのでしょうか。


樽酒に注目

2014-02-22 06:49:35 | 
 木の香りのする酒が注目を集めているというニュースを見ました。某店では、酒を小さな樽に移して、柄杓のようなものですくってグラスに入れて飲んでいました。木の香りが酒に移って予想以上に評判だということ。1日100杯出る日もあるということでした。科学的な実験でも、木には料理の味を引き立てる効果があるそうです。日本酒をシェリー酒の樽で寝かしておくと、甘くて洋酒のような味になり、日本酒はちょっとという人にも好評だそうです。もちろんオーク樽なども使われているようです。
 そういったブームもあって、菊正宗では樽づくりの職人を社内で育成しています。木の樽を作るには技術を要するでしょう。その様子を見ていて、幼いころを思い出しました。私は地方都市の出身です。家は狭い路地の中にあり、家の周りも路地に長屋がひしめいているような所でした。私がよく通った路地の中に、桶の職人さんがいました。母なども買い物に行く途中で挨拶をしたり声を交わしたりしていました。痩せて小柄な老人でした。白髪頭を短く刈り込んで手拭いを巻き、夏はランニング一枚で、いつも仕事場で木を切ったり、桶を組んだりしていました。夕方も、度の強い、眼鏡を木にくっつけるようにして、裸電球の下で木を削っていました。店先には、作りかけの風呂桶や、木材が並べられており、ときどき、植木に水をやっているときだけが、仕事以外の姿でした。職人らしい職人だったのだろうと思います。
 老職人が亡くなってから、もうどのくらいたつでしょう。30年くらいになるでしょうか。実家にも、漬物を漬ける小さな樽があったと思います。あの老職人に作ってもらったものでした。
 一介の職人さんにすぎないのかもしれませんが、老職人の死によって、私の町からは大切な文化が消えてしまったわけです。改めてご冥福を祈ります。
 父とよく行った上野の居酒屋は樽酒で有名な店です。今は高清水、酔心、菊正宗の3種が、1杯500円で、もちろん木の升に入ってきます。先月も行きましたが、近々、また行ってみようと思いました。
 

人生最後に飲む酒は・・・

2010-04-04 22:51:51 | 
 日本酒のスパークリングなどと聞くと、奇をてらった、怪しい印象をもちますが、その酒は別格です。「獺祭」は「だっさい」と読みます。獺はカワウソのこと。カワウソは獲った魚をすぐには食べず、岸や岩の上に並べておく習性があるそうです。それが供物を先祖に捧げ、先祖を祀っているように見えるため「獺祭」と言われるようです。正岡子規が号として用いていたこともあるようで、酒の名前は、蔵元の地名と子規の両方からとったもののようです。
 山口県の山奥の小さな蔵元ですが、出荷量のすべてが純米大吟醸というから驚きです。つまり、この蔵の酒は純米大吟醸がスタンダードということになります。遠心分離などというハイテクも用いていて革新的なところもあります。
 獺祭スパークリングは4合瓶で1600円ちょっとのお酒ですが、価値はそれ以上でしょう。発泡というよりはシャンパンを思わせるクリーミーで上品な泡立ちですし、おりがらみと呼ぶには、華やかすぎる香りでしょう。やはりスパークリングとしか言いようがない。味はもっと素晴らしい。シュワッとした刺激が消えた後には、しっかりとした厚みをもった酒の旨さが染み渡ってきます。甘すぎず、辛すぎず、酸っぱからず、苦すぎない。まさに中庸の銘酒といえましょう。どぶろくのもつ酒のオリジナリティーと、シャンパンのようなフレッシュな味わいが絶妙にバランスされています。おそらく、この時期にしかお目にかかれない銘柄ではないでしょうか。
 買って絶対に損をしないオススメの酒です。明日死ぬと言われたら、最後の酒として選んでよいと思える逸品です。

荻窪ラーメンにやられた!

2010-02-20 22:11:07 | 
 ここのところ、金曜日は酒を飲む日になっています。昨日も荻窪の馴染みの店へ行きました。この時期は、濁り酒がうまいですね。この濃厚な味に慣れてしまうと、清酒は飲みたくないような気がします(嘘です)。今回飲んだ中では、「雨後の月」の濁り酒が絶品でした。濁り酒というと、その強い味の中に、すべての味がかき消されているような気がしています。でも、この酒は、確かに濃厚な濁り酒の味ですが、その周囲には繊細な酒の旨さが多様に感じられました。つまり、べっとりと塗り込められた平板な味ではなく、立体的な酒の味が確かに感じられたのです。よく考えてみたら、この酒のネーミングも素晴らしい。かすんだ月が次第に姿を現して、天空に冴え冴えと輝くさまを名前にいただく酒、まずいはずがありません。清酒が旨いことは知っていましたが、濁りの味はもっと素晴らしいとお伝えしておきましょう。
 後に考えれば、これでやめておくのでした。その後、やき鳥屋でビールを飲んで連れと別れ、行ってしまったのが、荻窪ラーメンの老舗H屋さんでした。久しぶりに期待して暖簾をくぐりました。ここのラーメンは800円です。酔った勢いで大盛り1000円也をオーダー。出来たラーメンを一口食べて絶望しました。一言で言えば、この店のラーメンは煮干しラーメンになっていました。だしにとられた煮干しの味しかしないのです。最初は個性が強いので旨いと錯覚するかもしれません。でも、終わり頃には、どうしてラーメンが煮干しなのか、みそ汁頼んだわけじゃない、オレはネコじゃないぞと言いたくなりました。「雨後の月」が濁り酒の個性の中に、さまざまな酒の旨さを醸し出していたのとは、まさに対照的です。
 昨夜の暴飲暴食がたたって、今朝は下痢と嘔吐に苦しみました。家人の冷たい視線と言葉にうちひしがれていました。医者に行って散財。さんざんな週末になってしまいました。

発泡酒ナンバーワンは?

2009-12-01 22:02:46 | 
缶ビールで一番旨いのは?と尋ねられたら、迷わずサントリーのプレミアムモルツを挙げますが、発泡酒ナンバーワンと言える商品がなくて困っていました。庶民である私が、西友の片隅で何か飲もうということきに、日本酒を飲んでいるとアル中のようでためらわれ、ビールを飲むには高すぎる。すると、酎ハイか発泡酒ということになり、ジュースと外見が似ている酎ハイをよく飲んでいました。これはきっと自己満足の世界で、私のようなヤツを誰も気にかけて見てはいないでしょうし、見ていたとしてもアル中にしか見えなかったでしょう。
それはともかく、旨いと思える発泡酒には巡り会っていませんでした。それが、先日、とうとう発見しました。その名も「琥珀の贅沢」といい、サントリーの製品です。ワインレッドの缶ですので目立ちます。「贅沢長期熟成・アロマホップ100%」とあり、アルコール分は6%です。冬季限定の製品のようです。飲み口は、苦味が強く、濃い風味があります。多少、ハーフ&ハーフを思わせるような濃さがありますね。スタウトのような苦味と甘みが両方ありながら、重くないという感じです。普通の発泡酒はすぐに飽きてしまいますが、この発泡酒は飲み飽きしません。地ビールのようなフルーティーな感じもあり、爽やかさも兼ね備えています。もしかしたら、ビールより旨いかもしれません。それで値段が発泡酒並みですから、よいことばかりです。
年末から正月にかけて、お酒を飲む機会が増えますが、今年はこれに決めました。まだ飲んだことのない方はぜひお試しください。

マッコリの味

2009-11-29 16:42:27 | 
 昨日は、知人と男二人の忘年会。以前に紹介した上野へ行って、焼き肉を食べました。町の一角の路地に焼肉店が集まっている地域は、さながら韓国の場末のよう。カルビなんかはもちろん旨いですが、ホルモンがいろいろあって楽しめます。ホルモンというと臓物で安いイメージがありますが、専門店では安物ではありません。まともな?焼き肉以上に高価です。そして、それがまた美味でした。
 このお店、急な階段を上った二階は、少し傾いています。安いベニヤ板を張った壁といい、昭和初期の貧乏くささが生きていました。
 今回は憧れのマッコリを初めて飲みました。酒好きの私ですから、今までも関心はありながら、飲む機会がないままでした。今回も、メニューにないので、置いてないのかと思っていました。ところが、隣のお客さんが注文すると、自家製だというマッコリがどんぶりに入って出て来たのです。値段は900円。当然、注文しました。
 はっきり言って旨い! 今までマッコリを何となく敬遠して来たのは、アルコール度数が低くて甘いという話を聞いていたからです。しかし、今回、飲んでみて、どぶろくの味だと思いました。しかも、酸味、甘味、苦味、コクが大変バランスよく整ったどぶろくです。知人はヤクルトだと言いましたが、発酵したまろやかな味わいは、確かにヤクルトを彷彿とさせます。
 店の人は、飲み口がいいので、つい飲み過ぎてしまうので気をつけてくださいと言っていました。さもありなんと思いました。マッコリにもいろいろな味があるなら、飲んでみなくてはなりますまい。酒の世界が広がる体験でした。

黒龍~本醸造垂れ口

2009-11-06 22:28:31 | 
 旨い酒と旨い肴、いいですね。酒と肴の関係は馬鹿に出来ません。というのも、肴が酒の味を決定するからです。こんな話を聞いたことがあります。山地の酒は芳醇で、海辺の酒は淡麗になると。つまり、山の地方では、酒の肴は保存のきくモノ、つまり味の濃い漬け物のようなモノに限定されます。もちろん、冷蔵庫もない昔の話です。そこで、酒は肴に負けないように濃厚になると言うのです。逆に、海が近い地方では、酒の肴は刺身のようなものになるので、肴の味を殺さない、淡麗辛口になるのだそうです。
 先日、繁華街を歩いていたら、「黒龍」の名を居酒屋の店頭に見つけて立ち止まりました。その日は通り過ぎたのですが、数日後に近くまで行く機会があり、のれんをくぐることになりました。
 まず、季節限定ということで「黒龍~垂れ口」を注文しました。8勺くらいの銚子が600円ですから安いと思いました。肴は鰻の薫製です。その店は薫製にこだわりがあるらしく、いろいろな薫製を肴に出していましたが、鰻というのは珍しいので注文してみました。どうも白焼をチップで薫製にしたモノのようです。味はあっさりした中にもコクがあり、鰻の旨みを凝縮した感じがありました。ちびちびと飲むにはちょうどよい肴でした。
 さて、お酒の方ですが、これが旨い。まったくくどい味ではないのですが、とろりとした舌触りで、酒の旨さが際だっているのです。原酒のとろりとした感じとは違う、透明感のようなものがあるのに、奥が深いというような、米のふくよかな味わいをうまく引き出している気がしました。ひやおろしも季節の酒としてありましたので、飲んでみましたが、垂れ口に比べると、あっさりとして物足りないと思いました。
 石田屋はやはり入手困難で落胆していましたが、垂れ口で十分ではないかと思い、ネットで探しました。こちらも、やはり売り切れのお店がほとんどでした。それでも、来月入荷予定という酒屋で1升2415円で予約できました。味を考えれば、嘘のような値段です。
垂れ口には本醸造と吟醸があるようで、私がお店で飲んだのも、注文できたのも本醸造の方だと思います。吟醸の垂れ口は、入手が難しいようでした。
 正月は、黒龍本醸造垂れ口で祝うことにします。肴は絶妙なコンビである鰻の薫製といきたいところですが、それは無理でしょう。

季節の酒は旨いなあ

2009-07-18 00:09:44 | 
 千葉県いすみ市の木戸泉酒造が出している「夏にごり」を飲みました。活性濁りといって、瓶の中で酵母が生きており、開栓の際には注意が必要です。炭酸ガスが吹き出してシャンパンのような感じです。「発泡純米・生」とラベルにあります。
 4合瓶は普通の酒のようにスクリュー式のキャップが付いており、静かに開栓したつもりでしたが、相当な勢いで泡立ち、かなりの量が噴出しました。泡はシルキーできめ細かく、香りも上品かつ濃厚で、すばらしい酒だと感じさせました。岩手の契約農家が自然農法によって作った五百万石を利用しているそうで、自家培養した生の乳酸菌を使っていることも合わせて、原料にはこだわりがあるようです。
 味の方は、甘みは少なく、辛みや苦みが程よいものでした。米の旨さが活かされ、夏にふさわしい鋭い味だと思いました。16.5度と高めのアルコール度数も夏向きでしょう。1785円は、私の感覚では高価な部類の酒ですが、また購入しようと思います。昨日は一気に飲んでしまいました。旬の酒といってよいでしょう。

普段飲みの酒

2009-06-28 10:38:14 | 
 普段用の酒として〆張鶴(花)を愛飲していることは既に述べましたが、東京でいつも手に入る酒ではありません。そこで、〆張鶴のないときに飲んでいたのが桝田酒造さんの「満寿泉」(ますいずみ)です。富山には銘酒が多いですね。私は淡麗辛口の新潟の酒よりも、コクのある富山の酒が好きです。菊姫には狂っていた時代があります。それは、「ぼうずしゃも」という、落語にも出てくるしゃもの専門店で、菊姫の「吟」という高級酒を飲んだことから始まります。今でも、菊姫の無濾過原酒は予約して買っています。
 話が逸れました。いつも高級酒を飲めるわけではないので、どうしても価格が気になるわけです。そこで、お勧めするのが「満寿泉」です。淡麗辛口ではモノ足りず、さりとて菊姫や天狗舞ほど濃厚なのはちょっと・・・という方は多いのではないかと思いますが、「満寿泉」はちょうどその中間というか、両方のよさだけを持った酒といってよいでしょう。妙な癖ではない、ほどよいコクと旨みをもち、わずかな吟醸香もあって飲み飽きしません。食中酒として最適でしょう。一升瓶で2000円しません。実に良心的な価格であると思います。
 残念ながら、どこでも手に入るというわけにはいかない。ただ、私は近くのクイーンズ伊勢丹のお酒売り場で買っています。そこでは常時置いています。おそらく、ほかのクイーンズ伊勢丹にもあるのではないでしょうか。写真もアップしておきますので、酒好きの方はぜひ探してみてください。緑色の壜ですからすぐにわかると思います。苦労しても探したとしても絶対に後悔しませんよ。

庄屋に意気込みを見た

2009-05-25 01:17:52 | 
 週末の土曜日、地方の駅前で、庄屋に入りました。普段はひとりでチェーン店に入ることはありませんが、時間が45分程度しかないかったので、とにかく目についた店に入ったという次第です。
 その店は、なかなか店内も凝った造りで、入口から一段高くなった店内に入るには、靴を履き替えるのかと店員さんに尋ねるくらい。そうではなく、靴のままで入店したところ、カウンターもしっかりしたもので安っぽさはありませんでした。テーブル席も個室のような造りになっていて、けっこう高級感がありました。
 私は、店頭の看板にあった「トビウオのたたき」と「鮎の塩焼き」を注文し、まずは生ビールを飲みました。トビウオは目の前のケースの中にありましたが、とびきり新鮮そうではなかったものの、おろしショウガとともに食べてみると、匂いもなく、歯ごたえもあって美味でした。刺身のつまである大根もシソの葉も食べられました。塩焼きの鮎は、京都で食べる鮎がそうであるように、少し小ぶりのもので、焼き方も絶妙で、濃い旨みを堪能できました。
 ビールのあとで日本酒を飲もうとメニューを見ると、6種類の酒が推薦してあり、簡単なコメントもついていました。それを見ながら気になっていた「石見銀山」純米酒をオーダーしました。酒は升の中のグラスに注ぐスタイル。升の下にも皿が入っていて、そこまであふれるようについでもらったので、1合ちょうどの分量はあったと思います。この酒、純米酒なのに吟醸香が強く、多少腰が軽くて満点とは言えませんが、それでも美味しい酒でした。680円してよいと思えました。ちなみに、以上の会計は2400円余りでした。
 庄屋と言えば、失礼ながら、安いチェーン店のイメージしかありませんでしたが、今回、認識を新たにしました。お勧めします。

アブサンのこと

2009-02-16 13:44:05 | 
 はるか昔のこと、恩師のお宅にお邪魔した際、「君は絵を描くそうだから」とアブサンを飲ませていただきました。色も味も灰汁のような印象を受けました。原料であるニガヨモギのものなのか、ほのかな青臭さとざらざらしたのどごしで、あまり旨いものだとは思いませんでした。ロートレックやゴッホが、なぜ愛飲したのか理解できませんでした。彼らは、中毒になっていたいたわけですから、旨いとかマズイという感覚ではなかったのでしょうが。
 アブサンは中毒になるということで、長い間、発売が禁止されていたそうですね。確か恩師もそんなことをおっしゃっていたように思います。私は貴重なお酒を飲ませていただいたことになります。現在は、また売られているのでしょうか。手にはいるのであれば、もう一度、味わって、ロートレックやゴッホを偲んでみたいと思います。本当は、彼の地へ行って飲むのが一番よいのでしょうが、あの飛行機の長い時間を思い浮かべると、二の足を踏んでしまいます。そして、一人ではなあ、と思うともう駄目ですね。
 アブサンから、カストリを想像するのは私だけでしょうか。カストリとは、密造焼酎のことで、酒の粕を絞りとった怪しい酒。終戦後に流行したもののようです。メチルアルコールなどが入っていて、健康を損ねる人も多かった由。そのあたりが中毒性のあるアブサンとの類似点でしょうか。坂口安吾の家にはドラム缶で買ってあったと言います。私は飲んだことがないので、いつか舐めてみたいと思います。飲む勇気はちょっとありません。

こんな旨い酒があったのか

2009-02-15 22:52:36 | 
 福井県永平寺町にある黒龍は評価の高い蔵元ですね。先日、純米大吟醸で、長期低温熟成された「黒龍石田屋」というお酒を飲む機会に恵まれました。11月に発売される限定品で、定価は1万円ほどらしいですが、なかなか手に入らないようです。青いガラスの4号瓶は口が細く、下がどっしりと作られた美しいものでした。
 それは知人のお宅に招かれたときのこと。お正月に開けたそうですが、あまり美味しいので、酒好きの私のためにとっておいてくださったという有り難いお話。残念ながら開栓後一ヶ月半ほど経っていましたが、そのお気持ちがうれしく、それだけで十分といった感じでした。いくら冷蔵庫に入っていたとはいえ、多くを期待しませんでした。ところが、一口飲んで驚きました。たしかに、少し気が抜けたような、平面的な感じはありましたが、それを差し引いても、なめらかな旨さは格別でした。まったく刺激がなく、それでいてしっかりした旨みもある。淡麗でなく、それでいて菊姫や天狗舞のようなこってりした味でもない。何と言えばよいのか、甘いとか辛いとかいうのでなく、旨いのです。吟醸香はさすがに抜けたのでしょうが、私には程よく感じられました。あまり吟醸香の強いものは飲み飽きしますが、まったくそのようなことはありませんでした。
 実に真面目にしっかりと作られた酒だと感心させられます。奇をてらうことなく、基本を忠実に守って作れば、これだけ美味しい酒ができるのでしょう。秋になったら、必ず手に入れて、正月に飲みたい酒です。久しぶりに、旨い!という酒に巡り会いました。黒龍、評判は知っていましたし、過去に飲んだこともありましたが、これだけの酒を造っているとは知りませんでした。ずばり認識が変わりました。